デザインするために「多様性」について考える

X：@Dia_Nexus デザインをするために改めて「多様性」について考えよう！〜哲学から紐解く「人はどれだけ多様なのか？」〜

本日のテーマは「多様性」と「デザイン」です

”多様性の大事さ”や相対主義とかそういう話ではありません。

デザインと多様性でよくある「バイアスをなくそう」「インクルーシブな組織を作ろう」「アクセシビリティに配慮しよう」といった道徳的・ビジネス的な話ですらありません

ただただ、「世界はどれだけ多様なのか」という実態の話です。

今日の講義はあんまり「明日から使える話」ではありません。 5年後、10年後に『ああ、これか』と思い出すような話を目指してます。

私たちが「世界の多様さ」を見誤ると、作るものも作れない、というお話しです。

年 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
2022 2023 2025 2024 プロダクト・デザインプロダクト・デザインサービス・デザイン定性リサーチ(大学院) 定量リサーチ(行政コンサル) デザイン思考 UX(大学・大学院) UX(実務) Web Direction AI 一児の父サービス・デザインデザイン思考 UXデザイン UXリサーチ Web Direction AI 父親なつ [email protected] @Dia_Nexus 生活者デザイン・アクティビスト 4年 3年 11.5年 4年 4年 4.5年 2.5年 10ヶ月 X：@Dia_Nexus 普段は都内の会社でUXリサーチ・デザイン、ディレクター、コンサルティング、サービスデザイン、品質管理、AI活用推進などをやってます。色々珍しめのデザイナーです。専門：UXリサーチ・デザイン、デザイン思考、サービスデザイン備考：哲学(現象学)や人類学の観点からの話が多いです

note書いてます https://note.com/art_reflection/n/ n2bbc6c4b33d4 https://note.com/art_reflection/n/ n17333c7df0ce https://note.com/art_reflection/n/ ne8417b8b100e 普段はデザインやUXの原理、未来の話、AIなどについて書いてます。実務の活用事例より、その前段となる原理、思想的な記事が多いです。たまに実務のことも書いてます。

今回登壇の経緯 6末にオルタナUXというイベントをやり、「AIで高速化するのもいいけど品質も大事なんじゃない？」というテーマで「UXの品質ってなんなのか？」という話しました。今回はそのイベントを視聴された土井さんにご提案いただいた形となります。オルタナUXスライドイベント振り返り

今日の構成

Part1.多様性について  Part2.多様性を体感する  Part3.デザインと多様性について考える

まず最初のパートでは「多様性」というテーマを、哲学の美味しいところをつまみながら考えていきます。

多様性について

1.デザインにおける多様性の重要さ

そもそもなぜ多様性への理解がUXデザインに重要なのでしょうか？細かい話はPart3でしますが、導入として

UXデザインの目的は「良い体験(UX)のサービスを作る」こと

UXデザインの目的は「良い体験(UX)のサービスを作る」ことこれです

✖︎︎あなたにとって ◦ 使う人にとって UXデザインの目的は「良い体験(UX)のサービスを作る」こと

UXデザインとは常に、自分ではない他者にとっての「良い体験」を模索する営みです。

では、私たちは世界の多様性を知らずして、遥かなる他者を想像することは可能でしょうか？

あなたの想像力の限界実態としての多様性実は、こういう差があるかもしれません

多様性を知ることは想像力に直結します

実際、UXデザインの現場では、「多様性」について考えることは良くあります。

デザインで言えば、ペルソナを複数作り、アクセシビリティに配慮し、ユーザーセグメントごとに異なる体験を設計し、多様性への対応することがあります。

しかし、私たちはこの多様性の幅を本当に捉えきれているのでしょうか？

2.僕らは「多様性」を理解できている、のか？

じゃぁ、多様性についてちょっと考えてみましょうか

ところでみなさん朝活、してますか？

朝活朝活とは、朝の時間を有効活用して、勉強、読書、運動、趣味などに取り組む活動のことです。集中力が高まる朝の時間を活用することで、日中の活動の効率を上げたり、心身のリフレッシュにつながったりするメリットがあります。

じゃぁ、「理想の朝活」を提案するアプリを作ることにしてみます。

でも…みんなの理想の朝活ってなんだろう？

読書？

ジョギング？

それともカフェ？

こういう時にやるのがユーザーリサーチですね。ちょっと聞いてみましょう。

Q.あなたにとって理想的な朝の過ごし方を教えてください

人それぞれ。これが多様性です。

いいですね。これで「理想の朝活」が提案できるアプリが作れる気がします。

待て待て。ほんとか？

「多様性」ってそんな生やさしいものじゃなくない？

朝もっと寝てたい人は？昼夜逆転の人は？時差のある海外企業で働いてる人は？

Q.あなたにとって理想的な朝の過ごし方を教えてください彼らにとって、「理想的な朝の過ごし方」という問い自体が成立しない。

「朝」として一番あなたの感覚に近いものを答えてください・4~6時まで・~8時まで・~10時まで・~12時まで

Q.あなたにとって理想的な朝の過ごし方を教えてください “朝”が指し示す時間も一意ではない

一番あなたの感覚に近いものを答えてください・起きた時が朝・太陽が登ったら朝・気象庁の定義：午前6時から午前9時頃まで・その他

Q.あなたにとって理想的な朝の過ごし方を教えてくださいそもそも「朝」が時間で定義されるもの、という認識すら一意ではない

ところでみなさん極夜を、知っていますか？きょくや

極夜南極や北極の極圏で、冬に太陽が一日中昇らない現象のことです。これに対し、夏に一日中太陽が沈まない現象は「白夜」と呼ばれます。

環境省自然環境・生物多様性南極地域の環境保護南極キッズ南極はどんなところどんなところ極夜と白夜

白夜はこんな感じ(極夜は写真映えしないので…)

南極点では、半年太陽が登らないらしい (もう半年は太陽が上りっぱ)

極夜が終わる=朝がくる=冬が終わるなので、お祭りとかしてるらしいです

Q.あなたにとって理想的な朝の過ごし方を教えてください「朝がくる」の重みが我々と違いすぎる

「理想の朝活」を考えようとしたが、「みんな朝活をしたいはずだ」ということ自体が思い込みで、「朝」という定義もバラバラで、「朝」をどう認識してるかも一意ではない。

しかし、本当の多様性とはこのように、根ざす世界観自体が異なるものではないか？

私たちは普段「多様性」の話をする時、自らの文化や慣習を自明であると思い込み、前提を共有した人々の間で、表面的なバリエーションについて論じていないか？

このような多様性、極端な例では？と思ったかもしれませんが、実はありふれています。この話はPart.2でまたします。

この、認識や根ざしてる世界観レベルの多様性、メタ的な多様性とでもいうものを、多元性と呼びます。たげんせい

ちなみに…

私は1月に子供が産まれ、朝活どころでは、ありません！！！！ ※そういうこともある

３.私たちの思考と「哲学」

「多様性」について考えたことがあっても、「多元性」についてまで考えたことある人はそこまで多くないでしょう。

何せ日常生活で、「言葉の定義が違うかも」とか「根ざしてる世界が違うかも」とか思ってたらコスパが悪すぎます。

しかし、私たちが「多元性」に目を向けない理由はそれだけではありません。その背景には私たちの根ざす「哲学」が影響しています。

哲学？

「いやいや、私哲学なんて学んでないよ」と思うかもしれません。

そもそも振り返ってみれば今日のタイトルもよくわからないですよね。

デザインをするために改めて「多様性」について考えよう！〜哲学から紐解く「人はどれだけ多様なのか？」〜

デザインをするために改めて「多様性」について考えよう！〜哲学から紐解く「人はどれだけ多様なのか？」〜なんでわざわざ話を小難しくするの？哲学で語って偉ぶりたいだけ？

いやね、これ全くもって誤解なんですよ。

実は私たちの身の回りや、社会などは様々な考えや哲学に根ざして作られていて、私たちは知らず知らずのうちにその影響を受けています。

正解のあるテストばっかりやって育つと… 常に答え探ししちゃう子に育つ… 例えば…

実社会は答えのないことばっかなので、弊害がありますね

このように周囲の影響を受け、単なる意見の多様性ではなく認識や世界観が変容していくことを、近年の文化人類学では「存在論的デザイン」と呼ばれています。 ※ちょっと易化してます。本講義ではあまり触れませんが、キーワードの一つです。

こうして、人々が多元的になっていくのです答えがないと不安になる答えがなくてもへっちゃら！

そしてざっくりいうと、現代社会は「正解がある」という思考に育ちやすいですいくらみんなが口々に「正解がない」と言っていても！

さて、ここにいるみなさんは、「デザインに正解はない」と思っているのではないでしょうか

ところで「ユーザビリティの10原則」を知っていますか？

ユーザビリティーの10原則「使いやすさ」を意味する「ユーザビリティー」を評価する指標

この法則は、「これが使いやすいUI(システムだ)」というをまとめて指標化したものです。

ニールセンの10ヒューリスティクス 1.システム状態の視認性 2.システムと実世界の一致 3.ユーザーの主導権と自由 4.一貫性と標準 5.エラーの予防 6.再生より再認  7.柔軟性と効率性 8.美的で最小限のデザイン  9.ユーザーによるエラーの認識・診
断・回復のサポート 10.ヘルプとドキュメンテーションこれ守ると使いやすくなるよ！みたいな法則化されたもの

原則8. 美的で最小限のデザインインタフェースに無関係な情報や、めったに必要のない情報を入れてはならない。インタフェース内の余分な情報はすべて、関連する情報と競合することになり、関連する情報の相対的な可視性が低下するからだ

なんだかこれはすごく妥当なものに思われます

2つの有名サービスを思い出してみましょう

Go o gle

Yahoo! Japan

Yahooは明らかにユーザビリティーの原則に反しています。でも、googleではなくyahooを好んでいる人もいます。

つまり、「ユーザビリティの10原則」と多様性が反しています。

ユーザビリティーの10原則例えば、「使いやすさ」の原則であるユーザビリティーの原則は常に世界共通で「」なのでしょうか？　国や民族によって足さなきゃいけない法則や、読み替えなきゃいけない法則はないんですか？
最適「使いやすさ」を意味するユーザビリティーに関して、  製品やサービスの操作性や効率性を評価する指標ユーザビリティーの10原則は「デザインの正解」ではない

そもそも「使いやすさ」とは常に正義なのでしょうか？あるいは「使いやすさ」とは国や文化がまたがっても、一意に合意できるものなのでしょうか？

では、なぜユーザビリティーと多様性は矛盾してしまうのか？

ユーザビリティーは、人類には「一つの普遍的な正解がある」という古い世界のモデルに根ざした考え方だから A.

つまり「ユーザビリティー」という考え方には明確に弱点があります

では、ユーザビリティーが根ざす「古いモデル」とは？

この「古いモデル」を理解することで、多様性、そして私たちが自明視している世界観を知ることができます。これを理解するためには哲学を学ぶ必要が出てきます。

4.「古いモデル」とは？

古いモデルを理解するためには、歴史を古代ギリシャまで遡る必要があります。

プラトン紀元前427年 - 紀元前347年すべての物事には「完璧な型（イデア）」が存在し、現実世界のものはその不完全な写しである！

イデア論を「椅子」で考えるプラトンのイデア論をざっくり説明すると、現実世界に先立つ、何かしらの”真理”的なものが存在するよ、という考え方と言える椅子のイデア(理想系) 現実世界の椅子椅子の⁨⁩”イデア”の不完全な写し (現実世界に完璧なものはない  という考え方) “完全なる型”で、万人にとって普遍的な真理が存在する
現実世界でイデアを再現することはできず、それらは影にすぎない

プラトンなどを契機に、以来哲学では「真理探究」がメインテーマとなる (世界には”真の姿”があるはずだ！みたいな)

プラトンに則れば、 (現実世界で実現は無理だけれど) 万人が良いという「完璧なデザインが存在する」「正しいUI」があると考えることができる。

ルネ・デカルト 1596年 - 1650年我思う、ゆえに我あり (疑いうるものをすべて疑って見たら、 ”疑っている自分”だけが存在を確信できた)

ルネ・デカルト 1596年 - 1650年しかも、世界を疑えるということは、どうやら世界(物質)と我(心)という二つのものは切り分けて考えることができるようだ。

物質(客観) 科学身体データ数量的意識感情価値観質的精神(主観)
これらは対極にあり切り離されているデカルト的二元論デカルトによって、世界は観察者（主体）と対象（客体）というものがあると分けられた。詰まるところ、客観と主観である。

主観客観ってこの頃生まれたんですね〜ついでに、デカルトはもう一つ大きな影響を残していきます。

ルネ・デカルト 1596年 - 1650年感覚は人によってバラバラだが、物質は「長さ・重さ・形」といった数学的・機械的性質がある。

ルネ・デカルト 1596年 - 1650年物体が数学的性質しか持たないなら、数理的に分解・分析すれば必ず正しい結論にたどりつけるはずだ

この発想によって、主観は属人的でバラバラなもの、客観を積み重ねていくことで真理に辿り着くことができる「客観が正しい」という考え方が強まった。

その後、デカルトの合理主義は、「世界は巨大な機械であり、数理的に理解可能だ」という近代科学・工学の前提につながって言った。

イデア論合理主義/二元論イデア論(プラトン) 合理主義/二元論(デカルト) 真理というものが提起され、以降真理探究が始まった世界は客観側に真理があるはずだ、と、客観全盛の機運を作り、以来主観的なものは「ばらつきがある」とみなされるようになった。近代科学・工学「世界は客観的な数理で解き明かせるはずだ」という思想で始まった。近代科学・工学の成り立ち

そして、現代社会人の思考のベースは、基本的にこの発想に根ざしています

「合理的な答え」を追求する社会で育つ「合理的な答えがあるはずだ」という世界観が形成される現代社会は、工学的すぎる

ちなみに先ほどのユーザビリティー/ヒューリスティックもこの流れです

近代科学の誕生人間工学の発展近代科学の誕生人間工学の発展デカルトの合理主義を前提に、世界を数学的に理解しようとする発想から成長した。第二次世界大戦中の軍事研究から始まり、人間と機械の相互作用の最適化を目指した実践より発展。認知科学の影響ユーザビリティーという概念が体系化
1970年代以降、コンピュータの普及とともに人間の情報処理モデルへの関心が高まる。「効率・効果・満足度」といったユーザビリティの概念がこの頃体系化された。ユーザビリティーの歴史

ユーザビリティーユーザビリティーは世界を法則化すれば必ず正しい結論にたどりつけるはずだ、という合理主義をベースとしている。「使いやすさ」を意味するユーザビリティーに関して、  製品やサービスの操作性や効率性を評価する指標ユーザビリティーはデカルト的合理主義から地続きになっている

では、実際はどう捉えるべきなのか？

なぜ、かたやユーザビリティーに乗っ取り、かたや乗っ取ってない真逆のものが、双方受け入れられているのか？

5.純粋理性批判

この矛盾の鍵は、私たちの世界の認識の仕方にあります。

カント 1724年 - 1804年そもそも私たちは、私たちの認識の枠組みに縛られているから、真理に到達することはできないんじゃない？

それまでのモデル

デカルト的合理主義は、人間が世界の正確な姿を認識できているという発想に根ざしていた人間は世界の正確な姿を認知していると自明視されていた。今まで、人間の認知能力というものが問われることはなかった主観(精神) 客観(物質) 私たちの主観と実世界は切り離されている (一方的に観測可能かつ、正確な姿を理解できる)

「私たちは感覚や経験に惑わされずに世界の姿を正しく理解することができるはずだ、だからこそ、観測をもとに真理に辿り着ける…」と考えられていました。

でも、もし、私たちが世界を正しく理解できていなかったとしたら…？私たちが「世界」だと思ってるもの自体、中途半端な観察しかできないとしたら、私たちは中途半端な積み上げしかできず、真理に辿り着けないということにはならないか…？

カントのモデル

カントは、理性が純粋なものではなく、私たちの認知機能に根ざしていることを主張した人間の認知能力には限界がある。例えばりんごの裏と表を同時に見ることができないように、私たちに宇宙の果てが見えないように、微小なものと巨大なものを見ることができないように、私たちは世界を自分の感覚を通してしか理解することはできない、とカントは提起した。主観(精神) ？？？？客観(物質) 私たちに認知機能には限界があり、
世界の真の姿を理解することはできない。

鏡を使ってりんごの表と裏を同時に見ることりんごの表と裏を”同時・同一に”知覚することは天と地ほど違う。その時点で私たちは真理に辿り着けないことになる。

ま、カントを理解する必要はありません。僕もまだわかりきってないし

ただ、あなたが”世界をありのまま見ている”という確信は、単なる思い込みかもしれない、という疑いだけ持ち帰ってください。それ自体があなたなりの世界の見方かもしれない。

カントの発言により、それまで長らく西洋哲学の中心にあった「真理(イデア論)」や「デカルト的合理主義」は大打撃にあった

ルネ・デカルト 1596年 - 1650年物体が数学的性質しか持たないなら、数理的に分解・分析すれば必ず正しい結論にたどりつけるはずだ人間は世界を正しく観測でないので、世界を正しく、数理的に分解できない！

ユーザビリティー人類は完璧なデザイン、UIに辿り着くことはできない！完璧なUIという発想自体が幻想「使いやすさ」を意味するユーザビリティーに関して、  製品やサービスの操作性や効率性を評価する指標ユーザビリティーが万全の発想ではないことがカントから紐解ける

うーん、まぁでもそんなことは薄々知ってたし、言葉ではなんとも言えるじゃん？

あと、この話がどう多元性に繋がるの…？

6.現象げんしょう

カントの功績はもう一つあります

現象げんしょう

物質(客観) 科学身体データ数量的意識感情価値観質的精神(主観)
これらは対極にあり切り離されているデカルト的二元論デカルトによって、世界は観察者（主）と対象（客）というものがあると分けられた。詰まるところ、客観と主観である。

カントは、世界と主観の間に「現象」があるとしたげんしょう

私たちは世界ではなく「現象」を見ている私たちは感覚を通してしか世界を理解できない。そして私たちは人によって世界の捉え方がバラバラだ。カントは、私たちは世界を見ているのではなく、世界と主観の間の相互作用で現れる現象を見ている、とした。物質(客観) 科学身体データ数量的意識感情
価値観質的精神(主観) 現象主観と客観の相互作用によって現れる世界これを見ている

わかりやすくします

私たちは”りんご”ではなく「私たちの意識に立ち現れるりんご」を見ている私たちは感覚を通してしか世界を理解できない。そして私たちは人によってまなざしはバラバラだ。私たちは世界を見ているのではなく、世界と主観の間の相互作用で現れる「現象」を見ている、とした。これを見ている物質(客観) りんごの真なる姿 (私たちには認知できない) 私たちの主観的なものの見方私たちの意識に立ち現れる
りんごの姿精神(主観) 現象

物質(客観) りんごの真なる姿 (私たちには認知できない) 私たちの意識に立ち現れるりんごの姿 Aさん Bさん Cさんあ、甘くて美味しそうなりんごだな！
静物画の題材にちょうど良さそう！ (そもそもりんごが視界に入らなかった) 現象

私たちは、物理的に同じ世界を見ているが、私たちは誰一人同じ人物ではなく、認識は主観に影響される。ゆえに、誰も同じように世界を認識していない。

物質(客観) 物理世界で太陽が登ったりする私たちの意識に立ち現れる “朝”というイメージ Aさん Bさん Cさん太陽が出た、朝だな！まだ4時台だから
朝じゃなくて”早朝” (まだ起きてないから朝じゃない) 現象

物質(客観) 物理世界で太陽が登ったりする私たちの意識に立ち現れる “朝”というイメージと意味夜勤明けの看護師北極圏に住んでいる敬虔な教徒朝は仕事終わりの合図！ようやく帰れる！！
極夜が終わった！！！夏の到来だ！！日の出は祈りの時間を告げる神聖なサイン現象

私たちは人によって世界の解釈が違う。それは同じ現象に多様な解釈をするという程度ではなく、そもそも違う現象として立ち現れる

棚田

棚田について調べれば「絶景」という単語が出てきます。綺麗ですね。【全国】日本の美しい棚田29選。目の前に広がる棚田が絶景すぎる！

しかし、棚田は観光者と住民では価値観が大きく異なります。

観光客「美しい景観」「守るべき原風景」地元民「生活の知恵」「生きるための手段」「棚田」とは、生きるための知恵だ

しかし、棚田は観光者と住民では価値観が大きく異なります。

「棚田」がどれだけ美しくとも、住民にとっては田んぼなのです。棚田へ重機入れました！！

観光客からすれば「景観の破壊」、地元民からすれば「生きるための維持・管理・最適化」です。

「解釈が違う」どころではなく、見えている世界（現象）そのものが違うからこそ、そこから導き出される「行為」が正反対になるのです。

私たちが今感じている世界は、他者に同じように感じられるわけではなく、立ち上がっている世界と同一ではない、ということ。

7.「新しいモデル」多元性たげんせい

ここまでくると多様性という言葉の範疇を超えている気がします。

多元性たげんせい

多元性、近年ちょこちょこ聞くワードになりつつありますが、多元性は「根ざす世界・価値観・思考レベルのメタ的な多様性」と言い換えることもできると思います。

Q.あなたにとって理想的な朝の過ごし方を教えてください

一元的な世界の捉え方

※もちろんそんなことはない「人類普遍の朝の理想的な過ごし方は、6:15に起きてから少しまどろみ、コーヒーを飲んでからシャワーを浴び、本を読むことだ」

多様性に配慮した世界の捉え方

「朝の理想的な過ごし方は人によって違う。コーヒーを飲みたい人も、ジョギングしたい人も、家族でご飯を食べた人もいる」

多元的な世界の捉え方

「理想的な朝というが、そもそも朝に起きたくない人もいる。朝の認識も人によって違う。そもそも朝がどのような意味を持つかも文化や文脈によって違う」

極夜が終わった！！！夏の到来だ！！日の出は祈りの時間を告げる神聖なサイン現象

それはもう、どうしようもなく世界観が違います。

多様性について

多様性について多元性

Part2に入る前に質問タイム

多様性を体感する多元性

講義だけじゃわかんないですねワークしましょうワーク！

ワークやる前に言っておくと、ワークにも限界があります。本来フィールドワークの中で感じたり、数年かけて掴む感覚です。今日はきっかけになれば嬉しいが…

事前アンケート

ワークは参加者同士の意見がばらけた方がいいので、ちょっと傾向を見たいですばらけたやつやります。

Q1. 一錠飲めば完璧にバランスよく栄養が取れる薬が開発されました。あなたはどれくらい食事をそれに置き換えますか？

全部時々食事したい半分ぐらい健康目的で補助に使う程度飲まない

Q2. あなたは孫の孫の代くらい働かなくていいぐらいのお金を手に入れましたあなたは仕事や働くことを続けますか？

働かない！ちょっとは働きたい！今の仕事を続ける！

Q3. あなたは、1週間のドバイ旅行をプレゼントされることになりました。どっちのプランを選びますか？ A. 完璧なガイドツアー B. 完全に自由な旅。

A. 完璧なガイドツアー B. 完全に自由な旅どちらとも言えない！

ワーク：価値観を掘り下げる

ではワークに入ります。ここでは3~4人のグループに分かれましょう。

まずは自己開示から。自分の考えをちゃんと口に出すことが大事です。正解も答えもないのでゆるくやりましょう。

お題1(7分間)：・軽い自己紹介・先ほど自分が選んだ回答・なぜその回答を選んだか・簡単なエピソードなどをそれぞれ話してください。

次は、「表面的なバリエーション」ではなく「世界観の違い」を探していきましょう。「理解できない」「共感できない」意見が出れば出るほど多元生に向き合えてます。「理解できないかも…」と思っても、好奇心を持って！

お題2-食事(15分間)：それぞれの人が「食事」をどう捉えているか、「食事」に求めるもの、「食事」ってどこからどこまでなのか、共通点や違いを質問しあって、掘り下げてください。

お題2-仕事(15分間)：それぞれの人が「仕事」をどう捉えているか、「仕事」に求めるもの、「仕事」って何のためにするのか、共通点や違いを質問しあって、掘り下げてください。

お題2-旅行(15分間)：それぞれの人が「旅行」をどう捉えているか、「旅行」に求めるもの、「旅行」の何が好きなのか、共通点や違いを質問しあって、掘り下げてください。

発表(2分間ずつ)：グループ内で行われたみんなの考えてること、価値観などの会話をざっとまとめて、共有してください

いかがでした？案外違う世界観に根ざしてません？我々

デザインと多様性について考える多元性

1.改めて、UXデザインとは

ここまで、多様性・多元性について考えてきましたが、ここからは「デザインと多元性」の話をしましょう。

その話に入る前に、「UXデザインの目的」をおさらいしておきます

UXデザインの目的は、「使いやすい画面を作る」こと？

こういう…？ ※NETFLIXが12年ぶりにUIを刷新した

…ではありません。

例えばATMをイメージしてみましょう。

ATMにはUIがありますお引出し通帳記入お振り込みお預け入れ残高紹介その他

UXというとこの画面を使いやすくするというイメージを持ってる方もいるかもしれません。 UXデザインの目的 ATM お引出し通帳記入お振り込みお預け入れ残高紹介その他使いやすい画面を
作るのがUXじゃ…？

しかし実際には、 UXデザインの目的は「良い体験(UX)のサービスを作る」こと。プロダクトや画面はその一部です。

プロダクトとサービスはどう違うか？

プロダクトとサービスの違い。ATMを取り巻くお店での⁨⁩人々が体験すること全てが”UX”。 UXデザインの目的お引出し通帳記入お振り込みお預け入れ残高紹介その他来店順番待ち
ATM ATMのUI 引出しプロダクトのUX サービスのUX

なんなら、店舗体験に限らず、広告や問い合わせ、評判もUXと考えることができる UXは単に「体験」なので、必ずしもコントロールしきれるわけではない。常にすでに発生している。 UXデザインの目的店舗体験広告問い合わせお店の評判プロダクトのUX サービスのUX

では問題

Q.Aさんはある日銀行に来店しました。　Aさんはなぜ銀行に来たか、　2つの選択肢からもっともらしいものを選んでください

1.ATMのUIを触りにきた 2.お金を下ろしにきた

× ◦ 1.ATMのUIを触りにきた 2.お金を下ろしにきた

銀行のATMやUIではなく、「ATMでできること」や「銀行が提供しているサービス」自体に価値がある。個別の要素はそれを体現するものに過ぎない。 UXデザインの目的お引出し通帳記入お振り込みお預け入れ残高紹介その他来店
順番待ち ATM ATMのUI 引出し「自分のお金を口座から下ろせること」そのものに価値がある！ ATMやUI自体に価値があるわけではない！

お引出し通帳記入お振り込みお預け入れ残高紹介その他「AMTが使いやすいから」ではなく、「自分の口座からお金を下ろせる」から銀行に行く。もちろん使いやすさが占める割合は大きいが、それが全てではない。 UXデザインの目的お引出し
通帳記入お振り込みお預け入れ残高紹介その他プロダクトのUX サービスのUX 使いやすさは大事だが… そのさきにサービスの目指した体験があるか？がさらに重要

これはATMだろうとアプリだろうと同じで、そのものに価値があるわけではなく、  「サービスによってできること」と「それがやりやすいこと」に価値がある。 UXデザインの目的アプリアプリ自体に価値があるのではなく、本質的に「アプリでできること」や「銀行というサービス」に価値がある。

UXはUIではないと言われるが、これらが混同されるのはUX=使いやすいプロダクトを作ることだと思われているから。しかし、使いやすさが良い体験の全てではないし、良い体験=使いやすさ、でもない UXデザインの目的それぞれの目的目的を誤解しているから、 UXとUIを混同してしまう UXデザイン UXとUIの関係 UX 良い体験の
サービスを作る UI 使いやすいプロダクトを作る UIデザイン

サービスのUXはアプリ以外のさまざまなものを複合して成り立っている UXデザインの目的 UXと諸要素の関係 “良い”体験はUIだけで決まるわけでもないサービスのUX サービスのUX UXとUIの関係アプリのUX 広告
アプリオペレーションコンテンツ課金形態ビジネスモデル

でも、結局どこの銀行でも自分の口座からお金を引きおろせるし、アプリの使いやすさの問題なんじゃ…？

銀行のATMやUIではなく、「ATMでできること」や「銀行が提供しているサービス」自体に価値がある。個別の要素はそれを体現するものに過ぎない。 UXデザインの目的お引出し通帳記入お振り込みお預け入れ残高紹介その他「自分のお金を口座から下ろせること」そのものに価値がある！
ATMやUI自体に価値があるわけではない！そうはいってきたけど、それって当たり前じゃん…？

ATMやUI自体に価値があるわけではなく、「銀行のサービス(例：自分のお金を口座から下ろせること)」と「それを実現するプロダクトや取り組み」に価値がある

これだと分かりづらいので、バリエーションを出してみましょう

プロダクトやUI自体に価値があるわけではなく、「自分のお金を口座から下ろせること」と「それを実現するアプリ」に価値がある迷わず一瞬で効率的な

プロダクトやUI自体に価値があるわけではなく、「」と「それを実現するアプリ」に価値がある貯金が楽しくなることワクワクできる

プロダクトやUI自体に価値があるわけではなく、「」と「」に価値がある高額の取引を安心してできること銀行にきた人が安心してお金を預けられる取り組み

つまり…

ATMやUI自体に価値があるわけではなく、「銀行のサービス(例：自分のお金を口座から下ろせること)」と「それを実現するプロダクトや取り組み」に価値があるユーザーはそのサービスで、どんな体験をしたいか？どんなサービスを銀行に求めているか？どうすればユーザーにとって
実現されるのか？

ユーザーはそのサービスで、どんな体験をしたいか？どんなサービスを銀行に求めているか？どうすればユーザーにとって実現されるのか？これら全てが多元性に根ざしている！

みんながサービスに求めてることが違う！求めてることをどういう風に実現して欲しいかも違う！実現されたと感じる、感じ方すら違う！

だからこそ自分とユーザーがどれだけ距離があるかを知り、その多元性に根ざしたデザインをしていかなければ、ユーザーにとって良いサービスを作ることはできないのです。

2.私たちが多元性を見失うと…

私たちが日々作っているデザインを振り返ってみましょう。私たちの『良かれ』と思って作っているデザインには、一体どんな多元性が見過ごされているのでしょうか？

例えば、地図アプリが「最短ルート」を出すとしたらそれは意図せず「寄り道」を否定していないでしょうか。

あなたがつけた星5と、その人がつけた星5は、同じ意味、同じ熱量なのでしょうか。

全ての人が何かを効率的で便利で、賢くやりたいのでしょうか。

ユーザーが求めている「良い体験」や、ユーザーの根ざす多元性は、あなたの”常識”によってかき消されていないでしょうか？

例えば、あなたにとっての「良い」はユーザーにとっての「良い」なのでしょうか。それはそもそも良いと感じることだけでなく、感じ方や、それが目に入るかどうかも違うのです。

例えば、あなたのデザインの『標準的なユーザー』は、五体満足で、安定した通信環境を持ち、デジタル機器の操作に慣れ、特定の文化の中で育った人間になっていませんか？

私たちが当たり前だと思っている身体、文化、経済的な前提。それ自体が悪なのではありません。しかし、あなたが無自覚であれば、遥かな他者にとっての「良い体験」をデザインすることはできません。

本当に怖いのは「他者が理解できないこと」ではありません。自らと常識・前提・世界観自体を共有しない他者がいることを、目の前の人がそうかもしれないことを想像できないことです。

しかし、多元性を一元化するのは非常に暴力的

原則8. 美的で最小限のデザインインタフェースに無関係な情報や、めったに必要のない情報を入れてはならない。インタフェース内の余分な情報はすべて、関連する情報と競合することになり、関連する情報の相対的な可視性が低下するからだ一元化や法則は、いい点もたくさんあります。私も使っています。でも、私たちが思考停止してしていないか世界にもちゃんと目を向けなければいけません。

「理想的な朝というが、そもそも朝に起きたくない人もいる。朝の認識も人によって違う。そもそも朝がどのような意味を持つかも文化や文脈によって違う」誰でも6:15に起きるべきだ！

極夜が終わった！！！夏の到来だ！！日の出は祈りの時間を告げる神聖なサイン現象朝は「コーヒーを飲む時間」という意味だ！

この多元性に対する肌感を持ち、自分と否応なしに違う”絶対的他者”として認め、世界観が違うということがまなざしに落ちると、自ずとデザインを見る目が変わってくるでしょう。

3.多元性のまなざしと翻訳不能問題

私たちは、多元性を「頭で理解」するのではなく、多元性をまなざす必要があります。

まなざしとは「ものの見方・世界の捉え方」です。まなざしとは世界の捉え方あなたおいしそう… 赤いなものや世界あなたまなざし

かならずしも物理的で目に見えるものの必要はありません。その世界の捉え方のことを「まなざし」と言います。あなた愛だなぁ… 怖いなぁ出来事あなたまなざしまなざしとは世界の捉え方

多元性を「頭で理解」するのではなく、多元性をまなざす、とは？

多元性を「頭で理解する」後からチェックリストを使うような、「知識として」多様性を理解・参照できる状態「自分の感覚やもののみかた」であると内省し他者の見方や多元性を視点に持ち込もうとする状態多元性をまなざすあなたあなたデザインをしたぞ！このデザインは
◦◦な人ならこう思うだろうなぁペルソナのニーズに合致しているだろうか？ ××な人にとっては嫌かも

多元性がまなざしに落ちるには UXリサーチ・デザインなどの経験が必要。この会で話しても「そうなんだ！」と明日からすぐに見方を変えることは難しいのが現実です。

それでも、その先に初めて「良いもの」が生まれてくると思うのです。

ただし…心苦しい事実が…

この多元性には「翻訳不能問題」が存在します

例えばコロナなどの伝染病は、さまざまな形でウィルスが媒介され、人々に感染していきます。

しかし、多くの社会で感染病は呪いやまじないによる災いとしてとらえられてきました。病気を直すためにはお祓いする必要があります。

なぜなら彼らにとって、病気とは、呪術的に起きるものであるからです。

非科学的ですよね。

その感覚が「解釈不能問題」です

彼らは我々が病気をウィルスという小さなものに閉じ込める意味を理解できないように、逆に我々も、彼らのことを理解しきることは不可能でしょう

病気彼ら私病気は呪術的に発生する言語的な意味はわかるが、その感覚を理解することは不能 …？

「病気が呪術的に発生する」という言葉の意味はわかる。しかし、私には「疫病が呪術によって引き起こされる世界観」の感覚がわからない。だって非科学的じゃん…

遠すぎてわからない

現代社会でこれほど遠いことは稀ですが、自分のもとに手繰り寄せられない、翻訳不能問題は度々ぶち当たります

そういう時はどうするのでしょうか？

やはり、まなざせなければいけないのです。実際に自分も感じてみた方が早いです。文字には限界があります

彼らの状況となるべく同じ状況に身を置き、その身で感じることでしかわからないものがあります。フィールドワークとか現場理解と言われる領域ですね… できないこともあります。そういうのどうしようね…

全てはわからないかもしれない、でも近づくことはできるはずだそうやって進んでいくしかありません

今日の話を聞いて困った人もいるかもしれません。「結局どこからが良い体験で、明日から何をすればよくて、他者を理解するためになにをやればいいんだ？」

答えが欲しいですか？

僕も時々欲しくなります

他者を理解するとは終わりなき巡礼のようなものです。完全な理解などありません。

しかし、そうやって他者を理解しようと試みた先にだけ生まれるものがあると私は信じています。

以上、多元性とデザインの話でした。デザイン頑張っていきましょう。

Thank You!

質問やら感想やらあれば！

補足

差別化

ユーザーはそのサービスで、どんな体験をしたいか？どんなサービスを銀行に求めているか？どうすればユーザーにとって実現されるのか？これら全てが多元性に根ざしている！

みんながサービスに求めてることが違う！求めてることをどういう風に実現して欲しいかも違う！実現されたと感じる、感じ方すら違う！

でも、それって結局銀行サービスのバリエーションじゃん…？真に差別化できてるとは言えないのでは…？

そうです

ATMやUI自体に価値があるわけではなく、「銀行のサービス(例：自分のお金を口座から下ろせること)」と「それを実現するプロダクトや取り組み」に価値がある

これです

真に疑うべきは、「銀行とは何であるか」という前提です

銀行という枠組みにとらわれることなく、もっと大きなスケールで話をしないといけないです。

銀行とは、ある人にとっては生活を支える基盤ある人にとっては金融取引の場ある人にとっては人生設計の相談相手かもしれない。

もっと新たな価値があるかもしれない

そういうものを模索していくことで、新たな良いサービスをデザインしていくことができるのです。

じゃ、AIはどうなんだ？

AIって多元的なの？どうなの？

これはとても悩ましい問題。なぜなら問いかけによって見え方が変わるから。

多元性に意識がない人が「遥かなる他者」を想像するには有効、しかし、本当に多元的かというとそうではないように思う。

AIですら一つの世界観に根ざしており、別の世界へ翻訳不能問題を生じている

例えば…

英語で語られる(英語圏から見た)「日本」についての説明と、日本語で語られる「日本」についての説明は違うだろう。だから英語を中心としたLLMは、日本の精神性を理解し得ない部分があるのではないか？

人間一人分の世界で生きてる私たちに対して、人間10億人分くらいの情報量で生きてるAIは、巨視的で世界観が異なるのではないか？

現実世界で日々感覚を通して世界に触れてる私たちと、文字から世界をイメージしてるAIでは世界観が違うのでは…？ PC内には物理法則の概念とかさそうだし…

AIは、「多元性」を知っていても、それを「まなざす」ことはできないのではないか？

などなど、まだまだナチュラルにやるには厳しい点がたくさんある気がします。

でも、人間一人でやるよりはいい

これから大事なのは、判断する/指示する我々が「多元性に対する感度」を身につけ、 AIと共同することかなぁ

これから大事なのは、「多元性に対する感度」を身につけ、ことかなぁ判断する/指示する我々が AIと共同する人間が使う人にとっての「良い体験」を担保しつつ AIで爆速に！

とくにAIは非言語に弱いしね

内省

一元的な世界の捉え方

※もちろんそんなことはない「人類普遍の朝の理想的な過ごし方は、6:15に起きてから少しまどろみ、コーヒーを飲んでからシャワーを浴び、本を読むことだ」

「世界は多元的である」あるいは、本講義の中核である、「一元的世界観から多元的に！」というメッセージは、一元的な押し付けではないだろうか？

そうなんです。そもそも「多元性」の議論は、西洋に根ざしており、では非西洋や、東洋との関係は？あるいは学問化されてない土着のオルタナティブな発想は？となる

「全ての視点を完全に公平に扱う」なんて実際には不可能です。どこかから始めなければならないし、その「どこか」は必然的に部分的で限定的なものになる。

私たちは、「多元性を尊重すること」と「真に多元性を尊重しきれないこと」の双方と向き合っていかなければいけないのです。

あーしんど

デザインするために「多様性」について考える

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