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社労士が解説!後回しにできない 育児・介護休業法ガイド 〜 今知るべき改正内容と対応策〜

freee
November 01, 2024

社労士が解説!後回しにできない 育児・介護休業法ガイド 〜 今知るべき改正内容と対応策〜

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  1. 2   P4 ⽬次 2024年改正 育児‧介護休業法の 改正のポイント P5 ⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を 実現するための措置の拡充

    P12 育児休業の取得状況の公表義務の拡⼤や 次世代育成⽀援対策の推進‧強化 P16 介護離職防⽌のための仕事と介護の両⽴⽀援 制度の強化等 まとめ P14
  2. 3 ⼭⼝ 友佳 解説者紹介 ⽇本社会保険労務⼠法⼈ ( SATOグループ ) 特定社会保険労務⼠ 慶応義塾⼤学卒業。地⽅紙記者を経て2008年、社会保険労務⼠

    試験合格。 2009年、⽇本社会保険労務⼠法⼈設⽴とともに⼊所。 2010年、社員(役員)に就任。 2021年、特定付記。 労務相談部⾨責任者として中⼩企業、⼤企業 に対する労務コンサルを担当。 就業規則諸規程のコンサル、判例に基づいた実務的なアドバイス など経験多数。
  3. 4 2024年改正 育児・介護休業法の改正のポイント 
 育児に関わるもの 介護に関わるもの 育児‧介護休業法 育児‧介護休業法 育児‧介護休業法 次世代育成⽀援対策推進法

    01
⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を 実現するための措置の拡充 02
育児休業の取得状況の公表義務の拡⼤ や次世代育成⽀援対策の推進‧強化 03
介護離職防⽌のための 仕事と介護の両⽴⽀援 制度の強化等 3歳以上⼩学校就学前の⼦を養育する労働者について、テレ ワークや短時間勤務制度などの中から、複数の措置を事業主 が⽤意し、労働者が⼀つを選択できるようにする。 介護についても、育児のときのよ うな個別説明‧意向確認の措置を 義務付ける。 2024年改正 育児・介護休業法の改正のポイント

  4. 5 ⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を実現するための措置の拡充 01
 改正前 改正後 • 3歳以上、⼩学校就学前の⼦を養育する労働者 に対して柔軟な働き⽅の措置義務なし • 3歳以上、⼩学校就学前の⼦を養育する労働者

    に関し、事業主が職場のニーズを把握した上 で、柔軟な働き⽅を実現するための措置を講 じ、労働者が選択して利⽤できるようにするこ とを義務付ける。 • 事業主が選択した措置について、「個別の周知 ‧意向確認」を義務付ける。 その「措置」とは? 3歳以上、⼩学校就学前の⼦を養育する労働者への措置が拡充します。 公布の⽇(2024年5⽉31⽇)から1年6か⽉以内の政令で定める⽇から施⾏(2025年10⽉1⽇で進められている) 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

  5. 6 改正後 1.  始業時刻等の変更   (フレックス、時差出勤等) 2.  テレワーク等(⽉10⽇) 3.  新たな休暇の付与(年10⽇)

    4.  保育施設の設置運営 5.  短時間勤務制度 この中から 2つ以上の
 制度を選択して 
 実行する必要あり 
 ※テレワーク等と新たな休暇は原則時間単位で取得可能とする 事業主側 改正後 労働者側 • 労働者は、事業主が講じた措置から、 ⼀つを選んで利⽤することができる。 (もし⼆つの制度であれば、どちらか を選択) • 措置を選択する際、過半数組合等からの意⾒聴取の機会 を設ける必要がある。 • 個別周知‧意向の確認については、妊娠‧出産のときと 同様に、「⾯談」や「書⾯交付」とされる予定。 ⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を実現するための措置の拡充 01
 3歳以上、⼩学校就学前の⼦を養育する労働者への措置が拡充します。 公布の⽇(2024年5⽉31⽇)から1年6か⽉以内の政令で定める⽇から施⾏(2025年10⽉1⽇で進められている) 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

  6. 7 改正前 改正後 • 3歳に満たない⼦を養育する労働者 は、請求すれば所定外労働の制限(残 業免除)を受けることが可能 • ⼩学校就学前の⼦を養育する労働者が 請求可能に

    ⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を実現するための措置の拡充 01
 所定外労働の制限(残業免除)の対象が拡⼤されます。 2025年4⽉1⽇施⾏ 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

  7. 8 改正前 改正後 • ⼦の看護休暇 改正前 • ⼩学校就学前 対象となる⼦の範囲 •

    病気‧けが • 予防接種‧健康診断 取得事由 • 勤続6カ⽉未満 • 週の所定労働⽇数が2⽇以下 労使協定の締結により除外出来る労働者 • ⼦の看護等休暇 改正前 • ⼩学校3年⽣まで拡⼤ 対象となる⼦の範囲 • 感染症に伴う学級閉鎖 • ⼊園式‧⼊学式‧卒園式  を追加 取得事由 • 週の所定労働⽇数が2⽇以下 のみに ※勤続6カ⽉未満の労働者を除外する仕組みは撤廃 労使協定の締結により除外出来る労働者 ⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を実現するための措置の拡充 01
 ⼦の看護休暇が⾒直されます。 2025年4⽉1⽇施⾏ 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

  8. 9 改正前 改正後 • 3歳になるまでの⼦を養育する労働者 に対して、テレワークを導⼊する義 務なし (努⼒義務に含まれていない) • 3歳になるまでの⼦を養育する労働者

    に対して、テレワークの利⽤を可能 にすることが努⼒義務として追加 ⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を実現するための措置の拡充 01
 3歳になるまでの⼦を養育する労働者に対して、テレワークの利⽤が努⼒義務に。 2025年4⽉1⽇施⾏ 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

  9. 10 改正前 改正後 • 本⼈‧配偶者が妊娠‧出産を申し出た 場合に限り、育休制度の周知と取得の 意向確認のみが義務 • 妊娠‧出産の申出時や⼦が3歳になる前に、労 働者の仕事と育児の両⽴に関する個別の意向の

    聴取‧配慮を事業主に義務付ける。 • 現⾏のものに加え、両⽴⽀援制度(勤務時間帯 ‧勤務地‧制度利⽤期間の希望)について意向 を聴取し、配慮することが義務化 ⇒さらに望ましい対応としては「短時間勤務や看護 等休暇の利⽤期間延⻑」「ひとり親への配慮(看護 等休暇の付与⽇数)」 ⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を実現するための措置の拡充 本⼈‧配偶者の妊娠出産の申出時に両⽴⽀援制度の意向を確認し配慮が必要に。 01
 公布の⽇(2024年5⽉31⽇)から1年6か⽉以内の政令で定める⽇から施⾏(2025年10⽉1⽇で進められている) 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

  10. 11 「個別の意向の聴取と配慮」のまとめ 3 歳
 育児休暇制度の個別周知・意向確認 
 「柔軟な働き方を実現するための措置」の 
 個別周知・ 意向確認


    育児休暇制度の 
 個別の意向の聴取と配慮 
 「柔軟な働き方を実現するための措置」の 
 個別の意向の聴取と配慮 
 就 学
 その後も、育児休業からの復職時、短時間勤務制度・「柔 軟な働き方を実現するための措置」の利用期間中等で、 状況に応じて、定期的な面談を行うことが望ましい 。
 個別の意向の聴取と配慮 
 ①本人又は配偶者が申し出たとき 
 ②3歳になるまでの適切な時期 
 ①本人又は配偶者が申し出たとき、 
 ②3歳になるまでの適切な時期以外のほか、 
 ③育児休業後に就業を開始する際、 
 ④労働者からの申出があった際等に、 
 個別の意向を確認することが望ましい。 
 :現行の措置義務
 出典:厚生労働省「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要」 
 出 生
 :今回での見直し
 時期
 やるべ
 きこと
 本人又は配偶者が申し出たとき 
 個別周知と意向確認 
 労働者に対して育児休業制度の周知 と 育児休業・産後パパ育休の取得意向を 確認するために面談等の措置を講じな ければならない 
 時期
 やるべ
 きこと
 3歳になるまでの適切な時期 
 個別周知と意向確認 
 労働者に対して制度等の周知と利用の 意向を確認 するために面談等の措置を 講じなければならない 
 やるべ
 きこと
 やるべ
 きこと
 意向の配慮 
 個別の意向の聴取 
 労働者の勤務時間帯 や勤務地、両立支援 制度の利用期間の希望 等を確認しなけれ ばならない 
 状況に応じ、配置、業務量、両立制度の利 用期間等の見直し 、労働条件の見直し 等、 労働者の意向に配慮しなければならない 
 
 意向の配慮 
 個別の意向の聴取 
 労働者の勤務時間帯 や勤務地、両立支援 制度の利用期間の希望 等を確認しなけれ ばならない 
 状況に応じ、配置、業務量、両立制度の利 用期間等の見直し 、労働条件の見直し 等、 労働者の意向に配慮しなければならない 
 
 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

  11. 12 改正前 改正後 1) 育児休業の取得状況の公表義務の対象は、常時 雇⽤する労働者数が1,000⼈超の事業主のみ 2) 次世代育成⽀援対策推進法に基づく⾏動計画策 定時に、数値⽬標の設定義務はなし 3)

    次世代育成⽀援対策推進法の有効期限は 2025年3⽉31⽇まで 1) 育児休業の取得状況の公表義務の対象を常時雇 ⽤する労働者数が300⼈超の事業主まで拡⼤ 2) 次世代育成⽀援対策推進法に基づく⾏動計画策 定時に、育児休業の取得状況等に係る状況把握 ・数値⽬標の設定を事業主に義務付ける 3) 次世代育成⽀援対策推進法の有効期限を 2035年3⽉31⽇まで10年間延⻑ 育児休業取得状況公表義務が拡⼤され、法律の2035年までの延⻑が決定。 2025年4⽉1⽇施⾏ 02
育児休業の取得状況の公表義務の拡⼤や次世代育成⽀援対策の推進‧強化 ※3)のみ、2024年5月31日(公布の日)から施行
 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化

  12. 13 改正後の実務対応 • 事業主に対して「育児休業の取得状況」および「労働時間の設定状況」を 把握し、数値⽬標を設定することが義務付けられる • ⾏動計画に盛り込むことが望ましい項⽬は下記 ◦ 両⽴⽀援制度利⽤時の業務分担や代替要員確保の⽅針 ◦

    復帰後ポジションに関する納得感向上の取り組み ◦ 育休取得者や短時間勤務者のマネジメントや評価について 事業主は、以下のような対応が求められます。 2025年4⽉1⽇施⾏ 02
育児休業の取得状況の公表義務の拡⼤や次世代育成⽀援対策の推進‧強化 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化

  13. 14 改正前 改正後 1) 介護休業や選択的措置もあった 2) 雇⽤環境整備義務はなかった 3) 勤続6ヶ⽉未満の労働者は、労使協定に基づき 介護休暇の対象外とすることが可能

    1) 労働者が家族の介護を申し出た際、両⽴⽀援制 度等について個別に周知‧意向確認を⾏うこと が義務化 2) 両⽴⽀援制度の早期情報提供や研修等の雇⽤環 境整備が義務化 3) 勤続期間に関わらず、介護休暇の対象から除外 できる仕組みが廃⽌ 労働者の介護⽀援に関する、環境整備と早期情報提供が義務化される。 2025年4⽉1⽇施⾏ 03
 介護離職防⽌のための仕事と介護の両⽴⽀援制度の強化等 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

  14. 15 【引⽤】厚⽣労働省「育児休業、介護休業等育児⼜は家族介護を⾏う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成⽀援対策推進法の⼀部を改正する法律の概要 (令和6年法律第(令和6年法律第 42 号、令和6年5⽉31⽇公布)」 介護休暇
 介護休業
 時間外労働・ 
 深夜業の制限

    
 所定外労働 
 の免除
 選択的
 措置義務
 介護休業① 
 介護休業③ 
 介護休業② 
 介 護 休 暇
 介 護 休 暇
 介 護 休 暇
 介 護 休 暇
 介 護 休 暇
 1日
 3時間
 1日
 1日
 5時間
 所定外労働の免除 (残業の免除 )
 時間外労働の制限 (残業制限)・深夜業の制限 
 選択的措置義務 
 要介護状態にある対象家族について、介護の体制を構築して働きながら 対応できるようにするために一定期間休業するもの。
 対象家族1人につき、通算 93日、3回まで分割可能。 
 要介護状態にある対象家族の介護・世話をするための休暇。
 介護終了まで年間 5日、時間単位で取得可能。
 時間外労働の制限:1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働を 制限する制度
 深夜業:午後10時~午前5時までの就業
 介護終了まで何回でも 請求可能。
 介護終了まで何回でも 請求可能。
 事業主は利用開始から 3年以上の期間内で 2回以上、短時間勤務・
 フレックスタイム・時差出勤・費用助成のいずれかを利用できる
 措置を講ずる義務。
 ▪事業主に以下の措置義務
  ・介護に直面した労働者が申し出した場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認 
  ・介護に直面する前の早い段階( 40歳等)の両立支援制度等に関する情報提供 ※併せて介護保険制度についての周知も望ましい(指針)
  ・研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備 
 
 ▪介護期の働き方について、労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務 。
 
 ▪介護休暇の勤続6か月未満の労働者 の労使協定除外の仕組みは廃止する。
 常時介護を必要とする状態 
 介護終了 
 ⾒直し内容 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

  15. 17 改正 育児・介護休業法/次世代育成支援対策推進法は 
 原則、2025年4月1日 より施行
 例外 育児休業の取得状況の公表義務の拡⼤や 次世代育成⽀援対策の推進‧強化 02


    3) 次世代育成⽀援対策推進法の有効期限を 2035年3⽉31⽇まで10年間延⻑ 2024年5月31日(公布の日)から施行
 ⼦の年齢に応じた柔軟な働き⽅を実現する ための措置の拡充 01
 • 3歳以上、⼩学校就学前の⼦を養育する労働者 への措置が拡充 • 本⼈‧配偶者の妊娠出産の申出時等に両⽴⽀援 制度の意向を確認し配慮が必要に。 公布の日(2024年5月31日)から
 1年6か月以内の政令で定める日から施行 
 (2025年10月1日で進められている )
 まとめ

  16.   貴社の育児‧介護休業法対応をITでサポート 03 ⾯談の記録も従業員データに紐付け 義務化された対象従業員への意向聴取も ⾯談状況を従業員に紐づけて管理可能。 freee⼈事労務とは? 「はじめやすく、使いやすい」クラウド⼈事労務ソフトです。 ⼈事‧労務業務のデジタル化や業務効率化を実現します。 01 煩雑な勤怠管理もカンタンに リモートワークや時短など多様な働き⽅に対して

    柔軟に対応。複雑な勤務形態も漏れなく管理。 02 ⼿間なく従業員データを抽出 公表が義務化される育児休業取得状況の対象となる 従業員を中⼼に複数データを抽出できます。 育児‧介護休業法の対応には 、freee⼈事労務がおすすめ QRコードはこちら お問い合わせはこちらから