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【2024年版】インボイス制度・電帳法実務ToDoガイドブック
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May 02, 2024
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【2024年版】インボイス制度・電帳法実務ToDoガイドブック
インボイス制度・電帳法の最新情報を元に、法改正対応チェックリストをまとめました。
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May 02, 2024
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1 インボイス制度&電帳法対応 実務 ToDo “ ” ガイドブック
インボイス制度下では、仕訳の記帳パ ターンは改正前の3倍となり、納税額の 計算方法も変わります。経理業務の負 荷低減の対策が重要となります。 業務効率化の対策を! 電車運賃などの一部例外を除き、イ ンボイスは 全 て 保
存 必 須 です。ま た、電子取引データの電子保存義務 化の対応も必要となります。 電子保存が肝心! 取引先が正しくインボイスを交付でき るよう、適格請求書発行事業者の登録 有無の確認や、どの書類をインボイス とするかの協議含め対応が必要です。 取引先の対応確認も重要! Yes Yes Yes Yes インボイスの登録申請は 終わりましたか? インボイス発行の準備は できていますか? 取引先が インボイス制度に対応しているか チェックしていますか? 法改正に対応した 証憑の保存はできてますか? インボイス制度に則した 会計業務の見直しは 終わりましたか? Step Step No No No No No インボイスの登録申請だけでなく、請 求書等への項目追加や消費税額等の計 算方法、インボイスの控えの保存な ど、請求業務の見直しが必要です。 インボイスの交付ができるのは適格請 求書発行事業者のみです。適格請求書 発行事業者になるために税務署に登録 申請書を提出しましょう。 請求書はミスなくモレなく Yes インボイス制度 対応完了 法改正対応には バックオフィス全体の 見直しが必要です 法改正対応Yes/Noチェック インボイス制度だけでなく電子保存義務化も合わせて対応必須! まずは登録申請から! 1 2 5つの対応 ステップ 解説 ➡ p.4 Step 3 解説 ➡ p.7 解説 ➡ p.16 解説 ➡ p.19 解説 ➡ p.28 Step 4 Step 5
法改正対応チェックリスト 登録申請 手続き 1. 適格請求書発行事業者の登録申請手続きは行いましたか 2. 登録通知を確認しましたか 3. 適格請求書発行事業者公表サイトに自社の情報が公開されているか確認しましたか インボイス
発行業務 取引先の チェック インボイス の保存 会計業務の 見直し 4. インボイスの対象となりうる証憑(領収書・請求書・納品書等)のリスト化は終わりましたか 5. 請求書に「税率ごとの消費税額と適用税率」と「登録番号」の2項目を追加しましたか 6. 適格簡易請求書の対象書類(領収書など)を整理し必要記載事項を追加しましたか 7. 適格返還請求書の対象となる取引(出精値引き等)を整理し適格返還請求書の型を作りましたか 8. 仕入れ時に仕入明細書を交付している場合、その仕入明細書に必要事項を追加しましたか 9. 消費税額の端数処理は一のインボイスにつき税率ごとに1回とするよう修正しましたか 10. 合算請求書を作成している場合、端数処理を行う書類(納品書又は請求書)を定めましたか 11. インボイスの写しの保存は行っていますか 12. PDFの請求書等を交付する場合、電子取引データの電子保存義務化に対応できてますか 13. 取引先がインボイスに対応しているか否か確認しましたか 14. 適格請求書発行事業者公表サイトに取引先の情報が公開されているか確認しましたか 15. 取引先が発行する請求書がインボイスの要件を満たしているか確認しましたか 16. 受領した書類がインボイスの記載項目を満たすかのチェックフローは整備しましたか 17. インボイスに記載の登録番号が公表された番号か否かチェックするフローは整備しましたか 18. 切手代や公共交通機関の運賃等の一部例外を除きインボイスを保存するフローは整備しましたか 19. インターネットを通じて仕入れた際のインボイスのダウンロード保存はできていますか 20. 電子取引データ(紙を介さずに行った電子取引のデータ)の電子保存義務化に対応できてますか 21. 電子帳簿保存法に対応する際、法令が求める社内ルール(事務処理規程など)を設けていますか 22. 少額特例の適用を受けることができるか確認しましたか 23. ワークフローシステム(経費精算システム等)が法改正に対応済みか確認しましたか 24. 従業員に法改正(インボイス制度及び電子保存義務化)に関するトレーニングはできていますか 25. 免税事業者からの仕入れに係る経過措置を対応した記帳と帳簿の保存ができていますか 26. 仕入控除税額の計算方法(一般課税、簡易課税、2割特例)を定めましたか 27. 会計ソフトの機能がインボイス制度に十分に対応しているか確認しましたか Step 1 Step 2 Step 3 Step 4 Step 5
4 登録申請手続き 1. 適格請求書発行事業者の登録申請手続きは行いましたか 2. 登録通知を確認しましたか 3. 適格請求書発行事業者公表サイトに自社の情報が公開されているか確認しましたか Step 1
適格請求書発行事業者となる日付は、課税事業者の方は原則 として登録を受けた日から、免税事業者の方は登録申請の際に 登録希望日を記載することで、その登録希望日から登録を受け ることができます。 インボイス発行には事前に申請必須 インボイスは誰でも発行できるわけではなく、適格請求書発 行事業者のみ発行を許されています。 この適格請求書発行事業者になる条件は2つあります。 先ず大前提として「消費税の課税事業者」であること、そして 「税務署長に登録申請書を提出し登録を受ける」ことです。
適格請求書発行事業者として登録を受けるには、納税地を所轄 する税務署長に対して登録申請書(適格請求書発行事業者の登 録申請書)を提出※1します。 その後、税務署による審査を経て、適格請求書発行事業者登 録簿に登録され、その旨の公表と通知が行われます。 事業者 税務署 ① 登録申請書の提出 ④ 税務署からの通知 ② 税務署による審査 ③ 登録及び公表・登録簿への登載 登録情報を公開 登録番号の構成 税務署から通知される登録番号は「T+数字13桁」から成り、法人と個人※2で内容が異なります • 法人:T+法人番号 • 個人:T+マイナンバーは用いず、法人番号とも重複しない13桁の数字 インボイスへ記載する際は、全角・半角は問わず「T1234567890123」のような形で記載します 公表サイト ※ 出典:国税庁適格請求書発行事業者の登録申請書サンプル ※ 出典:国税庁e-Taxホームページ OR 書面申請 電子申請 ※1 免税事業者が登録を受ける場合は、原則、消費税課税事業者選択届出書を提出し課税事業者になる必要がありますが、2023年10月1日から2029年9月30日までの日の属する課 税期間中に登録を受ける場合は、登録申請書のみで登録を受けた日から課税事業者となることが可能 です ※2 個人事業主及び人格のない社団等も含みます ※3 国税庁「適格請求書発行事業者の登録件数及び登録申請書の処理期間について (2023年12月11日時点)」によると登録申請書を提出されてから登録通知までの期間は e-Tax による電子申請の場合は約1ヶ月、書面提出の場合は約 1.5ヶ月かかるとされています 登録申請方法と通知までの期間 2 インボイス発行には登録申請が必要 1 適格請求書発行事業者になるための申請方法は、e-Taxを用い た電子で申請する方法と書面提出の2パターンがあります。通 知までの期間はe-Tax提出の場合は1ヶ月、書面提出の場合は約 1.5か月かかる(2023/12/11時点)※3とされています。 5 T 1234567890123
適格請求書発行事業者か否かのチェック 3 登録状況の確認は国税庁のサイトから インボイスの発行が許されている適格請求書発行事業者か否 かを判断するには、国税庁のサイト(適格請求書発行事業者公 表サイト)で確認する必要があります。 登録番号で検索すれば登録されているか否かを確認することが できるため、自社が登録されているか登録申請後に確認をして みましょう。 検索
適格請求書発行事業者公表サイト 登録 済み 登録 登録番号で検索 検索 6 なし 〇〇〇 T 1234567890123 実務ポイント インボイスの交付を行うためには 適格請求書発行事業者の登録申請手続きが必要です 登録 済み
7 Step 2 インボイス発行業務 4. インボイスの対象となりうる証憑(領収書・請求書・納品書等)のリスト化は終わりましたか 5. 請求書に「税率ごとの消費税額と適用税率」と「登録番号」の2項目を追加しましたか 6. 適格簡易請求書の対象書類(領収書など)を整理し必要記載事項を追加しましたか
7. 適格返還請求書の対象となる取引(出精値引き等)を整理し適格返還請求書の型を作りましたか 8. 仕入れ時に仕入明細書を交付している場合、その仕入明細書に必要事項を追加しましたか 9. 消費税額の端数処理は一のインボイスにつき税率ごとに1回とするよう修正しましたか 10. 合算請求書を作成している場合、端数処理を行う書類(納品書又は請求書)を定めましたか 11. インボイスの写しの保存は行っていますか 12. PDFの請求書等を交付する場合、電子取引データの電子保存義務化に対応できてますか
意外に追加項目が少なく感じられる方もいるかもしれません が、これは既にインボイス制度開始までの経過措置である「区 分記載請求書等保存方式」が2019年より導入されており、複数税 率に対応した項目を記載しているからです。 インボイスは“請求書”だけじゃない インボイスは適格”請求書”と言いますが、インボイスの対象 は請求書のみではありません。課税取引において税率・税額を 伝える手段は、その名称(請求書、納品書、領収書、レシート 等)を問わず全てインボイスの対象となります。 そのため、インボイスとして必要な事項を追記する書類は請
求書にとどまりません。どの書類をインボイスとするかを精査 するために、商取引を通して交付している書類をすべて棚卸し する必要があります。 請求書に新たに追加すべき項目 5 インボイスの対象書類とは 4 インボイス制度下で請求書に記載すべき項目は下図の8項目と なりますが、法改正前の記載事項に加え新たに追加しなければ ならない項目は「税率ごとの消費税額と適用税率」と「登録番 号」の2項目のみとなります。 領収書もレシートも納品書も 課税取引において税率・税額を伝える手段は 全て適格請求書の対象となります ①発行者の氏名又は名称 ②交付を受ける者の氏名又は名称 ③取引年月日 ④取引内容 ⑤税率ごとに合計した対価の額 ⑥軽減税率の対象である旨 請求書 株式会社◇◇◇御中 ◯◯◯株式会社 合計 24,000円 10%対象 8%対象 13,200円 10,800円 品目 金額 2023/11/10 お酒 11,000円 2023/11/12 弁当※ 10,800円 2023/11/12 送料 2,200円 ※は軽減税率適用商品 日付 ⑥ ⑤ 区分記載請求書方式 軽減税率対応。 インボイス制度開始までの経過措置 (2019年10月〜2023年9月) ①発行者の氏名又は名称 ②交付を受ける者の氏名又は名称 ③取引年月日 ④取引内容 ⑤取引金額 請求書 株式会社◇◇◇御中 ◯◯◯株式会社 合計 24,000円 品目 金額 2023/11/10 お酒 11,000円 2023/11/12 弁当 10,800円 2023/11/12 送料 2,200円 日付 請求書 単一税率時代の 請求書フォーマット (〜2019年9月) ①発行者の氏名又は名称 ②交付を受ける者の氏名又は名称 ③取引年月日 ④取引内容 ⑤税率ごとに合計した対価の額 ⑥軽減税率の対象である旨 ⑦税率ごとの消費税額及び適用税率 ⑧登録番号 請求書 株式会社◇◇◇御中 ◯◯◯株式会社 登録番号 T1234567890123 合計 24,000円 10%対象 8%対象 13,200円 10,800円 品目 金額 2023/11/10 お酒 11,000円 2023/11/12 弁当※ 10,800円 2023/11/12 送料 2,200円 ※は軽減税率適用商品 日付 ⑥ ⑤ 適格請求書 8 インボイス制度開始後の フォーマット (2023年10月〜) ⑧ ⑦ 10%消費税額 8%消費税額 1,200円 800円
適用税率と税率ごとの消費税額の 両方の記載も可能 インボイスは“適格請求書”だけじゃない インボイスの種類は適格請求書、適格簡易請求書、適格返還請 求書の3種類があります。その中で、適格簡易請求書は不特定多 数の者に対して販売やサービス提供を行う事業の場合に発行が 許される簡易的なインボイスとなります。 適格請求書よりも適格簡易請求書の記載事項は簡易なものとさ れており、適格請求書と比べ「交付を受ける者の氏名又は名 称」の記載が不要であり「税率ごとの消費税額」又は「適用税
率」のいずれか一方の記載で足りる点が異なります。 適格簡易請求書とは 6 登録番号 T1234567890123 合計 24,000円 品目 金額 お酒 11,000円 弁当※ 10,800円 プラカップ 2,200円 2023年10月10日 ◯◯◯株式会社 適格簡易請求書 領収書 取引相手が不特定多数の場合 省略可能 ①発行者の氏名又は名称 ②交付を受ける者の氏名又は名称 ③取引年月日 ④取引内容 ⑤税率ごとに合計した対価の額 ⑥軽減税率の対象である旨 ⑦税率ごとの消費税額または適用税率 ⑧登録番号 10%対象 13,200円 8%対象 10,800円 ※は軽減税率適用商品 適格返還請求書とは、返品や値引きによる売上に係る対価の 返還が生じた場合、適格請求書発行事業者(売手)が交付しな ければならない書類です。商品の返品や値引きだけでなく、販 売奨励金や売上割引なども対価の返還に該当します。 尚、返品や値引き等の税込価額が1万円未満であれば、適格返 還請求書の交付義務が免除されます(買手側が振込手数料分を 差し引いて銀行振込するケースを「売上値引き」として処理す る場合も対象となります)。 適格返還請求書とは 7 登録番号 T1234567890123 24,000円 品目 金額 2023年12月5日 ◯◯◯株式会社 株式会社◇◇◇御中 適格返還請求書 販売報奨金支払明細書 ①発行者の氏名又は名称 ②対価の返還等を行う年月日 ③対価の返還等の基となった取引を行った年月日※1 ④対価の返還等の取引内容 ⑤税率ごとに合計した対価の返還額 ⑥軽減税率の対象である旨(税抜き又は税込 み) ⑦対価の返還等の金額に係る消費税額または適用税率※2 ⑧登録番号 ② ① 11/1 お酒 11,000円 11/2 弁当※ 10,800円 11/3 プラカップ 2,200円 日付 ③ ④ ⑤ ※は軽減税率適用商品 販売報奨金支払額 ⑦ ⑧ ※1 対価の返還等の処理を合理的な方法により継続して行っているのであれば、「前月末日」や「最終販売年月日」をその取引を行った年月日として記載すること も可能です。また、「◯月分」などの課税期間の範囲内で一定の期間の記載も可能です。 ※2 消費税額および適用税率両方記載することも可能です。 9 内消費税額 内消費税額 1,200円 800円 10%対象 8%対象 13,200円 10,800円 10%消費税額 8%消費税額 1,200円 800円 ⑥
仕入明細書 買手が仕入明細書を売手に交付し売手の了承を得る 仕入明細書で請求レス 買手(購入側)自身が作成した仕入明細書等を保存すること で、買手は仕入税額控除の適用を受けることが可能です。 その場合、売手(販売側)がインボイスを発行する必要はなく なるため、売手が交付するインボイスに記載ミスやモレが発生 するリスクを低減することが可能です。 例えば、取引先である下請事業者(インボイス発行事業者に限 る)の請求書のインボイス対応が完了していない場合や、イン
ボイス発行ワークフローの整備が整っていない間は、発注元で ある自社が仕入明細書を作りインボイスとする、などのユース ケースが考えられます。 仕入明細書による対応とは 8 売手 (販売側) インボイスの交付 支払 一般的な方法 売手が買手に対しインボイスを交付 仕入明細書の交付 および支払 仕入明細書等の保存による仕入税額控除の適用を受けるに は、仕入明細書に記載する登録番号は売手のものとしなければ ならない等、必要な記載事項が定められています。 また、売手の確認が受けられた仕入明細書等のみが対象となる ため、相手方の確認を受けるための方法についても検討する必 要があります。 仕入明細書 11,000円 10,800円 24,000円 ◯◯◯株式会社 2,200円 お酒 弁当※ プラカップ 2024年1月5日 ①仕入明細書等の作成者の氏名又は名称 ②売手(課税仕入の相手方)の氏名又は名称 ③取引年月日 ④取引内容 ⑤税率ごとに合計した対価の額 ⑥軽減税率の対象である旨 ⑦税率ごとの消費税額または適用税率 ⑧売手(課税仕入の相手方)の登録番号 11/1 11/3 株式会社◇◇◇御中 登録番号 T1234567890123 10%対象 13,200円 ※は軽減税率適用商品 販売報奨金支払額 送付後一定期間内に連絡がない場合確認済みとします 売手の確認を受ける方法の例 • 書類上に確認済みの署名等をもらう • 受発注システム上で確認を受ける機能を設ける • 電子メールで確認した旨の返信を受ける • 送付後一定期間内に連絡がない場合は確認済みと する等の注釈をもうける 10 買手 (購入側) 売手 (販売側) 買手 (購入側) 売手 (販売側) ③ 金額 品目 日付 ④ 8%対象 10,800円 ⑤ ⑦ ⑥ 10%対象消費税額 1,200円 800円 8%対象消費税額 ② ⑧ 11/2 ①
端数処理は税率ごとに1回 9 端数処理のルールが明確化 一方、インボイス制度下では「1インボイスにつき税率ごとに1 回」と端数処理のルールが定められました。そのため、明細行 ごとに端数処理を行っている場合は、計算方法の見直しが必要 となります。 11 以前の区分記載請求書等保存方式では、消費税額に1円未満の 端数処理が生じる場合のルールは定められていません。
その結果、明細行ごとに端数処理を行っても問題なく、端数処 理の方法については各事業者の判断に委ねられていました。 たまねぎ※ 637円 201円 150円 品目 50円 お酒 お弁当※ たまねぎ※ 2,019円 1,887円 637円 99円 送料 998円 ◇◇◇御中 300円 200円 3,017円 2,524円 10%対象 8%対象 ※は軽減税率適用商品 ◇◇◇御中 お酒 お弁当※ 2019円 1,887円 送料 998円 301円 201円 10%対象 8%対象 ※は軽減税率適用商品 ×10% ×10% ×8% ×8% 認められない計算方法 認められる計算方法 登録番号 T1234567890123 2023年10月1日 株式会社◯◯◯ 行ごとに端数処理 登録番号 T1234567890123 2023年10月1日 株式会社◯◯◯ 税率ごとに端数処理は1回 端数処理は、切捨て、四捨五入など任意の方法で実施可能 • 2,019円 • 998円 • 1,887円 • 637円 【計算例】 個々の各品目に消費税額を計算(端数処理:切捨て) × 10% = 201.9円 × 10% = 99.8円 × 8% = 150.9円 × 8% = 50.9円 • 10%対象: 201円 + 99円 = 300円 • 8%対象: 150円 + 50円 = 200円 計算した消費税額を、税率ごとに合計 【計算例】 税率ごとに個々の品目に係る「税抜金額」を合計 それぞれ消費税額を計算(端数処理:切捨て) • 10%対象: 2,019円 + 998円 = 3,017円 • 8%対象: 1,887円 + 637円 = 2,524円 • 10%対象: 3,017円 × 10% = 301.7円 → 301円 • 8%対象: 2,524円 × 8% = 201.9円 → 201円 → 201円 → 99円 → 150円 → 50円 税抜金額 消費税 品目 税抜金額 消費税 3,017円 2,524円 ×10% ×8% 実務ポイント 1インボイスあたり端数処理は1回です 「税率ごとに1回の端数処理」となるよう 請求書の関数を見直しましょう!
しかし、インボイスは「1インボイスあたり、税率ごとに1回の 端数処理」となります。そのため、下図の通り納品書で税額算 出した場合の金額と、税抜金額合算後の請求書で税額算出した 場合との金額のズレが発生してしまいます。 正しい税額提示のためにも、納品書をインボイス(請求書は支 払通知の位置付け)とするか、合算請求書をインボイスとする か、取引先交え方針を定める必要があります。 合算請求書は要注意 端数処理は納品書で行う 税額算出は納品書単位
端数処理は請求書で行う 税額算出は請求書作成時 端数処理を行う書類を定める必要あり インボイスは一つの書類のみで記載事項を満たす必要はありま せん。例えば、納品書と請求書など、書類同士の相互の関連性 が明確で取引内容を正確に認識できれば、これらの複数の書類 を合わせて一つのインボイスとすることができます。 ここで問題になるのが端数処理です。以前認められていた行 ごとの端数処理では納品書の税額と合算請求書の税額に金額差 異は発生しませんでした。 12 月末締め 月末締め OR お酒 995円 合計(10%) 消費税 995円 99円 お⽋ 1,005円 合計(10%) 消費税 1,005円 100円 合計(10%) 995円 合計(10%) 1,005円 請求明細書 10/10 お酒 995円 消費税 99円 10/15 お⽋ 1,005円 消費税 100円 合計(10%) 消費税 2,000円 199円 請求書 10/10 お酒 995円 10/15 お⽋ 1,005円 合計(10%) 消費税 2,000円 200円 10月31日 納品書ごとに算出した税額を足す (99円+100円) 合計金額に税率を掛け税額算出 (2,000円×10%) 消費税額が異なる結果となる ※ インボイスとする書類には、登録番号や税区分ごとに合計した税額等の記載も必要です。 納品書A 納品書B 10月10日 10月15日 納品書A 納品書B 10月10日 10月15日 お酒 995円 お⽋ 1,005円 実務ポイント 納品書で端数処理を行うか 請求書で端数処理を行うか 取引先を交え方針を決めていきましょう! 10
更に、2023年12月末には電子取引データを紙に印刷して保存 することを認める宥恕措置※2が終了いたしました。 その結果、メール添付で送付したPDFの請求書など紙を介さず に行った電子取引のデータは電子のまま保存することが義務化 され、電子取引データはデータのままシステム内で適切に保存 しなければなりません。 全て紙で写しを保存するのはNG 電子保存完全義務化の対象は、事業規模や設立年数問わず、 全ての個人事業主・全ての法人が対象※4となります。 この電子保存完全義務化は、単に電子取引データを紙に印刷し
ないようにするだけでは対応したとはいえません。電子取引 データを法令要件に基づき適切に保存することで初めて対応し たといえます。 法に適した業務を行うためには、下図の保存要件※5に対応し たシステム選定と運用構築が重要となります。 インボイスの写しの保存義務化 インボイス制度開始前までは、請求書や領収書を交付したとし てもその写し(控え)を作成する必要はなく、写しを作成しな い限り保存の義務は発生しません。 しかし、インボイス制度下では交付したインボイス(適格請求 書等)の写しの保存が義務化され、約7年間※1その写しを保存す る必要があります。 電子保存完全義務化への対応が急務 所得税法・法人税法では、2024年1月から電子保存完全義務化 に伴い電子取引データはデータのまま保存することが義務化さ れているですが、実は、消費税法においてはインボイス制度下 でも電子交付したPDF等のインボイスを紙に印刷して保存する ことが認められています※3。 ただ、消費税法で電子交付したインボイスの書面保存が認め られているとしても、所得税法・法人税法では認められていな いという事実に変わりはありません。 13 11 写しの作成義務なし 2023年10月より 交付したインボイスの 写しの作成義務あり 紙に出力して保存OK※2 2024年1月より 電子取引のデータは 電子のまま保存 請求書の写しの保存 PDFで交付の請求書の保存 請求書の写しは必ず作成 & 全て紙保存の運用禁止 消費税法 所得税法‧法人税法 改正前 インボイス 開始後 ※1 令和5年10月1日施行消費税法施行令第七十条の十三 「その交付した日の属する課税期間の末日の翌日から二月を経過した日から七年間」 ※2 電子取引データの電子保存義務化について2024年以降に保存要件に従って保存することができなかったことについて相当の理由があり、かつ、税務調査時に紙の提示・提出の求めとデータの ダウンロードの求めに応じることができる場合には、電子取引データの保存要件(検索要件や改ざん防止措置等)に則さずともデータの保存が認められる猶予措置があります ※3 令和5年10月1日施行消費税法施行規則第二十六条の八の 2「当該電磁的記録を出力することにより作成した書面を保存する方法によることができる」 ※4 電子帳簿保存法第七条「所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は ...(中略)...当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない」 ※5 保存要件のうち、検索機能の確保については、税務職員の質問検査権行使に基づくダウンロード要求に応じる場合には、一部(令和 5年税制改正によると5,000万円以下の事業所は全て)が免除されま す。尚、自社開発プログラムを使用する場合、システムの概要を記載した書類の備付けが必要となります( 電子帳簿保存法施行規則第四条 ) 訂正‧削除が不可又は 履歴が残るシステム タイムスタンプを付与 訂正削除の防止に 関する事務処理規程 備付け モニターや複合機等の 見読可能装置の備付け 検索機能の確保 OR OR AND AND 電子取引データの保存要件 12
※ 電子取引データの電子保存義務化について 2024年以降に保存要件に従って保存することができなかったことについて相当の理由があり、かつ、税務調査時に紙の提示・提出の求めと データのダウンロードの求めに応じることができる場合、電子取引データの保存要件(検索要件や改ざん防止措置等)に則さずともデータの保存が認められる猶予措置があります。 尚、本猶予措置を受けるには電子データ自体の保存は必須(電子データを印刷し紙で保存するだけでは不可)であることご留意ください 14 PDF化 PDF名編集 メール添付 PDF印刷
請求書作成 メール送信 2023年12月末まで可能な運用 2024年1月より実施すべき運用方法 2023年12月31日まで、システム化や社内ワークフローの整備が間に合わない等のやむを得ない事情がある場合、電子取引データ (電子交付したPDFの請求書等)を紙に印刷して保存することが認められていました。 2024年1月から電子保存完全義務化に伴い、電子交付したPDFの請求書等はデータのまま保存することが義務化されました 。 しかし、ただ単にPDFファイルをPC内に保存すればいい訳でなく、法が定める要件に則って保存する必要があります。 要件で特に重要なのは検索要件であり、「日付/ 取引先名/ 金額」の3項目でPDFファイルを検索できるようにしなければな りません。対応方法について主に3つのパターンがありますので、下図を参考に適した方法をご検討ください。 OR OR 送信 請求書作成 請求管理システムを用いた方法 索引簿を 開く PDF化 PDF名編集 メール添付 メール送信 請求書作成 フォルダに PDF格納 索引簿を 入力 索引簿作成方法 PDF名に連番を付した上で、エクセル等の索引簿に 「連番/ 日付/ 取引先名/ 金額」を入力 PDF化 メール添付 メール送信 PDF名編集 フォルダに PDF格納 PDF名編集 ファイル名記載方法 PDF名に「日付 / 取引先名/ 金額」を入力 例)20231010_◯◯商事_153,600円 訂正‧削除が不可又は 履歴が残るシステム タイムスタンプの 付与が可能なシステム OR PDF名編集 システムに求められる機能要件 請求書作成 請求書の写しは必ず作成し データで交付したインボイスは電子のまま保存できるよう 業務フローを見直しましょう! 実務ポイント ※
売手 ECサイトの出店者など 中間事業者 ECサイトや出版社など メール送信 郵送 そのような状況を打破するために、インボイス制度を機にグ ローバル標準のPeppolを採用し、業種やプロダクトに依存しな い電子受発注を推し進めることで受発注業務の電子化が進むと 言われています。Peppolでデジタルインボイスを送受信する場
合には、デジタル庁が認定したアクセスポイントを経由する必 要があり、Peppolの利用者はアクセスポイントを介してPeppol ネットワークに参加している全ユーザーとシステムの垣根を超 えてデジタルインボイスのやり取りができます。 インボイスで進む受発注のデジタル化 デジタルインボイス(Peppol)とは Peppolとは、インボイスをWeb上で交付するためのグローバ ルな標準仕様を指します。 旧来、業種や大企業グループごとに仕様の異なる閉じた受発 注システム(EDI等)が乱立しており、受発注システムを超えた データ送受信ができない状況となっております。 そのため、取引先ごとに受発注システムが異なったり、受発注 システムを用いてない取引先とは紙で請求書を送ったりとアナ ログな業務が残る原因となっていました。 データ送信 請求書の発行 請求書の受領 受発注 システムA 受発注 システムB Peppol データ送信 データ受信 New 受発注 システムA 受発注 システムB 転記作業 転記作業 従来 受発注システム(EDI等)が 異なればデータ連携不可 今後 Peppol対応システムな らデータ連携が可能 代理交付とは 例えばECサイト等を通じて委託販売を行っている場合、本来、 購入者に対してインボイスの交付を行うのは受託者(ECサイト 等)でなく、ECサイト等に販売の委託を行なっている委託者 (出店者)です。しかし、このような場合でも、受託者(ECサ イト等)が委託者(出店者)を代理して、委託者(出店者)の 名称や登録番号を記載した委託者(出店者)のインボイスを 購入者に交付することが認められています(代理交付)。 インボイスは代理で交付が可能 媒介者交付特例とは 特例として、受託者(ECサイト等)と委託者(出店者)が 「両者ともインボイス発行事業者」であり「委託者(出店者) が受託者(ECサイト 等)にインボイス発行事業者であることを 取引前に通知している」場合、委託者(出店者)に代わって、 受託者(ECサイト等)自身のインボイスを購入者に交付するこ とが認められています(媒介者交付特例)。 代理交付か媒介者交付特例を用いているか、予め購買に使っ ているECサイトでのインボイスの扱いを確認しましょう。 代理交付 代理契約 代理交付 売手の登録番号で 中間事業者がインボイス交付 媒介者交付 中間事業者の登録番号で 中間事業者がインボイス交付 媒介者交付 委託販売等の契約 15 売手 ECサイトの出店者など 中間事業者 ECサイトや出版社など 買手 商品の購入者 T1000000000002 T1000000000002 T1000000000002 T1000000000001 T1000000000001 T1000000000001 買手 商品の購入者
16 取引先の状況チェック Step 3 13. 取引先がインボイスに対応しているか否か確認しましたか 14. 適格請求書発行事業者公表サイトに取引先の情報が公開されているか確認しましたか 15. 取引先が発行する請求書がインボイスの要件を満たしているか確認しましたか
自社の税の負担を増やさないためには、取引先が適格請求書 発行事業者として登録されているかのチェックを行い、未登録 の場合は取引先がインボイスに対応するか否かの意向を確認す ることが重要です。 自社の税の負担を抑えるための対策 自社だけでなく取引先の対応も必要 インボイス制度下では適格請求書発行事業者のみがインボイス の発行ができるため、適格請求書発行事業者以外との取引では インボイスを受け取ることができず仕入税額控除の対象外の取 引となり自社の税の負担が増えることになります。
インボイス制度に則した 請求書を 発行しないと 自社の インボイスとならない 尚、適格請求書発行事業者公表サイトで情報が公開されるま で数ヶ月を要する※1ことから申請から公表までタイムラグが発 生します。そのため、定期的に公表サイトをチェックすること が肝心です。 適格請求書発行事業者公表サイトで状況チェック 取引先が適格請求書発行事業者として登録されているかどう かは、国税庁のサイト(インボイス制度適格請求書発行事業者 公表サイト)で各適格請求書発行事業者に割り振られている登 録番号を用いて確認することができます。 法人の場合は、取引先の 法人番号を入力して確認可能 登録がない場合はエラー表示 登録済み 17 未登録 ※1 国税庁「適格請求書発行事業者の登録件数及び登録申請書の処理期間について (2023年12月11日時点)」によると登録申請書を提出されてから登録通知までの期間は ”e-Tax提出の 場合:約1ヶ月”、”書面提出の場合:約1.5ヶ月”かかるとされています。 売手 (販売側) 取引先 自社 13 税の負担が 増大する 14 取引先がインボイス発行可能か 適格請求書発行事業者公表サイトでチェック T 1234567890123 〇〇〇
そのため、取引先が発行するインボイスのフォーマットにミ スがないかのチェックが重要となります。 また、表計算ソフトで請求書を作成している場合は、消費税額 の端数処理の計算が正しく実施されているかも含めて確認を進 めましょう。 取引先の請求書もチェック 取引先の請求書フォーマットもチェック必須 インボイスを受け取るには、取引先が適格請求書発行事業者の 登録申請を行っていることが大前提ですが、登録申請が完了し ている場合でも注意が必要です。
なぜなら、記載モレのインボイスでは仕入税額控除の対象 外になってしまうからです。 取引先 請求書がインボイスの要件を 満たしているかの確認必須 18 取引先の請求書のチェック項目例 自社 取引先 15 適格請求書発行事業者公表サイトに登録されているか 請求書に下記8項目の記載がされているか ①発行者の氏名又は名称 ⑤税率ごとに合計した対価の額 ②交付を受ける者の氏名又は名称 ⑥軽減税率の対象である旨 ③取引年月日 ⑦税率ごとの消費税額及び適用税率 ④取引内容 ⑧登録番号 消費税額の端数処理は一のインボイスにつき税率ごとに1回としているか 合算請求書を用いる場合、端数処理を行う書類を定めたか 仕入明細書等で対応する取引を定めたか 取引先が適格請求書発行事業者として 登録されているかチェックしましょう! また、請求書の記載項目の確認もしていきましょう! 実務ポイント
19 Step 4 インボイスの保存 16. 受領した書類がインボイスの記載項目を満たすかのチェックフローは整備しましたか 17. インボイスに記載の登録番号が公表された番号か否かチェックするフローは整備しましたか 18. 切手代や公共交通機関の運賃等の一部例外を除きインボイスを保存するフローは整備しましたか
19. インターネットを通じて仕入れた際のインボイスのダウンロード保存はできていますか 20. 電子取引データ(紙を介さずに行った電子取引のデータ)の電子保存義務化に対応できてますか 21. 電子帳簿保存法に対応する際、法令が求める社内ルール(事務処理規程など)を設けていますか 22. 少額特例の適用を受けることができるか確認しましたか 23. ワークフローシステム(経費精算システム等)が法改正に対応済みか確認しましたか 24. 従業員に法改正(インボイス制度及び電子保存義務化)に関するトレーニングはできていますか
記載モレのインボイスでは控除不可 記載モレのないインボイスの受領が重要 インボイス制度開始前までは受領した請求書等に税に関する記 載モレがある場合、それを受け取った側が自らその誤りを追記 ・修正することができ※1、その訂正した請求書等を保存するこ とで仕入税額控除を行うことが認められていました。 つまり、受け取った請求書等に記載モレがあったとしても、 発行元に修正や再交付を依頼する必要がなかったのです。 しかし、インボイス制度下では、受け取ったインボイスに記載 モレがあったとしても、受領した側が自らその誤りを取引先の
確認なしに訂正することは不可となりました。 そのため、仕入税額控除の適用を受けるにはインボイスの記載 に誤りがないかをチェックし、誤りがある場合は発行元にその 誤りを指摘し再交付等の各種対応を行う必要があります。 20 請求書 ※1 追記‧修正が認められている項目は「軽減税率の対象である旨」及び「税率ごとに合計した対価の額」のみとなり、他の項目は追記‧修正不可となっています ※2 取引相手が不特定多数とする場合、交付を受ける者の氏名又は名称は省略可能です(適格簡易請求書) ※3 受領した適格請求書に買手が自ら修正を加えた場合、その修正した事項について売手に確認を受けることで、その書類は適格請求書であるのと同時に修正した事項 を明示した仕入明細書等にも該当することになります ※4 適格請求書に項目の不備があり別の書類(納品書や契約書、不足する事項についての書面通知など)で項目を補う場合は、売手・買手双方の合意が必要となります 全ての記載項目を満たす インボイスを 受領する必要あり 受け取った請求書等に税に関する記載モレがあったら 追記‧修正OK 受け取ったインボイスに記載モレがあったら 誤りの指摘必須 改正前 (消費税法) インボイス 開始後 ①発行者の氏名又は名称 ②交付を受ける者の氏名又は名称※2 ③取引年月日 ④取引内容 ⑤軽減税率の対象である旨 ⑥税率ごとに合計した対価の額 ⑦税率ごとの消費税額及び適用税率 ⑧登録番号 ◯◯◯株式会社 登録番号 T1234567890123 10%対象 8%対象 13,200円 10,800円 合計 24,000円 10%消費税額 1,200円 8%消費税額 800円 品目 金額 ※は軽減税率適用商品 日付 ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ① ③ 2023/11/10 お酒 11,000円 2023/11/12 弁当※ 10,800円 2023/11/12 送料 2,200円 株式会社◇◇◇御中 記載事項の不足があれば「再交付してもらう」か 「受領した請求書等の修正事項を明示し相手の合意を得る」か 「双方の合意のもと別の書類で項目を補完 」するか 対策が必要となります 実務ポイント ④ 16 ② ※3 ※4
「登録番号」はインボイス発行事業者ごとに税務署が指定し た番号となります。 適格請求書発行事業者でない事業者が請求書に登録番号を誤っ て記載し交付している可能性があることを考えると、取引の度 に適格請求書発行事業者が出したインボイスか否かを国税庁の 「適格請求書発行事業者公表サイト」を用いて確認するのが確 実な方法となります。 本当にインボイスか否かの確認が必要 国税庁のサイトで確認するのが確実 受け取った請求書が登録番号含めインボイスの記載項目を満た
していたとしても、その請求書が適格請求書発行事業者が発行 したインボイスであることの証明にはなりません。 インボイスかどうかを判断するには、記載事項を満たしてい ることに加え、請求書に記載されている「登録番号」が国税庁 の適格請求書発行事業者公表サイトで公表されていることが必 須となります。 21 インボイスとみなすには インボイスの記載項目を満たしていることに加え 「登録番号」が国税庁のサイトで公表されている必要がある 適格請求書 株式会社◇◇◇御中 ◯◯株式会社 合計 24,000円 10%対象 13,200円 10%消費税額 1,200円 8%対象 10,800円 8%消費税額 800円 2023/11/10 お酒 11,000円 2023/11/12 弁当※ 10,800円 2023/11/12 送料 2,200円 備考 ※は軽減税率対象 日付 登録番号 T1234567890123 請求書に記載の登録番号で検索 登録がない場合はエラー表示 受け取った請求書は 都度、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで インボイスか否かを確認するのが確実です! 実務ポイント 品目 金額 17
更に電子取引データの電子保存義務化 更に、2024年1月には電子保存完全義務化に伴い、電子取引 データを紙に印刷して保存することが禁止となりました。 ECサイトなどインターネットを通じた取引の電子保存義務化 対応については、購買明細(日付・取引内容・金額)のデータ を適切に保存すれば十分なのですが、これにインボイス制度が 加わると、購買明細のデータだけでは不十分(登録番号や適用 税率など必要項目の記載がない)とされます。 そのため、取引の都度サイトにログインし、インボイスをダウ ンロードし、法令の保存要件に基づいて電子のまま保存※5する
必要があります。 しかし、インボイス制度が始まった現在、このような請求書 等の保存における特例的な取扱いは廃止となりました。 そして、公共交通機関の運賃や自動販売機での購買などの一 部例外を除き受領したインボイスは金額の多寡にかかわらず約7 年間保存※1し、併せて帳簿の保存も行わない限り仕入税額控除 を行うことができなくなっています※2。 インボイスは全て保存 一部例外を除きインボイスは全て保存 仕入税額控除の適用を受けるためには、一定事項を記載した 帳簿と請求書等の保存が必要となります。 以前の消費税法では、取引金額が3万円未満であれば請求書等 の保存は必要なく、3万円以上の場合でも「請求書等の交付を 受けられなかったやむを得ない理由」があれば保存は不要とな るなど、保存に関し特例的な取扱いが用意されていました。 ECサイトのインボイスも保存必須 通常、ECサイトやクラウドサービスなどインターネットを通 じて取引を行う場合、取引内容は書面ではなく電子上でデータ として伝達されるのが一般的です。 この場合、改正前の消費税法では「請求書等の交付を受けな かったことにつきやむを得ない理由がある場合」と見なされる ことがあり、請求書等を保存せずとも帳簿の保存のみで仕入税 額控除の適用を受ける※4ことも可能でした。 しかし、インボイス制度ではその特例的な取扱いは廃止とな り、インターネットを通じ取引した場合でも、必ずインボイス を保存しなければならなくなりました。 22 公共交通機関の運賃などの⽋部例外を除き インボイスは全て保存 改正前 (消費税法) インボイス 開始後 • 1回の取引で税込の支払額が3万円未満の請求書や領収書等 • ECサイトなどインターネットを通し電子交付されたレシート等 以前の制度では保存が不要な書類例 禁止例 • ECサイトからダウンロードした領収書を紙に印刷して保管 • 取引先からメール添付で送られてきた請求書を紙に印刷して保管 2024年1月より電子取引データの書面保存廃止 主な2つの対応方法 ログイン PDF DL 印刷 書面保存 システムで対応 •データの訂正や削除の防止に関する事務処理 規定を備付け、運用 運用で対処 OR •電子取引データにタイムスタンプを付与又は 訂正や削除の履歴が残る(又は訂正‧削除不可) システムを利用し電子取引データを格納 ※1 令和5年10月1日施行消費税法施行令 50条「当該請求書等についてはその受領した日の属する課税期間の末日の翌日から二月を経過した日から七年間」 ※2 2年前(基準期間)の課税売上が 1億円以下または1年前の上半期(個人事業主は 1~6月)の課税売上が5千万円以下の事業者の場合、税込 1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存を 行わなくとも帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能です。詳しくは 28ページをご参照ください ※3 旧法で規定されていた「 請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある場合 」に該当 ※4 帳簿に記載すべき事項に加えてインターネットを通じた課税取引である旨と相手方の住所又は所在地を記載して保存する必要があります ※5 消費税法施行規則第十五条の五 では電子データのインボイスの書面保存が認められていますが、所得税法・法人税法では 2024年1月より電子データで受領した証憑の書面保存は廃止となりま す。尚、電子取引データの電子保存義務化について 2024年以降に保存要件に従って保存することができなかったことについて相当の理由があり、且つ、税務調査時に紙の提示・提出の求めと データのダウンロードの求めに応じることができる場合には、義務化された保存要件に寄らずともデータ保存することができるようになります。 18 19 20 ※3
23 OR ワークフローシステムを用いた電子保存義務化対応 電子承認と 同時に仕訳生成 PDF 格納 PDF受領 申請書 作成
印刷 提出 申請書 確認 PDF 確認 承認 申請書 確認 PDF 確認 記帳 作業 経理業務 負担 増大 承認業務 負担 増大 申請業務 負担 増大 新たに発生する作業 新たに発生する作業 ファイル 名記載 新たに発生する作業 日付/ 取引先/ 金額を 共有フォルダ等に 申請書を 上長に 該当のPDFを 申請書を 経理に 該当のPDFを 申請書を 会計ソフトや 含むファイル名にする PDF格納 作成し印刷 申請書を提出 探して確認 確認し承認 申請書を提出 探して確認 確認し承認 エクセルに転記 紙を前提にした業務フローでの電子保存義務化対応 PDF受領 PDF 格納 申請 確認 承認 確認 承認 提出 システムに PDF格納 電子申請 電子承認 効率 UP! 電子取引データの電子保存義務化に対応する場合、受領したPDFファイルは紙に出力して保存することが禁じられているため、 共有フォルダなどに格納した上でファイル名に「日付/ 取引先名/ 金額」を付し、電子のまま経理に届ける必要があります。 その制約下で紙とハンコを前提とした業務フローを変えずに法改正に対応した場合、紙の申請書をチェックした上で共有フォル ダを開きファイルを確認するという新たな作業が発生し、全従業員の負荷が増大する結果になってしまいます。 訂正‧削除が不可又は 履歴が残るシステム タイムスタンプの 付与が可能なシステム OR システムに求められる機能要件 申請内容も証憑も全て電子上で確認でき、電子上で承認もでき るためシンプルでスムーズなワークフローが構築可能です。 留意点としては、電子帳簿保存法の要件を満たしたシステムの 採用が重要となります。 データで受け取ったインボイスは 電子のまま保存できるよう 業務フローを見直しましょう! 実務ポイント 検索要件 確認
電子が原本の取引データの4つの保存方法 電子保存の 法要件 ① モニターやプリンター 等の備付け ② 日付・金額・取引先等で検索 ③ 改ざん防止の措置 訂正削除履歴 or タイムスタンプ付与
or 訂正削除防止規程 猶予措置の 法要件 ④ データのダウンロード の求めに応じる必要 ⑤ 紙の提示・提出の 求めに応じる必要 ⑥ 紙を日付・取引先 ごとに整理 義務化要件に従って保存できない 相当の理由がある事業者※ 売上5,000万円 以下の事業者 紙運用 想定される 運用 電子帳簿保存法(電子取引)対応の 会計ソフトやファイルストレージ利用 紙に出力して日々のバックオフィス 業務を運用、かつ、電子データも保存 原則、全事業者 電子保存義務化に 対応できる No 義務化要件に従って保存できない 相当の理由がある No 売上5,000万円以下 Yes ① モニターやプリンター等の備付け ② 検索要件対応(日付・金額・取引先等で検索) ③ 改ざん防止の措置 ④ データのダウンロードの求めに応じる ⑤ 紙の提示・提出の求めに応じる必要 ⑥ 紙を日付・取引先ごとに整理 No ① モニターやプリンター等の備付け ② 検索要件対応(日付・金額・取引先等で検索) ③ 改ざん防止の措置 ④ データのダウンロードの求めに応じる ⑤ 紙の提示・提出の求めに応じる必要 ⑥ 紙を日付・取引先ごとに整理 Yes ① モニターやプリンター等の備付け ② 検索要件対応(日付・金額・取引先等で検索) ③ 改ざん防止の措置 ④ データのダウンロードの求めに応じる ⑤ 紙の提示・提出の求めに応じる必要 ⑥ 紙を日付・取引先ごとに整理 Yes ① モニターやプリンター等の備付け ② 検索要件対応(日付・金額・取引先等で検索) ③ 改ざん防止の措置 ④ データのダウンロードの求めに応じる ⑤ 紙の提示・提出の求めに応じる必要 ⑥ 紙を日付・取引先ごとに整理 24 検 索 要 件 不 要 の 代 わ り に 2024年1月より、電子取引データの電子保存義務化について新 たに3つの猶予措置が設けられました。その結果、電子が原本の 電子取引データの保存方法は4つのパターンが存在することにな ります。 注意点として本猶予措置は電子保存の法要件(検索要件や改 ざん防止措置等)を緩和する措置であり、猶予措置を受けるに は電子データを印刷し紙で保存するだけでは不可で、電子デー タ自体の保存が必要となります。 下図を参考に最適な保存方法についてご検討ください。3つの 猶予措置に共通しているのは、検索要件を不要とし電子取引 データの書面保存を認める代わりに、データ原本の提出の求め に応じる必要が定められている点です。 この要件が懸念となるパターンは立替経費精算など、経理担 当が一括で購買するのでなく従業員が自ら購買し申請するワー クフローを設けている場合です。 例えば、従 業 員が個 人アカウントのECサイトで物 品を購 入 し、その PDFの領収書を印刷して経費精算した場合、その原本 は個人アカウントのECサイトにあることになります。 その上で、 データ原本の提出を求められた場合、経理担当は 従業員の個人アカウントにログインし原本を確認する必要に迫 られます。そのため、猶予措置を受ける際はデータ原本提出フ ロー含めての検討が必要となります。 ※ 相当な理由とは、システム等の整備が間に合わない場合など、原則的なルールに従って電子取引データの保存を行うための環境が整っていない事情がある場合が該当します。ただ し、ステム等の整備が整っていて原則的なルールに従って電子取引データの保存ができるにもかかわらず、資金繰りや人手不足等の特段の事情がなく、電子取引データをルールに 従って保存していない場合には、相当の理由があるとは認められませんので、猶予措置の適 ⽋は受けられません。 対象の制限なし デ l タ 原 本 の 提 出 の 求 め に 応 じ る 必 要 あ り
電子保存を開始するためには、4類型ごとに社内のルール整備 などの準備をすることが法令上求められています。 社内ルールは必ず定める必要あり 社内ルールを定めないと法令違反・非効率に 電子帳簿保存法は、事業において発生する書類を下表の通り4 類型に分けており、類型ごとに法令上の保存要件が異なってお りま す。 電子帳簿保存制度 ①
操作説明書 ② 事務手続を明らかにした書類 規則第2条第2項第1号ハ・ニ ( 国税庁帳簿書類一問一答 ) 決算書・自社発行取引書類 の控え保存制度 ① 操作説明書 ② 事務手続を明らかにした書類 規則第2条第3項 ( 国税庁帳簿書類一問一答 ) スキャナ保存制度 ① 操作説明書 ② 事務手続を明らかにした書類 ③ 各事務の処理に関する規程 規則第2条第6項第1項ロ・第7号 ( 国税庁スキャナ保存一問一答 ) 電子取引データ保存制度 ④ 電子取引の事務処理の規程 規則第4条 ( 国税庁電子取引一問一答 ) 電帳法の類型 必要書類 根拠法令 社内ルールをシッカリ整備 (各事務の処理を定めた規程に入力期限を定めた場合) ルールを定めない場合 (社内規程で入力期間の制限を設けていない場合) 受領 スキャン 約70日以内 その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力 =最長2か月とおおむね7営業日以内 受領 スキャン 約9日以内 速やかに入力 =おおむね7営業日以内 また、責任者や作業過程などを示した「事務の手続きを明らか にした書類」の備付けを忘れ、取引関係書類の電子保存及び作 成を行っている場合は法令違反となります。 このように電子帳簿保存法を活用するには、社内ルールの整備 が必要不可欠となっています。 25 スキャナ保存や電子取引データ保存において、取引に関する書 類やデータを受領してから適したシステムに格納するまで、最 長約70日の猶予を受けるには「各事務の処理に関する規程」を 定める必要があります。規程に入力期限を定めていない場合は7 営業日以内に限られ非効率な業務となってしまいます。 21
対象者は2年前(基準期間)の課税売上が1億円以下または1年 前の上半期(個人は1~6月)の課税売上が5千万円以下の事業者 が対象となり、2023年10月1日から2029年9月30日まで本特例措置 が利用できます。 1万円未満の少額取引はインボイス不要 2年前(基準期間※1)の 課税売上が1億円以下 課税仕入れ 税込1万円未満はインボイス保存不要 で仕入税額控除可能
(対象期間: 2023年10月1日~ 2029年9月30日) Yes No 電車運賃や切手等の一部例外を除き インボイスは全て保存必須 No 1年前の上半期※2の 課税売上が5千万円以下 Yes ※1 基準期間とは、原則として、個人事業者はその年の前々年、法人はその事業年度の前々事業年度を指します ※2 個人事業主は2022年1月〜6月の課税売上が対象となります ※3 所得税法施行規則 第六十三条 及び 法人税法施行規則 第五十九条「起算日から七年間〜保存しなければならない」「取引に関して相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、 領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し」 ※4 消費税法施行令50条「当該請求書等についてはその受領した日の属する課税期間の末日の翌日から二月を経過した日から七年間」 少額特例の注意点 少額特例が利用できる場合、税込1万円未満の課税仕入れのイ ンボイスの保存は不要となりますが、領収書や請求書の保存が 免除される訳ではありません。あくまで消費税法におけるイン ボイスの保存が不要となるだけです。 所得税法・法人税法※3では、取引の際に相手方から受け取った 領収書や請求書は原則7年間保存するように定めているため、税 込1万円未満の取引だったとしても受け取った証憑は必ず保存し なければなりません。 結局、税込1万円未満でも保存する必要があるため、一見メ リットのない特例に見えますが、電子取引(インターネットを 通じた取引)においてはメリットを享受することができます。 電子取引はメリットあり 消費税法では、2023年10月から領収書や請求書はインボイス 制度に則した形式でなければならないとされますが、所得税法 ・法人税法では形式の指定はありません。 つまり、電子取引(インターネットを通じた取引)で物品を 購入したとしても、税込1万円未満であればインボイス形式の領 収書を都度保存しなくとも帳簿の保存のみで仕入税額控除がで き、日付・取引内容・金額等が記載された電子明細を用い電子 帳簿保存法等が定める保存要件を満たすことも可能です。 尚、実店舗でキャッシュレス決済を用い紙の領収書を受領した 場合、紙の領収書の保存義務が発生し電子明細の保存のみで対 応することは不可となりますのでご留意ください。 消費税法 インボイス制度に則する 税込1万円未満の取引は保存免除 (中小事業者限定) 約7年間※4 所得税法・法人税法 指定なし (電子明細でも可能) なし 約7年間※3 領収書・請求書等の形式 保存免除措置 保存期間 インボイス不要の少額特例 中小事業者への支援措置として税込1万円未満の課税仕入れ (経費等)についてはインボイスの保存がなくても一定の事項 が記載された帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる少額特例 が設けられています。 26 22
業務効率化にはペーパーレス化が肝心 法改正に最適なシステム選定 インボイス制度が始まると保存すべき証憑が増加し、更に電子 取引データの電子保存義務化が始まると紙ベースでのワークフ ローでは非効率を招くことになってしまいます。全社をあげた 業務効率化を行うためにも、下記を参考に法改正に最適なシス テム選定が重要となります。 モバイルに注力 電子ワークフローの導入で成功を握るのは全従業員がスムーズに 導入できるか否かです。
その点モバイルは機器の支給コストも習熟コストも低く、カメラ機 能を用いてすぐに領収書・請求書の撮影ができるなど、ペーパーレ ス化と非常に親和性が高いデバイスです。システム検討にあたって はスマホアプリの評価もチェックしてみましょう。 経費精算だけでなく稟議まで対応 社内手続きは領収書や請求書の受け取りから発生するものではな く、購買申請や接待申請といった取引が発生する以前の稟議プロ セスから始まります。 ペーパーレス化と業務効率化の実現には、全ての社内申請業務の電 子化が肝心なため、稟議プロセスまで網羅しているワークフローシ ステムを選択しましょう。 電子帳簿保存法に対応 (電子取引データの電子保存義務化含め) 電子保存完全義務化により、電子取引データはデータのまま保存 しなければなりません。 また、データで保存する際は「日付・取引先名・金額」で検索でき る必要があるため、電子帳簿保存法の検索項目の自動入力に対応し たワークフローシステムか否か予め把握しておきましょう。 領収書も請求書もAI-OCR対応 記帳負荷を軽減するためには「日付・取引先名・金額・税区分・イ ンボイスか否か」の項目推測を適切に行うことができるシステムを 選ぶことが重要です。 また、インボイスは請求書だけでなく領収書も対象です。領収書 と請求書双方のOCRが実施できるシステムを選定しましょう。 従業員の習熟度向上が重要 インボイスの要件を満たさない請求書や領収書を受け取ってし まうと、自社の税の負担が増大してしまいます。 そのリスクを低減するためにも、従業員向けのマニュアル整備 から研修と、インボイス制度の内容が従業員に十分に浸透する よう継続的なトレーニングが重要となります。 27 23 24 稟議 • 出張申請 • 購買申請 など 申請 • 経費精算 • 支払依頼 承認 承認 申請 2,000円 承認 差戻し 却下 File Box
28 会計業務の見直し 25. 免税事業者からの仕入れに係る経過措置を対応した記帳と帳簿の保存ができていますか 26. 仕入控除税額の計算方法(一般課税、簡易課税、2割特例)を定めましたか 27. 会計ソフトの機能がインボイス制度に十分に対応しているか確認しましたか Step 5
経過措置で記帳パターンが増大 それは、「取引年月日」「 課税仕入れの相手方の氏名又は名 称」「取引内容(軽減税率の対象である旨)」「対価の額」が 記載された帳簿であり、具体的には会計ソフトを用いて下図の ような帳簿付けを行います。 インボイス制度の実施後は、免税事業者や消費者など、適格請 求書発行事業者以外から行った仕入れは、原則として仕入税額 控除を行うことができません。 しかし、激変緩和の観点から、インボイス制度の開始から6年
間は免税事業者等からの仕入れであっても部分的に仕入税額控 除が受けられる経過措置(2023/10/1〜2026/9/30:仕入税額相当額の 80%控除、 2026/10/1〜2029/9/30:仕入税額相当額の50%控除)が設け られています。 ※1 帳簿に税区分欄を設けて 8%又は税率コードを記載し軽減税率の対象品目であることを示す方法 も認められています(参考:消費税の軽減税率制度に関する Q&A(個別事例編)問120) ※2 8割控除や5割控除の特例を受ける旨を税区分を用いて表現した場合の図となります。税区分を用いない手法の場合でも記帳パターンに変化はございません 帳簿の記載事項と経過措置 インボイス制度下では一定の事項を記載した帳簿及びインボ イスの保存が仕入税額控除の要件となります。 では、一定の事項を記載した帳簿とは、どのような記載がされ ている帳簿なのでしょうか? 29 2023/11/10 2023/11/12 △△酒店㈱ ◯◯商店㈱ 標準10% 軽減 8% 2023/11/15 ◇◇商会㈱ 11,000円 10,800円 2,200円 日付 摘要 税区分 お酒 野菜 みりん 2023/11/21 ◯◯商店㈱ 軽減 8% 2023/11/29 ◇◇商事㈱ 標準10% 8,800円 12,200円 お肉 お酒 金額(借方) ① 取引年月日 → 日付欄に「日付」記載 ② 課税仕入れの相手方の氏名又は名称 → 摘要欄に「取引先名」記載 ④ 対価の額 → 金額欄に「金額」記載 ③ 取引内容(軽減税率の対象である旨) → 摘要欄に「取引内容」記載 → 税区分に「税率」記載※1 総勘定元帳(仕入) 2 3 4 標準10% • 日付 • 金額 • 税区分 • 日付 • 金額 • 税区分※2 • 取引先 • 取引内容 3 改正前 • 取引先 • 取引内容 インボイス開始後 登録番号 税率 日付 税区分 1. 番号あり 10% → 標準税率10% 2. 番号あり 8% → 軽減税率 8% 3. 番号あり 4. 番号なし 混在 10% 〜2026/9/30 → → 標準 & 軽減 標準税率10% (経過措置80%) 5. 番号なし 8% 〜2026/9/30 → 軽減税率 8% (経過措置80%) 6. 番号なし 混在 〜2026/9/30 → 標準& 軽減 (経過措置80%) 7. 番号なし 10% 26/10〜29/9 → 標準税率10% (経過措置50%) 8. 番号なし 8% 26/10〜29/9 → 軽減税率 8% (経過措置50%) 9. 番号なし 混在 26/10〜29/9 → 標準 & 軽減 (経過措置50%) 記帳パターン 倍 税率 税区分 1. 10% → 標準税率10% 2. 8% → 軽減税率 8% 3. 混在 → 標準 & 軽減 25 1 この経過措置の適用にあたっては、区分記載請求書等と同様の 事項が記載された請求書等の保存と、本経過措置の適用を受け る旨を記載した帳簿の保存が必要となります。 8割控除や5割控除の特例を受ける旨を帳簿に示す場合、従来の 3つの記帳パターンに加え、免税事業者の1通り× 税率3通り× 対象期間2通りの6パターンが新たに加わります。その結果、従 来の3倍となる合計9つの記帳パターンになります。
【インボイス制度開始前】領収書の記帳パターン 【インボイス制度開始後】領収書の記帳パターン 30 ※ 受領した領収書に区分記載請求書等と同様の事項が記載されていない場合は免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置を受けることができません 現金決済 軽減税率8% 現金決済 標準&軽減税率 現金決済
標準税率10% キャッシュレス決済 標準税率10% キャッシュレス決済 標準&軽減税率 キャッシュレス決済 軽減税率8% インボイス インボイス インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 現金決済 現金決済 現金決済 現金決済 現金決済 現金決済 現金決済 現金決済 現金決済 現金決済 軽減税率8% 標準税率10% 標準&軽減税率 軽減税率8% 標準税率10% 標準&軽減税率 軽減税率8% 標準税率10% 標準&軽減税率 課税対象外 (経過措置80%控除) (経過措置80%控除) (経過措置80%控除) (経過措置50%控除) (経過措置50%控除) (経過措置50%控除) (項目記載不備※) インボイス インボイス インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス 非インボイス キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 キャッシュレス決済 軽減税率8% 標準税率10% 標準&軽減税率 軽減税率8% 標準税率10% 標準&軽減税率 軽減税率8% 標準税率10% 標準&軽減税率 課税対象外 (経過措置80%控除) (経過措置80%控除) (経過措置80%控除) (経過措置50%控除) (経過措置50%控除) (経過措置50%控除) (項目記載不備※) 実務ポイント 記帳前の証憑整理がより重要となります AI-OCRの会計ソフトを活用することで AIに記帳を助けてもらうという手段も有効です! インボイス制度下では、従来の税率3通り(「税率8%」と「税率10%」と「8%と10%の税率混在」)と決済手段2通 り(決済済みの「現金決済」と未決済状態の「キャッシュレス決済(未払金)」)に加え、インボイス有無と経過措 置の2通り(「80%控除」と「50%控除」)と、更に項目記載不備の2パターンが加わります。 その結果、合計20もの記帳パターン(従来の6パターン+(非インボイス1通り×決済手段2通り×税率3通り×経過 措置2通り+2パターン))となり、以前の制度と比べ記帳パターンは約3倍に増えることになります。
納税額 計算 預かった 消費税 集計 納税額 計算 預かった 消費税 集計
納税額 計算 支払った 消費税 集計 預かった 消費税 集計 ※各課税期間において免税事業者(原則として個人事業者はその年の前々年、法人はその事業年度の前々事業年度の課税売上が 1,000万円以下等の要件を満たす方が対象)がインボイス発行事業 になる(又は課税事業者選択届出書を提出し免税事業者ではなくなる)場合が対象となります。 2023年10月1日を含む事業年度の初日から課税事業者になるために、前事業年度に課税事業者選択届 出書を提出している場合は2割特例が受けられません。尚、簡易課税選択届出書を提出していても本特例の対象者であれば 2割特例の適用が可能です 最適な納税額の計算方法を 消費税の納税額の計算方法は、一般課税、簡易課税、2割特例 の 3パターンとなります。一般課税が基本的な計算方法となり、 簡易課税や2割特例が特例的措置となります。 納税額の軽減を考えると、特例的措置である簡易課税や2割特 例を選択する方がメリットがあるように思えますが、実際は各 事業者によって異なります。 3パターンある納税額の計算方法 例えば、課税売上げより課税仕入れの方が多い場合は消費税の 還付を受けられる一般課税の方が好ましく、卸売業の場合はみ なし仕入率が9割となることから、2割特例より簡易課税の方が お得になります。 納税額の計算方法は過去の売上や業種だけでなく今後のビジ ネスの見込みを考慮した上で専門家と相談し決定しましょう。 4~9割 原則、消費税は売上げ時に顧客から預かった消費税から 仕入れ等の際に支払った消費税を差し引いて納税額を算出 預かった 消費税の 集計 不要 31 簡易課税 2割特例 ⽋般課税 全事業者 ※2年前(基準期間)の課税売上が 5千万円を超える場合は⽋般課税のみ 課税売上げより課税仕入れの方が多い場合 消費税の還付の可能性あり 2年前(基準期間)の 課税売上が5千万円以下 日々の記帳作業が簡単 (⽋般課税より納税額が減る可能性あり) 免税事業者から インボイス発行事業者になった方 日々の記帳作業が簡単 (卸売業以外は簡易課税より2割特例の方がお得) 対象事業者 メリット 日々の記帳作業が煩雑 消費税の還付は受けられない 原則2年間は簡易課税のまま 消費税の還付は受けられない 適用できる期間は限られている (2026年9月30日の日の属する課税期間まで) デメリット 簡易課税 2割特例 ⽋般課税 26 売上げ時に預かった消費税額のみで納税額を計算するため 仕入れ分は集計不要となり、日々の記帳の簡素化が可能 業種問わず預かった消費税額の 2割が納税額となる 仕入れ分は集計不要となり、日々の記帳の簡素化が可能 集 計 不 要 各業種で異なる みなし仕入率をかけ 仕入税額を算出 20% ※
AI会計システムの導入が肝心 法改正に最適な会計システムとは インボイス制度下では、インボイスか否かの確認のため、国税 庁のサイトを都度チェックしたり、電子明細を用いた記帳業務 が難しくなったり、記帳パターンがインボイス制度前の3倍にな るなど、会計業務の負荷が増大しています。 そのような課題を解決するのがAIの力です。AI会計システムに 証憑を電子化し取り込むことで、自動でインボイスか否かを判 断し、最適な記帳を行います。業務負荷軽減のために最新テク ノロジーの活用が重要です。
32 国税庁Web-API対応 本当に適格請求書発行事業者が出したインボイスか否かを確認す るには国税庁の公表サイトでチェックする必要があります。 その確認を電子化するのが国税庁Web-APIです。国税庁Web-API対 応のシステムを採用することで、国税庁のサイトにアクセスせずと もシステム内で適格請求書発行事業者か否か判断できます。 チェック工数削減のために対応システムを選定しましょう。 仕訳と証憑のスムーズな紐付き 記帳負荷を軽減するためには「日付‧取引先名‧金額‧税区分‧インボ イスか否か」の項目推測を適切に行うことができるシステムを選 ぶことが重要です。 また、インボイスは請求書だけでなく領収書も対象です。領収書 と請求書双方のOCRが実施できるシステムを選定しましょう。 インボイス制度下では帳簿の記載パターンが増大し、それに伴い チェック作業も増大します。 ミスやモレをスムーズに確認(帳簿から仕訳確認、更にもととな る証憑確認)できるシステムを採用することがチェック作業の効 率化には必要不可⽋となります。 領収書も請求書もAI-OCR対応 会計帳簿 電子帳簿保存法に対応 (電子取引データの電子保存義務化含め) 電子保存完全義務化により、電子取引データはデータのまま保存し なければなりません。 また、データで保存する際は「日付‧取引先名‧金額」で検索できる 必要があるため、電子帳簿保存法の検索項目の自動入力に対応し たワークフローシステムか否か把握しておきましょう。 File Box 27
33 目まぐるしく変化する社会において、 これからの企業経営に不可欠な法対応を 情報提供、デジタル化支援、体制づくり相談など 専門家と協力してサポートし、 全ての企業が価値を発揮できる社会を目指します。 法対応に関する情報を提供し、法対応を起点とした業務改善を支援いたします。 インボイス制度 電子帳簿保存法 働き方改革関連法
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