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ざっくり学ぶ 『エンジニアリングリーダー 技術組織を育てるリーダーシップと セルフマネジメント...

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October 30, 2025

ざっくり学ぶ 『エンジニアリングリーダー 技術組織を育てるリーダーシップと セルフマネジメント』 / 50 minute Engineering Leader

「エンジニアリングリーダー ―技術組織を育てるリーダーシップとセルフマネジメント - FL#112」の登壇資料です。

https://forkwell.connpass.com/event/372038/

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October 30, 2025
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Transcript

  1. 4 • Cate Huston氏 • 現 DuckDuckGo の Senior Director,

    Client Engineering ◦ 前職は Automattic (WordPressの会社) ▪ Automatticはフルリモートの会社 ▪ (そのため、書籍ではリモートワークの話もそれなり) 著者
  2. 7 実践 学術/ 研究 主観に基づく雑マッピング 注:もっとたくさん挙げたい書籍がありますが、自分の本棚 + kindle からぱっと目についたものを挙げてます 論文(のメタアナリシス)

    などから導出された知見に 基づく書籍。 様々な組織で使える 可能性がある。 ある特定の企業でうまくいった 経験に基づく書籍。 n=1 に近いため文脈が 近ければかなりハマるかも。
  3. 10 実践 学術/ 研究 ハード(組織設計・戦略など) 主観に基づく雑マッピング 注:もっとたくさん挙げたい書籍がありますが、自分の本棚 + kindle からぱっと目についたものを挙げてます

    組織設計・戦略・システムなど トップが判断すれば方針が さっと変わるトピック中心 人の関係性や組織文化など、 「やるぞー」といっても すぐに変わらないトピック中心 ソフト(人・文化など)
  4. 16 • 岩瀬 義昌 (@iwashi86) / Yoshimasa Iwase • 本業

    ◦ 通信会社で Generative AI Project の リーダー(EMとPdM) • サイドワーク ◦ 早稲田大学で非常勤講師(プログラミング) ◦ Podcaster (fukabori.fm) ◦ 翻訳者
  5. 第I部 あなた自身について(1-7章) • 第1編 自分自身のキャリアのDRI になる ◦ 1章 キャリアの決定と最適化 ◦ 2章 キャリアの目標を設定し、実践する ◦ 3章 成長を積極的に受け入れる

    ◦ 4章 前進する • 第2編 セルフマネジメント ◦ 5章 エネルギー管理 ◦ 6章 マネージャーの仕事の定義と適応 ◦ 7章 リーダーとしての幅を広げる
  6. DRI は自分自身 • DRIとは、Directly Responsible Individual(直接責任者となる個人) ◦ 業務での例:「ある施策のDRIはAさん」「この戦略のDRIはBさん」 • だが、あなたのキャリアにおけるDRIは、自分だけである

    • キャリアについて受け身でいてはいけない ◦ キャリアの決断とそれに伴うトレードオフに責任を持つ 自分 • 昇進は、キャリア開発と混同されがち ◦ だが多くの場合、自分ではコントロールできない政治的ゲームや 上司の裁量から影響を受ける
  7. キャリアは長期的な視点で考える • 考えるべきは 今現在の仕事の最適化ではなく、キャリア全体の最適化 である • なぜか? ◦ 人生はキャリアより長く、キャリアは今の仕事より長いから •

    楽しめない仕事であっても今後のキャリアに非常に役立つこともある • 一方で、楽しめる仕事でもスキルを発展させないこともある • キャリア全体から見た今の仕事の位置付けを理解し、 叶えたいキャリア全体のビジョンを持つ必要がある
  8. 1. 長期の選択肢(機会)を考える • 「自分が何がしたいか?」以上に、 「将来的にどんな選択肢を得られるようになりたいか?」を自問自答する • 今の仕事と、将来の仕事はだいぶ異なる(e.g. Before モバイルなど) •

    選択肢を絞る決断は慎重に行うべき • なぜか? ◦ 選択肢を減らした当然の帰結として、成長への道筋もそれだけ狭まりやすいから • なお、長期間の目標を達成するための短期間のトレードオフには価値がある ◦ 例:執筆のために転職や大きな責任を引き受けない など
  9. 2. 仕事 > 肩書 • 肩書は数文字の言葉に過ぎない • だが、仕事は週に40時間やそれ以上を費やすもの • 肩書それ自体は目標ではない

    ◦ 肩書は業界や組織の文脈内で存在する ◦ 実際の仕事と比べて人生やキャリアにとって意味が乏しく、影響も少ない ◦ 肩書によっては、次の職種を見つけるのが難しくなり、 機会を減らしてしまう可能性すらある
  10. 雇用主が借りるもの(所有権は自分に残る) 借りるもの 説明 留意点 専門知識 あなたのものであり、 次の仕事の獲得や給与交渉に役立つ。 専門知識は現在必要とされる仕事ができ てこそ価値があるため、 スキルを継続的

    に磨く必要がある 。 ブランド /プロフィール 履歴書、築いてきたキャリアのストー リー。 コミュニティ内で知名度があれば 会社にとっての価値の一部になる。 自分のプロフィールの所有権は自分に ある。 境界線を設定し、目の前の報酬と長期的 な市場価値とのバランスを取る。
  11. 雇用主が買うもの(所有権が買い手に移転する) ここで手放したものを取り戻せない場合があるため、手放す前に慎重に考える必要がある 買うもの 説明 留意点 時間 働いた時間。 雇用主が購入する最もわかりやすいもの 契約に応じて、仕事の時間とそうでない時間との 境界をしっかり守ることが、

    生産性と人生の質に大きく影響 エネルギー 費やしたエネルギー。 実際に働いた時間と「働いたと感じる時間」 のギャップに注意。 極端に機能不全の職場では、費やしている時間を大きく 超えるエネルギーを消耗する。 境界線を設定することの有効性 が見えてくる。 遵守 雇用契約の一部として、条件や制約(例:居 住場所、副業禁止など)として求められること 雇用主が購入している以上、 無理なく従えるものでなくてはならない 。
  12. 1. 何を(成長目標) • 「何を」は、単なるタスクではなく、成長の目標のこと • 目標は ◦ 達成したか判定できるほど具体的 ◦ 能力が本質的に向上したことがわかるもの

    ◦ 「近い目標」(次のステップで実現可能なもの)が良い • 例 ◦ ❌「パブリックスピーキングのスキル向上」 ◦ ⭕「アイデアを説明するプレゼンを作り、建設的なフィードバックを集めること で、少なくとも1つの大規模な技術的改善についてチームから合意を得る」
  13. 5. 機会(達成の場) • 機会は、目標を達成するための場であり、次の3つがある ◦ 与えられる機会 ▪ 「やってみない?」と直接オファーされるもの ◦ 育てる機会

    ▪ 将来のために取り組むこと(例:カンファレンスへの登壇希望) ◦ 収穫する機会 ▪ これまでの努力が実を結んだもの(例:記事執筆から講演を頼まれる) • 機会のオファーがあった場合、自分が今持っている機会と比較検討すること
  14. 仕事上や業界の人脈 • 機会と学びの宝庫 ◦ 広い視野で業界を眺められるようになる ◦ コミュニティもその1つ • 「人脈作り」を嫌う人もいる ◦

    その場合は、自分が楽しめる方法(ブログ、登壇、1on1など)で十分 • 大切なのは、何かをしてほしいときだけ関わるのではなく、 継続的に少しずつ参加できる、バランスの取れた方法を見つけること
  15. Case1 学ぶ意志はあるのに、学びがない • 成長の時期と安定の時期を行き来するのは自然 ◦ 居心地がいい範囲での仕事からは安心感が得られる • しかし ◦ 顔を上げて周りを見渡した時に、

    次の成長の機会がどこにも見当たらない としたら? ◦ あるいは、5年間ほど在籍したのに 「単に最初の1年分の経験を5回繰り返したに過ぎない」としたら?
  16. Case1 学ぶ意志はあるのに、学びがない • 成長の時期と安定の時期を行き来するのは自然 ◦ 居心地がいい範囲での仕事からは安心感が得られる • しかし ◦ 顔を上げて周りを見渡した時に、

    次の成長の機会がどこにも見当たらない としたら? ◦ あるいは、5年間ほど在籍したのに 「単に最初の1年分の経験を5回繰り返したに過ぎない」としたら? • ただし、転職を考える前に ◦ 上司が、成長の機会を確認しておくこと ◦ その際は、自らも新しい責任を引き受ける準備ができていることを表明すること
  17. Case2 スキルではなく、対処法を学んでいる • いかなる組織にも固有の癖がある ◦ 例:煩雑な報告手順、上司の上司の政治性、理屈っぽい文化、etc... • あまりにも機能不全な組織では、 本来的なスキルよりも固有の対処療法に多くの時間を費やしている 場合がある

    ◦ 健全な環境では磨く必要のないスキルであれば、他の場所では何ひとつ役立たない • ただし、転職を考える前に ◦ 外部の人や、冷静で中立的な見方ができる信頼できる人 に相談すると良い ▪ コーチ、前職のマネージャー、業界の友人あたり ◦ 自分が過剰反応をしていないか、隣の芝の方が本当に青いのかなど、 チェックしてもらうと良い
  18. Case3 採用に葛藤を感じる • 自分の会社を友人に推薦することに抵抗を感じるとしたら? ◦ 「友人にはもっと良い環境がふさわしいと思うのなら、  自分自身にとってもふさわしくないのでは?」 • ただし、転職を考える前に ◦

    会社に問題があるのか、バーンアウトなど自身の状態によるものなのか を 見極めておく • 転職するなら ◦ 完璧な組織は存在しないため、求めているものが現実的か確認しておく ◦ ウェブサイト上の情報だけではなく、 転職先の社員の日々の業務の実態がわかるような質問 をして実態を把握すること
  19. Case4 仕事によって自信を失っている • 本来は経験を積むほどに、自分がより有能だと感じるられるはず ◦ しかし、経験を積むほどに凹んでいくとしたら? • 成功は個人的要因と環境要因の両方の産物 である ◦

    場合によっては、環境を変えるだけで活躍して評価されることも • 転職するなら ◦ 新しい環境への適応に時間がかかるため、 それ自体が一時的に自信を失わせる要因になり得る
  20. Case5 仕事のストレスが身体に表れている • 動悸、睡眠不足、体調の悪化などの自覚があるとしたら? ◦ ストレスの身体的影響は気付かないうちに忍び寄っていることがある • 転職しても ◦ ストレスが消えていくのには時間を要する

    ◦ もちろん、転職はこれまでの習慣をリセットし、 健康的なものに再構築する良い機会になり得る ◦ だが、意識的に変えようとしない限り、 以前のままの状態に逆戻りしてしまう こともあることに注意
  21. 人員と範囲の変化ですべきこと 範囲 / 人員 ↓ = ↑ ↓ 廃止 再編

    統合 = 効率 安定 成長 ↑ レイオフ 拡大 高成長!
  22. 人員と範囲の変化ですべきこと 範囲 / 人員 ↓ = ↑ ↓ 廃止 再編

    統合 = 効率 安定 成長 ↑ レイオフ 拡大 高成長!
  23. たとえば:範囲が広がるのに、人員が減ったら? • 検討すべき ◦ 根本から業務の焦点とプロセスを再構築すべきか • 注意すべきこと ◦ 第一波の離職がある(いわゆる解雇) ◦

    だが第二波がある ▪ 混乱と士気の低下で人が抜けてしまう波のこと • 何をすべきか ◦ まず自分の酸素マスクを確保すること ◦ サバイバーズギルト(生き残った者の罪悪感)に注意すること ▪ (補足:レイオフに限らずチームレベルでも一定ある)
  24. なぜベンチを作るのか? • チームの成長に伴い、より多くの責任を担えるリーダーを育成する必要が生じる • 「ベンチ」は余裕(Slack)である ◦ 予期せぬ出来事への緩衝材 ◦ 具体的な必要に迫られるずっと前から、 マネージャー候補となる人材を見つけておく

    • その際、内部からの昇格は重要 ◦ なぜなら、リーダーシップの役割を外部から採用するのは労力と時間がかかるため ▪ 内部育成により、組織の仕組みを理解した人材がすぐに貢献できる ▪ 内部育成をしないと、現チームメンバーに潜在的な成長可能性がないという 否定的なメッセージを送ることにも
  25. ベンチ候補の人材をどうやって見極めるか? • いくつかの効果的な質問がある(本人、その人のリーダー、マネージャーに尋ねる) ◦ 〜さんの得意なこと は? ◦ 〜さんは、どのように他の人を助けていますか ? ◦

    〜さんは、どんな助けを必要としていますか ? ◦ 〜さんの**これからできそうなことと、今できることとのギャップ(潜在能力)** にはどんなものがありますか?
  26. ベンチ候補の人材をどうやって見極めるか? • いくつかの効果的な質問がある(本人、その人のリーダー、マネージャーに尋ねる) ◦ 〜さんの得意なこと は? ◦ 〜さんは、どのように他の人を助けていますか ? ◦

    〜さんは、どんな助けを必要としていますか ? ◦ 〜さんの**これからできそうなことと、今できることとのギャップ(潜在能力)** にはどんなものがありますか? • 注意点 ◦ 「マネージャー向けに(高い)潜在能力」を持つ人として見られやすいのは、 自分と似ている人、声の大きい人、自己アピールが上手な人 ▪ 意識的に注意すべき
  27. フィードバック • フィードバックを与えるスキルを身につける・文化を作るのは簡単ではない • そこで、フィードバックをまず3つのCから始めると良い ◦ コードレビュー(Code review) ▪ 仕事(コード)から自分自身を切り離すことを学ぶ良い機会に

    ◦ キャリブレーション(Calibration) ▪ 採用プロセスを通じて、フィードバックを明確に伝えるスキルを学べる ◦ ほめること(Compliments) ▪ 改善点に対してオープンになるためにも正のフィードバックを意図的に出す • その際は、できるたけ具体で(例:「よくできました」ではNG)
  28. ストレッチアサインメント • ストレッチアサインメントとは、コンフォートゾーンから抜けて、 これまでの経験以上の仕事に挑戦し、能力を示し、学ぶ機会を与えるもの • 良いストレッチアサインメントの条件 ◦ 実際に成長の機会となること ▪ 本人の成長目標と合致し、経験とは異なる内容であること

    ◦ 評価されること ▪ 相手がどう評価されたと「感じたか」を理解することが重要 • (「やれば昇進できる」と誤解されないよう注意) ◦ 成功できる環境が整っていること ▪ 問題領域を定義し、メンターやコーチなどのサポートを見つける
  29. 外部からのリーダー人材の採用 • 外部からのリーダー採用は最もリスクの高い選択肢の1つ ◦ うまくいけば、インパクトは非常に大きいが想定されるデメリットも ▪ チームからの反発や拒絶が起こりやすい ▪ 例:新しいリーダーが前職の組織構造を再現しようとして反発を生むなど •

    そうならないように ◦ 採用根拠の明確に(戦略との整合性、短期/長期のニーズなど) ◦ 責任範囲の明確に ▪ 成功の最も強い予測因子は「その仕事の明確さ」 ▪ 新しいリーダーが何に責任を持ち、 何に責任を持たないのか をはっきりとさせておく
  30. チーム機能の階層:ミッション、戦略、戦術、実行 • チーム機能を支える4つの階層があり全てが首尾一貫して機能すべき • コミュニケーションと時間軸による分類 ◦ ミッション(組織の指針/北極星) ▪ 時間軸:来年以降/無期限 ◦

    戦略(組織が提供するもの) ▪ 時間軸:次の四半期/今年 ◦ 戦術(チームの働き方と、チーム間の協力の仕組み) ▪ 時間軸:今月/今四半期 ◦ 実行(個人の働き方) ▪ 時間軸:今日/今週
  31. ミッションと戦略:チームの方向性を定めるもの • ミッション ◦ メンバーが結束できる指針 ◦ 取り組むべきこと、取り組むべきではないことを決める役割を果たす • ミッションの不足によるリスク ◦

    チームが過度に分析を続けたり、意思決定を完全に放棄したり • 戦略 ◦ ミッションに向かって進むための「近い目標」 ◦ ミッションを進めるために、 何をするか、何を(今は、あるいは永遠に)やらないか をはっきりさせる • 戦略が不足すると、なんでもかんでも「ミッション」に関連づけられ、過剰な負担、 決断の先送り、対立が生まれる。
  32. 戦術(プロセス):戦略を実現する仕組み • 戦術の定義 ◦ 戦略を個人が実行可能なものに落とし込む、チームのプロセス階層 ◦ チーム間での作業やコミュニケーションの管理方法が定義される • 戦術(プロセス)の重要性 ◦

    戦術は、戦略目標の達成に向けたマイルストーンを定義 ◦ 戦術のないチームは効果的に働くことができない ▪ 特に組織が大きくなるにつれて協力が難しくなる ◦ 戦略のない戦術は、ただ忙しいだけの「作業」を作る
  33. 実行:成果を挙げること • 実行とは、アイデアや理論が現実のものとなって、ユーザーの手に届く階層 ◦ 物事を「終わらせる」こと、日々の作業やコミュニケーションが含まれる • 実行の重要性 ◦ 実行の階層こそ、進捗が生み出される場所 ◦

    他の階層がなければ実行はただの活動に過ぎないが、 実行なしに他の階層があっても意味がない • 実行が欠けていると ◦ ほとんど何も起こらない ◦ プロジェクト計画が明確に定義されていても、進捗がない ▪ 体制図に人だけ書いてあっても意味がない
  34. 第I部 あなた自身について(1-7章) • 第1編 自分自身のキャリアのDRI になる ◦ 1章 キャリアの決定と最適化 ◦ 2章 キャリアの目標を設定し、実践する ◦ 3章 成長を積極的に受け入れる

    ◦ 4章 前進する • 第2編 セルフマネジメント ◦ 5章 エネルギー管理 ◦ 6章 マネージャーの仕事の定義と適応 ◦ 7章 リーダーとしての幅を広げる