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JunTajima
February 06, 2019
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JunTajima
February 06, 2019
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Transcript
出版と電子書籍の今とこれから (株)三陽社 メディア開発室 田嶋 淳 http://densyodamasii.com/
http://densyodamasii.com/
お仕事紹介
お仕事紹介
今、 「出版」とは
FaceBook に投稿するのは「出版」?
flickr に写真をアップロードするのは「出版」?
「Publishing」の本来の意味は「公開すること」であり、 その意味では出版であるとも言えそう つまり、今や「出版する」だけでいいなら とても簡単な時代になった
「電子書籍」の意味は、 電子情報をパッケージ化し、 既存の「本」という概念を被せることで 直接課金で販売できるモデルを作ったことか
出版市場概況
ഔମผࠂඅͱ໊ (%1 ͷҠΓมΘΓʢʙ ʣ ʢ୯Ґɿԯԁʣ ʢӈ࣠ɿ໊ (%1ʣ ʢి௨ਪఆʣ Ψϕʔδχϡʔεɹ ܝࡌهࣄʢIUUQXXXHBSCBHFOFXTOFUBSDIJWFTIUNMʣΑΓ ৽ฉ ϥδΦ (%1 Πϯλʔωοτࠂ ࡶࢽ ςϨϏϝσΟΞ 41 ࠂɾϓϩϞʔγϣϯϝσΟΞ 媒体別広告費の推移 2004 年 8 月 Google 株式公開 2005 年 9 月 ティム・オライリー 「Web2.0 とは何か」 2008 年 7 月 iPhone3 日本発売開始 2010 年 5 月 iPad 販売開始 2012 年 9 月 FaceBook のアク ティブユーザー数 が 10 億人に到達 2012 年 10 月 Kindle ストア 日本展開開始 1995 年 11 月 Windows95 日本語版発売
• 2005 年あたりからブログ/ SNS などの技術を知らなくても情報発信できる仕組みが整い、 Web 広告市場が急速に伸張 • 雑誌/新聞の広告市場は凋落 •
2010 年前後からスマートフォンが一般化、Web 優勢の流れが加速
૯ചΓ໘ੵʢສฏํϝʔτϧʣ ૯ళฮ ૯ॻళɾ૯ചΓ໘ੵਪҠʢܦ࢈লɾۀ౷ܭௐࠪΑΓʣ Ψϕʔδχϡʔεɹ ܝࡌهࣄʢIUUQXXXHBSCBHFOFXTOFUBSDIJWFTIUNMʣΑΓ 店舗数・売り場面積推移
• 書店数の減少、店舗の大型化が加速 • 店舗数の減少は 1990 年代初頭からずっと続いており、後継者不足の問題が大きい • 日本の書店は雑誌販売所の役割を担っていたため、雑誌売り上げ減の影響が大きかった
ਪ ఆ ൢ ച ۚ ֹ ớ ԯ ԁ Ờ
ԯԁ ίϛοΫε୯ߦຊ จࣈͷॻ੶ จࣈͷࡶࢽ จࣈͷిࢠॻ੶ ిࢠࡶࢽ ిࢠίϛοΫε୯ߦຊ ग़൛ՊֶݚڀॴͷσʔλΑΓ˞5PNPIJLP)BZBTIJ͞Μநग़ 出版市場の状況
• 出版市場全体としては引き続き緩やかな売り上げ減少傾向 • 電子出版市場は 2017 年現在で出版全体の 14%程度(2200 億円程度の市場) • 雑誌の売り上げ減少が著しい
ਪ ఆ ൢ ച ۚ ֹ ớ ԯ ԁ Ờ
ԯԁ ίϛοΫε୯ߦຊ ిࢠίϛοΫε୯ߦຊ コミックスのみで見てみると・・・
• 紙と電子を併せたコミックス市場は減っていない • コミックスに関しては紙と電子が売り上げ的に既に拮抗 • 2018 年の数字が出てくればはっきりと電子優位になりそう • 電子コミックスの売り上げは既刊の「まとめ買い」需要が大きい •
コミック読み放題アプリの市場など出版側の数字からは見えてこないものもあるため、多角 的に見る必要はありそう(おそらくトータルで売り上げ増に転じている) • コミックに関しては完全に電子出版市場が立ち上がった
ਪ ఆ ൢ ച ۚ ֹ ớ ԯ ԁ Ờ
ԯԁ จࣈͷॻ੶ จࣈͷॻ੶ʢిࢠʣ 文字もの書籍だけだと・・・
• 文字もの書籍の売り上げは緩やかな減少傾向 • この程度の減少率なら読者人口の減少で説明がつく • 文字ものはまだ圧倒的に紙が売れている • 電子版売り上げはまだ全体の 4%程度(2017 年時点で
290 億円程度の市場)
ʮຊʹ͓͚Δిࢠॻ੶Խͷݱঢ়ࠃཱࠃձਤॻؗॴଂࢿྉΛରͱͨ͠ిࢠॻ੶ԽͷௐࠪʯΑΓ ҆ܗًʢѥࡉѥେֶʣʗ্ాमҰʢݩܚጯٛक़େֶʣ ˞ຊਤॻؗใֶձय़قݚڀूձͷൃදεϥΠυ ˋ ˋ ˋ ˋ ˋ
書籍の電子化率の推移
種類別に見てみると・・・ ʮຊʹ͓͚Δిࢠॻ੶Խͷݱঢ়ࠃཱࠃձਤॻؗॴଂࢿྉΛରͱͨ͠ిࢠॻ੶ԽͷௐࠪʯΑΓ ҆ܗًʢѥࡉѥେֶʣʗ্ాमҰʢݩܚጯٛक़େֶʣ ˞ຊਤॻؗใֶձय़قݚڀूձͷൃදεϥΠυ ˋ ˋ ˋ ˋ ˋ
ίϛοΫ จݿ ୯ߦຊ
• 2017 年の電子化率は全体の 36.8%程度でまだ半分にも達していない • コミックの電子化率は既に 8 割越え • コミック以外に文庫(おそらく新書も)の電子化率がかなり高いが、数が多い単行本の電子
化率が低い
課題は何か?
• 雑誌売り上げ減により、雑誌の配送を中核業務としていた出版取次、雑誌販売所の役割が大 きかった書店が大きなダメージを受けた • 書籍は雑誌の販売網に相乗りする形で全国に配送されていたため、書籍のみの売り上げでイ ンフラを維持するのは困難 • 出版取次は実質的な金融機能を持っていたため、取次の経営悪化により書籍出版社にも影響 が出ている •
取次/書店ネットワークの担っていた本と読者の出会いの場を提供する機能が失われつつあ り、それに変わる仕組みをネットはまだ用意できていない • 水平分業が成立していたため従来 B2C プロモーションの機能を持つ必要がなかった出版社に はそれを受け持つ部署が存在せず、商品の十分な告知ができていない(書店での告知ができ ない電子書籍に特に顕著な影響)
何が必要になりそうか?
• 取次による見計らい配本から書店側による発注への切り替え • 出版社直売の仕組みを強化すること • ネット書店のユーザーインターフェースの強化 • Web を介した一般向けプロモーションの機能を出版社が持つこと、もしくはそれを担当する エージェントが出版社とタッグを組むこと
• 電子版も含み計画的に商品を生産できる仕組みを整え直すこと
新たな波
出版デジタル機構「NetGalley」 発売前ゲラの公開システム/出版社のプロモーション・書店直売のための枠組み提供
Amazon「Kindle Unlimited」 定額読み放題モデルの普及/ネット時代に即した課金モデルの開始
講談社「コミック DAYS」 出版社公式のコミック読み放題アプリ/マンガ雑誌の役割の代替
ピースオブケイク「note」 有料オプションが選べる Web 投稿プラットフォーム/雑誌の役割を代替する Web サービスの登場
ぴあ株式会社「ぴあ」 (アプリ版) アプリ版の雑誌/休刊していた紙雑誌が形を変えてアプリとして復活
NewsPicks「NewsPicks Magazine」 Web 発のメディアが作った紙雑誌/紙メディアへの逆上陸
リブロプラス「文喫」 入場料を取る新しい業態の書店/新たな書店マネタイズモデルの模索
株式会社 ASHIKARI「箱根本箱」 本のある空間を売りとした旅館/「本のある空間」の普及・啓蒙
株式会社インプレス R&D「NextPublishing」 出版社発のオンデマンド・電子出版プラットフォーム/オフセットでは厳しかった少部数刊行物をカバーする試み
株式会社 BCCKS「BCCKS」 電子書籍・オンデマンド書籍作成・配信プラットフォーム/本の制作・配信をワンパッケージで提供
株式会社ヒナプロジェクト「小説家になろう」 小説投稿サイト/インディーズ出版の隆盛
今後、本の制作フローはどうなりそうか?
エンタメなどの読み物 (レイアウトが複雑で無いもののうち短期間で売り切るもの) DTP データ EPUB 等 電子データ • 発売直後の瞬間風速的売り上げが全てであれば中間データを作る労力は過剰 •
おそらくここは当分変わらない • フローの最適化はより進むことが望まれる
実用書など (レイアウトが複雑でそれ自体に意味があるもの) DTP データ 固定版面の 電子データ • レイアウト自体に意味があるものを無理やりリフロー化するのはやはり 無理がある •
Kindle Print Replica など、固定版面を対象にした電子化形式にいずれ シフトしていきそう(おそらく大半は PDF からの変換) • スマホ/タブレットから VR/AR 系へのデバイスシフトが起きれば流れ が加速しそう
人文書・新書など (レイアウトが複雑で無いもののうち長期間売り続けるもの) 中間データ EPUB DTP データ WEB アプリ • EPUB
含め電子フォーマットはトレンドの変化が早い • トレンドが変わってゆく電子フォーマットに随時対応して長期間「出版」 を続けるために中間フォーマットを持つ必要がある • 当面「中間データを EPUB で持つ」という考え方もあるか
人文書・新書など (レイアウトが複雑で無いもののうち長期間売り続けるもの) 中間データ EPUB WEB アプリ • いずれは「紙」も…… 紙の本
EPUB は今後どうなりそうなのか?
• EPUB は 3.2 でひと区切り、その先はちょっと見えない • CSS 等要素技術が発展していけばいずれ EPUB にも取り込まれる
• アプリ側の実装の進展なども引き続き注視の必要はある
CSS の発展で使えるようになりそうな組版要素 ruby-align(ルビの肩付き/中付き等の指定) ruby-position(左側ルビ等ができるように)
CSS の発展で使えるようになりそうな組版要素 line-break(禁則の強い/弱いを指定) font-feature-settings: "jp83" など (異体字の表示)
ご静聴ありがとうございました