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バージョン管理とは / GitHub VCS
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kaityo256
October 01, 2021
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バージョン管理とは / GitHub VCS
物理情報工学ソフトウェア開発演習
kaityo256
October 01, 2021
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Transcript
1 22 バージョン管理とは 慶應義塾大学理工学部物理情報工学科 渡辺 物理情報工学ソフトウェア開発演習
2 22 実行 開発 デバッグ 多くの知的生産活動は、修正を繰り返す 執筆 添削 プログラム開発 論文執筆
3 22 ありがちな事例1: 先生から添削済みの論文受け取ったとき、家で 修正した最新版ではなく、大学のPCに入ってい た古い版を渡していたことに気づく ありがちな事例2: 開発したコードをスパコンで実行しようとしたら動かず、 苦労して動くように修正。その後、スパコンで実行中に 新機能を開発、それをスパコンにアップロードした時に
動くように修正したコードを上書きしてしまう。
4 22 仕様書_佐藤修正_吉本追記.docx 仕様書_最終版_田中修正v2.docx どっちが最新? バージョン管理システム (Version Control System, VCS)
5 22 • ファイルの編集履歴を管理するためのシステム • 編集履歴をすべて保存する「リポジトリ」というデータベースを持つ • ユーザはリポジトリにアクセスしながら開発を行う バージョン管理システムとは? 何ができるようになるの?
• 任意の時点に状態を戻すことができる • 任意の時点間の差分を確認できる • 誰が、いつ、どこを修正したか確認できる 超優秀な秘書のようなもの
6 22 ローカル型 クライアント・サーバ型 分散型 SCCS, RCS等 CVS, Subversion等 Mercurial,
Git等 歴史的に大きく分けると、以下の三種類
7 22 第一期:ローカル型 • (おそらく)世界初のVCS • IBM System/370向けに開発、後にPDP-11へ移植 • 複数のバージョンを一つのファイルに保存
1992年 Source Code Control System (SCCS) 1982年 Revision Control System (RCS) • バージョン管理はファイル単位 • ファイルを修正する時に「チェックアウト」する ファイル修正時にロックをかける(排他制御) → 複数の人が同時に編集できない 管理がファイル単位 →プロジェクトとして管理できない
8 22 第二期:クライアント・サーバ型 • RCSのフロントエンド • リモートリポジトリを導入 • 複数の人が同時に修正可能 •
「マージ」の導入 1986年 Concurrent Version System (CVS) 2000年 Subversion • ファイル名変更やディレクトリの管理をサポート • プロジェクト全体にバージョン番号(リビジョン)を付与 中央集権的なリモートリポジトリ → 全ての歴史がリモート側にある → 単一障害点になってしまう
9 22 第三期:分散型 2000年 BitKeeper • ローカルに全ての情報がある(分散型) • Linuxカーネル開発に使われた商用ソフトウェア 2005年
Git • 一部のLinux開発者がBitKeeperをリバースエンジニアリング • BitKeeperを使えなくなったLinusがGitを開発 • 高速なブランチ切り替えやマージ 全てのリポジトリが完全な履歴を持つ リモートとローカルの歴史の整合性を取る
10 22 Eclipse Community Survey SubversionとGitのシェア 利用率(%) 2018年のStackoverflow Surveyでは、Git 87.2%、Subversion
16.1% 現在、VCSとしてはGitが大きなシェアを持っている
11 22 バージョン管理システム導入の二大メリット 渡辺が 考える バックアップ 履歴保存
12 22 1. 結果の新規性 2. 適切な引用 3. 体裁 4. ストーリー
Q: 卒論で一番大事なのは?
13 22 1. 結果の新規性 2. 適切な引用 3. 体裁 4. ストーリー
5. バックアップ もちろん 大事ですが 期日までに提出することが最も大事 Q: 卒論で一番大事なのは?
14 22 バージョン管理システムとして Git/GitHubを使うと上記要件を 自動的に満たす バックアップは定期的にとる バックアップ頻度=データが飛んだ時の手戻りの時間 最低でも毎日バックアップすること バックアップはリモートにとる 自分のPCの別フォルダにコピーするのはダメ
USBへのコピーも信用できない
15 22 バージョン管理システムを使っていると... • 任意の時点に状態を戻すことができる • 任意の時点間の差分を確認できる デバッグ時間の短縮
16 22 数値計算コードを開発中、 • メインカーネルを修正し • 別のインプットを与えたら 計算に失敗した 計算ルーチン (修正前)
インプット A OK 計算ルーチン (修正版) インプットB NG その機能を追加したことによるバグ? もともとあったバグがインプットにより顕在化?
17 22 バージョン管理システムを使っていないと... ソースとにらめっこして 気合でデバッグ 徹夜でなんとか バグ発見 自分で入れたバグを自分でとっただけで、仕事はなんら進んでいない
18 22 バージョン管理システムを使っていれば... 修正前のメインカーネルを取得し、Input Bを食わせる OK NG 今回の修正でバグが入った 計算ルーチン (修正前)
インプット B もともとあったバグが顕在化 問題の切り分けが容易
19 22 昔入れたバグほど、デバッグが困難に (修正内容を忘れているから) 開発時間軸 Ver. 1 Ver. 2 Ver.
3 Ver. 4 Ver. 5 (1)ここでバグ発覚 (3)ここでバグ混入 (2)ここまでは動作することを確認 デバッグ時間軸 Ver. 2とVer. 3の差分を取れば、バグの原因がすぐにわかる
20 22 開発 デバッグ 開発 デバッグ 作業時間 進捗 作業時間 プログラミングが早い人は「デバッグ時間」が短い
左の人の方が「がんばっている」ように見えるが、 右の人の方が作業は進んでいる
21 22 バージョン管理システムを使えばデバッグ時間が短く なるわけではない 「できる人」はGitが使えるから「できる」のではない GitやGitHubはあくまでも「開発スタイル」を支援するツール • Gitが「何を」実現するツールなのか • 自分がGitで「何を」しようとしているのか
を理解することなしに開発効率は向上しない
22 22 • バージョン管理システムとは、ドキュメントやソフ トウェアのバージョンを管理するためのシステム • 複数人開発で有用なツールだが、個人開発でも有用 →三日前の自分は他人 • バージョン管理システムを使えば開発効率が上がる
わけではない →開発スタイルを変えなくてはならない Git/GitHubの使い方を学ぶことが目的ではない ツールに流れる哲学を学ぶ