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臨床工学技士国家試験・ME2種過渡現象まとめ /transient

臨床工学技士国家試験・ME2種過渡現象まとめ /transient

臨床工学技士国家試験とME2種で出題される過渡現象の内容をまとめた資料です.公立小松大学臨床工学科の学生向けの資料ですが,皆さんのお役に立てると幸いです

Kazuhisa Fujita

June 22, 2023
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  1. ポイント • コンデンサ,コイルの特性 • CRフィルタ:コンデンサの電圧は積分,抵抗の電圧は微分 • グラフでイメージを掴む • コンデンサは電荷を徐々に貯めるから,徐々に電圧が上がる. •

    充電時の電圧変化は𝑉! = 𝑉" (1 − 𝑒#! "), 𝑉$ = 𝑉" 𝑒#! ",放電時は𝑉! = 𝑉" 𝑒#! ", 𝑉$ = −𝑉"𝑒#! " • LRフィルタはコンデンサと素⼦の特性が逆と覚える. • 時定数 • CRフィルタ:𝜏 = 𝐶𝑅 • LRフィルタ:𝜏 = 𝐿/𝑅 Vc ⼊⼒Vi R C VR
  2. コンデンサの充電 最初はスイッチがオ フ. コンデンサに電荷は たまっていない. 𝑡 = 0 スイッチをオンにした瞬 間.

    コンデンサには,まだ電 荷はたまっていない. コンデンサに徐々に電 荷がたまる. コンデンサに徐々に電 荷がたまる. ⼗分に時間が経つと, コンデンサに𝑄 = 𝐶𝑉の 電荷がたまる. 充電
  3. 過渡現象 (充電) • 図のように,抵抗とコンデンサを直流電源に繋いだ時の電圧変化は次 のようになる. • コンデンサの電圧𝑉! の時間変化 • 𝑉

    ! = 𝑉 (1 − 𝑒# ! "# $) • 抵抗の電圧𝑉" の時間変化 • 𝑉" = 𝑉𝑒# ! "# $ • 𝝉 = 𝑪𝑹としたとき,τを時定数と呼ぶ. 𝑉 ! 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉" 重要
  4. 過渡現象 (充電) • 抵抗とコンデンサに加わる電圧は時定数を変えることで,図のように変 化する. 時間 𝑉" = 𝑉𝑒# %

    &" $ 𝑉 0 𝑉 ! = 𝑉 (1 − 𝑒# ! "# $) 0 時間 時定数𝜏⼤ 時定数𝜏⼩ 時定数𝜏⼤ 時定数𝜏⼩ 重要
  5. コンデンサの放電 𝑡 = 0 スイッチをオフにした瞬 間. コンデンサに電荷がたま っている. コンデンサの電荷が徐 々に減る

    コンデンサの電荷が徐 々に減る ⼗分に時間が経つと, コンデンサにたまって いた電荷はなくなる.
  6. 過渡現象 (放電) • 図のように,抵抗とコンデンサを直流電源に繋いだ時の電圧変化は次 のようになる. • コンデンサの電圧𝑉! の時間変化 • 𝑉

    ! = 𝑉𝑒# ! "# $ • 抵抗の電圧𝑉" の時間変化 • 𝑉" = −𝑉𝑒# ! "# $ • 𝝉 = 𝑪𝑹としたとき,τを時定数と呼ぶ. 重要 𝐶 𝑅 𝑖 𝑉" 𝑉 !
  7. 微分回路 • 抵抗の電圧 𝑉" の時間変化を⾒てみると,充 電および放電が始まった瞬間に⼤きな値を取 り,時間とともに0に近づく. • つまり,時間変化が急激な場所(オン・オフ の場所)で⼤きな値をとっている.

    • 時間変化が急激な場所は微分が⼤きいので, 𝑉" は微分を表していると⾒ることもできる. • そのため,𝑉" を測定する回路は微分回路とも 呼ばれる. 充電 放電 𝑉" 𝑉" ॆి ์ి 𝑉 𝑖 𝑉 ! 𝐶 𝑅 𝑉" 0 V 0 V 変化がある=傾きがある 負の変化を 捉えている 正の変化を 捉えている ⼊⼒ ⼊⼒ 変化がある=傾きがある
  8. 積分回路 • ⼀⽅,コンデンサの電圧𝑉! の時間変化を⾒て みると,充電および放電が始まると時間とと もに増加および減少する. • つまり, 𝑉! は⼊⼒を⾜し続けていると⾒るこ

    ともできる.これは,積分に相当する計算と みなせるだろう. • よって, 𝑉! を出⼒とする回路は積分回路とも 呼ばれる. 充電 放電 𝑉 ! 𝑉 ! ॆి ์ి 𝑉 𝑖 𝑉 ! 𝐶 𝑅 𝑉" 0 V V ⼊⼒ ⼊⼒
  9. まとめ(CR回路の場合) • 電圧は指数関数的に変化する. • 微分回路は抵抗の電圧を⾒ている. • ⼊⼒の変化を捉える. • 矩形波なら,オン・オフの瞬間が最も電圧の絶対 値は⼤きく,時間が⽴つに連れ0に近づく.

    • 積分回路はコンデンサの電圧を⾒ている. • ⼊⼒を蓄積していくように⾒える. • 矩形波なら,オンの瞬間は0だが,徐々に増えてい く.オフにすると溜まった電荷による電圧が徐々 に減少していき0に近づく. 重要 充電 放電 充電 放電 𝑉) 𝑉* 𝑉*
  10. 問題 • 図aの周期信号(周期1ms)を図bの フィルタに⼊⼒した.出⼒𝑣(𝑡)に最も 近い波形はどれか.(28ME) 抵抗の電圧𝑣(𝑡)が出⼒になっている.⼊⼒を𝑣とすると 𝑣(𝑡)は充電時𝑣 𝑡 = 𝑣𝑒+

    ! "# ,である. また放電時は𝑣 𝑡 = −𝑣𝑒+ ! "# ,である. 以上から1が正解のように思える.しかし,時定数は 𝜏 = 1×10+-×1×10- = 1𝑠 である.つまり,𝑣 𝑡 = 𝑣𝑒+,となる.例えば1sのときの𝑣(𝑡) は 𝑣 1 = 𝑣𝑒+. ≈ 𝑣× 1 3 ≈ 0.3𝑣 であり,1のように0.5msで0に近い値になることはない. 逆に,0.5ms後でも𝑣(𝑡)はほぼ⼊⼒𝑣のままである. よって4が答えである. ⼊⼒ 𝑉* 𝑉* 𝑉* 𝜏⼩ 𝜏中 𝜏⼤
  11. 問題 • 図の回路でコンデンサが 1000V で充電された状態でスイッチを 閉じ る。スイッチを閉じてから1秒後の電流値[mA]に最も近いのはどれか。 (臨床⼯学技⼠国家試験30回) 1. 10

    2. 6.3 3. 5.0 4. 3.7 5. 1.0 コンデンサの放電なので,コンデンサの電圧 は指数関数的に減る.よって1秒後のコンデ ンサの電圧𝑉& は 𝑉 ! = 𝑉 𝑒# % &"$ = 1000×𝑒# % %,×%,$%×%,,×%,&×% = 1000𝑒#% 抵抗にはコンデンサと同じ⼤きさの電圧がかかる .ここで,𝑒を3と⼤雑把に近似すると,電流𝐼はオ ームの法則から 𝐼 = 333 100×10* = 3.33×10#* これに最も近い選択肢は4
  12. 問題 • コンデンサを10Vに充電した後,100Ωの抵抗で放電した場合のコンデ ンサにかかる電圧の経時変化を図の⽚対数グラフを⽰す.コンデンサ の静電容量[F]はどれか. (臨床⼯学技⼠国家試験34) 1. 0.02 2. 0.04

    3. 0.1 4. 0.2 5. 0.4 ໰୊ɹûĀɹίϯσϯαΛ ø÷ 7 ʹॆిͨ͠ޙɺø÷÷ X ͷ఍߅Ͱ์ిͨ͠৔߹ͷίϯσ ϯαʹ͔͔Δిѹͷܦ࣌มԽΛਤͷยର਺άϥϑʹࣔ͢ɻ ίϯσϯαͷ੩ి༰ྔ ʦ'ʧ ͸ͲΕ͔ɻ ÷ ø ù ú û ü ࣌ؒ ʦTʧ ిѹ ʦ7ʧ ý þ ÿ Ā ø÷ ø÷ ÿ þ ý ü û ú ù ø Ā øɽ÷ɽ ÷ù
  13. 問題 • コンデンサを10Vに充電した後,100Ωの抵抗で放電した場合のコンデンサにかかる電圧の経時変化 を図の⽚対数グラフを⽰す.コンデンサの静電容量[F]はどれか.(臨床⼯学技⼠国家試験34) 1. 0.02 2. 0.04 3. 0.1

    4. 0.2 5. 0.4 ໰୊ɹûĀɹίϯσϯαΛ ø÷ 7 ʹॆిͨ͠ޙɺø÷÷ X ͷ఍߅Ͱ์ిͨ͠৔߹ͷίϯσ ϯαʹ͔͔Δిѹͷܦ࣌มԽΛਤͷยର਺άϥϑʹࣔ͢ɻ ίϯσϯαͷ੩ి༰ྔ ʦ'ʧ ͸ͲΕ͔ɻ ÷ ø ù ú û ü ࣌ؒ ʦTʧ ిѹ ʦ7ʧ ý þ ÿ Ā ø÷ ø÷ ÿ þ ý ü û ú ù ø Ā øɽ÷ɽ ÷ù ùɽ÷ɽ ÷û úɽ÷ɽ ø ûɽ÷ɽ ù üɽ÷ɽ û ໰୊ɹü÷ɹෳૉ਺ͷภ͕֯ -  r rad ͱͳΔͷ͸ͲΕ͔ɻ ͜Ε͸ɼయܕతͳ$3ճ࿏ͷ์ిͰ͋Δɽίϯσϯαʹ͔͔Δిѹ7D͸ࢦ਺ؔ਺తʹݮਰ͢ΔɽΑͬͯ 𝑉 / = 10𝑒+ $ "#Ͱ͋Δɽ 3ͳͷͰ 𝑉 / = 10𝑒+ $ !%%"ͱͳΔɽ͜͜Ͱ − , .00* = −1ͷ࣌Λߟ͑Δɽ͜ͷͱ͖ɼ𝑉 / ͸𝑉 / = 10𝑒+. = .0 1 ͱͳΔɽFͱେ·͔ʹۙࣅ͢Δͱ𝑉 / ͸໿7Ͱ͋Δɽ ͦͷ࣌ͷ࣌ؒ͸άϥϑ͔Βɼ͓͓ΑͦTͰ༗Δ͜ͱ͕෼͔ΔɽΑͬͯ$ͳͷͰɼ $ͱͳΔɽ この⼿の問題のコツ:− 𝒕 𝝉 = −𝟏とおく.
  14. 問題 • 図の回路において、スイッチをa側にして⼗分時間が経過した後、b 側に切換えた。正しいのはどれか。(臨床⼯学技⼠国家試験29回) a. 抵抗の最⼤電流値は 100mA である。 b. 回路の時定数は

    0.1s である。 c. コンデンサの両端電圧の最⼤値は 5V である。 d. コンデンサの両端電圧は指数関数的に増加する。 e. 抵抗に流れる電流は指数関数的に減少する
  15. 問題 • 図の回路において、スイッチをa側にして⼗分時間が経過した後、b側に 切換えた。正しいのはどれか。(臨床⼯学技⼠国家試験29回) a. 抵抗の最⼤電流値は 100mA である。 ⼗分充電しているのでコンデンサの電圧の最⼤値は10Vである.このとき流れる 電流は

    +,- +,,. = 0.1𝐴となる.よって正しい. b. 回路の時定数は 0.1s である。 時定数は𝜏 = 𝐶𝑅 = 100𝜇×100𝑠 = 10000𝜇𝑠 = 0.01𝑠である.よって間違い. c. コンデンサの両端電圧の最⼤値は 5V である。 コンデンサの電圧の最⼤値は10Vである.よって間違い. d. コンデンサの両端電圧は指数関数的に増加する。 放電するのでコンデンサの電圧は指数関数的に減少する.よって間違い. e. 抵抗に流れる電流は指数関数的に減少する. 放電するのでコンデンサの電圧は指数関数的に減少する.オームの法則から,電 圧が指数関数的に減少すれば電流も指数関数的に減少するので,正しい.
  16. 過渡現象 (オン) • 図のように,抵抗とコイルを直流電源に繋いだ時の電圧変化は次のよ うになる. • コイルの電圧𝑉! の時間変化 • 𝑉/

    = 𝑉𝑒## ' $ • 抵抗の電圧𝑉" の時間変化 • 𝑉" = 𝑉(1 − 𝑒## ' $) • 𝝉 = 𝑳/𝑹としたとき,τを時定数と呼ぶ. 重要 𝑉/ 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉"
  17. 過渡現象 (オフ) • 図のように,抵抗とコイルを直流電源に繋いだ時の電圧変化は次のよ うになる. • コイルの電圧𝑉! の時間変化 • 𝑉/

    = −𝑉 𝑒## ' $ • 抵抗の電圧𝑉" の時間変化 • 𝑉" = 𝑉 𝑒## ' $ • 𝝉 = 𝑳/𝑹としたとき,τを時定数と呼ぶ. 重要 𝑉/ 𝐿 𝑅 𝑖 𝑉 𝑉"
  18. まとめ(LR回路の場合) • 電圧は指数関数的に変化する. • 抵抗の電圧を⾒た時,⼊⼒を蓄積しているよう に⾒える. • 抵抗の電圧を⾒たとき,LR回路は積分回路であ る. •

    コイルの電圧を⾒た時,⼊⼒が変化した時を捉 えているように⾒える. • コイルの電圧を⾒たとき,LR回路は微分回路で ある. 重要 𝑉) 𝑉 𝑉) 𝑉4 積分 微分
  19. 問題 • 図の回路において𝑡 = 0でスイッチを⼊れた.正しいのはどれか.(国 家試験27) 1. 時定数は𝐿𝑅である. 2. 直後に抵抗にかかる電圧は𝐸となる.

    3. 直後に流れる電流は$ " となる. 4. 時間が⼗分に経過すると抵抗にかかる電圧は$ % となる. 5. 時間が⼗分に経過すると抵抗で消費される電⼒は$/ " となる.
  20. 問題 • 図の回路において𝑡 = 0でスイッチを⼊れた.正しいのはどれか.(国家試験27) 1. 時定数は𝐿𝑅である. 2. 直後に抵抗にかかる電圧は𝐸となる. 3.

    直後に流れる電流は5 ) となる. 4. 時間が⼗分に経過すると抵抗にかかる電圧は5 6 となる. 5. 時間が⼗分に経過すると抵抗で消費される電⼒は5& ) となる. 1. 時定数はL/Rである.これは間違い. 2. 直後に抵抗にかかる電圧は0である. これは間違い. 3. 直後に流れる電流は0である. これは間違い. 4. 時間が⼗分に経過すると抵抗にかかる電圧はEである. これは間違い. 5. 時間が⼗分に経過すると抵抗にかかる電圧はEなので,抵抗で消費される電⼒は 𝑊 = 𝐼𝑉 = 𝐸0/𝑅 なので,これが正解.
  21. 問題 • 図の回路でスイッチを閉じてから1ms後にインダクタの両端にかかる 電圧[V]に最も近いのはどれか.ただし,⾃然対数の底eは2.7とする. 1. 1.5 2. 1.2 3. 0.9

    4. 0.6 5. 0.3 ໰୊ɹüøɹਤͷճ࿏ͰεΠονΛด͔ͯ͡Β ø NT ޙʹΠϯμΫλͷ྆୺ʹ͔͔Δి ѹ ʦ7ʧ ʹ࠷΋͍ۙͷ͸ͲΕ͔ɻ ͨͩ͠ɺࣗવର਺ͷఈ e ͸ ùɽ þ ͱ͢Δɻ øɽøɽ ü ùɽøɽ ù úɽ÷ɽ Ā ûɽ÷ɽ ý üɽ÷ɽ ú øɽ ü 7 ø ) ø LX
  22. 問題 • 図の回路でスイッチを閉じてから1ms後にインダクタの両端にかかる電圧[V]に最も近いのはどれか.ただし,⾃然対 数の底eは2.7とする. 1. 1.5 2. 1.2 3. 0.9

    4. 0.6 5. 0.3 ѹ ʦ7ʧ ʹ࠷΋͍ۙͷ͸ͲΕ͔ɻ ͨͩ͠ɺࣗવର਺ͷఈ e ͸ ùɽ þ ͱ͢Δɻ øɽøɽ ü ùɽøɽ ù úɽ÷ɽ Ā ûɽ÷ɽ ý üɽ÷ɽ ú øɽ ü 7 ø ) ø LX ΠϯμΫλ͸ίϯσϯαͱಛੑ͕ٯͳͷͰɼεΠο νΛΦϯʹ͢ΔͱΠϯμΫλʹ͔͔Δిѹ͸ࢦ਺ؔ ਺తʹݮਰ͍ͯ͘͠ɽͭ·Γɼ𝑉1 = 𝑉" 𝑒#2/4ɽ࣌ఆ਺ ͸-3Ͱ͋Δɽ Αͬͯ 𝑉1 = 1.5×2.7# ,.,,+6×+,,,. +8 = 1.5×2.7#+ ≈ 0.56