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TDD同期におけるpcapを利用したローカル5G分析【MIXI TECH CONFERENCE 2023】

TDD同期におけるpcapを利用したローカル5G分析【MIXI TECH CONFERENCE 2023】

MIXI TECH CONFERENCE 2023
にてお話した市野の資料です。

動画:https://youtu.be/rbkUWFY6wAg
セッション詳細:https://techcon.mixi.co.jp/2023/d2-4

MIXI ENGINEERS

March 02, 2023
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Transcript

  1. 自己紹介 株式会社MIXI 開発本部CTO室インフラグループ 市野 真⼀ / Shinichi Ichino 仕事内容 :

    配信・伝送・電波 と ペーパーワーク ⇨ 位置情報・電⼦回路(ハンダ ⇨ 映像伝送・動画配信 ⇨ 電波・無線通信 ※ローカル5G と ⾃社開発カメラ で 無線映像伝送 ← きょうのおはなし 2 ©MIXI
  2. ローカル5Gおさらい ~ 無線通信の通信⽅式。TDDとFDD・同期と準同期 ~ 移動局(UE)数でのパケット差分 ~ 1UE と 2UE の到達パケット⽐較

    ~ 基地局(RU)の単体・複数での差分 ~ ローカル5Gカメラと⾃転⾞搭載撮影映像 ~ まとめ・これからのMIXIローカル5G ~ 準同期・Rel-16 への期待 ~ Program AGENDA 4 1 2 3 ©MIXI
  3. ローカル5Gおさらい ~ 無線通信の通信⽅式。TDDとFDD・同期と準同期 ~ 移動局(UE)数でのパケット差分 ~ 1UE と 2UE の到達パケット⽐較

    ~ 基地局(RU)の単体・複数での差分 ~ ローカル5Gカメラと⾃転⾞搭載撮影映像 ~ まとめ・これからのMIXIローカル5G ~ 準同期・Rel-16 への期待 ~ Program AGENDA 4 1 2 3 ©MIXI
  4. 2023年3⽉現在、さまざまな無線通信規格が存在しています 無線映像伝送のあり⽅、各種周波数帯の有益な使い⽅を模索中です ⇨ MIXIでは BLE, sXGP, Wi-Fi のアンライセンスバンド、 ローカル5G のライセンスバンドを利⽤

    MIXI社としての取り組み ⇨ 開発本部CTO室では各種映像技術に取り組んでいます IoTで使われる無線通信 佐藤 太⼀「MIXI新映像技術へのチャレンジ」セッション参考 https://techcon.mixi.co.jp/d1-7 5 短距離無線 NFC 無線PAN(Personal Area Network) BLE, Bluetooth, ZigBee 無線LAN(Local Area Network) Wi-Fi 無線MAN(Metropolitan Area Network) Flash-OFDM, iBurst 無線WAN(Wide Area Network) LPWA, 3G, 4G, 5G etc... ※ “無線で映像伝送” ではなく “低遅延でコンパクトに無線映像伝送” をしたかった ©MIXI
  5. 無線通信は不安定︕︕。。具体的には、障害物と他の機器との混信・電波⼲渉 障害物に弱い ・ アンテナまでの間で障壁があると通信性能低下 ・ 反射した電波を拾うことがあり 通信性能低下 混信・電波⼲渉 ・ 免許不要の周波数帯は⾃由に利⽤可能

    ・ 他のアクセスポイントと共存してしまう ・ 端末から⾒て同周波数が存在すると迷⼦状態 アンライセンスバンドWi-Fiの難点「不安定なRTT」 とある⼀般家庭のWi-Fi環境 200ms毎のping連打の結果 ときおりRTTハネる この感じが嫌ですよね 3000 packets transmitted, 3000 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max/stddev = 4.050/8.457/555.888/15.460 ms ⇨ 映像伝送等の連続したパケット送信に向かない 結果として 画・⾳の ノイズにつながる “フェージング“と⾔います 6 ✓ ✓ ©MIXI
  6. 混信を避けパケットロスなく安定したRTTを得られる 安定したパケット到達性 ・混信が無いためRTTが安定 ・端末のバッファ性能にも助けられ パケットロスが⾮常に⾮常にすくない 混信・電波⼲渉 ・⼲渉を避けるため設置前に周辺電波調査が必要 ・混信を避けながら運⽤が可能 ライセンスバンドのローカル5Gは安定したRTT 3000

    packets transmitted, 3000 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max/stddev = 15.685/30.086/60.563/7.897 ms 7 とあるローカル5G環境 200ms毎のping連打の結果 ⇨ 映像伝送で利⽤されるUDPパケット送信に有益 (と考えたが、、あまかった・・・) ©MIXI
  7. 現無線通信には、2つの通信⽅式が存在します。 ・TDD(Time Division Duplex) ︓時間分割⼆重通信 ・FDD(Frequency Division Duplex)︓周波数分割⼆重通信 上り(UL :

    アップロード)と下り(DL : ダウンロード)の分割軸をなににするかの違いです どちらも⼀⻑⼀短ではある。※ローカル5Gでは「TDD」が採⽤されています 半⼆重に類似。時間で上り下りを分割して周波数を無駄なく利⽤ ⾼周波数帯利⽤でない場合、超低遅延の実現が難しい 全⼆重に類似。利⽤していないときに無駄となる 上り下りが分割され安定して通信可能だが幅広い周波数帯が必要 無線通信のTDD・FDD TDD 8 TDDとFDDの双⽅向無線通信 イメージ図 基地局(RU) FDD 移動局(UE) ©MIXI
  8. TDDは、UL, DL のタイミングには 3パターン存在しています。 キャリア5Gと同じタイミングで DL,UL を⾏う”完全同期”が基本となりますが、 ULタイミングを増やした準同期・⾮同期も存在してます。※MIXIでは 完全同期 のみを確認している

    完全同期のスループットは、DL : 400Mbps, UL : 50Mbps ※上記の数字は当社ローカル5G環境での数字です また、⼀番スループットが出るところでの値になります TDD準同期(4.5:5.5)になれば、UL : 200Mbps 程度(推測値 RTT(NW遅延)は、20-30ms前後。現場・環境によって違うかも 電波を反射・吸収する⼈間の体。現場の⼈数によっても変化 ︖ TDDの同期・準同期・非同期 ✓ ✓ ⇨ Sub6 ローカル5Gで 夢のような帯域を確保できるわけではない 9 ※TDD完全同期(UL:DL = 1:4) キャリア5G 完全同期 ⾮同期 準同期 キャリア5G / ローカル5G TDD 同期・⾮同期・準同期 イメージ図 DL : UL : キャリア5Gとローカル5G DL/ULタイミングが定義されている ©MIXI
  9. ローカル5G TDD同期のフレーム構成とスロット 10 ・・・ フレーム構成 スロット番号 ・・・ ※映像データを構成するIフレーム・Pフレームはデータ量が⾮常に多いため多くのスロットを必要とする TDD通信⽅式では UL,

    DL のタイミングが定義されています。 キャリア5G と同じタイミングで UL,DL を⾏う “ローカル5G TDD同期” では、 ⼀般利⽤の需要に合わせて、UpLink より DownLink のフレームが多く割り振られています。 UpLinkは5ms毎に割り当てられているため、⼤量のパケットを低遅延で送ることは困難です。 端末が増えるとULスロットの必要数が多くなり渋滞状態となってしまうため更に困難になります。 ©MIXI
  10. ローカル5Gおさらい ~ 無線通信の通信⽅式。TDDとFDD・同期と準同期 ~ 移動局(UE)数でのパケット差分 ~ 1UE と 2UE の到達パケット⽐較

    ~ 基地局(RU)の単体・複数での差分 ~ ローカル5Gカメラと⾃転⾞搭載撮影映像 ~ まとめ・これからのMIXIローカル5G ~ 準同期・Rel-16 への期待 ~ Program AGENDA 4 1 2 3 ©MIXI
  11. 可能な限り低遅延伝送を実現するべくUDPパケットをそのままで送ることを意識 これまでに開発してきたエンコーダ・デコーダの実装は以下のとおり MIXIローカル5G映像伝送ソフトウェア 12 基地局(RU) Linux ⾃社開発カメラ 移動局(UE) Windows udp

    over tcp pcapの取得はLinuxに入ったタイミングで取得 最終映像出力はwindows 映像出⼒ udp udp Linuxで受けshapingして転送 ローカル5G core(5GC等) ShapingServer Decoder/cplane Encoder ©MIXI ※Shaping = デコード速度に合わせてパケットの平準化 & 再送信
  12. UE複数台のときの課題 15 前⾴、前々⾴の考察から UEが複数台あると UpLink の割当が不安定となることがわかった 以下のグラフは1台のUEの電波受信状況を悪くしたときのパケット到達の状況です UE電波受信レベルなどでスケジューリング周期の崩れが 発⽣した場合は連続してパケットを送ることが難しくなる。 映像伝送を⾏いたい場合、

    ネットワーク・システムに⼗分な帯域幅がある場合でも、 TDD同期・スケジューリングオーバーヘッド・サイクル などによって発⽣するバルクフレームによってノイズが発⽣する 映像伝送では到達性の不安定は致命的となるため、 スケジューリングが重要になると考えています ©MIXI UE1 UE2
  13. ローカル5Gおさらい ~ 無線通信の通信⽅式。TDDとFDD・同期と準同期 ~ 移動局(UE)数でのパケット差分 ~ 1UE と 2UE の到達パケット⽐較

    ~ 基地局(RU)の単体・複数での差分 ~ ローカル5Gカメラと⾃転⾞搭載撮影映像 ~ まとめ・これからのMIXIローカル5G ~ 準同期・Rel-16 への期待 ~ Program AGENDA 4 1 2 3 ©MIXI
  14. 自転車搭載可能な車載カメラ開発 ⾃作カメラ、1080p/H.264圧縮伝送、ローカル5G伝送遅延350ms カメラ内部基盤 17 RaspberryPi Zero + RaspiCam + 5G

    dongle + 電⼦配線 スーパーキャパシタ + 中継基板(⾃作回路) 型番 : m5gvc0004-250 5G CAMERA POWER 伝送遅延計測 ©MIXI 吉野 純平「デバイス構築という挑戦」セッション参考 https://techcon.mixi.co.jp/d1-8
  15. ローカル5Gおさらい ~ 無線通信の通信⽅式。TDDとFDD・同期と準同期 ~ 基地局(RU)の単体・複数での差分 ~ ローカル5Gカメラと⾃転⾞搭載撮影映像 ~ 移動局(UE)数でのパケット差分 ~

    1UE と 2UE の到達パケット⽐較 ~ まとめ・これからのMIXIローカル5G ~ 準同期・Rel-16 への期待 ~ Program AGENDA 4 1 2 3 ©MIXI
  16. ローカル5Gでの映像伝送開発、5GCの独⾃開発に向けて、 MIXIローカル5Gラボを渋⾕オフィス内に構築(予定)。再度ローカル5G免許申請、、、。ガンバル︕︕ MIXIローカル5Gラボ(予定) 23 Sub6 n79 TDD準同期 ⾃社SW 屋内型RU Internet・Cloud

    DU WDM・MC ⾃社アプリサーバ ⾃社開発カメラ MIXI Local5GLabo 渋⾕オフィス RHUB CU 5GC WDM・MC 5G SW MIXI Local5G Labo データセンター GM RHUB/DU間はダーク接続中距離伝送 RUはオフィス設置 GPS信号は遠隔地から長距離伝送された信号を利用 RU以外はiDC収容 エンコーダ デコーダ 映像出⼒ ©MIXI
  17. 今後実施事項(仮) 準同期 ⇨ アップロードスロットの拡張で上り帯域のスループット向上 ⇨ 3台以上のUE台同時パケット伝送(映像伝送) Rel-16 ⇨ NR Rel-16

    では NR Rel-15 よりも短い間隔で送受信することが可能となる ⇨ 遅延の低減が⾒込まれ、パフォーマンス向上に期待 Point 01 Point 02 24 ©MIXI