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共通言語で共通の課題に相対するチームを作る
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bayashi
June 26, 2021
Programming
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共通言語で共通の課題に相対するチームを作る
Scrum Fest Osaka2021 品川トラックでの発表です。
bayashi
June 26, 2021
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Transcript
共通言語で共通の課題に 相対するチームを作る Scrum Fest Osaka 2021 2021/6/26 Kei Murabayashi
むらばやし@bayashimura フォースタートアップス株式会社 エンジニア CSM/CSPO/CAL1 品川アジャイルでは珍しい フォートナイト未プレイ 自己紹介
今日話す内容 チーム開発でよくある 「個人が抱える課題感がチームに伝わらない」 という状況。 この発表では - その時チームに何が起こっているのか - どうやってその状況を打破するか
について話していきます
前置き この発表ではビルドトラップという単語が出てきます これは 「プロダクトマネジメント - ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける」 で紹介された単語で 「アウトカムを考えずにアウトプットばかりに 追求してしまう状態」
を指します
よくある悩み ある日の開発チームの様子
よくある悩み 顧客の要望なので 最優先で作ります
先月に出した、急な依頼で 作ったやつ全然使われてない なぁ よくある悩み
よくある悩み これを作れば業務が 改善するらしいんです
よくある悩み 仕事かったるいので 帰ります
よくある悩み 我々価値について 考えられてない気がする
よくある悩み 価値について 考えていきましょう!
よくある悩み ちょっと何言ってるかわ かりません はぁ(こいつ面倒くせぇ なぁ) とりあえずこのバグ 直してから考えます 価値について考えてるに 決まってるでしょ!
よくある悩み ちょっと何言ってるかわ かりません はぁ(こいつ面倒くせぇ なぁ) とりあえずこのバグ 直してから考えます 価値について考えてるに 決まってるでしょ!
全然伝わってない!!
よくある悩み この時のみんなの脳内状況
課題感を持っている人の脳内 これリリースしても使わな い機能になりそう 顧客は自分が本当に欲 しいものを理解できてる のかな みんなモチベーション上 がってない
課題感が伝わっていない人の脳内 そもそもリリース日 までに出来上がらないと 意味ない これを作ることが 顧客のためだろ 顧客が要望してるんだか ら顧客のためになるに決 まっているじゃん
この差はどこから発生してるのか 「アウトカムのことを考えずにアウトプットを追求すると 結局それを求めていた顧客すら喜ばない」 という概念や それらをまとめる 「ビルドトラップ」 という言葉を持っているかどうか
Hypocognition 対象に対する言語あるいは認知的な表現の欠如。直訳すると低認知。 例えば赤色の色んな表現を知っている人はそれらを見分けることが 出来るが、赤色しか知らない人は赤としか認識できない 紅色 赤色 朱色 紅葉色
真紅色 赤色
Hypocognitionの具体的な例 糖尿病という概念があると - 頻尿 - 口が渇く - 目が霞む といった症状が表れるとそれら症状を 紐付け「自分は糖尿病なのではない
か?」という発想がでてくる 糖尿病かも? 頻尿 目が霞む 口が渇く
Hypocognitionの具体的な例 糖尿病という概念がないと それらの諸症状から自分が糖尿 病である可能性にたどり着けな い。適切な対処を取れない。 最近目が霞むし口乾 くなー。トイレ行こ 頻尿 目が霞む 口が渇く
Hypocognitionの具体的な例 「アメリカで糖尿病を患っている人の3分の1が、糖尿病をHypocognitionしてお り必要な治療を受けようとしません」 * * https://blogs.scientificamerican.com/observations/unknown-unknowns-the-problem-of-hypocognition/
課題を持っている人の脳内 先月に出した、急な依頼で 作ったやつ全然使われてな い、、、 顧客の要望なので 最優先で作ります 仕事かったるいので 帰ります これを作れば業務が改善
するらしいんです ビルドトラップに ハマっているかも? ビルド トラップ 過去の経験・知識
課題を持っていない人の脳内 顧客の要望なので 最優先で作ります 仕事かったるいので 帰ります これを作れば業務が改善 するらしいんです 問題は何もない! 過去の経験・知識
Hypocognition 先月に出した、急な依頼で 作ったやつ全然使われてな い、、、
じゃあどう解消するか?
言葉と概念をみんなで学ぶ
うちのチームでやったこと - 輪読会 - 勉強会 - ふりかえり
輪読会 - ビルドトラップ、アウトカムという 単語を得たくて実施 - プロダクトマネジメントをプロダクトオーナー、 エンジニア、マネージャー含めてみんなで読む -
週に1時間、二ヶ月程かけて読了
本を読み感想を言い合う - 半分の時間で本を読んで、 半分の時間で感想戦 - ここで各々の過去の経験と結びついたり 「これはビルドトラップになるんだろうか」 などの対話が発生
- 対話によってビルドトラップという 言葉と概念が深く刻まれる
当人が持つ経験則(素朴理論)と 科学的概念、教科書的知識を紐付ける際に 対話をすることで深く結びつく 素朴理論
勉強会 新しい単語を学んだ人が紹介する - 「CREATEアクションファネル *1 」 「自己強化型フィードバックループ *2 」 「フロー効率
*3 」などなど - 対話があまり発生しないため、そこまで深く刻まれない - 時間は短くて済む *1 行動を変えるデザイン Stephen Wendel (著) *2 世界はシステムで動く ドネラ・H・メドウズ (著) *3 This is Lean 二クラス・モーデ ィグ (著), パール・オールストローム (著)
(上級編)ふりかえりで新しい言葉を作る 紹介する言葉、概念がないときは、自分たちで作りましょう ふりかえりの結果自分たちで新しく得た価値観を 自分たちの言葉として新しく作る - ネクストアクションに名前をつけたり - 共通の価値観を共通の言葉に昇華する
ふりかえりで新しい言葉を作る リファインメントの時にUX のこと議論しすぎでは? 確かに。その議論する時 間で直接聞いちゃえよっ て感じある。 UXについての議論が 堂々巡りになったら 注意する役割置く?
いいねー、UXポリスだ
新しい言葉を作る意味 「UXの議論って堂々巡りに成りがちだよね だったら議論は手早く切り上げてユーザに聞いちゃえば?」 という価値観をUXポリスという単語で端的に表せる - チームの議論が高速になる - 単語が価値観を呼び思い出すトリガーになる
色々やった結果チームはどうなったか - ビルドトラップという概念と単語を得る - チーム内での議論に新しく得た共通言語を使うように - それビルドトラップにはまってます -
CREATEアクションファネルで言うCUEのところでつまずきそう - 自己強化型フィードバックループがありますねここ - 共通言語を使い、高速に意思疎通を図るように - 誰か一人が伝わらない課題感を持ち続けることがちょっと減った
余談 - 先週この発表の素振りをチームの前でやってきました - そこからHypocognitionという単語をちょこちょこ使うようになる - Hypocognitionという共通言語も得た。良かった。
どうなったか こんな機能欲しい から作ってちょ
どうなったか こんな機能欲しい から作ってちょ これやると ビルドトラップにハマるやつ だ...!
どうなったか あー、まぁそのうち。 前向きに善処します。
どうなったか あ、そう? まぁいいけど...
どうなったか あ、そう? まぁいいけど... 次はチーム外の人とも 共通言語作ってこ!
まとめ 自分の悩みとかを伝えても理解してもらえない「共通言語がない」状態 みんなで輪読会とかして、共通の言葉と、共通の価値観を得ていきましょう。 それではみなさん良いチーム開発ライフを!
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