2022年2月17日(木), 18日(金)開催の Developers Summit 2022 の発表資料です。
110年後もエンジニアが成長し続けるためにできることを、20年続く組織の中から考える株式会社ナビタイムジャパン 小田中
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小田中 育生 (おだなか いくお)(株)ナビタイムジャパンVP of EngineeringACTS(研究開発) ルートグループ責任者経路探索の研究開発部門責任者としてGPGPUを活用した超高速エンジンやMaaS時代にフィットしたマルチモーダル経路探索の開発を推進移動体験のアップデートに携わりながら、VPoEとしてアジャイル開発の導入推進、支援を行う。著書「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」インプレス2
3いきいきしてますか?
4どんなときにいきいきしていると感じますか?
5世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある
6あなたの所属する組織は「なぜここにいるのか」
ナビタイムジャパンの場合
8描いたビジョンへ向かうためにはプロダクトが必要
9ビジョンプロダクト
10プロダクトを作り動かし続けるには技術が必要
11ビジョン支える技術プロダクト
12技術を使って物を作り動かすのは人。人が働き、そして育つ環境が必要
13ビジョン支える技術育つ環境プロダクト
エンジニアが「いきいき」するとき14世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある
15世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある育つ環境支える技術プロダクト
16エンジニアがいきいきするために必要なことは組織にとっても必要
17令和元年版 労働経済の分析 ー人手不足の下での「働き方」をめぐる課題についてー厚生労働省 p.178より引用
18エンジニアはいきいきしていない?
19世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある育つ環境支える技術プロダクト
20エンジニアがいきいきするために必要なことは組織にとっても必要・・・なのに、なぜ?
2110年後もエンジニアが成長し続けるためにできることを、20年続く組織の中から考える株式会社ナビタイムジャパン 小田中
22要求水準の高度化
20年前の弊社のプレスリリース「ケータイでナビができる!」こと自体が価値だった23https://corporate.navitime.co.jp/topics/topics2002.html
魅力品質は当たり前品質になっていくもし、2022年現在も「ケータイで○○できる!」だけがセールスポイントだとしたら?24湯前 慶大 「ゲーム事業を持続成長させる組織をつくる」Agile TECH EXPO New Normal Agile Episode1 2021/1/23 より
25結果意思決定行動フィードバックに基づき品質を向上させる持続的イノベーション価値価値価値価値
26組織が生存するためにプロダクトの成熟が必要
27環境の変化
282009年3月のプレスリリースこの頃はフィーチャーフォン向けのプロダクト開発が盛んだった2022年1月のプレスリリースコンシューマ向けプロダクトの多くがスマホを前提としているスマホシフトもし、2022年現在もフィーチャーフォン向けのプロダクトしかなかったら?
29同じ前提の中で改善を重ねるだけでは適応できない環境の変化がある前提フィーチャーフォン結果意思決定行動価値価値価値価値
30前提フィーチャーフォンスマホへシフト結果意思決定行動価値価値価値価値スマホが台頭結果から前提さえもくつがえす学習(ダブルループ学習)
31組織が生存するためにプロダクトの成熟勝ちパターンのアンラーニングが必要
32世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある育つ環境支える技術プロダクト環境の変化・アンラーニング・プロダクトの成熟要求水準の高度化
33世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある育つ環境支える技術プロダクト環境の変化・アンラーニング・プロダクトの成熟・実現力・変更容易性の高い設計・新技術の採用要求水準の高度化
34世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある育つ環境支える技術プロダクト環境の変化・アンラーニング・プロダクトの成熟・実現力・変更容易性の高い設計・新技術の採用要求水準の高度化・オーナーシップ醸成・新しい技術の習得・技術力の向上
組織が生存するために必要なこと35新技術の採用変更容易性の高い設計組織の生存ビジネスの継続・発展プロダクトの成熟 アンラーニング実現力新技術の習得技術力の向上オーナーシップ醸成
組織の生存に必要な要素は、エンジニアがいきいきするための要素36新技術の採用変更容易性の高い設計組織の生存ビジネスの継続・発展プロダクトの成熟 アンラーニング実現力新技術の習得技術力の向上オーナーシップ醸成
前提が変わるような変化に適応するには組織もエンジニアもアンラーニングが必要37新技術の採用変更容易性の高い設計組織の生存ビジネスの継続・発展プロダクトの成熟 アンラーニング実現力新技術の習得技術力の向上オーナーシップ醸成
38エンジニアも組織もアンラーニングでいきいきする
39じゃあ、アンラーニングできる組織について考えてみよう
40変化を前提とする組織
41変化するべき時は、いつ?またそれは、どうやって気づく?
私がいまからお話する流れ42• 短期的な変化を現場主導でしかける• そのために小さな変化を現場で捉える仕組みをつくる• 対話なき変化の動きは現状維持バイアスを招く• 対話を中心に据えたOKRの運用で変化に適用しよう• 対話をする際には「太陽」アプローチでいこう
43話は変わりますが
44渋滞がどのように発生するかご存知ですか?
構造的に発生するもの→発生前に予見できる45https://corporate.navitime.co.jp/topics/pr/202112/16_5423.html
偶発的に発生するもの→誘因が発生してからの対応になる46https://corporate.navitime.co.jp/topics/pr/202111/17_5405.html
中長期的ビジョンを持つ組織は構造的なものへの対応に長けている47構造的なもの
実際に手を動かしている現場は偶発的なものへの対応に長けている48偶発的なもの
ビジョンに基づいた変化は組織がしかけ偶発的な変化は現場主導で対応していく49偶発的なもの構造的なもの
現場の判断で行動できる体制づくり50例えば組織のフラット化メンバー経営※弊社の場合、2012年に組織がピラミッド構造からフラット構造へ転換このときは当時のミドルマネジメント層以上でトップダウン的に決定
小さな変化を現場で捉える仕組みを入れる51計画作り開発作成物レビューふりかえり朝会例えばアジャイル開発小さく繰り返し的に作り短いスパンで学びながら変化
52変化を支える仕組みはどこから入れる?
53現場から、ボトムアップで始めればいい
54いい取り組みは組織に伝搬していく
55でも
56ボトムアップは「気づきベース」。組織は「まだら」に変わっていく。
57よろしい、ならばトップダウンだ
「現状維持バイアス」知らないものや経験したことのないものを受け入れることへの心理的抵抗(Status quo bias in decision-making1988, Richard Zeckhauser,William O.Samuelson)
59変化への理解・納得感なしにトップダウンで意思決定がなされると人は現状維持の重力に縛られる
2012年に「これからはスマホだ」と言われたら?それは納得感がある60総務省 平成29年版 情報通信白書「数字で見たスマホの爆発的普及(5年間の量的拡大)図表1-1-1-1 我が国の情報通信機器の保有状況の推移(世帯)」
2010年に「これからはスマホだ」と言われたら?意見は割れる61総務省 平成29年版 情報通信白書「数字で見たスマホの爆発的普及(5年間の量的拡大)図表1-1-1-1 我が国の情報通信機器の保有状況の推移(世帯)」
2007年に「これからはスマホだ」と言われたら?賛成する人はほぼいない62総務省 平成29年版 情報通信白書「数字で見たスマホの爆発的普及(5年間の量的拡大)図表1-1-1-1 我が国の情報通信機器の保有状況の推移(世帯)」
63キャズムイノベーターアーリーアダプターアーリーマジョリティレイトマジョリティラガード2.5% 13.5% 34% 34% 16%ジェフリー・ムーア 「キャズム Ver.2 増補改訂版」 翔泳社 よりキャズム前の段階での意思決定には理解・納得できない人が少なからず存在
中長期的な目線での変化では組織がイノベーターとなり64構造的なもの
現場で起こっていることへの適応は現場こそがイノベーターである65偶発的なもの
66キャズムイノベーターアーリーアダプターアーリーマジョリティレイトマジョリティラガード2.5% 13.5% 34% 34% 16%ジェフリー・ムーア 「キャズム Ver.2 増補改訂版」 翔泳社 よりそれぞれがイノベーターとして変化をしかけるとき、どう働きかけるといいか
67変化への納得感を生みまたそれを組織へと伝搬させるための強力な手段
OKRという目標管理方法68
会社とチームと個人をつなぐOKRツリー
定性的 定性的 定性的定量的 定量的 定量的定性的な目標(O)の達成を定量的な指標(KR)で計測するOKR
71OKRを導入すれば「自動的に会社の目標と個人の目標が連動する」?
一方通行の目標設定は何を引き起こすか72OKRKRO KRKR
実際に起こったこと73今期は、この目標でいきます!
実際に起こったこと74今期は、この目標でいきます!わかりました
75時は流れ…
低い達成度76OKRKRO KRKR
何が起こっていたのか77今期は、この目標でいきます!わかりました達成できそうにないねミッションと合ってないのでは
78OKRを機能させる双方向コミュニケーション
対話、フィードバック、承認(CFR)79高頻度な対話で重要な問いと向き合う具体的なフィードバックで改善のヒントを得る承認によりエンゲージメントが高まる
目標と目標は対話によって繋がれる80OKRKRO KRKR対話
O KR O KR O KRメンバーチームわれわれはなぜここにいるのかエレベーターピッチ会社たとえば、インセプションデッキでOKRを支える
82気をつけたいこと
83「当然/常識として/エンジニアなら」「○○するべきだ」
84無理やり動かすんじゃあない。自ら動いてもらうんだ。
85「こうすると認識がズレにくいです」「リードタイムが削減できそう」「他のチームで効果がありました」「メンバーがいきいきしてます」
あなたの立場が上だろうと下だろうと自分の理由ではなく相手が動く理由にフォーカスして働きかけたほうがよい86あなたが思うそれをするべき理由あなたが伝えたい相手が動く理由
87いったんおさらいします
88現場主導で変化をしかけて
89変化を伝搬させてゆく
ここまで話してきたこと90• 短期的な変化を現場主導でしかける• そのために小さな変化を現場で捉える仕組みをつくる• 対話なき変化の動きは現状維持バイアスを招く• 対話を中心に据えたOKRの運用で変化に適用しよう• 対話をする際には「太陽」アプローチでいこう
91育つ環境支える技術プロダクト環境の変化・アンラーニング・プロダクトの成熟・実現力・変更容易性の高い設計・新技術の採用要求水準の高度化プロダクトも環境も技術も、そこにいる人が納得感をもって変化していける・オーナーシップ醸成・新しい技術の習得・技術力の向上
92世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある育つ環境支える技術プロダクト環境の変化・アンラーニング・プロダクトの成熟・実現力・変更容易性の高い設計・新技術の採用要求水準の高度化・オーナーシップ醸成・新しい技術の習得・技術力の向上
93あらためて。いきいきしてますか?
94育つ環境支える技術プロダクト環境の変化・アンラーニング・プロダクトの成熟・実現力・変更容易性の高い設計・新技術の採用要求水準の高度化ここまで、組織が個人をいきいきさせるためのアプローチを話してきました・オーナーシップ醸成・新しい技術の習得・技術力の向上
95世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある
エンジニアがいきいきとするためにはたくさんの選択肢がある96いまいる会社 別の会社 コミュニティ
97あなたはどうしますか
小田中 育生 (おだなか いくお)(株)ナビタイムジャパンVP of EngineeringACTS(研究開発) ルートグループ責任者経路探索の研究開発部門責任者としてGPGPUを活用した超高速エンジンやMaaS時代にフィットしたマルチモーダル経路探索の開発を推進移動体験のアップデートに携わりながら、VPoEとしてアジャイル開発の導入推進、支援を行う。著書「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」インプレス98私は、どうするか
99ひとつの組織に属さなくてもいい時代に、それでも属し続けたい組織をつくる
100ひとつの組織に属さなくてもいい時代に、それでも属し続けたい組織をつくる
101なんとなくエンジニア交通の世界おもしろいマネジメント結構好きアジャイルいいじゃん交通事故をこの世からなくしたい組織を強くしたら、それはかなうかも現在に至る
102なんとなくから始まって今はやりたいこと、なすべきことが見えている状態。一直線のキャリアじゃないけどまちがいなく「いきいき」している
103育つ環境支える技術プロダクト環境の変化・アンラーニング・プロダクトの成熟・オーナーシップ醸成・新しい技術の習得・技術力の向上・実現力・変更容易性の高い設計・新技術の採用要求水準の高度化組織を作る人は、いきいきできる組織づくりを一緒にすすめましょう
104世の中が良い方向に変化する成果を生み出せる大好きな技術に触れていられる成長しているという実感がある皆さん、自分がいきいきすること、いきいきする瞬間を見つけましょう
10510年後もエンジニアが成長し続けるためにできることを、20年続く組織の中から考える株式会社ナビタイムジャパン 小田中
10610年後にまたお会いしましょう!
Thank you!107