Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
チームの透明性と心理的安全性
Search
NAVITIME JAPAN
PRO
September 19, 2020
Business
0
410
チームの透明性と心理的安全性
9/19(土)に開催される「XP祭り2020」にて発表する資料です。
NAVITIME JAPAN
PRO
September 19, 2020
Tweet
Share
More Decks by NAVITIME JAPAN
See All by NAVITIME JAPAN
つよつよリーダーが 抜けたらどうする? 〜ナビタイムのAgile⽀援組織の変遷〜
navitimejapan
PRO
22
14k
実践ジオフェンス 効率的に開発するために
navitimejapan
PRO
3
260
安全で使いやすいCarPlayアプリの 魅せ方:HIGと実例から学ぶ
navitimejapan
PRO
1
88
見えないユーザの声はログに埋もれている! ~ログから具体的なユーザの体験を数値化した事例紹介~
navitimejapan
PRO
6
2.3k
ユーザーのためなら 『デザイン』 以外にも手を伸ばせる
navitimejapan
PRO
2
1.3k
フツーのIT女子が、 Engineering Managerになるまで
navitimejapan
PRO
3
220
不確実性に打ち勝つOKR戦略/How to manage uncertainty with OKR strategy
navitimejapan
PRO
4
3.2k
アジャイルを小さいままで 組織に広める 二周目 / Agile Transformation in NAVITIME JAPAN iteration 2
navitimejapan
PRO
4
1.2k
変更障害率0%よりも「継続的な学習と実験」を価値とする 〜障害を「起こってはならないもの」としていた組織がDirtの実施に至るまで〜 / DevOps Transformation in NAVITIME JAPAN
navitimejapan
PRO
7
5.2k
Other Decks in Business
See All in Business
都営住宅建替え工事におけるDXの取組
tokyo_metropolitan_gov_digital_hr
0
360
DeFimans 会社紹介資料 Company Deck
defimans
0
210
東京都ツキノワグマ目撃等情報マップ
tokyo_metropolitan_gov_digital_hr
0
270
バイセルのものさし(Ver. 1.1)
buyselltechnologies
0
190
受託開発のアジャイル奮闘記
mifujita
1
10k
3次元データを用いた差分解析による工事発注への取組
tokyo_metropolitan_gov_digital_hr
0
370
「観察」をチームで実践できるか!? チームの視座をレベルアップするための挑戦!
rakuraku0615
1
210
【Otegami】「月経期間のパートナーとのすれ違いを軽減する」
hinalin
0
630
会社紹介資料
ldf_tech
1
320
GovTech Express
botexpress
1
190
G.U.Group 会社紹介資料
gugroup
0
270
enechain company deck
enechain
PRO
7
90k
Featured
See All Featured
The Web Performance Landscape in 2024 [PerfNow 2024]
tammyeverts
0
89
Faster Mobile Websites
deanohume
305
30k
Designing the Hi-DPI Web
ddemaree
280
34k
Dealing with People You Can't Stand - Big Design 2015
cassininazir
364
24k
Documentation Writing (for coders)
carmenintech
65
4.4k
ピンチをチャンスに:未来をつくるプロダクトロードマップ #pmconf2020
aki_iinuma
109
49k
Unsuck your backbone
ammeep
668
57k
Creating an realtime collaboration tool: Agile Flush - .NET Oxford
marcduiker
25
1.8k
Java REST API Framework Comparison - PWX 2021
mraible
PRO
28
8.2k
Git: the NoSQL Database
bkeepers
PRO
427
64k
CoffeeScript is Beautiful & I Never Want to Write Plain JavaScript Again
sstephenson
159
15k
Teambox: Starting and Learning
jrom
133
8.8k
Transcript
チームの透明性と心理的安全性 株式会社ナビタイムジャパン 小田中 育生
小田中 育生 (おだなか いくお) (株)ナビタイムジャパン VP of Engineering ACTS(研究開発) ルートグループ責任者
経路探索の研究開発部門責任者としてGPGPUを活用した超高 速エンジンやMaaS時代にフィットしたマルチモーダル経路 探索の開発を推進 移動体験のアップデートに携わりながら、VPoEとしてアジ ャイル開発の導入推進、支援を行う。 著書「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」インプレス
計画作り 開発 作成物 レビュー ふりかえり 朝会 現場ではスクラム開発を採用
「経験的プロセス制御の実現は、 透明性・検査・適応の3本柱に支えられている。」 https://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf より
計画作り 開発 作成物 レビュー ふりかえり 朝会 検査 適応 検査 検査
適応 日々、検査と適応を繰り返し スプリント単位で大きな 検査と適応がある
透明性 検査 適応 透明性があって初めて、検査することができる 検査結果をもとに対話し、適応していける
透明性はすべての起点になる。 いかに透明性を担保するか
「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」 Lesson 37 状況の見える化 より 「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」 Lesson 41 やったことの見える化 より
カンバン、ふりかえり
カンバンがあれば、ふりかえりがあれば 自動的に透明性が担保されるわけではない
「特にありません」問題
手つかずのタスクあるけど 何か手伝えることある? 大丈夫です…
透明性 検査 適応 透明性がなければ、検査できない 検査できないので、適応もできない
理想 現実 時間の経過 残 タ ス ク 検査も適応もないまま時間が流れ 開発は進まない
検査も適応もないままモノが作られ 本当に欲しかったものは手に入らない
手つかずのタスクあるけど 何か手伝えることある? 大丈夫です… どうにかしたい。でも、 メンバーが心を開いてくれないー。
かつてのチームがそうだった。 それぞれの課題にそれぞれで向き合っていた 課題 課題 課題 課題
共同化 (Socialization) 暗黙知→暗黙知 表出化 (Externalization) 暗黙知→形式知 内面化 (Internalization) 形式知→暗黙知 連結化
(Combination) 形式知→形式知 SECIモデル…野中郁次郎(一橋大学名誉教授)、竹内弘高(ハーバード大学ビジネススクール教 授、一橋大学名誉教授)により提唱されたナレッジマネジメントのフレームワーク。 すると、ナレッジが個人に蓄積されてしまう
透明性が ない 検査と適応 ができない プロセスが 改善しない プロダクトが 改善しない 個別の ナレッジ蓄積
が進行 組織が 学習しない 属人化が 進行する 透明性の欠如が引き起こす問題
何が透明性を阻むのか
透明性が ない カンバン など仕組み がない 見える化する 風土がない 共有への 抵抗感がある 失敗が許容されな
かった過去の体験 プライド Why 透明性の阻害要因
透明性を高めるには
小田中のチームでは、 課題共有に抵抗があるメンバーでも チーム内での共有は適切に行われていると 感じている
また、以前と比べて共有しやすい、 つまり透明性のある環境になっている
環境づくりに役立っていることは何か チームにアンケートをとってみた結果 「アラートを上げれば誰かがヘルプに入ってくれる」 という感覚をもてるので、アラートを上げやすい 1on1で相談できる時間が確保されている 会話ベースでのふりかえり、朝会での小話があるから メンバー間で会話しやすい雰囲気がある 何か問題事があったときにチームでよく話しあう印象があり、 問題事を話してもスルーされることがない感じがある
透明性が ない カンバン など仕組み がない 見える化する 風土がない 共有への 抵抗感がある 失敗が許容されな
かった過去の体験 プライド Why 仕組みの導入で解決できるのは 阻害要因の一部でしかない
透明性が ない カンバン など仕組み がない 見える化する 風土がない 共有への 抵抗感がある 失敗が許容されな
かった過去の体験 プライド Why 一人ひとりの中にある阻害要因と 向き合うアプローチ
経験に縛られているなら 経験をアップデートする 透明性が ない カンバン など仕組み がない 見える化する 風土がない 共有への
抵抗感がある 失敗が許容されな かった過去の体験 プライド Why
計画作り 開発 作成物 レビュー ふりかえり 朝会 検査 適応 検査 検査
適応 チーム内で毎日 「検査と適応」が回る環境を つくる。
朝会で カンバンとファイブフィンガー からアラートをキャッチし 朝会後すぐ、 ペアプロ・モブプロで フォローする
「このチームなら失敗を共有できる」 と実感してもらう 透明性が ない カンバン など仕組み がない 見える化する 風土がない 共有への
抵抗感がある 失敗が許容されな かった過去の体験 プライド Why 失敗がフォロー される経験
責任感が自分自身に帰属しているなら その範囲をチームにまで広げる 透明性が ない カンバン など仕組み がない 見える化する 風土がない 共有への
抵抗感がある 失敗が許容されな かった過去の体験 プライド Why
1on1 チームでの対話 1on1で個々と対峙し、 そこからチームの対話へつなげていく
計画作り 開発 作成物 レビュー ふりかえり 朝会 検査 適応 検査 検査
適応 ふりかえりの場で 「個人の頑張り」を 「チームへのコミット」に 変えていく
ゴールにたどりつくのは 一人ではなくチームで、という意識を持つ 透明性が ない カンバン など仕組み がない 見える化する 風土がない 共有への
抵抗感がある 失敗が許容されな かった過去の体験 プライド Why チームへの コミット
失敗を許容しチームでカバーする それを継続する ふりかえりを繰り返しながら コミットの焦点を個人からチームに変える
課題vs私たち、の構図に転換する 課題 課題 課題 課題
この積み重ねで私のチームは透明性を高め、 検査・適応できるようになりました
でも、この方法がどの現場でも うまくいくわけではない
現場の形は千差万別
心理的安全性を高める、 といったときに あなたは何を思い浮かべますか?
ハイタッチ ワークショップ 飲み会
アイスブレイクでハートブレイク問題
「お互いをよく知りましょう!」 「ハイタッチしましょう」 「ワイワイやりましょう」 その空気感が苦手な人もいる。
そう、「習得は困難」なんです。 https://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf より
https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html だからこそ、対話が大切。
対話を通して そのチームの、その人の特性を 理解する。 その特性を尊重して 施策を試していく。
1on1 …… 朝会での小話 1on1で個人を知った。 朝会で一人づつ「小話」を話し 「人に状況を伝える」ことに慣らしていった。
メンバーの体感としても効果があった 「アラートを上げれば誰かがヘルプに入ってくれる」 という感覚をもてるので、アラートを上げやすい 1on1で相談できる時間が確保されている 会話ベースでのふりかえり、朝会での小話があるから メンバー間で会話しやすい雰囲気がある 何か問題事があったときにチームでよく話しあう印象があり、 問題事を話してもスルーされることがない感じがある
チームにフォーカスした積み重ねから 「共有しやすい」=「透明性のある」状況ができた
ベストプラクティスに縛られず チームとの対話を通して自分たちで考え、 透明性を高めていく。
それでも改善の余地はある。 チームはまだまだ、成長できる。
まとめ ・スクラム3本柱のひとつ「透明性」は「検査」「適応」の前提 ・透明性を阻害するのは、仕組みの欠如と心理的安全性の欠如 ・仕組みはプラクティスとして用意されている ・心理的安全性はチームに内在する障壁と向き合い高める ・失敗を共有してよいということを実感できるチームづくり ・責任の所在を個人→チームへ ・ベストプラクティスの順守ではなく、チームとの対話から 自分たちの方法論を見つける
Thanks!