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快適なエンジニアリングライフ実現するための ワークもとい会社ハック / Work Hacks ...

快適なエンジニアリングライフ実現するための ワークもとい会社ハック / Work Hacks for a More Comfortable Engineering Life

2025 年 7 月 15 日から公開されている Cloud Operator Days Tokyo 2025 のオンデマンドセッションにて登壇した「快適なエンジニアリングライフ実現するための ワークもとい会社ハック」の講演資料です。
詳細はこちらをご覧ください。(https://cloudopsdays.com/ondemand

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NTT docomo Business

September 02, 2025
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Transcript

  1. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 2 小倉 真人(@Mahito)/

    Mahito Ogura 
 所属
 ◦ NTTドコモビジネス株式会社 ▪ イノベーションセンター テクノロジー部門 • Engineer Empowerment Project Leader 業務
 ◦ エンジニアの働く環境を良くすること ▪ 開発・検証 PC の整備 ▪ 各種 SaaS 利用の取りまとめ ▪ エンジニアブログ運営 ▪ イベント開催・協力 自己紹介

  2. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 3 本日のゴール 


    大企業における働きやすいエンジニアリング環境の構築方法を学ぶ 
 
 現場のエンジニアの方 
 • 自分の身の回りのエンジニアリングライフをよくするためのノウハウを得る 
 • 困ったときの相談先や仲間を見つけ方を知る 
 
 バックオフィスの方 
 • 現場と話をして一緒に解決する効果を知る 
 • 現場に自分たちの悩みを共有して解決する事を知る 

  3. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 4 なぜ快適なエンジニアリングライフが大事なのか 


    技術の会社においてエンジニアが競争の源泉、だが獲得・維持が難しい 
 
 課題1: エンジニアの獲得 が年々難しくなっている 
 • 特にソフトウェアエンジニアの市場価値は年々上昇傾向 • 世間からどんな技術を取り扱っているという認知がないと相手にされない
 • “はたらきやすい”エンジニアリング環境はアピール材料として有効
 
 課題2:獲得したエンジニアが残らない 
 • エンジニアは市場ニーズがあるため辞めることが選択肢としてとりやすい
 • 社内の開発環境や文化が合わない、成長できないとわかると辞めてしまう 
 
 
 エンジニアがはたらきにくい会社にはエンジニアは来ないし残らない! 

  4. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 5 大企業で快適なエンジニアライフを送る難しさ 


    エンジニアが期待する環境と会社が提供する環境が乖離している 
 特に会社規模が大きくなると 
 • 専門組織(情シス、情セキなど)ができ、現場との間に壁ができやすくなる
 • 会社全体のエンジニア比率が下がり、それ以外への対応がメインになってくる
 • ステークホルダーが増え、調整が難しくなり実現までに時間がかかる
 
 例:生成 AI の利用 
 エンジニア「今後 Coding Agent を利用した開発が主流になる可能性が高く、利用したい」
 会社「〇〇(コスト、セキュリティ、etc...)の課題があり利用は控えるように」
 エンジニア「会社が使わせてくれない!!」
 
 我々エンジニアが快適なエンジニアライフを送るために何ができるか? 

  5. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 6 自分たちが利用するツール・サービス・ルールのコントロールに関わっていく 


    
 そのために関係者との対話による相互理解と課題の共有、行動による実績の積み重ね 
 行動
 • 発見した課題の共有・対応
 • 課題解決に向けた提案・開発・検証
 • 社内のルールやサービスの運用・改善への参加
 快適なエンジニアリングライフを実現するために 
 対話
 • イベントでの対話・議論セッション
 • 定期的な雑談会
 • アドホックな相談対応 エンジニアの課題をエンジニア・関係部署と共有・協働してハック(解決)する! 

  6. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 8 事例:新しい開発・検証 PC

    の実現 
 背景:会社 PC は開発・検証に適しておらず別途、開発・検証用 PC が必要 
 
 会社 PC(会社から全社員へ配布) 
 • 当時(2019年)、仮想デスクトップから物理端末に移行中(メモリ 4GB → 8GB)※現在は16GB
 ◦ 事務作業には問題ないが開発・検証用途にはメモリが足りない(16GB~ は欲しい) • ユーザには管理者権限がない
 ◦ 開発・検証に必要なアプリ・ツールが動かないケースが多い ◦ ネットワーク周りの制限が多く、ネットワークの検証が困難 
 開発・検証 PC(必要に応じて各組織・チームで調達) 
 • 制限がなく、柔軟に開発・検証が可能
 • すべてが利用者に委ねられており、管理が不十分なケースも存在
 • 会社が管理していないため社内ネットワークには接続ができない

  7. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 9 事例:新しい開発・検証 PC

    の実現 
 当時の開発・検証 PC は会社管理ではないため社内へアクセスができなかった 
 • 会社 PC と開発・検証 PC の併用が手間なので、 
 開発・検証 PC からメールなどの社内リソースを使いたい 
 • 開発・検証 PC の存在は知っていて管理をしたい 
 • 開発・検証 PC は危ないので社内リソースには触らせたくない 
 • 開発・検証 PC の存在は知っているが管理を複雑にしたくない 
 • 開発・検証 PC は会社管理をしてないため社内リソースに触らせたくない 
 エンジニア 情報セキュリティ部門 情報システム部門 

  8. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 10 • 現場からは新

    PC になって十分作業ができると聞いてる 
 • 開発・検証 PC から社内リソースへのアクセスや Mac の利用は 
 エンジニアのわがまま 
 事例:新しい開発・検証 PC の実現 
 実現のきっかけはNTTのエンジニアが集まるイベントでの議論 
 • 作業効率の観点から開発・検証 PC でも社内リソースを使いたい 
 • Mac 利用者も多いので会社として Mac の利用を認めてほしい 
 イベント当日では話がつかなかったが、イベントに呼んでいた経営層から 
 「面白かったので情報セキュリティ担当も呼んで続きをやろう!」となり、継続議論へ エンジニア 情報システム部門 

  9. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 11 事例:新しい開発・検証 PC

    の実現 
 議論の結果、条件が達成できれば実現可能にまで話が進む 
 • 開発・検証 PC からメールなど社内リソースへアクセスできるのは
 わがまではなく業務効率につながる改善である 
 • 開発・検証 PC が管理されることはセキュリティの課題解決につながる 
 • 開発・検証 PC(Mac)で会社 PC と同等のセキュリティが 
 実現できるのであれば社内リソースへのアクセスを認める 
 エンジニア 情報セキュリティ部門 情報システム部門 

  10. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 12 情報システム担当とエンジニアが協力しながら新しい開発・検証 PC

    を実現 
 
 当時のやったこと 
 • 情報システム担当から出された条件の実現方法を検証・確認
 ◦ 社内で検証を手伝ってくれるエンジニアを募集 ◦ エンジニア有志で集まって検証・確認し情報システム担当に報告、トライアルの実現へ • トライアル中の問題解決をするための利用者コミュニティの立ち上げ
 ◦ 簡単な問題、既知の問題はコミュニティで対応 ◦ 新規の問題、コミュニティで対応できないものは情報システム担当と共有し解決 
 エンジニアが自分たちの使う環境に自ら関与していく機会や場を提供し、 
 活動を通じて情報システム担当との良好な関係を構築していくターニングポイントに 
 事例:新しい開発・検証 PC の実現 
 イベントから 
 約2ヶ月で実現 

  11. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 13 事例:新しい開発・検証 PC

    の実現 
 新しい開発・検証 PC により利便性やセキュリティー向上を実現 
 • 従来の開発・検証 PC とほぼ変わらない使い勝手でメールなども使える 
 • ほぼ一日の作業を開発・検証 PC で完結できて便利 
 • 各部署で管理していた開発・検証 PC に対して 会社のセキュリティポリシーを適 用し、開発・検証 PC の状況を把握・管理できるようになった 
 • 管理対象が増えることになったが、既存のしくみの中で対応が可能 
 • 利用者アンケートから利便性やモチベーションの向上、稼働削減の効果を確認 
 エンジニア 情報セキュリティ部門 情報システム部門 
 参考:エンジニアがエンジニアのために開発・検証用 PC を整備した話 

  12. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 14 事例:新しい開発・検証 PC

    の実現 
 利用者アンケート結果 
 新しい開発・検証 PC の 利用頻度 86% ほぼ毎日 新しい開発・検証 PC を 利用して利便性が向上したか 87% 向上した 新しい開発・検証 PC は 稼働削減(効率化)に 寄与していると思うか 85% 寄与している 新しい開発・検証 PC は モチベーション向上 に 寄与しているか 78% ポジティブ 86%のユーザーが 「ほぼ毎日(週4-5)」と回答 ➡ 利用者にとって 必須のツールとなった 87%のユーザーが 利便性の向上を実感 ➡ 利用者の利便性 向上に寄与 85%のユーザーが稼働削減 に寄与していると回答 ➡ 1人あたり月平均 約18.7時間の稼働削 減に寄与 78%のユーザーが ポジティブな回答 ➡ 便利な環境を提供す ることは、EX※の 向上に寄与する ※Employee Experience 14
  13. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 15 対話から社内ルールを「守る/守らない」ではなく変えることを実現 


    
 例:ドレスコードの改定 
 背景:エンジニアから Tシャツ+ジーパンスタイルが許されないのは理不尽との声
 行動:労働組合と総務担当に相談を持ちかけ、双方の交渉の末ドレスコード改定へ
 
 見直し前:例示付きで OK, NG を明確に規定 
 OK:襟付きシャツ、ポロシャツ、ジャケット、etc…
 NG:Tシャツ、ジーパン、etc…
 
 見直し後: 
 Time, Place, Occasion(TPO)を考慮し、清潔感や節度を持って、お客様に不快感を与えないことや相手と の調和を意識して服装や履物を選択 
 事例:社内ルールの見直し 

  14. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 16 エンジニアが記事投稿を継続した結果、広報と良好な関係ができた 


    
 • 2021年 7月に旧ブログから移転
 ◦ 広報と相談しエンジニア有志で運営
 ◦ 運営 5 人、レビュワー 5人 • エンジニアが投稿とレビューをしやすい仕組みを用意
 ◦ Git/GitHub を使った版管理とレビュー ◦ GitHub Actions による CI/CD ▪ 広報的な文面チェック等は CI で自動化 ▪ ボタン一つで記事のリリース 
 
 記事が定期的に SNS で話題になることで、広報から会社にとっての良い取り組みと認知され、 
 広報から文面チェックの自動化や、エンジニアの外部発信についての相談などが来るように 
 事例:エンジニアブログのリニューアル 
 https://engineers.ntt.com/ 参考:開発者ブログをリニューアルしました !
  15. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 17 快適なエンジニアリング環境を作るのは OSS

    の活動に似ている 
 ツール・サービス・ルールなどを OSS のライブラリとして捉えるとわかりやすい
 • 情報や活動をオープンにする
 • 課題や要望(Issue)を上げてくれると助かる • 協力してくれる(Pull Request)ともっと助かる
 • 基本はボトムアップ、時にはトップダウンで物事を進める
 
 気をつけること 
 • Issue の優先順位はコミュニティ(手を動かす側)が決める
 • 大きい変更提案は受け取りにくいのでまずは小さく始める
 ◦ コミュニティの中の信頼や実績を積み重ねて関係を作るのが大事 • 自分が使うモノのコントロールを誰かに委ねるかはよく考える
 会社ハックでの気づき 

  16. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 18 まとめ
 快適なエンジニアリングライフにむけた会社ハックはみんなでやる

    
 • 対話による相互理解と課題の共有、行動による実績の積み重ね 
 ◦ 定期・不定期な対話の場を設ける ◦ 課題を解決した際の互いのメリットを意識 • はたらきやすさのためにルールを変える事も考える 
 • OSS のようなコミュニティの形ができるのが理想 
 ◦ エンジニアにによる支援・互助 ◦ 利用者と関係部署との協働・情報共有 
 みんなで快適なエンジニアライフを実現していきましょう!! 

  17. © NTT Communications Corporation All Rights Reserved. 20 エンジニアの対話による解決策の模索のきっかけ 


    OpenStack Ops Meetup への参加 
 
 当時の仕事で海外のイベントへ参加 
 • イベントは運用者(Ops)の視点での議論
 ◦ 開発者(Dev)も意見を聞くために参加していた ◦ 時々口論もあるがみんな前向き 
 議論を通じて課題や解決策を模索する姿が新鮮でワクワクした 
 • 日本であまり見ないスタイルだったが気に入った
 ◦ Ops と Ops, Dev と Ops という同じ立場や、 違う立場エンジニアが議論するのが面白かった ◦ 議論することで課題が解決することや、 解決策を模索していくところにワクワクした 
 https://www.slideshare.net/slideshow/openstack-ops-midcycle-meetup/52747605