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「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す

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October 06, 2026

 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す

東京大学FoundXの馬田隆明さんが2023年10月に公開した「『作ってから売る』と『売ってから作る』と『売れるようにしてから作る』」を、2026年10月の公開情報と突き合わせた。

技術リスクと市場リスクの2軸、そして事業開発で市場リスクを先に下げる「第三の道」はそのまま使える。入れ替わったのは例と前提の方だ。

・Boom Supersonicは作る前に売ったが、10年で量産機の納入は0機。会社を支えたのはAIデータセンター向けガスタービンの受注
・「評価のものさしは環境や人権へ広がる」という見立ては欧米で逆転し、EUの国境炭素税、日本のSSBJ開示とGX-ETSは予定どおり進む
・生成AIでソフトウェアの技術リスクは大きく下がり、作れること自体が差別化にならなくなった
・経産省がLOIとオフテイク契約の雛形を配り、ルール形成の支援も施策になった
・事業会社の投資が増え、VCの投資が減った

出典は最終ページに一覧。図は元の資料を参考に描き直したもので、元のスライドは転載していない。

元の資料: https://speakerdeck.com/tumada/zuo-tutekaramai-ru-to-mai-tutekarazuo-ru-to-mai-reruyounisitekarazuo-ru

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October 06, 2026

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Transcript

  1. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 枠組みは今も使えるが、例と前提は差し替えが要る 全体マップ 元の資料 技術リスクと市場リスクの2軸に第三の道「売れるようにしてから作る」を置き、ルールの働きと評価のものさしの広がりを事業の 機会と見た → P.2〜6 差分:Boom 作る前に売った例は、10年たっても量産機を納入せず、隣の市場の受注と同時に資金を集めた

    → P.7〜8 差分:ものさし 「評価のものさしは環境や人権へ広がる」という見立てに反し、欧米では流れが逆転した。国境炭素税と日本の制度は予定どおり 進む → P.9〜10 差分:日本の制度と 経産省がLOIの雛形とルール形成の支援を施策にし、事業会社の投資が増えてVCの投資が減った 資金 → P.11〜12 差分:生成AI ソフトウェアの技術リスクは大きく下がり、作れること自体が差別化にならなくなった → P.13 変わらない点 米エネルギー省のARLは今も公開され、馬田さんも2024〜2025年の資料で同じ2軸を使い続けている → P.14 2026年の読み方 2軸と第三の道は残し、例と前提を差し替えて読む → P.15 注:差分は2026年10月6日時点の公開情報で確かめた。出典はP.16に一覧 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 1
  2. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 事業の不確かさを技術リスクと市場リスクの2軸で分けると、 領域ごとに戦い方が分かれる 事業領域の一般的な位置 4つの隅の読み方 技術リスク(作れるか分からない) 創薬

    医療系 エネルギー ロボット系 半導体 規制系 新ハードウェア アプリ スモールビジネスの領域 コンサル 八百屋 Web/SaaS メディア 左上の創薬や医療は、技術的に作れさえすれば市場がある。投 資家もいる 右上のロボットや新ハードウェアは、作れても売れるか分から ず、売れる見込みがあっても作れるか分からない 右下のアプリやSaaSは作れる見込みが立つので、先に売ってか ら作ればよい 左下はリスクの低いスモールビジネスの領域。スタートアップ はこの外で、どちらかのリスクを取る 市場リスク(売れるか分からない) 出典:馬田隆明「『作ってから売る』と『売ってから作る』と『売れるようにしてから作る』」Speaker Deck、2023年10月30日、P.16〜21の図を元に筆者が描き直し。個別の事業の位置は大きく異なると元の資料も注記している 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 2
  3. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 元の資料は、「作ってから売る」と「売ってから作る」の間に第三の道を置いた 進め方 向く事業 やること 資料での位置づけ 作ってから売る

    通常の製品開発、ディープテック プロダクトアウトで作り、漸進 的に改善する 研究開発系には唯一の進め方とみなされやすい 売ってから作る 作れる見込みが立つソフトウェア 先に売り、要望に合わせて作る スタートアップの定石とされる 技術リスクが高い研究開発系 先に「作れれば売れる」環境を 整え、それから開発する。例: 資料の提案。技術開発と事業開発の両方を進 Boom Supersonicは、機体を作 め、事業開発を先行させる る前に購入意向書LOI(Letter of Intent)を集めた 売れるようにしてから作る 出典:馬田隆明、同資料P.3〜13 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 3
  4. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 第三の道は、事業開発で市場リスクを先に下げ、 「作れれば売れる」状態にしてから技術開発する リスクを下げる2つの経路 経路の違い 技術リスク(作れるか分からない) 研究者が取りがちな経路

    第三の道(売れるようにしてから作る) 事業の初期:両方高い ①事業開発で市場リスクを先に下げる ①技術開発で技術リスクを下げる ②「作れれば売れる」状態で技術開発 作れて、売れる ②その後に事業開発 スモールビジネスの領域 市場リスク(売れるか分からない) 研究者や技術者は技術リスクから下げたがり、市場リスクに目 を向けずに研究開発だけを続けやすい 第三の道は事業開発を先にする。LOIやルール形成で、事業を 「作れれば売れる」領域へ運ぶ 順番は固定ではない。元の資料も両方を並行して下げるとした うえで、「作れれば売れる」領域へ運ぶのを事業開発側の役目と 置く 米エネルギー省の技術成熟度TRLと導入成熟度ARL(Adoption Readiness Level)が、それぞれ技術リスクと市場リスクの軸に 対応する 出典:馬田隆明、同資料P.26〜46、48〜54を元に筆者が描き直し。米エネルギー省「Adoption Readiness Levels (ARL) Framework」 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 4
  5. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 資料が挙げた手段は「反応を確かめる」型と「売れる環境を作る」型に分かれ、 後者のほうが市場リスクを下げる効果は大きいが、実現も難しい 手段 型 やること 反応を確かめる

    実用最小限の製品 (MVP)を出して反応 小。確かめるだけで、環境は変わらない を見る ソフトウェア クラウドファンディング 反応を確かめる 作る前に支援を募る 消費者向けハードウェア スペックシートでLOI 売れる環境を作る 「この仕様ができれば 大。ただし法的拘束力はなく、仕様を決め 買う」を顧客と文書に て署名する買い手を先に見つける必要があ ハードウェア、ディープテック してから作る る 売れる環境を作る 標準や規制で、自社技 最大。実現は最も難しく、EUや大企業が 術が高く評価される 得意とする 「ものさし」を作る MVP 自社が有利なルール 市場リスクへの効果と難しさ 中。支援者の数が需要の下限になる 向く領域 規制の強い領域 出典:馬田隆明、同資料P.10〜12、56〜64。「ものさし」は市場が製品を評価する軸を指す元の資料の語。効果の大小は筆者の評価 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 5
  6. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 元の資料はルールの働きを拡大・加速・安定化に分け、 評価のものさしが環境や人権へ広がりつつあると見た ルールの3つの働き 働き 何をするか 資料の例

    拡大 ルールを変えて市場の規模を広げる 炭素など市場の外にあった価値に価格 を付ける 加速 標準化でコストを下げ、相互運用性 非競争領域を定めて市場の拡大を速め を高める る 安定化 法規制と品質の確保で新しい市場を 制御しなければ崩れる新市場を守る 支える ものさしの広がり 従来の市場は、性能と価格でほぼ決まる 新しいルールが入ると、サステナビリティや人権が評価軸に加 わる。資料の例は地球温暖化係数GWP ものさしが変われば「良さ」自体が変わる。資料は、守るだけ の「入場券」から攻めの事業戦略へと、ルールの読み替えを勧 めた ルールへの関わり方を「競争の土俵に立つための適応」と「競 争優位を得るための形成」に分け、スタートアップにも形成を 勧めた 出典:馬田隆明、同資料P.65〜88、100〜104 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 6
  7. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 Boomは作る前に売ったが、10年たっても量産機を1機も納入していない Boom Supersonicの10年 2016年 Virginとオプション契約のLOIを結ぶ。元の資料が「作る前に売った」 例に挙げた取引

    2021〜22年 2025年1月 Unitedが購入契約、Americanが確定20機を発注 実証機XB-1が民間開発機として初めて超音速に達する 2025年12月 3億ドルを調達。同時にデータセンター向けガスタービンの受注を発 表。旅客機Overtureの受注残は130機、エンジンSymphonyは部品の 95%が製造に入り、試験は2026年 2026年3月 ノースカロライナ州の工場は遊休のまま。Overtureの製造も試験も始 まっていない この10年から読めること LOIと先行受注は市場リスクを下げ、資金調達の材料になっ た 技術リスクは10年で下がりきらない。エンジンの地上試験が まだ残っている 2026年12月末に雇用が500人未満なら、貸し手の空港公社が 賃借契約を解約できる。次の期限を決めるのは顧客ではなく 地元の公的機関 出典:TechCrunch 2016年、Fox Business 2022年8月、Boom Supersonic 2025年1月28日、Pulse 2.0 2025年12月、Hoodline 2026年3月 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 7
  8. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 2025年12月の3億ドル調達は、同じ高温部品の技術を転用した データセンター向けガスタービンの受注と同時に発表された 2つの製品の状態、2025年12月の発表時点 130機 2軸で見た転用 旅客機Overture:2016年から受注、納入0機

    United、American、JALなどの受注残。売上はまだ無く、エンジンの試験が先に要る 29基 ガスタービンSuperpower:2025年12月に受注を発表 旅客機は受注が130機あっても、技術リスクが残る限り売上にならない タービンは同じ高温部品の技術で、電力の需要が先にある市場に出た。リード投 資家は「先にタービン事業を作る道が資本効率のよい道」と述べた 技術リスクが相対的に低い隣の市場で先に売る手は、元の資料が挙げた4つの手 段に無い 合計1.21GW。AIデータセンター事業者のCrusoeが発注。航空機の認証を待たずに売れる 出典:Pulse 2.0「Boom Supersonic: $300 Million Raised And 1.21GW Order Secured For New Superpower Turbine」2025年12月(投資家の発言も同記事)、Hoodline 2026年3月 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 8
  9. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 「評価のものさしは環境や人権へ広がる」という見立てに反し、 欧米では2025年以降、流れが逆転した ものさしの担い手 2023年時点の流れ 2025年以降の事実 事業への意味

    EUの開示規制 企業サステナビリティ報告指令CSRDで大 企業から順に開示を義務づけ、取引先に も及ぶ 2025年12月に合意した簡素化で、対象は従業 員1,000人超かつ売上4.5億ユーロ超に縮小 対象外になった企業には、このものさし 人権デューデリジェンス指令CSDDDは適用を が届かない 2029年7月へ延期 米国の政府 SECが2024年3月に気候関連の開示規則を 採択 2025年3月にSECが規則の防御を放棄 2026年1月にパリ協定を再離脱 補助金と開示義務を当てにした事業は、 2025年7月の法律で風力・太陽光の税額控除 その前提を失った を段階廃止 金融機関の業界連 合 銀行のNet-Zero Banking Allianceに世界 の大手が参加 2025年に米国とカナダの大手が相次いで脱退 資金の出し手のものさしが揃わなくなっ 2025年10月3日に加盟行が活動停止を決議 た 出典:Morrison Foerster 2025年12月、Cahill 2025年4月、E&E News 2026年1月、Pierce Atwood 2025年7月、Carbon Pulse 2025年10月3日。見立ての引用は元の資料P.73・81 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 9
  10. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 EUの国境炭素税とFガス規制、日本の開示制度と排出量取引は予定どおり進み、 ルールは作れるが、政権が変われば壊されもする 逆転の外で予定どおり進む制度 EU国境炭素税 CBAM 2026年1月1日から本格適用。輸入者に排出量に応じた証書の購

    入義務 EU Fガス規制 2024年3月に改正規則が発効。代替フロンHFCの生産枠を段階的 に下げ、2050年に全廃 日本SSBJ開示 サステナビリティ基準委員会SSBJの基準を、2027年3月期から 時価総額3兆円以上のプライム上場企業に義務化。以後、1兆 円、5,000億円へ段階拡大(金融庁、2026年2月) 日本GX-ETS 排出量取引制度GX-ETSが2026年4月から本格稼働。直接排出が 年10万トン以上の事業者に参加義務。2026年度は制度が定めた 下限1,700円・上限4,300円(1トン)の範囲で取引 ルールの持続性リスク ルール形成型の事業は、一回の選挙で前提が変わる 法域を分散し、どこか一つが逆転しても売り先が残る形にす る 元の資料が挙げたルールの三つの働き(拡大・加速・安定 化)に、ルール自体の安定性を足して読む 出典:欧州委員会CBAMページ(2026年10月6日閲覧)、IEA Policies「Regulation 2024/573 on fluorinated greenhouse gases」(2026年10月6日閲覧)、税務研究会「金融庁 時価総額3兆円以上の企業からSSBJ基準を義務化へ」2026年2月、み ずほ銀行「2026年から本格稼働する排出量取引制度(GX-ETS)とは?」(2026年10月6日閲覧) 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 10
  11. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 日本では経産省がLOIと引取契約の雛形を公開し、 ルール形成も公的な支援の型になった 手段 2023年の資料での扱い 2024〜2025年の制度 スタートアップから見た変化

    2024年に経産省がGX(グリーントランス フォーメーション)スタートアップ向けの 雛形から始めて、事業会社の調達部門に持 スペックシートでLOI ハードウェア系スタートアップが使う手 法として紹介 ガイダンスで、LOIとオフテイク契約(完 ち込める 成品の引取契約)の雛形を公開 自社が有利なルール 標準化 EUが得意とする手法として紹介 2024年4月に経産省が、ルール形成型の市 大企業向けの枠組みだが、市場形成力指標 場創出に取り組む企業10社を選び、市場形 は自社の点検に使える 成力指標で評価 ルールの手法の一つとして列挙 2025年6月の「日本型標準加速化モデル 2025」で、量子・ペロブスカイト太陽電 池・水素など5分野を国主導で標準化 自社技術が5分野に入るなら、標準化の場に 早く出る理由ができた 出典:経産省「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」2024年、経産省2024年4月17日発表、経産省「日本型標準加速化モデル2025」2025年6月 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 11
  12. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 国内の調達総額は横ばいのまま、事業会社の投資は320億円増え、VCは263億円減った 投資家タイプ別の投資額 3,236 億円、デットを除く、2024年と2025年 2024年(前年比の差から逆算) 2025年

    ▲263 2,973 +320 1,160 1,480 310 VC 事業会社 +57 367 総額と内訳の読み方 総額は7,613億円(デットを除く)で前年とほぼ横ばい。研究開 発型は3,433億円で全体の45%を占める 1社あたりの中央値は7,760万円から6,240万円に下がり、小口の 調達が増えた VCは今も事業会社の約2倍を出すが、差は縮んだ。事業会社の 投資が増えると、LOIの相手が出資者を兼ねる余地が広がる 金融機関 出典:スピーダ「選別と延長戦が進む 2025年スタートアップ資金調達動向」2026年1月(区分名は「事業法人」)。研究開発型の値はForbes JAPAN 2026年4月10日が引いたスピーダ調べ。2024年の値は同資料の前年比の差から筆者が逆算。図 は主要3区分で合計4,820億円、総額との差は他の区分と不明分 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 12
  13. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 生成AIでソフトウェアの技術リスクは大きく下がり、 ソフトウェアでは作れること自体がもう差別化にならない 2軸マップでのソフトウェア領域の移動 ソフトウェア領域の市場リスクの中身 技術リスク(作れるか分からない) 創薬

    医療系 エネルギー ロボット系 半導体 新ハードウェア 生成AIでソフトウェアの技術リスクは大きく下がった 規制系 YC 2025年冬バッチの4分の1が、コードの95%超をAI生成と回答 アプリ スモールビジネスの領域 コンサル 八百屋 Web/SaaS 作れることは前提になり、差は配布と顧客獲得で付く 基盤モデルの提供元に機能を吸収される依存リスクが新しく、 2軸に乗らない別のリスクとして足す 「ソフトウェアは売ってから作る」という元の資料の判断は、3 年前より当てはまる範囲が広がった メディア アプリ・Web/SaaS(2026年) 市場リスク(売れるか分からない) 出典:Y Combinatorの動画「Vibe Coding Is The Future」2025年3月でのJared Friedmanの発言。OfficeChaiの記事による。図はP.2と同じ資料を元に筆者が描き直し、移動後の位置は筆者の見立て 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 13
  14. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 変わらなかったのは枠組みの側で、ARLは今も公開され、 馬田さんも2024〜2025年の資料で同じ2軸を使い続けている 資料 何が書いてあるか 米エネルギー省ARL 価値提案・市場受容・資源の成熟・事業許可の4分類で導入リスクを

    4分類は、2軸の市場リスク側を細かくしたものに 点検し、1〜9の段階で表す。担当部局は2025年5月に改称したが、枠 あたる 組みの公開は続く 多様化するイノベーション政 同じ2軸とARLを使い、LOIの普及など需要側の政策を提案 策(2024年2月) 2024年のスタートアップの始 「規制とルール」を、スタートアップが使えるようになった戦術と め方・考え方(2024年6月) してM&Aや提携と並べた スタートアップ・フィット・ 事業の初期に「領域のルールとプレイブック」の仮説を持つこと ジャーニー2.1(2025年4月) を、達成目標の一つに置いた 2023年の資料との関係 枠組みを政策提言に広げた ルール形成を戦術の一つに置いた 第三の道が手順の一部に組み込まれた 出典:米エネルギー省「Adoption Readiness Levels (ARL) Framework」2026年10月6日閲覧、馬田隆明 Speaker Deck 2024年2月11日・2024年6月16日・2025年4月27日 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 14
  15. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 元の資料 3年の差分 2026年の読み方 2026年に読むなら、2軸と第三の道は残し、例と前提を差し替える 要素 2023年の資料 技術リスクと市場リスクで事業を置く 2軸の図 事業開発で市場リスクを先に下げる

    第三の道 スペックシートで ハードウェア系の個人技として紹介 LOI ルールの三つの働き 拡大・加速・安定化 TRLを補う枠組みとして紹介 ARL 作る前に売った成功例 Boomの例 ソフトウェア領域 作れるので売ってから作る 2026年の読み方 そのまま使う。ソフトウェアでは技術リスクの軸がほぼ効かない そのまま使う。事業会社の投資が増え、LOIの相手が出資者を兼ねる余地が広が った 経産省の雛形から始める ルール自体の安定性を足す。法域を分散する 市場リスク側の点検表として使う。公開は続いている LOIと受注は市場リスクを下げるが、技術リスクの時間は縮めない。隣の市場で 先に売る手がある、の例として読む 配布と顧客獲得を市場リスクの中身にし、基盤モデルへの依存は別のリスクと して足す 注:P.2〜14のまとめ 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 15
  16. 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 出典一覧 1. 馬田隆明「『作ってから売る』と『売ってから作る』と『売れるようにしてから作る』 〜技術 の社会実装のための『開発』〜」Speaker Deck、2023年10月30日 2. 馬田隆明「多様化するイノベーション政策」Speaker Deck、2024年2月11日

    3. 馬田隆明「2024年のスタートアップの始め方・考え方」Speaker Deck、2024年6月16日 4. 馬田隆明「スタートアップ・フィット・ジャーニー Version 2.1」Speaker Deck、2025年4月27 日 5. U.S. Department of Energy「Adoption Readiness Levels (ARL) Framework」energy.gov、 2026年10月6日閲覧 6. TechCrunch「Boom, the startup that wants to build supersonic planes, just signed a massive deal with Virgin」2016年 7. Fox Business「American Airlines agrees to purchase 20 Boom Supersonic jets」2022年8月 8. Boom Supersonic「Boom Achieves Supersonic Flight」2025年1月28日 9. Pulse 2.0「Boom Supersonic: $300 Million Raised And 1.21GW Order Secured For New Superpower Turbine」2025年12月 10. Hoodline「Greensboro's $50M Boom Factory Sits Idle」2026年3月 11. Morrison Foerster「EU Sustainability Omnibus I – "Detailed Omnibus" Adopted」2025年12 月 出典 12. Cahill「SEC Abandons Climate Disclosure Rules」2025年4月10日 13. E&E News「So long, Paris: US officially leaves landmark climate pact」2026年1月 14. Pierce Atwood「Congress Phases Out Energy Tax Credits」2025年7月 15. Carbon Pulse「Net zero banking alliance votes to cease operations immediately」2025年10 月3日 16. European Commission「Carbon Border Adjustment Mechanism」taxationcustoms.ec.europa.eu、2026年10月6日閲覧 17. IEA Policies「Regulation 2024/573 on fluorinated greenhouse gases」2026年10月6日閲覧 18. 税務研究会「金融庁 時価総額3兆円以上の企業からSSBJ基準を義務化へ、最短27年3月期」 2026年2月 19. みずほ銀行「2026年から本格稼働する排出量取引制度(GX-ETS)とは?」2026年10月6日閲覧 20. OfficeChai「One-fourth Of Y-Combinator Companies Now Have More Than 95% Of Their Code Generated By AI」2025年3月 21. 経済産業省「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」2024年/「ルール形成型の 市場創出に取り組む企業の選定」2024年4月17日/「日本型標準加速化モデル2025」2025年6 月 22. スピーダ スタートアップ情報リサーチ「選別と延長戦が進む 2025年スタートアップ資金調達 動向」2026年1月/Forbes JAPAN「『東大京大だけじゃない』地方ディープテックの潜在力」 2026年4月10日 注:本資料の図は出典1の図を筆者が描き直したもので、元のスライドは転載していない 「売れるようにしてから作る」を3年後に読み直す 16