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全身による体験を中心としたエンタテイメントシステムの長期展示を通したコンテンツの客観評価手法

 全身による体験を中心としたエンタテイメントシステムの長期展示を通したコンテンツの客観評価手法

白井暁彦,安藤歩美,「全身による体験を中心としたエンタテイメントシステムの長期展示を通したコンテンツの客観評価手法」ITを活用した教育研究シンポジウム2015 - 神奈川工科大学

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  1. エンタテイメント体験の主たる体験者に“子供”がいるが,子供に客観評価は難しい(二瓶:2003)  じっとしていないため,安定した生理的・心理的・神経学的データを取ることが難しい  副作用の有無にかかわらず,倫理的問題をクリアすることが難しい 客観評価手法  脳血液動態(NIRS):快・不快,好き・嫌い,緊張・リラックスなど (坂本ら:2013) 

    L-pod:加速度センサを用いて体験者の動きを推測(北田ら:2013) 手軽であるが展示型評価には不向き 測域センサやKinectを利用したコミュニケーション場の評価  ResBe:「プレイしないプレイヤ」もシステムが把握可能(岩楯ら:2010) 高額,キャリブレーション必要  Kineco:ResBe安価版でKinect v1を採用.キャリブレーション必要なし 6人までしか取得できないという弱点が存在  これらの手法は遊戯空間全体の量的評価であるため個人の詳細なデータを判断することは難しい 7 背景・客観評価手法 二瓶健二. バーチャルリアリティは子供に何ができるか. 日本バーチャルリアリティ学会誌. 阪本清美ら. TV 視聴コンテンツの種類が感情状態の生理心理計測に及ぼす影響(コミュニケーション支援, 一般). 電子情報通信学会技術研究報告. 北田ら.スマートフォンの加速度センサを用いた微小不随意運動検出による動画視聴時の笑い評価手法 岩楯翔仁ら. Resbe: エンタテイメントシステム周囲のコミュニケーション場に対する遠隔評価手法の提案. 第15 回日本バーチャルリアリティ学会大会論文集. 田所康隆ら. エンタテイメントシステム展示を対象とした質的評価ツールの提案. エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集.
  2. W. James 1842- 1910 8 背景・笑顔研究の歴史 「人は幸福であるがゆえに笑うのではなく, 笑うがゆえに幸福である」 (W. James

    : 1895) 笑いが人体に良い影響があることが明らかに 「医療 看護の場でのユーモアの意味と効用 ; 「笑い療法」を中心に」(中川 : 1989) 「健康における笑いの効果の文献学的考察」(三宅ら : 2007) “感情”と“表情”の結びつき FACS(Facial Action Coding System)(P. Ekman : 1978) 笑顔の訓練が活発化・トレーニングシステム登場 「笑顔促進支援システム : Happiness Counter」(辻田,暦本ら : 2011年)] 個人認証やセキュリティに利用 USJ年間パスポート(NEC「NeoFace」) Lenovo「VeriFace」,「FastAccess」(2011) Microsoft「Window Hello」(2015) 製品として普及 SONY「Cyber – Shot スマイルシャッター」(2007) Intel RealSense, Kinect v2, Omron HVC-C(2014) 笑顔は微笑み(smile)と笑い(laughter)に大別 「目と口の動きの追跡による笑顔の分類」(片岡ら : 2001年) 表情・喉・腹に着目した笑い測定システムを用いて8パターンに類型化(森下ら :2008年) 笑顔の物理評価・笑顔を計測する試み 「魅力的な笑顔に表れる幾何学的特徴」表情矩形の縦横比が黄金比(井口ら : 2007年) 「リアルタイム笑顔度推定」事前登録を必要としない高速な笑顔認識を実現(小西ら : 2008年) 笑顔の哲学 笑顔を計測する 製品化・一般へ普及 哲学から心理学・医学の分野へ 哲学的・心理学的・医学的 技術的 1900年以前 1970-1990年頃 2000年代 2010年代
  3. 従来のエンタテイメント体験評価には多くの問題 主観評価(質的) : 実験者の恣意が入る恐れがある 客観評価(質的) : 子供には難しい 生理計測/ResBe: センサが高価 Wara-L(加速度):

    展示型評価には不向き ResBe・Kineco : 量的評価であるため質的評価不可 笑顔認識技術に着目した非接触・非装着かつ,子供にも体験が可能であり, 一人ひとりの体験者の評価が可能な展示型評価向きの評価システムが必要 9 過去の研究事例
  4. 受付設置型笑顔認識システムのメリット エンタテイメント体験の有無にかかわらず評価が可能 ネガティブデータの評価が容易になる エンタテイメント体験をしない体験者の評価も可能 複数の笑顔認識システムの特性を調査 「Intel RealSense」,「Face++」を併用 11 開発事例・笑顔認識によるエンタテイメント体験評価 *津田良太郎,

    鈴木百合彩, 安藤歩美, 鈴木久貴, 白井暁彦. 複数の笑顔認識デバイスの同時使用によるVR エンタテイメントシステムの評価. 第20回日本バーチャルリアリティ学会 大会論文集, 4pages, 2015. 笑顔認識デバイス 顔の特徴点78点を認識し, 0~100で笑顔値を算出 笑顔の閾値が高く,日本人の笑顔 では0が出やすいという特性がある. 笑顔認識ツール[Webサービス] 画像から顔情報を推定,特徴点認 識し,0~1の値域で笑顔値を算出 笑顔の閾値は低く,真顔でも 0が算出されることは少ない
  5. 結果の比較 展示形態 選ばれたマンガ順位,回数 メインのペルソナ 一日当たりの規模 科学のひろば <単日展示> オペレータあり 1.あゆコロ(26) 2.隕石(19)

    3.壁(12) 4.横浜(10) 5.女子力(3) 小学生ファミリー 親は見ているだけ 約70回 TEPIA先端技術館 <長期展示> オペレータなし (無人化NUI) 1.隕石(375) 2.あゆコロ(293) 3.Laval(213) 4.女子力(293) 5.壁(143) 1男兄弟とその友人 2小学生ファミリー 親が一緒に体験 約40回
  6. 必殺技の定義 必殺技とは敵に大打撃を与える技のこと Manga Generator のマンガストーリーは A4 用紙1 枚で完結する必要があり, 1 枚の中に起承転結がある

    起承転結の「転」(見せ場のコマ)でとる ポーズを「必殺技」と定義 自然なプレイヤデータから姿勢データの 分類を行った TEPIA先端技術館でのデータを使用 (2015/7/8-7/15) 見せ場のコマ
  7. 集合知の活用事例 集合知を活用するためのコンポーネント(*Satnam Alag 2009~) 1. ユーザーに行動させる. 2. ユーザーから学んで集約する. 3. ユーザーの行動履歴と集約データを用いて

    コンテンツをパーソナライズする. 本研究では「Manga Generator」の展示から得られた プレイヤデータを集合知化し, Manga Generatorの発展(PDCA化)に貢献することを目標とした *Satnam Alag, 堀内孝彦, 真鍋加奈子, 真鍋和久(訳)「集合知イン・アクション」 ソフトバンククリエイティブ株式会社, 2009.
  8. 教師データに対する類似度の算出 マスター ターゲット cos θ V1 V2 cos θ (-1~1)

    角度θ(度) 0 30 60 90 120 150 180 cos θ 1.0 0.87 1.0 0 -0.5 -0.87 -1.0 ∙ = cos cos = ∙ = 1 1 + 2 2 + 3 3 1 2 + 2 2 + 3 2 1 2 + 2 2 + 3 2 = 1 , 2 , 3 = 1 , 2 , 3 ∙ = 1 1 + 2 2 + 3 3
  9. Case1:TEPIA先端技術館から 新しいコンテンツの製作を依頼された場合 1. 複合ペルソナに注目し,来館している複合ペルソナのター ゲットを決める. マジョリティな複合ペルソナ マイノリティな複合ペルソナ 2. Manga Generator

    が取得しているRGB 画像を用いて顔認識や 身長推定を行い,プレイヤの複合ペルソナの分類をすること で,ターゲットにした複合ペルソナに嗜好されているコンテ ンツを洗い出す.
  10. Manga Generatorの今後 “Manga Generator Pro” 株式会社プログマインド ◦ T2V(Text to Vision)技術

    ◦ 卒業生が4名在籍 http://www.progmind.jp/  R&Dを白井研究室で継続  社会へのDeployを企業と協力して推進  広告メディア技術 ◦ SNSとの連携 ◦ モバイル化