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インターフェースのユーザビリティ概論および調査手法について

 インターフェースのユーザビリティ概論および調査手法について

ユーザビリティとは何か。ISOやJISdeno定義を中心に、担保されべき原則、品質そのものであることの概論を紹介します。

Naoki Matsuda

May 23, 2024
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  1. ユーザビリティの定義 JIS Z 8521:2020 / ISO 9241-11:2018 特定のユーザが特定の利用状況において、システム、製品又はサービスを利用す る際に、効果、効率及び満足を伴って特定の目標を達成する度合い。 効果(有効さ)

    ユーザが特定の目標を達成す る際の正確性及び完全性。 効率 達成された結果に関連して費 やした資源。 満足 システム、製品又はサービスの利用に起 因するユーザのニーズ及び期待が満たさ れている程度に関するユーザの身体的、 認知的及び感情的な受け止め方。 Effectiveness Efficiency Satisfaction
  2. ユーザビリティの定義 JIS Z 8521:2020 / ISO 9241-11:2018 効果(有効さ) 目的やゴールを 達成できるか。

    効率 迷わないか。 無駄な時間がか からないか。 負荷がないか。 満足 不快でないか。 期待に十分に応 えているか。
  3. ユーザビリティの定義 JIS Z 8521:2020 / ISO 9241-11:2018 効果(有効さ) 1. 正確性

    a. ユースエラー又は難しさ b. ユーザのタスクを妨げる不 必要なシステム出力 c. 不正確又は不完全な出力 に基づいて行われた不適 切な決定 2. 完全性 効率 満足 1. 所要時間 2. 消費された資金 3. 消費された資材 1. 身体的反応 2. 認知的反応 3. 感情的反応
  4. ISO 9241-11 ユーザビリティの定義 効果(有効さ) ユーザが特定の目標を達成す る際の正確性及び完全性。 効率 達成された結果に関連して費 やした資源。 満足

    システム、製品又はサービスの利用に起 因するユーザのニーズ及び期待が満たさ れている程度に関するユーザの身体的、 認知的及び感情的な受け止め方。 Effectiveness Efficiency Satisfaction
  5. ISO 9241-10 インタラクションの原則 • ユーザが行うタスクへの適合性 • インタラクティブシステムの自己記述性 • ユーザーが抱く期待への一致 •

    ユーザによる学習性 • ユーザによる制御可能性 • ユースエラーへの耐性 • ユーザエンゲージメント
  6. ISO 9241-112 情報提示の原則 • 気づきやすくする • 注意を逸らさないようにする • 区別しやすくする •

    解釈しやすくする • 簡潔にする • 内部一貫性及び外部一貫性を保つ
  7. 原則の関係性 効果(有効さ) 効率 満足 タスク適合性 自己記述性 期待への一致 エラー耐性 学習性 制御可能性

    エンゲージメント 気づきやすく 注意を逸らさない 区別しやすく 解釈しやすく 簡潔にする 一貫性 ユーザビリティ インタラクションの原則 情報提示の原則 JIS Z 8521:2020 JIS Z 8520:2022 JIS Z 8522:2022
  8. ニールセンのユーザビリティ10原則 • システム状態の可視化 • システムと実世界の一致 • ユーザーの主導権と自由 • 一貫性と標準性 •

    エラーの予防 • 覚えなくても認識できるように • 柔軟性と効率性 • 美的で最小限のデザイン • ユーザーによるエラーの認識・診断・回復 • ヘルプとドキュメンテーション
  9. シュナイダーマンのインターフェース8つの黄金律 • 一貫性をもたせる • ショートカットを用意する • フィードバックを提供する • 処理の完了を知らせる •

    エラーを防ぐ • 操作をやり直せるようにする • ユーザーが制御できるようにする • 短期記憶の負荷を減らす
  10. ヒューリスティック調査/エキスパートレビュー メリット • 専門家による「経験則」と「根拠」に基づくユーザビリティ調査 • 世間一般の認知プロセスや原則に基づく評価(セオリーを遵守できているかどうか) • プロトタイプなどの中間成果物でも評価可能 • 前述の原則に沿えば、誰でもある程度は評価可能

    • 全体をMECE的に調査できる デメリット • あら探しになりがち • 一般的認知による評価なので、特別なコンテクストは考慮されない • また、ペルソナに特異性がある場合、それを理解しきれない • ユーザーの本来の目的を理解しきれていない場合がある
  11. 定性ユーザビリティテスト - 思考発話法・回帰法 メリット • ユーザーの直接かつ率直な意見を聞くことができる • 目的とタスクを設定すため、システムの部分的な評価ができる • ユーザーが普段行う実際の目的そのものを設定できる

    • 目標達成までの時間などを計測して指標化もできる デメリット • リクルーティングの精度に影響される(ペルソナとの不一致、ユーザーの熟練度など) • ユーザーの「アドバイス」は参考にならない(正確性の不足)(なぜそのアドバイスをしようと 思ったかが大事) • タスク設定が間違っていると台無し
  12. メリット • 探査学習理論(UIを直接触りながら学習していく) ◦ 目標設定、探査、選択、評価 • 事業側が該当ユーザーの立場になりきって調査 • いつでも、ひとりからでも実施可能 •

    ユーザーストーリーの詳細化で精度を上げることができる デメリット • 実際には、誰もユーザーにはなりきれない • 必ずバイアスが挟まる。恣意的になりがち • それなりの専門性が必要 定性ユーザビリティテスト - 認知的ウォークスルー
  13. メリット • タスク達成回数、成功率、エラー数などを指標化 • 既存のシステムや競合との比較が可能 • ユーザーの熟練度や異なるロールでの比較も可能 • KPIとの紐付け デメリット

    • 基準がないと役に立たない • また、それなりのボリュームのデータ収集が必要 • リクルーティングやモデレーター稼働などのコストが高い 定量ユーザビリティテスト - ベンチマーク