「Cybozu × SmartHR プロダクトに関わるライターのリアル 」(2021/11/01 19:00〜) でお話させていただきました! https://smarthr.connpass.com/event/227619/
サイボウズの開発チームに入ったライターが挫折した話サ イ ボ ウ ス 株 式 会 社殿 岡 理 恵
View Slide
自己紹介• 前職はマニュアル制作会社• 色々な製品の色々なドキュメントを作ってました• 複業でライティング研修の講師もやってます2殿岡理恵サ イ ボ ウ ス 株 式 会 社 開 発 本 部k i n t o n e 開 発 チ ー ムプ ロ ダ ク ト ラ イ タ ー
意気揚々と入社• 一つの製品を深く理解して書きたい、という思いからサイボウズに入社。• ライターの経験はそこそこ長いので、頑張れば書けると思ってた。→ 全然書けない。3
kintoneは、使いかた次第• ユーザーの業界も規模も立場も知識もバラバラ• そもそもkintone導入の目的がバラバラ• 課題が曖昧なケースも多い4
本質的な説明が書けない• 仕様書から操作手順や注意事項を書くことは、何とかできた。• kintoneの機能の概念や、目的の伝え方が難しすぎる。→ 手順は書けるのに、本質的な説明をまったく書けない。5
たとえば、お気に入りのアプリの並び替え6
たとえば、お気に入りのアプリの並び替え機能の説明をどう書く?「アプリがたくさんあって探しづらい場合に、お気に入りに登録できます。また、お気に入りのアプリを並び替えることにより、アプリをより見つけやすくなります。」…これはダメ。7
どこがダメなのか• 「探しやすくする」が目的だとすると、なぜ検索機能じゃないの?• アプリが膨大にあって管理できないような状態だとすると、それってそもそも正しい使いかたなの?8
「こういうときに役立ちます」には深い思考が必要「こういう状態で役立つ機能です」と書く→ そういう状態をサイボウズが今後も想定し続けている→ その使い方がNGではない、むしろいいんですよ、というメッセージになる。9
ではどう書く?最終的な文章:「お気に入りに登録したアプリの中でも、特に利用頻度の高いアプリを上位に並べるなど、アプリにアクセスしやすくするために活用できます。」特に難易度の高い文章には見えなくても、製品の方向性を理解しているかどうかが、確実に文章に現れる。10
たとえばこの説明、どう書く?「新機能の無効化」:チェックを付けると、アップデートがしばらく延期される機能。この説明をどう書く?・「頻繁にアップデートされると困る場合に便利」→ダメ・「現在の機能を使い続けたい場合にチェックを入れる」→絶対ダメ11
製品の方向性を理解すると、文章が変わる最終的な文章:「新機能が追加されると、利用者への周知や、マニュアルの変更、プラグインの検証、またはそれらのための影響の確認が必要になる場合があります。新機能の有効/無効を切り替えることにより、これらに対応するための時間を柔軟に調整できるメリットがあります。」製品の方向性を理解しているかどうかが、確実に文章に現れる。12
すべての機能は、目的を達成するための手段製品は会社の理念に沿って開発されている。理念が開発計画に落とし込まれ、それが機能に落とし込まれる。すべてにおいて綿密なストーリーが考えられ、そのストーリーが1ページずつ進んでいる感じ。これをサポートするのがライターの役割。13
マクロの視点を強化しないと乗り越えられないライターは目的を深く理解したうえで、ユーザーを導いていく。そのためには、ミクロの視点・マクロの視点の両方が必要。14
ライターとしては最高のチャレンジヘルプの文章をここまで深く追求する製品は、ライター人生で見たことなかった。難易度は格段に上がったけど、ライターとしてはこれ以上ないやりがい。15
『プロダクトにかかわるライター』とは• 一番の目的は、製品の活用を「文章の力」で後押しし、サイボウズの理念を実現すること。• そのために、製品の目的と方向性を深く理解し、ユーザーを導いていくのがライターの役割。「このページが、その会社の未来を変えるかもしれない」という思いで書いています。16
おわり17