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情報科の概念マップをみんなで考えよう

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November 29, 2025

 情報科の概念マップをみんなで考えよう

第21回情報教育合同研究会( https://cis.gr.jp/activities/2025-21joho )で実施したワークショップ「情報科の概念マップをみんなで考えよう」で使用したスライドです。

◆内容
学習指導要領の改訂に向けた諮問では、各教科の中核的な概念等を中⼼とした、教科の⽬標・内容の構造化が求められており、現在、情報・技術WGで検討が進んでいます。海外には、単元に現れる概念間の関係を概念マップにして⽰す教科書があり、情報科の構造化を検討するにあたっても、概念マップを作ることが有効だと思われます。本ワークショップは、グループでの議論を通して情報科の概念マップの形成を試みることで、情報科の体系性に関する参加者の理解を深めることを⽬的とします。主な対象者として⾼校の先⽣⽅や教員志望の学⽣を想定していますが、他校種・他教科の先⽣⽅や、教科書会社などの企業の⽅の参加も歓迎です。

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November 29, 2025
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Transcript

  1. 本日の流れ (予定) 趣旨 説明 10:05 グループ 分け 10:20 GW前半 10:25

    グループ 移動 10:55 GW後半 11:05 発表 11:35 終了 11:55 2 ◆成果物と写真の使用について 本ワークショップでの成果の一部は、ワークショップの実践報告や学 会・研究会での発表、論文誌などで、改変を伴う形で使用することがあ ります。その際は、謝辞などで、本ワークショップの成果物を使用したこ とと、参加者の皆様への謝意を記します(個々の参加者の氏名を記すこ とはいたしません)。 また本ワークショップの実践を記録するため、実施途中の様子を随 時、運営者が写真で撮影します。この写真についても、事例報告などで 使用することがあります。撮影不可の方がおられましたら、撮影時・使 用時に配慮しますので、運営者までお気軽にご連絡ください。
  2. 背景: 学習指導要領改訂の方向性 3 (参考) 文科省「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について【概要】」(2024) https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/mext_00003.html 生成AIが発展する状況の下、 知識の概念としての習得や 深い意味理解を促し、学ぶ 意味や社会とのつながりが

    重要となる中、そうした授業 改善に直結する学習指導要 領とするための方策(特に、 各教科等の中核的な概念等 を中心に、目標・内容を一層 構造化) 奈須・教育課程部会長: 「前回の改訂では(中略)秋 や冬になってから議論が始 まったということがある。今回 は各教科について中核的な 概念に基づく構造化という、 大きな課題の検討をお願い することになると思う」 ⇒ 情報・技術WGで議論中
  3. 背景: 学習指導要領改訂の方向性 4 (参考) 文科省 教育課程部会 総則・評価特別部会「目標・内容の構造化・表形式化等」(2025/10) https://www.mext.go.jp/content/20251014-mxt-kyoiku-000045376_02.pdf 総則・評価特別部会(第2回, 2025/10)では、

    • 「知識及び技能に関する統合的な理解」 • 「思考力、判断力、表現力等の総合的な発揮」 …という文言が提案された(基本的な考え方は同じ)
  4. 背景: 一方、現場は… 情報・技術WGの結論をただ待っているだけ?? • 有識者の委員がそのうちまとめるWGの結論を、上意下達・top- downで受け取るだけでよいか? • 「教科の構造」や「何が中核的な概念か」は、個々の教員が絶えず 問い続け、教員間の議論を通してbottom-upでも考えていくべき では?

    • 教育基本法第9条 「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶 えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならな い。」 5 (参考) e-Gov「教育基本法」(2006) https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000120/
  5. 背景: “Constitution” 「構成・構造」の意味だが、法学では「憲法」の意味 • 1889年に大日本帝国憲法が公布される前には、五日市憲法など、 多数の私擬憲法が作成された (大日本帝国憲法に反映されてはいないが…) 6 (出典) 板垣(1919)「我国憲政ノ由来」p.212,

    https://dl.ndl.go.jp/pid/960529/1/122 国立国会図書館「近代日本人の肖像 板垣退助」https://www.ndl.go.jp/portrait/datas/10/ 「…国家の根本法たる憲法は、君主と人民との一致に基づ いて定むべく、国約憲法とはこれを言うなり、すなわち知るべ し、国約憲法は君民同治の神髄なることを。ゆえにいやしくも 我国の憲法を制定せんと欲せば、まず憲法制定のための国 民議会を開かざるべからずと。」 (板垣(1919)「我国憲政ノ由来」より) ※君民同治: 君主と、人民の代表者である議会とが、 共同で国の政務に当たること (デジタル大辞泉より)
  6. 目的とアプローチ 「情報科の概念マップをみんなで考えよう」 • 目的: 情報科の体系性に関する参加者の理解を深める • アプローチ: グループでの議論を通して情報科の概念マップの形成を試みる • 趣旨説明:

    学習指導要領の改訂に向けた諮問では、各教科の中核的な概念等を中心とし た、教科の目標・内容の構造化が求められており、現在、情報・技術WGで検討が 進んでいます。海外には、単元に現れる概念間の関係を概念マップにして示す教科 書があり、情報科の構造化を検討するにあたっても、概念マップを作ることが有効 だと思われます。 本ワークショップは、グループでの議論を通して情報科の概念マップの形成を試 みることで、情報科の体系性に関する参加者の理解を深めることを目的とします。 7
  7. 概念マップ(concept map) Novakらが考案した、知識グラフの一種 • 当初から教育での活用が意図されていた • 基本的な書き方: • 英語だとラベルを書きやすいが、語順の違いで、 日本語でラベルを書くとややぎこちなくなる

    • 今回はラベルの書き方、矢印の向きなどの細部はあまり気にせず、 単なるラベル付きのグラフと思ってよいです 8 (参考) Novak & Gowin(1992)『子どもが学ぶ新しい学習法――概念地図法によるメタ学習』東洋館出版社(福岡・弓野監訳) doi:10.11501/13158484 主語 目的語 動詞 名詞 目的語 前置詞
  8. 概念マップ(concept map): 作成例 9 (出典) Novak & Cañas(2008)「The Theory Underlying

    Concept Maps and How to Construct and Use Them」 https://cmap.ihmc.us/docs/theory-of-concept-maps
  9. 概念マップ(concept map): 教科書での採用例 10 (出典) Wongら(2020)『New Senior Secondary Physics at

    Work 4: Electricity and Magnetism』Oxford University Press, p.38 (掲載図を元に作成) conductor insulator electron (-) proton (+) electric charge electric field electric field lines electrostatic force 𝐹 electric field strength 𝐸 = 𝐹 𝑞 𝐸 = 𝑄 4𝜋𝜀0 𝑟2 𝐸 = 𝑉 𝑑 around a point charge 𝑄 between two parallel plates is measured by is represented by sets up produces per unit charge Electric potential energy work done against 𝐹 Coulomb’s law 𝐹 = 𝑄1 𝑄2 4𝜋𝜀0 𝑟2 Permittivity of free space where 𝜀0 is examples include attracts can move freely in cannot move freely in between two point charges obeys
  10. 概念マップ(concept map): 教科書での採用例 11 (出典) Wongら(2020)『New Senior Secondary Physics at

    Work 4: Electricity and Magnetism』Oxford University Press, p.38 (掲載図を元に和訳して作成) 導体 不導体 電子 (-) 陽子 (+) 電荷 電場 電気力線 静電気力𝐹 電場の強さ 𝐸 = 𝐹 𝑞 𝐸 = 𝑄 4𝜋𝜀0 𝑟2 𝐸 = 𝑉 𝑑 点電荷𝑄 の周りで 2つの 平行板の間で 測定される 表される 生じさせる 生成する 単位電荷 ごとに 電気的ポテンシャ ルエネルギー 𝐹により なされる仕事 クーロンの法則 𝐹 = 𝑄1 𝑄2 4𝜋𝜀0 𝑟2 真空の誘電率 𝜀0 の定義 例 含む 引き合う 自由に 動ける 自由に 動けない 2つの点電荷 について従う
  11. 概念マップ(concept map): 教科書での採用例 13 (出典) Wongら(2020)『New Senior Secondary Physics at

    Work 4: Electricity and Magnetism』Oxford University Press, p.109 (掲載図を元に和訳して作成) 電源 起電力 𝜀 = 𝑉 + 𝐼𝑟 電圧 𝑉 = 𝐸 𝑄 電圧計 内部抵抗 𝑅 = 𝑅1 + 𝑅2 + ⋯ + 𝑅𝑛 1 𝑅 = 1 𝑅1 + 1 𝑅2 + ⋯ + 1 𝑅𝑛 直列の場合 測定される もつ 流す 特定の素材のとき 総称される 導体において比例 従う 提供する 形成する 電位差 電流 𝐼 = 𝑄 𝑡 電流計 オームの法則 抵抗 𝑅 = 𝑉 𝐼 妨げられる 𝑅 = 𝜌 𝐼 𝐴 抵抗率 𝜌の定義 電圧電流計法 測定されうる 並列の場合 測定される
  12. 情報科の構造: 各分野と単元の対応 問題解決を核とする構造 • 導入の単元で提示: • 情報社会の状況 • 問題解決の概要 •

    問題解決の方法: • 情報デザイン • プログラミング • データの活用 • 前提となる基礎知識: • コミュニケーション • コンピュータ • 情報通信ネットワーク 14 (参考) 大西「Peirceの探究段階論に基づく「情報I, II」の構造分析」(2021) https://doi.org/10.32203/jaeis.14.1_21 情報I (導入) 情報社会の問題解決 コミュニケー ションと情報 デザイン コンピュータ とプログラミ ング 情報通信 ネットワーク とデータの活 用 情報II (導入) 情報社会の進展と情報技術 (まとめ) 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究 コミュニケー ションとコン テンツ 情報システム とプログラミ ング 情報とデータ サイエンス
  13. 情報科の構造: 各分野の流れ 問題解決を核とする構造 15 情報社会の 基礎知識 問題解決の 基礎知識 情報技術の 基礎知識

    問題発見・解決の 実践 コミュニケーション の基礎知識 情報デザインの 基礎知識 情報デザインに よる問題解決 コンテンツの 創造 コンピュータの 基礎知識 プログラミングの 基礎知識 プログラミングに よる問題解決 情報システムの 創造 ネットワークの 基礎知識 データの活用の 基礎知識 データの活用に よる問題解決 統計分析からの 情報の創造 情報II 情報I 知識及び技能に関する統合的な理解 (中核的な概念の深い理解) 思考力、判断力、表現力等の総合的な発揮 (複雑な課題の解決) 情報社会・問題解決分野 情報デザイン分野 プログラミング分野 データの活用分野
  14. 担当者より: 情報デザイン分野 • コミュニケーション・ユーザインタフェース・インフォグラフィック • どう構造的に整理して活用するか • 多様な受け手を想定し、その視点に立って考える • 情報デザインの受け手の状況の理解

    • 様々な状況に応じて、必要な情報技術を効果的に活用する (担当・資料作成: 井上) 17 コミュニケーション の基礎知識 情報デザインの 基礎知識 情報デザインに よる問題解決 コンテンツの 創造 情報II 情報I
  15. 担当者より: プログラミング分野 • 配列変数・アルゴリズム・メソッド • 原因と結果を整理し、筋道立てて考える • 使う人にとってわかりやすく、便利なプログラムを考える • 教材を見るだけでなく、コードを考えて書く

    • 順序を考え、何事にも失敗を恐れず挑戦していく姿勢 (担当: 黒澤、 資料作成: 井原・井上) 18 コンピュータの 基礎知識 プログラミングの 基礎知識 プログラミングに よる問題解決 情報システムの 創造 情報II 情報I ※作成にあたり、一部でChatGPTの出力を参考にした。
  16. 担当者より: データの活用分野 • 機械学習、PPDACサイクル、プライバシー • データを単なる数字としてみるのではなく、どう理解しどう使うか • 仮説を立て、客観的・多角的な視点から捉える • 根拠を重視し、周囲と協力して課題の発見や解決に取り組む姿勢

    • 1つの結果に囚われず、多様な視点や根拠から柔軟に考察しようと する姿勢 (担当・資料作成: 井原) 19 ネットワークの 基礎知識 データの活用の 基礎知識 データの活用に よる問題解決 統計分析からの 情報の創造 情報II 情報I ※作成にあたり、一部でChatGPTの出力を参考にした。
  17. グループ分け・グループワーク前半 趣旨 説明 10:05 グループ 分け 10:20 GW前半 10:25 グループ

    移動 10:55 GW後半 11:05 発表 11:35 終了 11:55 20 3つの分野にグループ分け (各グループ2~3名+担当者): • 情報社会・問題解決 (担当: 大西) • 情報デザイン (担当: 井上) • プログラミング (担当: 黒澤) • データの活用 (担当: 井原) • 希望の分野がある方: その分野のグループへ移動 • 希望の分野がない方: どこかのグループへ移動 ※学習指導要領の章別にグループを作る時点で学習指導要領の枠組みに束縛されてしまいますが、 短い時間でワークショップを実施する都合上、今回は一旦、学習指導要領の章別にグループを作成して活動を行います。
  18. グループワーク前半 趣旨 説明 10:05 グループ 分け 10:20 GW前半 10:25 グループ

    移動 10:55 GW後半 11:05 発表 11:35 終了 11:55 21 1. グループ内で一通り自己紹介(名前などを20秒程度で) 2. 運営者がカードを配る 3. グループワーク前半 (30分) 1. 最初に置きたいカードがあれば、模造紙に1~2枚を置く (どなたでも) 2. その後は順に回していき、カードを1~2枚ずつ模造紙に置きつつ、 参加者間で話し合いながら、カード間の関連性を検討する ※参加者の発言機会が均等になるよう、順番に回しています ※運営者も議論に随時参加します (カードの出典) 情報処理学会「情報科全教科書用語リスト」(2025/10時点) https://sites.google.com/a.ipsj.or.jp/ipsjjn/wordlist
  19. グループ移動 趣旨 説明 10:05 グループ 分け 10:20 GW前半 10:25 グループ

    移動 10:55 GW後半 11:05 発表 11:35 終了 11:55 22 ここで一旦ディスカッションを中断して、 他のグループの様子を見に行ってみましょう 1. 運営者以外の方は分担して、 他の2つのテーブルへ移動してください 2. 移動先で運営者から、そのグループでの議論の様子を聞き、 自グループのこの後の議論のヒントを得ましょう 3. 移動先グループの議論へのコメントも、ぜひお願いします! ※11:00に元のテーブルに戻りますが、5分休憩を入れます ※ワールド・カフェで行われる「他花受粉」を短時間で行う目的で、このような時間を設けています。
  20. グループワーク後半 趣旨 説明 10:05 グループ 分け 10:20 GW前半 10:25 グループ

    移動 10:55 GW後半 11:05 発表 11:35 終了 11:55 23 1. グループワーク後半 (30分) 1. 見て回った他グループの様子を、グループ内で共有 2. 運営者から、他グループの参加者からのコメントなどを共有 3. 引き続き順に回していき、カードを置きながら、 カード間の関連性を検討する ※すべてのカードを使い切る必要はありません 4. 完成像がある程度見えてきたらカードをテープで貼り、 カードの間に線(実線・点線・矢印など)を引き、 線の意味(どのような関係か)をラベルに書く ※足りない概念があれば、書き足してOKです 5. 発表者(運営者以外でお願いします)・発表内容を検討
  21. 発表 趣旨 説明 10:05 グループ 分け 10:20 GW前半 10:25 グループ

    移動 10:55 GW後半 11:05 発表 11:35 終了 11:55 24 1. 各グループ3分以内で、ディスカッションの内容を発表 1. グループワークでどんな議論を行ったか 2. 概念マップを作る上で困った点(うまく整理できなかった点) (あれば) ※今回は概念マップを完成させることではなく、 参加者間の議論を通して各自の理解を深めることを目的としています そのため、マップの作成状況にばらつきがあっても差し支えありません
  22. 振り返り・アンケート 趣旨 説明 10:05 グループ 分け 10:20 GW前半 10:25 グループ

    移動 10:55 GW後半 11:05 発表 11:35 終了 11:55 25 本日はありがとうございました! 今回のワークショップの各自の振り返りを兼ねた、 アンケートへのご協力をお願いします URL: https://forms.gle/iZpmB7v6qZdoqxfg6