$30 off During Our Annual Pro Sale. View Details »
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
ものの浮き沈みやフックの法則など、教科書上の実験を探究的な学習にデザインする
Search
佐久間直也
December 27, 2021
Education
1
890
ものの浮き沈みやフックの法則など、教科書上の実験を探究的な学習にデザインする
2021年12月27日(月)
東京都中学校理科教育研究会 冬期研修会
講座2②
佐久間直也
December 27, 2021
Tweet
Share
More Decks by 佐久間直也
See All by 佐久間直也
生徒の考えを大切にした科学的に探究する理科授業~生徒の考える電流・電圧・抵抗を例に~
sakunao
0
710
中学校理科第1分野における科学的に探究する観察・実験とICT活用
sakunao
1
410
提示する事象の数が変数の同定に及ぼす効果に関する予備的検討
sakunao
0
280
中学校理科における環境シティズンシップ教育の実践
sakunao
0
380
複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導の効果 ―中学校理科「電流とその利用」の単元における継続指導を例に―
sakunao
0
410
複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導の効果 中学校理科「電流とその利用」の単元を例に
sakunao
0
540
複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導の効果 中学校理科「電流とその利用」の単元を例に
sakunao
0
510
Other Decks in Education
See All in Education
20250910_エンジニアの成長は自覚するところから_サポーターズ勉強会
ippei0923
0
340
【ZEPメタバース校舎操作ガイド】
ainischool
0
580
20251119 如果是勇者欣美爾的話, 他會怎麼做? 東海資工
pichuang
0
130
Présentation_2nde_2025.pdf
bernhardsvt
0
350
Entrepreneurship minor course at HSE 2025
karlov
0
140
生成AIとの付き合い方 / Generative AI and us
kaityo256
PRO
11
6.1k
Презентация "Знаю Россию"
spilsart
0
350
DIP_1_Introduction
hachama
0
330
Human Perception and Cognition - Lecture 4 - Human-Computer Interaction (1023841ANR)
signer
PRO
0
1.2k
QR-koodit opetuksessa
matleenalaakso
0
1.7k
HTML5 and the Open Web Platform - Lecture 3 - Web Technologies (1019888BNR)
signer
PRO
2
3.1k
今までのやり方でやってみよう!?~今までのやり方でやってみよう!?~
kanamitsu
0
220
Featured
See All Featured
VelocityConf: Rendering Performance Case Studies
addyosmani
333
24k
Six Lessons from altMBA
skipperchong
29
4.1k
How To Stay Up To Date on Web Technology
chriscoyier
791
250k
The Art of Delivering Value - GDevCon NA Keynote
reverentgeek
16
1.8k
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
666
130k
Design and Strategy: How to Deal with People Who Don’t "Get" Design
morganepeng
132
19k
Helping Users Find Their Own Way: Creating Modern Search Experiences
danielanewman
31
3k
Site-Speed That Sticks
csswizardry
13
980
Dealing with People You Can't Stand - Big Design 2015
cassininazir
367
27k
Performance Is Good for Brains [We Love Speed 2024]
tammyeverts
12
1.3k
StorybookのUI Testing Handbookを読んだ
zakiyama
31
6.4k
Chrome DevTools: State of the Union 2024 - Debugging React & Beyond
addyosmani
9
990
Transcript
フックの法則 や ものの浮き沈み など 教科書上の実験 を 探究的な学習 に デザインする 筑波大学附属中学校
佐久間 直也 2021年12月27日 都中理冬季研修会 講座2② (新宿区立西早稲田中学校) 全20 枚+補
自己紹介 佐久間 直也(Naoya SAKUMA) ▪ 専門 科学教育,理科教育 ▪ 経歴 2012-2016
東京学芸大学 A類理科撰修 2016-2020 東京都公立中学校 教諭(理科・多摩市) 2020-2021 (情緒障害・巡回拠点・北区) 2021-現在 筑波大学附属中学校 教諭 ▪ 理科を勉強する機会 ・TSC(東京創造理科同人),アサリ会(阿佐ヶ谷で理科を学ぶ会) ・Science Book Club in Japan ・仮説設定勉強会 ・若手の会(理科勉強会) ・共同研究者との打ち合わせ # E-mail
[email protected]
# twitter @sakunao_rika # HP(準備中) https://z- educationlab.com 2
本日の要点 ▪ 生徒が探究する場面をつくる ➣ どのように? 何のために? ▪ 生徒の考え方を重視する 3 ➣
私なりの授業のデザインを紹介します。
理科の授業で大切にされてきたこと ▪ 事象との出合いから始まる ◍ 授業導入時にものを提示する。 ◍ ものの提示が難しい場合でも,画像や動画を活用する。 ▪ 観察・実験を重視する ◍
教え込みの授業ではなく、生徒が観察・実験を行う。 ◍ 生徒実験が難しいものでも演示実験を行う。 4 ➣ 今後も大切にしていく必要がある。
理科の授業で大切にしたいこと ▪ 教科書のつくり ① 事象との出合い ② ちがいを見つける ➢ 水のあるなし ③
原因を考える ➢ 水のあるなし ④ 学習の方向性をもつ ➢ 水を入れると,コインが見えるようになる。 光の進み方が,空気と水の境界で変わるのかな? 5 ➣ 生徒の考え方,探究の過程と同じ過程である。
探究する ▪ (自然)科学的に探究する ◍ 物事の真の姿をさぐって見きわめること。 ➢ 教科『理科』における方法 ▪ 探究的な授業のデザイン ◍
生徒が『知りたい』と思える授業。 ➢ 生徒が出会ったことがない事象? ➢ 教科書にはない,魅力的な教材? 6 ➣ 教科書上の実験を探究的な学習にデザインする
教科書上の実験を『探究的な学習』にする ▪ ものの浮き沈み ▪ フックの法則 7 ➣ どのように授業をデザインしますか?
生徒の自由な発想 vs 教師の教えたいこと ▪ 過去の苦い経験 『木炭が燃えるとき,どのような変化が起こっていますか?』 〇 二酸化炭素が発生している。 △ 赤くなっている。
× わからない… ▪ 適度な『統制』下にある生徒『主体』の学び ◍ 教えなければいけないことがある。 ◍ 発問の意図から逸れる発言をできる限り避けたい。 8 ➣ 授業デザインを提案させていただきます。
ものの浮き沈みの実験をデザインする ▪ よく観察する ◍ 物体A,液体A ◍ 物体B,液体B ▪ 現象と出合う 実験①
物体Aの入った200 mLビーカーに液体Aを入れる。 実験② 物体Bを液体Bの入った200 mLビーカーに入れる。 9
ものの浮き沈みの実験をデザインする ▪ 何が起こったか(結果) ◍ 実験1は物体が浮いた。 ◍ 実験2では物体が沈んだ。 ▪ 2つの事象を比較して,何がちがうか 1
液体の量 2 液体の密度 3 液体のにおい 4 物体の体積 5 物体の重さ 6 物体の白い部分 ▪ 関係していそうなもの(原因)は何か 10 実験1 実験2
ものの浮き沈みの実験をデザインする ▪ 結果と原因を結びつける ◍ 液体の密度が小さいとき,物体は沈む。 ◍ 物体の体積が大きいとき,物体は浮く。 ▪ 自分の学習の方向性をもつ 11
液体の密度が原因だと思うな。 食塩水の濃度を高くしたとき、卵が浮くよね。 物体の体積が原因だと思うな。 船は重いけど、大きいから浮くと思うな。
提案する授業のデザイン ▪ 2つの事象を提示して、適度な『統制』をする ◍ 生徒の実態を踏まえて,どのくらい条件を複雑にするか判断する。 ▪ 段階的に,生徒の『知りたい』を引き出す 12 段階的に行う 事象との出会い
2つ事象の比較 ちがいを 見つける 原因を 考える 学習の 方向性 をもつ
検証計画の立案につながる ▪ 条件の制御に効果的 ◍ 『ちがい』や『原因』 ➢ 自然と条件に目が行くようになる。 ▪ 提示した事象が実験操作のヒントになる ◍
実験計画が苦手な生徒の足場かけとなる。 13 液体の体積? 物体の重さ? 液体の重さ? 物体の体積? 物の浮き沈みの原因
発表活動につながる ▪ チームサイエンス ◍ 多様な観点でアプローチする ➢ 班毎に実験方法が異なる ◍ 物事の真の姿をさぐることにつながる ➢
『探究』 ▪ 1人1台端末の活用 ◍ 口頭のみの発表活動よりも,視覚的な情報があると効果的。 ➢ 写真や動画を活用する。 ⇔ 全員経験主義 14 液体の体積? 物体の重さ? 液体の重さ? 物体の体積? 物の浮き沈みの原因
フックの法則の実験をデザインする ▪ 教えなければいけないこと ◍ おもりの数(力の大きさ)とばねの伸びが比例すること。 ◍ グラフをかき方。 ▪ 弾性体のより深い理解へ ◍
何が起こったか。 ◍ ちがいは何か。 ◍ 原因は何か。 15 ➣ どのような事象を提示しますか? 事象との出会い 2つ事象の比較
日常生活の不思議を教材にデザインする ▪ お茶の不思議 ◍ 『麦茶』と『ルイボスティー』をティーパックからつくる。 ▪ 1円玉の不思議(考えるカラスより) ◍ 『1円玉』と『木片』を水に浮かべる。 ▪
気柱の不思議 ◍ 気柱に『大きな』水滴と『小さな』水滴を垂らす。 16 ➣ 何の教材で,どのように授業をデザインしますか?
科学を理解する ▪ 科学には,特有な方法がある。 ➢ 『探究の過程』 ◍ 自分の考えを,実験を通して検証する。 ➣ 実験結果が予想通り …
考えが正しいとは限らない。 ➣ 実験結果が予想とちがう … 考えが間違っているとは限らない。 ▪ 科学とは,暫定的なものである。 ◍ 『COVID-19 の感染者数の激減』 ➣ 科学の方法が間違っていたわけではない。 17
人は科学が苦手(三井,2019) ▪ 知識が豊富であるほど、意見が分かれる。 ➣ 科学リテラシーの必要性 ⇔ 様々なバイアス(e.g.,確証バイアス) 18 科学的な知識の豊富さ 少ない
多い 民主党支持者 共和党支持者 人 間 活 動 が 地 球 温 暖 化 の 原 因 と 考 え る 人 の 割 合 理科の授業で何ができるか?
理科を通して涵養したい人間性 ▪ 1つの事象についてあらゆる可能性を考える『探究』 ➢ 涵養される『知的謙虚さ』 19 液体の体積? 物体の重さ? 液体の重さ? 物体の体積?
物の浮き沈みの原因 私は,物体の重さが浮き沈みに 関係していると思う。 死海だと人が浮くって 聞いたことがある。 もしかしたら,液体の濃度も 関係しているのかな…
本日の要点 ▪ 生徒が探究する場面をつくる ➣ どのように? 何のために? ➣ 科学の理解,人間性の涵養 ▪ 生徒の考え方を重視する
20 段階的に行う 事象との出会い 2つ事象の比較 ちがいを 見つける 原因を 考える 学習の 方向性 をもつ
宣伝 ▪ 令和4年度 筑波大学附属中学校 研究協議会 令和4年11月12日(土) A.M. 全体会 P.M. 分科会(研究授業)
▪ 理科について一緒に勉強しませんか? ◍ 本日の講座内容,日頃の授業についてなど, ☜ 連絡,いつでもお待ちしております! 21 連絡先 # E-mail
[email protected]
# twitter @sakunao_rika # HP(準備中) https://z- educationlab.com ・TSC(東京創造理科同人),アサリ会(阿佐ヶ谷で理科を学ぶ会) ・仮説設定勉強会 ・若手の会(理科勉強会)