Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
実践オブザーバビリティ
Search
Satoru Takeuchi
PRO
March 11, 2022
Technology
2
950
実践オブザーバビリティ
Observability Conference 2022の発表スライドです
https://event.cloudnativedays.jp/o11y2022/talks/1357
Satoru Takeuchi
PRO
March 11, 2022
Tweet
Share
More Decks by Satoru Takeuchi
See All by Satoru Takeuchi
ハイテク休憩
sat
PRO
2
180
利きプロセススケジューラ
sat
PRO
5
3.1k
俺とVSCode Python Debugger Extension
sat
PRO
1
200
コード再利用のしくみ ライブラリ
sat
PRO
3
65
AWKへの愛を語る
sat
PRO
3
540
syncコマンドのデータ同期 完了待ちやエラー検出
sat
PRO
0
110
動作中のLinux環境の全メモリを見る
sat
PRO
1
120
Linuxの時間を10秒止める
sat
PRO
2
220
プロセスへのメモリ割り当て4 - 実際に使うときにメモリを獲得するデマンドページング(実践編)
sat
PRO
1
150
Other Decks in Technology
See All in Technology
[JAWS-UG新潟#20] re:Invent2024 -CloudOperationsアップデートについて-
shintaro_fukatsu
0
120
Amazon Kendra GenAI Index 登場でどう変わる? 評価から学ぶ最適なRAG構成
naoki_0531
0
130
コンテナセキュリティのためのLandlock入門
nullpo_head
2
330
[Ruby] Develop a Morse Code Learning Gem & Beep from Strings
oguressive
1
190
効率的な技術組織が作れる!書籍『チームトポロジー』要点まとめ
iwamot
1
110
Working as a Server-side Engineer at LY Corporation
lycorp_recruit_jp
0
370
クレカ・銀行連携機能における “状態”との向き合い方 / SmartBank Engineer LT Event
smartbank
2
100
サイボウズフロントエンドエキスパートチームについて / FrontendExpert Team
cybozuinsideout
PRO
5
38k
どちらを使う?GitHub or Azure DevOps Ver. 24H2
kkamegawa
0
1.2k
10個のフィルタをAXI4-Streamでつなげてみた
marsee101
0
180
TypeScript開発にモジュラーモノリスを持ち込む
sansantech
PRO
2
660
[トレノケ雲の会 mod.13] 3回目のre:Inventで気づいたこと -CloudOperationsを添えて-
shintaro_fukatsu
0
110
Featured
See All Featured
The Illustrated Children's Guide to Kubernetes
chrisshort
48
48k
Designing Experiences People Love
moore
138
23k
Typedesign – Prime Four
hannesfritz
40
2.4k
"I'm Feeling Lucky" - Building Great Search Experiences for Today's Users (#IAC19)
danielanewman
226
22k
Templates, Plugins, & Blocks: Oh My! Creating the theme that thinks of everything
marktimemedia
28
2.1k
Six Lessons from altMBA
skipperchong
27
3.5k
RailsConf & Balkan Ruby 2019: The Past, Present, and Future of Rails at GitHub
eileencodes
132
33k
Designing Dashboards & Data Visualisations in Web Apps
destraynor
229
52k
Let's Do A Bunch of Simple Stuff to Make Websites Faster
chriscoyier
507
140k
How GitHub (no longer) Works
holman
311
140k
Build The Right Thing And Hit Your Dates
maggiecrowley
33
2.4k
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
137
6.7k
Transcript
実践オブザーバビリティ プロダクショングレード監視/ログ基盤とその実用例 Mar. 11th, 2022 サイボウズ ストレージチーム sat 1
もくじ 2 ▌前提知識 ▌サイボウズの監視/ログ基盤 ▌工夫点と課題 ▌実用例
もくじ 3 ▌前提知識 ▌サイボウズの監視/ログ基盤 ▌工夫点と課題 ▌実用例
オブザーバビリティとは ▌システムが外部提供する情報から内部状態を観測できること ▌オブザーバビリティが高いシステムの例 ⚫サービスを提供できているかを観測できる ⚫サービスのレスポンス時間を観測できる ⚫ストレージの容量が足りているかを観測できる 4
システムが外部提供する情報 ▌メトリクス: システムの状態を定量化したもの ⚫例: リクエストが一秒あたりに完了した数 ▌ログ: システムに起きたことを記録したもの ⚫例: “<時刻> request
completed in 0.3 secs”のような文字列 5
オブザーバビリティを高める手段 ▌メトリクス/ログの集約 ▌集約したメトリクスの監視(モニタリング) ▌監視によって検出した異常を通知(アラート) ▌メトリクス/ログの分析、可視化 6
もくじ 7 ▌前提知識 ▌サイボウズの監視/ログ基盤 ▌工夫点と課題 ▌実用例
サイボウズで開発中のインフラ ▌オンプレのKubernetes(K8s)クラスタ ▌マルチテナント ⚫ 1つのK8sクラスタにあらゆるアプリ(Pod)が同居 8 …
監視/ログ基盤に採用したソフトウェア ▌監視基盤 ⚫VictoriaMetrics: メトリクスの集約、監視 ⚫Alertmanager: 通知 ▌ログ基盤 ⚫Loki: ログの集約 ▌可視化、分析
⚫Grafana: ダッシュボード、VictoriaMetricsとLokiへのクエリ発行 9
インフラ構成図 10 Cephクラスタ HDD node HDD ディスク アプリ Loki VictoriaMetrics
VictoriaMetrics Grafana AlertManager AlertManager K8sクラスタ データ保存
メトリクス/ログの集約、監視 11 Cephクラスタ HDD node HDD ディスク アプリ Loki VictoriaMetrics
VictoriaMetrics Grafana ログ集約 メトリクス集約、監視 メトリクス集約、監視 AlertManager AlertManager K8sクラスタ データ保存
有事の際は管理者に通知 12 Cephクラスタ HDD node HDD ディスク アプリ Loki VictoriaMetrics
VictoriaMetrics Grafana 通知 通知 AlertManager AlertManager K8sクラスタ データ保存 やるぞ!
状況確認 13 Cephクラスタ HDD node HDD ディスク アプリ Loki VictoriaMetrics
VictoriaMetrics Grafana ダッシュボードを見る AlertManager AlertManager K8sクラスタ データ保存
トラブルシューティング 14 Cephクラスタ HDD node HDD ディスク アプリ Loki VictoriaMetrics
VictoriaMetrics Grafana クエリ発行&結果を分析 クエリ発行 クエリ発行 クエリ発行 AlertManager AlertManager K8sクラスタ データ保存
その他Grafanaへのアクセス契機 ▌定期的なダッシュボード確認 ⚫前回確認時以降、変わったところがないか ⚫「何が正常か」を知るのに役立つ ▌インフラユーザからの連絡 ⚫できればなくしたい ⚫問題解決後に、自動検出できるよう改善を検討 15
ダッシュボードの例(Cephクラスタ) 16
Cephクラスタの容量とIOPS 17
成果は全てOSSとして公開 ▌監視基盤 ⚫https://github.com/cybozu-go/neco-apps/tree/main/monitoring ▌ログ基盤 ⚫https://github.com/cybozu-go/neco-apps/tree/main/logging 18
もくじ 19 ▌前提知識 ▌サイボウズの監視/ログ基盤 ▌工夫点と課題 ▌実用例
工夫点: VictoriaMetricの採用 ▌Prometheus互換 ⚫様々な外部ツールが対応 ▌組み込み機能によってHA構成可能 ⚫構成がシンプルにできる ▌データストアが長期保存向け 20
工夫点: 2つの監視基盤 ▌Cephクラスタの障害発生時にCephの情報を得られる 21 Cephクラスタ HDD node HDD ディスク VictoriaMetrics
VictoriaMetrics アプリ メトリクス集約、監視 メトリクス集約、監視 障害発生! × データ保存 〇 データ保存
工夫点: 通知の分類 ▌通知を2種類に分け、通知先を変更 ▌効果 ⚫頻繁な通知によるメンバの疲弊を回避 ⚫非critical通知は調査開始後に見られる 22 VictoriaMetrics Criticalな通知 Slack
Critical チャネル Warning チャネル 非Criticalな通知 やるぞ!
課題: LokiがCephに依存している ▌Cephクラスタの障害発生時にlokiにアクセスできない ▌Cephクラスタ専用のLokiを導入予定 23 Cephクラスタ HDD node HDD ディスク
Loki アプリ ログ集約、監視 障害発生! × データ保存
通知が不親切 ▌通知受信後にどうすればいいかわからない ⚫チームメンバーの暗黙知に頼っている ▌対策案: 通知にnext actionを書く 24 VictoriaMetrics ストレージ残量が20%を下回りました だから何?
通知 VictoriaMetrics ストレージ残量が20%を下回ったので マニュアルのX.Y節通り対処してください やるぞ! 通知
もくじ 25 ▌前提知識 ▌サイボウズの監視/ログ基盤 ▌工夫点と課題 ▌実用例
事例: オブジェクトストレージのアクセス障害 ▌前提 ⚫CephはRGWというオブジェクトストレージを提供 ▌問題 ⚫RGWにアクセスできなくなった ▌検出方法 ⚫RGW podの異常終了を示す通知が定期的に発生 26
ダッシュボードの確認 ▌アラート発生時からオブジェクト数が増えていない 27 オブジェクト数→ 時間→ オブジェクト数→ 時間→ 正常時 問題発生時
原因の候補 ▌RGW Pod自らが終了 ⚫何らかのエラーによって異常終了 ▌外部からの強制終了 ⚫例: K8sのprobeへの無応答が続くとシグナルによって強制終了 28
切り分け ▌RGW Pod強制終了時のログを見れば何かわかるはず ⚫RGW Podが自ら終了: エラーログが残る ⚫外部から強制終了: シグナル受信ログが残る ▌幸運: Loki上の直近のログだけは見られる
⚫LokiのストレージはCeph上に保存 ⚫古いログはRGWに保存 ⚫直近のデータはブロックデバイスに保存 29
RGW podのログを確認 30
ログを表示する期間 31
Lokiに発行するクエリ(LogQL) 32
全RGW Podのログをまとめて表示 33
どのPodのログかをどうやって特定? 34 ログの各行をクリックすると…
行をクリックすると詳細情報が出る 35
出力するログを絞っていく ▌旧 ▌新 ▌出力期間も絞る 36
分析結果 ▌各RGW podは以下ログの出力&終了を繰り返していた NOTICE: resharding operation on bucket index detected,
blocking … received signal: Terminated from Kernel …) UID: 0 … NOTICE: resharding operation on bucket index detected, blocking … received signal: Terminated from Kernel …) UID: 0 … 37 “resharding”という処理が怪しそう シグナルによって終了
仮説 ▌Probe失敗によって強制終了させられていた ▌ログに残っていたreshardingという処理が怪しい ▌次のようなことを繰り返していたのでは? 1. resharding処理中はRGW podのprobeが失敗 2. Probeの失敗を繰り返したのでK8sが異常終了させる 3.
resharding処理が最初からやり直しに 38
その後の流れ ▌仮説は正しかった ⚫K8sのlivenessProbeが失敗し続けていた ▌詳細は別スライドを参照 ⚫ https://speakerdeck.com/sat/kubernetesshi-jian-toraburusiyuteingu 39
振り返り: よかったこと ▌監視と通知によって問題を早期検出できた ⚫無ければユーザからのクレームまで気づけなかった可能性も ▌ダッシュボードにより問題の概要が一目でわかった ▌メトリクスとログからトラシューの仮説が立てられた ⚫仮説の検証にも役立った 40
振り返り: 改善すべきこと ▌Cephクラスタ専用のLokiが欲しい ▌今回は偶然に助けられた ⚫直近のログにアクセスできなければ調査はさらに難航した ▌次はこうはいかないかもしれない 41
これまでの経験を踏まえたTIPS ▌オブザーバビリティ向上の肝は改善の繰り返し ⚫まずは単純な監視/ログ基盤を作る ⚫使い込んで、不備があれば改善 ▌定期的なダッシュボードのチェック重要 ⚫「何が正常か」が肌感覚でわかる ▌一度監視/ログ基盤を導入したら無い状態が想像できなくなる ⚫問題検知/トラシュー速度が全く違う ⚫可用性向上に投資を惜しまないほうがいい 42
おわり 43