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技術士業務研究会 2025年10月例会『国際規格の作り方』

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October 10, 2025

技術士業務研究会 2025年10月例会『国際規格の作り方』

2025年10月10日

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  1. 国際規格の作り方 10 Oct. 2025 Takenori Baba 技術⼠業務研究会 2025年(令和7年)10⽉度例会 1.標準化の基礎知識 標準化とは

    “実在の問題又は起こる可能性がある問題に関して、与えられた状況におい て最適な秩序を得ることを目的として、 (共通)に、かつ、 (繰り返して)使用するための記述事項を確立する活動。” (ISO/IEC Guide2 [JIS Z 8002:2006]) ITU,IEC,ISO 国際標準化機関で制定さ れる規格 (国際)規格 EN,ETSI,EAC,GCC 地域規格は地域的な標準 化機関で制定される規格 (地域)規格 JIS, BSI, DIN, ANSI 国家規格は国家標準化機 関が制定する規格 (国家)規格 IEEE, ASTM, 団体規格は業界団体等が 作成する規格 (団体)規格 Boeing規格,MIL規格, 各社設計・製造標準, 調達基準など 会社、工場などで、材料、 部品、製品、組織、あるい は購買、製造、検査、 管理 などの仕事に適用すること を目的として定めた規格 (社内)規格 2.国際標準化の基礎知識 分野 名称と設立年 機関 (無線通信) と, (電気通信) 国際電気通信連合 International Telecommunication Union 設立: (1865)年5月17日 (電気工学) (電子工学) および関連技術 国際電気標準会議 International Electrotechnical Commission 設立: (1906)年6月26日 (その他) 国際標準化機構 International Organization for Standardization 設立: (1947)年2月23日 国際規格を作ることができる3つの機関 平成30年第196回通常国会において、「不正競争防止法等の一部を改正 する法律」(法律第33号)が可決成立し、工業標準化法が一部改正さ れ、“ (産業標準化法)”に変わり、日本工業規格(JIS) が (日本産業規格)(JIS)に変わった。 (A. 品質 )(B. 経営管理 ) (C. データ )(D. サービス ) (A)や(B) (A)や(B) (C)や(D) (C)や(D) ( TBT )協定 • 世界貿易機関(World Trade Organization) 貿易の技術的障害 (Technical Barriers to Trade)に関する協定 • 1979年4月に国際協定として合意されたGATT スタンダードコー ドが1994年5月に(TBT)協定として改訂 • WTO加盟国は必ずこの協定に合意しないといけない. • 国内規格は(国際規格)に基づいたものでなければならない (政府調達)協定 政府事業や国営企業、それに準ずるものの調達基準は国際規格に のっとったものでなければならない 過去に (Felica)が本協定違反として訴えかけられた事例. ⇨良い技術であっても標準化されなければ使われない. 国際標準化の重要性 3.国際標準化に求められる技術士の資質 目的 エンジニアにとって必要となる標準化の基礎知識を整理するとともに,標準化 技術者,そして技術士に求められる資質について考察する. 文化相互理解のIceberg(氷山)モデル 4.まとめ • 今や国際標準化は技術者にとっても企業経営にとっても避けては 通れないものになっている. • 標準化技術者は単に (特定の技術)に精通するだけではな く,その技術の本質や目的を理解し,その (ユースケー ス)を示し,標準化を通して (公益)に資することを示す役割 を負う → 国際標準化こそ技術士の活躍の場たりうる. 表現,言動,行動 知識,動機,価値観,常識 使命感,目的意識 日本では… 日本では… 標準化の基礎まとめ 標準化を行う目的としては ・リソースの共通化による ( 効率向上 ) ・ ( 参入障壁 )の形成 ・大量生産や競争を惹起することによる ( コストダウン ) →標準化は戦略的に用いれば非常に強力なツールになる 国際標準化の基礎まとめ ・ルールを作る側が (有利)になる. ・国際的にはそのルールを強制的に「 (守らせる)」仕組みがあ る[ (TBT)協定, (政府調達)協定) <参考文献> 標準化実務入門(経済産業省) http://www.meti.go.jp/policy/standards_conformity/files/hyojunkajitsumunyumon.html 国際規格を作る場には様々な国や企業からそれぞれの立場を負って専門 家が集まってきている. 競合メーカーにルールメーキングされるということは, 基本的に (不利益)になる. その立場を乗り越えるためには何が必要か? 規格 使命 目的意識 ? 「国際標準化を行い, 公益に資する」 この間をつなぐものは何か? →その技術の使われ方 (ユースケース)を示す必要 日本を取り巻くビジネス環境の変化 水平方向 (物理的) 従来の 日本社会 垂直方向 (時間的) • ビジネスの国際化 • 少子高齢化による労働力不足 • 中途採用,非正規雇用の増加 • 終身雇用を前提とした制度の崩壊 • 情報社会におけるビジネスの速度UP • High-Contextな文化(言語情報以外の表現に依存) • 同質なもの(日本人,教育,言語)で構成される組織 • 「習うより慣れろ」「技術は習うな盗め」 High-context文化のままでは技術,伝統,哲学を伝承できない時代 → (ユースケース)は,技術者にとって共通の理解を 構築するための有用なツール 「標準化教本―世界をつなげる標準化の知識」, 江崎学(2017)日本規格協会 「国際標準は自分で創れ!」日本電気制御機器工業会 (2009)日刊工業新聞 「世界市場を制覇する国際標準化戦略」原田 節雄 (2008)東京電機大学 ユースケース分析 IEC62559シリーズ • スマート電力の規格の整備において開発された手法 • ユースケースを誤解を許さないようにシステマチックに記述し,複数 のユースケースを比較しやすいように整理する. • ユースケースから抽出された要求事項(=技術)を比較することで, 規格の重複,過不足を確認し,統合,追記,削除などを判断する. ⇨これを書き上げるスキルは (技術士2次試験)と共通