ヨーガン・アペロさんが『Management 3.0: Leading Agile Developers, Developing Agile Leaders』という書籍で著したアジャイルなマネジメントアプローチ、Management 3.0の書籍の内容をまとめたポスターです。
マネジメント3.0アジャイル開発者をリードし、アジャイルなリーダーを育成するマネジメント3.0とは、ヨーガン・アペロさんが提案するアジャイルなマネジメントを実現するための理論とプラクティスです。マネジメント3.0とはマネジメント1.0、2.0のような上意下達の階層型組織では現在の複雑なビジネス状況に対応できません。複雑な状況(複雑系)に対応するために、組織自身も状況に柔軟に対応できるもの(複雑適応系)になる必要があります。目標を共有して、その達成に向けて個々のメンバーが自律的に行動する自己組織化は状況に柔軟に対応できるもの(複雑適応系)を実現するためのベースになりえます。でも、マネジメントはそれにどのように関わるべきでしょうか?自己組織化マネジメント1.0 マネジメント2.0 マネジメント3.0情報-イノベーションシステムマネジメント3.0では、自己組織化したチームをマネジメントすることで情報をイノベーションによりよく変換することを目指します。これを情報-イノベーションシステムと呼びます。情報-イノベーションシステムは、5つ歯車により動作します。書籍 『Management 3.0』の図を基に作成参考文献:Jurgen Appelo, Management 3.0: Leading Agile Developers, Developing Agile Leaders, Addison-Wesley, 2010© 2021 Taku Fujii
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書籍 『Management 3.0』の図を基に作成線形的な立場と非線形の立場、「複雑系の科学」• 一連の出来事を捉えて、対応する上で、線形的な立場と非線形的な立場がある• 様々な現象は各々システムにより生じると考えられるが、それらのシステムは構造的な複雑さと振る舞いの複雑さの2軸で分類できる• 企業や組織を取り巻く世界を複雑系として捉えるならば、それによりよく対応するためには複雑適応系 (CAS) ではあるべきではないか人々を元気づける• 企業や組織がビジネスの世界で生き残り、繁栄するためには、イノベーションを生み出す複雑適応系 (CAS) であるべき• イノベーションを生み出すためには、情報-イノベーションシステムの5つの歯車が円滑に動くようにマネジメントしなければらない• モチベーションについては、メンバーの内発的なニーズ(欲求)を理解し、それらにどのように対応できるかを考える必要がある• 個性については、メンバーと自身を理解し、さらにそこからチームとしての価値を見つけ出していく必要があるチームに委任する• 自己組織化は、中央の権威が計画を通じて課すことなく、システムにおいて構造やパターンが表れるプロセスである• それ自身は良いものにも、悪いものにもなりうる• 構造と振る舞いが複雑な世界を相手にする場合、1人の人がその世界を把握し、適切な判断を下すのは困難である• その代わりに、適切な情報を持つ人やチームに委任すべきである• 委任は、(組織の)成熟度という観点と、タスク毎の権限レベル、関与する人々という観点で考え、改善していくべきである制約を揃える• 自己組織化をより成果に結びつけるために、マネージャーは、パラメーターを設定し、自己組織化している組織を守る、方向性を示す必要がある• 方向性を示すためには、マネージャー自身が目的を設定するだけではなく、メンバーの目的と折衷させる可能性も念頭に置いた方がよい• 重要な判断領域において、どのように誰が判断を行うのかを明示し、それを見直す• また、起こらないで欲しいことを明示するコンピテンスを育む• エージェントに、自らルールを作り、管理できるというようなルール作りの能力を育むことが望ましい• アジャイル宣言において明示されていない規律とスキルを育むことがマネジメントとして重要である• マネージャーとして、無意味なルールを取り除いたり、問題が小さなうちに解決する必要がある• コンピテンスを育む方法として、自己訓練、コーチング、認定、社会的圧力、適応可能なツール、監督者、マネージャーがあり、これらを組み合わせて実行することを考える必要がある構造を成長させる• 本当のコミュニケーションは、1方向ではなく、フィードバックがあって成立する• 複雑系において、エージェント間のつながりが多ければ多いほどよいというものではない。そのため、組織をスケールさせる場合、スケールアップよりもスケールアウトさせた方がよい• チームは、まずスペシャリティー(専門性)に基づくようにし、そこからジェネラリスト化させる。また、価値ユニットという観点で考える• スケールは、チーム間でどのように調整するかという点と、チームの性格(機能ごと、機能横断)の両面で考え、発展の方向性を考えるすべてを改善する• ビジネス環境において継続的に改善し、生き残るためには、適応、探索、予期を行う必要がある• 適応:アジャイル、探索、予期:ビジネス• 変化させる要素の様々な組み合わせ(位相空間)を1つの軸とし、適合性をもう1つの軸として適応度地形を描くことができる• 適応度地形の中で、自分たちの位置を知り、自からも変化を生み出すことで、継続的な変化に立ち向かう文化を作る• 間違いを称えるとともに、ノイズ(不完全さ)、性(交差)、ブロードキャストなどの戦略により、局所最適を乗り越えて、継続的な改善を行うマネジメント3.0の6つの視点© 2021 Taku Fujii