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AIで「速く作れる」も「よく見える」も当たり前になった。次に変わるのは、管理職だ

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July 25, 2026

 AIで「速く作れる」も「よく見える」も当たり前になった。次に変わるのは、管理職だ

AIの浸透で、エンジニアに限らず100名以上が自分で"作れる"ようになり、案件の状況も"見える"ようになった。それでも、検証を通過し、きちんと作れたプロダクトが次の事業判断で止まる経験が続いた。原因は開発力ではなく、評価軸・関わり方・判断前提という"構造"。東京ガスの実例をもとに、「判断の変革」と「組織の変革」への現在進行形の試行錯誤を語る。問われるのは速く作る力ではなく、更新し続ける力。それは管理側自身が変わることから始まる。

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Transcript

  1. 会社概要 1885 年(明治18年) 渋沢栄一が東京瓦斯会社を創立 文明開化の街と人々の暮らしをあかりで照らす 連結売上高 2 8,347 兆 都市ガス小売お客さま件数

    億円 総資産 3 8,922 兆 約 886.1万件 小売電力販売件数 億円 約 国内 No.1 新電力 433.7 万件 No.1 ※2026年3月末時点 東京だけでなく、 全国、世界に事業展開 日本全国に LNG基地や再エネ 電源を開発・保有 北米や東南アジアを中心に 海外プロジェクトも多数 バリューチェーンの上流から下流まで事業展開 世界から 自社船で安定調達 トレーディングも 原料調達・輸送 ガスも電力も つくっている エネルギー製造・供給 家庭にも企業にも エネルギー供給・ サービス提供 エネルギー販売 エネルギーソリューション Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 33
  2. CoEとしてグループ全体を横断的に開発支援 ・DX推進部デジタル開発グループは、本社機能のCoEとしての位置づけ ・プロダクトを保有する事業オーナーではなく、カンパニー(事業部門)と協働で開発を推進 ・事業ドメインの枠を越え、幅広い領域で技術力を生かして、全社DX推進・価値創出に貢献 カンパニー・基幹事業会社 エネルギー トレーディング カンパニー グリーントラン スフォーメーシ

    ョン カンパニー カスタマー& ビジネス ソリューション カンパニー 海外事業 カンパニー 地域共創 カンパニー 東京ガス エンジニアリング ソリューションズ LNG調達/基地 操業、電源開発、 電力取引 e-methane・水 素製造、CCUS、 再エネ電源獲得、 基礎研究 法人/リテール営 業、サービス/技 術開発 天然ガス採掘、 海外再エネ事業 への出資、参画 地方自治体等へ の広聴広報とソリ ューション提供 法人営業、各事業 都心部向けのオフィ 向けの設備建設、エ ス、住宅の提供、街 づくり ンジニアリング DX推進部 本 社 機 能 デジタル開発G 東京ガスiネット グループ大でのDX推進 DX人材採用・育成 東京ガス 不動産 東京ガス ネットワーク ガス導管の建設、 運営、維持管理 AI・データ活用等の基盤構築 など 事業部門の個別開発に加えて、事業開発・検証を加速し、横断で使える共通サービスを創出・展開 DX推進のためのITインフラ・システム整備 IT・業務都市計画の策定・更新・浸透 東京ガスの100%子会社 Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 44
  3. 3つの利益成長ドライバー • 当社の強み(顧客基盤・エネルギーアセット・オペレーション能力)をAI/DXで強化 • 「エネルギー」「ソリューション」「海外」の3事業を成長・シナジー創出 期間累計投資規模:2,000億円 エネルギー セグメント 利益 870

    → 1,090億円 (25年度) (28年度) • ガス:徹底したコストダウンによる効率化 とLNGトレーディングの拡大。DC関係需要 の獲得 • 電力:デジタルマーケティングも活用し520 万件へ件数拡大、需給最適化による収益化 • 資産効率を踏まえVC全体でGX収益化 ソリューション セグメント 利益 50 → 280億円 (25年度) (28年度) • ご家庭向け:住宅設備ソリューションで売上 高1,100億円超に拡大 • 法人向け:エネルギーソリューションを全 国・海外展開し成長市場(DC、半導体工場) で顧客を獲得し売上高を2,800億円超に拡大、 DX・M&A等で商材を拡充 海外 セグメント 利益 590 → 790億円 (25年度) (28年度) • 北米:獲得したシェール資産(ロッククリフ、 シェブロン)を着実に開発・VC構築による収 益化 • アジア大洋州:現地戦略的パートナーと連携 し成長市場でのLNG・電力関連事業に参画 2025年10月29日公表:「2026-2028年度 中期経営計画」より引用、加工 Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 55
  4. 本日の主張|AIが壊した、プロダクト開発業務の「2つの希少性」 AIが壊したのは、“プロダクト開発業務”における2つの希少性 ①「作れる」 の民主化 ②「見える」 の民主化 ▼ 重視するもの ▼ 重視するもの

    評価軸 関わり方・組織構造 (何を・どのフェーズで・続ける/止める) (誰がどう関与し、管理職は何をするか) → 判断の変革 → 組織の変革 問われるのは「速く作る力」ではなく、 評価軸・関わり方を “更新し続ける力” Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 6
  5. 1. 実例|いま、誰でも速く作れる。ところが―― エンジニア 非エンジニア Claude Code / Cursor で 実装・レビューが加速

    要件を持つ本人が、 自分の手で試作を作り始めた 「作れる人」の定義が、この1年で広がった ― でも、その先で何が起きたか? Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 7
  6. 2.「作れる」の民主化|AIが壊した希少性① AI開発支援ツール Claude Code / Cursor 実装・レビュー・試作を加速 エンジニア+非エンジニアで 100名以上 が利用

    要件を持つ人が、自分で試作できるようになった 管理職の私自身も、Four Keys やコード変更行数などの管理指標を自分で取得 Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 10
  7. 3. 経験の整理|私たちは、“作る段階”から呼ばれる 私たち=CoE(DX推進部)は、事業推進部門と協働して内製開発を担う立場 ―― だから、声が掛かるのは自然と“作る段階”になる フェーズ1 構想 フェーズ2 フェーズ3 ビジネスモデル

    検証 MVPによる 顧客課題解決の検証 フェーズ4 事業化 ▲ 関与はここに集中 もう「作るもの」が決まった状態で入る → その手前で置かれた “前提”を揃え直しにくい ※ もっと手前のフェーズから声が掛かるよう働きかけているが、まだ上手くいっていない Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 14
  8. 3. 経験の整理|事業フェーズ×関わり方で並べ直す 事業検証フェーズ プロダクト成長フェーズ 事業部門で 完結 ① 探索型 ② プロダクト型

    内製開発 内製開発 DX推進部門 が関与 ③ 探索伴走型 ④ 成長支援型 内製開発 内製開発 冒頭の案件は ③探索伴走型 ―― なのに、②や④の物差しで測られていた Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 15
  9. 3. 経験の整理|AIで、“探索の試作”が激増する ① 探索型 ② プロダクト型 試作コストが下がるほど、探索案件は増える 「今どのマスにいるか」を全員が言える共通 言語が要る ③

    探索伴走型 ④ 成長支援型 地図は、案件が増える時代の “交通整理” ▲ 増えるのは“左側” = 探索の試作 Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 16
  10. 4. 失敗パターン③|成功体験による知見のサイロ化 昨年度まで、プロダクトごとに1から個別に準備していた ③ AWS / Azure / 社内標準 /

    独自環境 ―― 技術の使い方もバラバラ 標準化されないまま案件が増え、毎回“車輪の再発明”が起きた 立ち上げ当初は、共通化できる知見がまだ組織に無かった 今後、非エンジニアによる開発が拡大した場合には、“検討漏れ”リスクは増幅していく Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 19
  11. 5. 打ち手|変えたのは2つ ――「判断」と「組織」 現場の頑張りでも、AIの練度でも解けない。変えるのは土台。 ① 判断の変革 ② 組織の変革 評価軸を変える 関わり方を変える

    対応する民主化:「作れる」 対応する民主化:「見える」 AIはボトルネックを移した ―― 変化した詰まりどころに“対応する力”が問われる Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 20
  12. 6. 判断の変革|評価軸=フェーズごとの“問いと物差し” 反省:問いと物差しが曖昧なまま作り始め、続ける/止めるの判断が後手に回った フェーズ そのフェーズで検証する問い 判断の物差し ビジネスモデル検証 事業として成立するか 収益仮説・想定顧客の確度 顧客課題解決の検証

    (MVP) 顧客の課題は解決するか 利用継続・行動の変化 = プロダクト価値の向上 事業化 事業としてスケールするか 収益性・成長率 やるべき事:着手前に、事業オーナーと“見る数字・見ない数字・やめる条件”を合意 = 甘い期待で“ずるずる続く”を防ぎ、「止められる」状態を先に作る ※ MVP中はプロダクト価値向上を主目的にする (ピボット等で前提が変われば、収益仮説は再点検) Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 21
  13. 7. 組織の変革|CoE=アジリティを高める“専門家集団”へ 作る係 事業のアジリティを高める “専門性の提供者” ※ 意識はしていたが、事業オーナーへの“伝わる働きかけ”ができていなかった(後から判明) その専門性を、2つの機能で提供する(根底にDevOps) 機能① Platform

    機能② Enabling インフラ環境・コミュニケーション ツールなどの整備で AI前提の開発環境/Four Keys計測 POへの伴走支援 認知負荷を下げ、着手を速く 指標を“会話”に変える = 開発の“可処分時間”を創出 = 事業と目線を合わせる Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 23
  14. 7. 組織の変革|Four Keys ―― 同じものさしで測る Four Keys=デプロイ頻度・変更リードタイム・変更失敗率・復旧時間の4指標 うち、デプロイ頻度の直近実測(2026年6月・月あたり) プロダクトA プロダクトB

    プロダクトC 月28件(ほぼ毎日) 月5件(週1回ペース) 月9件(週2回ペース) 頻度の差は優劣ではない ―― 背景(他社連携など案件特性)とセットで読む 実測が並ぶと、“何が頻度を抑えているか・どこへ働きかけるか”を議論できる チーム目標として“どこを狙うか(Elite / High)”を、 状況・条件を勘案して関係者で考える 狙いはランク付けではなく、全チームが“同じものさしで会話できる”こと Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 25
  15. 7. 組織の変革|AIが壊した希少性②「見える」 GitHub Redmine AIで横断集計 管理者 利用状況・仕事の状況を 可視化 現場に逐一聞かずとも、 状況が見える

    Asana 非エンジニアの利用・仕事まで含めて、“見える”が民主化しつつある Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 26
  16. 7. 組織の変革|情報の非対称が消えると、管理職が変わる Before 上級管理職 After 上級管理職 ▲▼ 中間管理職 情報の中継 →

    意思決定・育成 組織を繋ぐ橋渡し 中間管理職 ▲▼ 現場 情報が段階的に伝わり、薄まる 現場 同じ材料で、直接会話できる ※ “フラット化した”ではなく「しやすい変化」・道半ば。 可視化の副作用(監視感・過干渉)にも配慮が要る Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 27
  17. 8. まとめ|AIが壊した“2つの希少性” ①「作れる」の民主化 → 評価軸を重視する = 判断の変革 (何を・どのフェーズで・続ける/止める) ②「見える」の民主化 →

    関わり方・組織を重視する = 組織の変革 (誰がどう関与し、管理職は何をするか) 2軸4象限は答えではなく、“事後の地図”。あなたの組織の地図を描いてほしい 問われるのは、“更新し続ける力” = 事業・チーム・関係者の状況に合わせ、重視する点と資源配分を移し続ける (例:チームが未成熟なら育成に、プロダクト価値向上が課題ならそこにリソースを) Copyright © TOKYO GAS Co., Ltd. All Rights Reserved. 28