Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

Deep Tech スタートアップとは何か

Deep Tech スタートアップとは何か

ディープテックスタートアップの定義や概要、特徴について解説しています。シリーズの最初のスライドです。

東京大学 FoundX の各種リソース

Founders Program - 個室の無償提供とコミュニティ

Fellows Program - 研究者の助成金獲得支援プログラム

Deep Tech 起業ゼミ - Deep Tech 系のアイデア探しの支援プログラム

FoundX Review - 起業家向けノウハウ情報

FoundX Resource - 整理された記事の紹介

FoundX Online School - 30以上の学習ビデオ教材

Takaaki Umada / 馬田隆明
PRO

August 24, 2022
Tweet

More Decks by Takaaki Umada / 馬田隆明

Other Decks in Business

Transcript

  1. Takaaki Umada / 馬田隆明
    東京大学 FoundX(インセプションプログラム)
    https://foundx.jp/
    Deep Tech スタートアップ入門 (1)
    Deep Tech
    スタートアップとは何か

    View Slide

  2. Q.
    2
    ディープテック
    スタートアップ
    とは?

    View Slide

  3. 「ディープテック」かつ「スタートアップ」
    3
    ディープ
    テック
    スタート
    アップ

    View Slide

  4. スタート
    アップ
    まず「ディープテック」側から説明
    4
    ディープ
    テック

    View Slide

  5. ディープテックとは
    定義は Deep Tech: The Great Wave of Innovation などを参照した 5
    ディープ
    テック
    研究開発を要するような
    「深い」レベルの技術。
    主に以下の特徴を持つ。
    • 論文や特許になるぐらいの
    先端的な研究開発を行う、
    もしくはそのような自社技
    術を基にした事業を行う
    • 多くの場合、ソフトウェア
    だけに留まらない(センサーやア
    クチュエータを使う。ただし最先端の場合はソ
    フトウェアだけで Deep Tech とされる場合も)

    View Slide

  6. ディープテックの領域の例
    Deep Tech 系のプログラムやコンテストで挙げられる
    Deep Tech の領域は以下の通り。「重めの産業領域」が多い。
    The Fellowship — Activate
    Global Challenge – Hello Tomorrow (hello-tomorrow.org)
    6
    Activate.org の採択領域 Hello Tomorrow の領域
    農業 化学 計算機
    電気 製造 輸送
    建築 防衛
    エネルギー&
    環境
    ヘルスケア&
    医療機器
    データ & AI
    高度な計算 &
    電子機器
    宇宙
    サステナブル
    建築&インフラ
    医療バイオ
    テック & 創薬
    Industry 4.0
    & 自律機械
    産業バイオ
    テック & 素材
    食糧 & 農業 CO2 循環経済

    View Slide

  7. ただし Deep Tech かどうかは技術の先進性で決まる。
    以下はビジネスごとの Deep Tech かどうかの判断例。
    ビジネス
    論文執筆や特許化
    可能な技術開発
    ソフトウェア以外 Deep Tech
    PEM 型水電解装置の開発 〇 〇 〇
    大学での無線給電の研究成果を活か
    したハードウェア
    〇 〇 〇
    自社で開発した「最先端の」AI を
    用いたセキュリティ対策技術
    〇 × 〇
    メタバース上での一般的なアプリ × × ×
    ブロックチェーンを使った分散型
    アプリ
    × × ×
    二酸化炭素排出量の会計 SaaS × × ×

    View Slide

  8. 再掲: ディープテックとは
    定義は Deep Tech: The Great Wave of Innovation などを参照した 8
    ディープ
    テック
    研究開発を要するような
    「深い」レベルの技術。
    主に以下の特徴を持つ。
    • 論文や特許になるぐらいの
    先端的な研究開発を行う、
    もしくはそのような自社技
    術を基にした事業を行う
    • 多くの場合、ソフトウェア
    だけに留まらない(センサーやア
    クチュエータを使う。ただし最先端の場合はソ
    フトウェアだけで Deep Tech とされる場合も)

    View Slide

  9. 次に「スタートアップ」側を説明する
    9
    ディープ
    テック
    スタート
    アップ

    View Slide

  10. スタートアップとは
    Startup = Growth 10
    スタート
    アップ
    短期間に急成長するように
    設計された新しい事業。
    主に以下の特徴を持つ。
    • 多くの人が欲しがるものを
    作る
    • それをすべての人に届ける
    ※ スタートアップは新興企業全般を指す用語である
    ものの、本シリーズでは VC 投資の対象となるよう
    な事業を解説するため、Paul Graham にならって、
    スタートアップの言葉をより狭い意味で使っている。

    View Slide

  11. スタートアップとスモールビジネスは異なる
    スモールビジネスは着実に成長するビジネスでの起業であり、
    スタートアップは短期間で急成長する起業という違いがある。
    11
    スモールビジネス スタートアップ
    利益
    時間
    利益
    時間

    View Slide

  12. スモールビジネスとスタートアップの例
    スタートアップとスモールビジネスの一例は以下の通り。
    12
    スモールビジネスの例
    市場はすでに出来上がっており、既にビジ
    ネスモデルなどが検証されているビジネス。
    • 花屋
    • 飲食店
    • 人材派遣
    • ソフトウェア受託開発
    など
    スタートアップの例
    市場の不確実性が高く、本当に成功するか
    当初分からなかったビジネス。
    • 1970 年代の Intel などの半導体企業
    • 1980 年代の Microsoft や Apple などの
    ソフトウェア企業
    • 2000 年代の Google や Facebook など
    のネット企業
    • 2010 年代の Airbnb や Uber など
    ※ 時代によってスタートアップに最適な領域は変わる

    View Slide

  13. Q.
    13
    どれぐらい
    急成長すれば良いのか?

    View Slide

  14. A.
    14
    1 年間で
    3 ~ 100 倍成長 📈

    View Slide

  15. スタートアップは数年で数百倍の成長を目指す
    以下はスタートアップの成長の指標として有名なものは以下の
    もの。いずれも 1 年で数倍の成長を目指す。
    図は Battery Ventures の指針 から 15
    週次 5 ~ 10% 成長
    Paul Graham による指針。
    一週間で 5% ぐらいが良い成長率、10%
    ならかなり良い成長率。
    もしこの成長率が続けば、
    • 週次 5% 成長なら一年間 13 倍
    • 週次 10% 成長なら一年間で 142 倍
    の成長を遂げることになる。
    T2D3 (SaaS)
    Battery Ventures の指針。
    T2D3 は Triple, Triple, Double, Double,
    Double の略。年間売り上げが3倍、3倍、2
    倍、2倍、2倍になるような成長を遂げるこ
    と。5 年で 72 倍になる。

    View Slide

  16. ※ ただし Deep Tech は売上の上がり方が違う
    「徐々に急成長する」のではなく突然売上が出るような事業も
    あるため、成長速度よりも最終的な成長規模で見たほうが良い。
    A financial argument for deep tech | by Ian | Cantos Ventures | Medium 16

    View Slide

  17. Q.
    17
    最終的にどれぐらいの
    成長すれば良いのか?

    View Slide

  18. A.
    18
    具体的には
    ぐらいを一つの基準にする
    📅 10 年後の時価総額が
    2000 億円
    (PER 30 倍として利益は 66 億円)

    View Slide

  19. A.
    19
    具体的には
    ぐらいを一つの基準にする
    📅 10 年後の時価総額が
    2000 億円
    (PER 30 倍として利益は 66 億円)
    📅 15 年後の時価総額が
    1 兆円
    (PER 20 倍として利益は 500 億円)

    View Slide

  20. 20
    自社の周辺に
    産業
    を作るぐらいの規模で
    成功するのがスタートアップ
    (例: Salesforce 導入支援コンサル、Airbnb ホスト向けサービスなどなど…)

    View Slide

  21. 起業のうちほんの一部がスタートアップ
    21
    起業全体
    スタートアップ
    (恐らく全体の 1% もない)

    View Slide

  22. 22
    スタートアップは
    起業の中でも
    「応用問題」

    View Slide

  23. スタートアップは起業の中でも「応用問題」に近い
    スタートアップは資本政策をうまく使ってビジネスを起こす、
    起業の「応用問題」なので学ぶことは多くなる傾向にある。
    23
    普通の起業で考えること
    • 顧客の課題
    • 解決策
    • 売上やコスト
    • 組織

    View Slide

  24. スタートアップは起業の中でも「応用問題」に近い
    スタートアップは資本政策を活用して急成長することが多く、
    起業の「応用問題」なので学ぶことが多くなる傾向にある。
    24
    普通の起業で考えること
    • 顧客の課題
    • 解決策
    • 売上やコスト
    • 組織
    スタートアップで考えること
    • 顧客の課題
    • 解決策(技術を活用することが多い)
    • 売上やコスト
    • 組織(急激に大きくなることが多い)
    • 市場
    • 資金調達や資本政策

    View Slide

  25. スタートアップという起業形態に向いている事業
    スタートアップでなくとも素晴らしい事業は存在するし、ほと
    んどの事業はその類。しかしスタートアップとして行うことが
    最適な事業もある。事業の向き不向きを考えて選択する。
    Realising the Deep-Tech Entrepreneurial Talent of Europe.pdf (europa.eu) などを参考 25
    多くの起業 スタートアップ
    市場のリスク 低い 高い
    技術のリスク 低い 高い
    市場までの時間 短い 長い
    参入障壁 低い 高い
    利益が出るまでに
    必要な資金
    数千万円程度
    (融資で調達可能な程度)
    数億円以上
    戦略上必要な
    事業成長の期間
    長く時間をかけても良い 短期間で規模拡大が必要

    View Slide

  26. 26
    起業や新規事業のほとんどは
    スタートアップではない

    View Slide

  27. 27
    90% 以上の起業や新規事業は
    スタートアップという
    起業形態には向いていない
    無理に事業をスタートアップの枠に当てはめないほうが良い

    View Slide

  28. スタートアップとは
    Startup = Growth 28
    スタート
    アップ
    短期間に急成長するように
    設計された新しい事業。
    主に以下の特徴を持つ。
    • 多くの人が欲しがるものを
    作る
    • それをすべての人に届ける
    ※ スタートアップは新興企業全般を指す用語である
    ものの、本シリーズでは VC 投資の対象となるよう
    な事業を解説するため、Paul Graham にならって、
    スタートアップの言葉をより狭い意味で使っている。

    View Slide

  29. ディープテックかつスタートアップであること
    29
    ディープ
    テック
    スタート
    アップ
    ここ

    View Slide

  30. Deep Tech かつスタートアップであることが条件
    Deep Tech とスタートアップの両方の条件を満たすものが
    「Deep Tech スタートアップ」。
    30
    ビジネス Deep Tech スタートアップ Deep Tech
    スタートアップ
    AI を使った受託開発ビジネス 〇 × ×
    最先端の AI を使った製品ビジネス 〇 〇 〇
    メタバース上でのアプリ × △ ×
    ブロックチェーンを用いた製品開発 × 〇 ×
    ロボットの開発を伴う大きな市場の事業 〇 〇 〇
    ロボットの開発を伴う小さな市場の事業 〇 × ×
    大きな市場での医療機器開発 〇 〇 〇
    小さな市場での医療機器開発 〇 × ×

    View Slide

  31. Deep Tech ベンチャー ≠ Deep Tech スタートアップ
    Deep Tech “ベンチャー” と呼ばれる企業の多くは、VC 投資の
    対象となるような「スタートアップ」ではない。
    31
    Deep Tech ベンチャー企業
    研究を用いた、通常の起業での事業化。
    大きくなることをそこまで狙わないため、
    売上は 1 億円に届かないことも多い。自社
    周辺に産業を作るのではなく、産業の一部
    として一定の役割を果たす。
    「大学発ベンチャー」のほとんどはこちら
    (それが良いかどうかは別問題)。
    ※「ベンチャー企業」は和製英語で、日本では起業全般を指す
    ものとして用いられてきたため、本スライド群ではスタート
    アップとは区別して用いている。
    Deep Tech スタートアップ
    急成長を狙う事業化。
    最終的に急成長を狙うことが重要であり、
    活動レベルではベンチャー企業と区別がつ
    かないこともある(特に初期)。
    技術によってはスタートアップではなく、
    ベンチャー企業が向いている場合もある。

    View Slide

  32. 32
    競争優位性が深い技術にあり
    かつスケールする起業が
    Deep Tech スタートアップ

    View Slide

  33. Deep Tech スタートアップの成長の例) Solugen
    合成生物学と化学を用いた過酸化水素製造の Solugen というス
    タートアップ。MIT の研究者らが「化学産業の脱炭素」に向けて
    2016 年に設立。ただし当時はラボレベル。
    ハードテック&バイオテック起業家へのアドバイス - FoundX 33
    2016 年
    ビーカーでのプロトタイプ

    View Slide

  34. Deep Tech スタートアップの成長の例) Solugen
    Solugen は 2017 年に YC に入り、2017 年に約 5 億円、2018
    年に約 20 億円、2019 年に約 35 億円、2021 年に約 400 億円
    を調達し、急成長を行う。創業 3 年後には化学プラントを建設。
    ハードテック&バイオテック起業家へのアドバイス - FoundX
    Solugen - Funding, Financials, Valuation & Investors (crunchbase.com)
    34
    2016 年
    ビーカーでのプロトタイプ
    2019 年
    化学プラントを自社で持つ
    3 年後

    View Slide

  35. まとめ: Deep Tech スタートアップの定義
    本稿で扱う Deep Tech スタートアップとは以下の2つの条件を
    満たす企業のこと。
    35
    (1) Deep Tech
    最終的に技術自体が競争優位性となる事業
    のこと。主に以下の要件を満たす(ただし
    例外もある)
    • 論文出版や特許獲得ができる程度に研究
    開発を行ったり、自分たちのそうした研
    究をベースとしている
    • 多くの場合、ソフトウェアだけに留まら
    ない
    (2) スタートアップ
    短期間に急成長するものとして設計された
    事業体
    利益
    時間

    View Slide

  36. ※ Deep Tech の中でも創薬と医療機器は少し異なる
    Deep Tech の中でも 創薬/医療機器は成長の仕方が異なるため、
    別物とされる場合もある。
    2021: The year of Deep Tech | Dealroom.co 36
    IT
    確立した技術で新しい市場
    を探し、PMF を狙う。市場
    リスクは大きい。
    Deep Tech
    実用化のための R&D が長
    く、市場リスクも技術リス
    クも大きい。
    創薬/医療機器
    技術リスクは大きいが承認さ
    え取れれば市場リスクは小さ
    い。Deep Tech の一部。
    R&D 投資 買収/JV
    R&D 初期展開 成長
    シード アーリー レイター
    価値 価値 価値
    テスト
    フェーズ
    発見
    フェーズ
    規制承認
    実用化 のための
    R&D 期間が長い
    PMF 探索
    フェーズ

    View Slide

  37. 39
    最先端の技術を使っていても
    Deep Tech スタートアップ
    とは限らないので注意 🚦
    (スケールする事業かどうかが大事!)

    View Slide

  38. Deep Tech スタートアップでは「ない」もの
    以下のような起業は、いずれかの条件を満たさないため Deep
    Tech スタートアップではない。
    40
    (1) ディープテックではない
    • AI やブロックチェーンなどであっても
    既存の仕組みの利活用が中心のもの
    • 論文化に値する技術開発を伴わない、も
    しくは論文や知財になっているような技
    術を用いていない
    (2) スタートアップではない
    • 研究開発を行っていても、売上が年間
    1 億円程度しかない
    • 最先端の AI を扱っていても受託開発が
    中心(一時的に行う場合はある)
    スタートアップ
    ではあるけれど
    ディープテック
    ではない
    スタートアップ
    ではない
    ディープテック
    ではあるけれど

    View Slide

  39. Deep Tech スタートアップでは「ない」例
    より具体的な例としては、以下のようなものは Deep Tech ス
    タートアップではない。
    41
    (1) ディープテックではない例
    二酸化炭素排出量の会計 SaaS
    Climate Tech の多くは Deep Tech だが、
    SaaS はそうではない可能性が高い
    ブロックチェーンの応用
    自社で研究をしないのであれば該当しない
    一般的になっている AI 技術の応用
    論文などを自分で書いたり、知財を獲得し
    ていないと該当しない
    (2) スタートアップではない例
    最先端の AI を使った受託開発
    最先端の技術を使っていても、スケールし
    ないビジネスはスタートアップではない
    小規模な医療機器開発
    数か所の病院にしか売れない、数千万円の
    機器の製造販売はスタートアップではない

    View Slide

  40. 起業の中で Deep Tech スタートアップはかなり希少
    42
    起業全体
    スタートアップは
    起業のほんの一部
    Deep Tech
    スタートアップは
    さらに一部

    View Slide

  41. 43
    Deep Tech は難しい

    View Slide

  42. 44
    Deep Tech は難しい
    スタートアップは難しい

    View Slide

  43. 45
    Deep Tech スタートアップは
    「難しい×難しい」
    😫
    Deep Tech は難しい
    スタートアップは難しい

    View Slide

  44. 46
    でも面白い
    🔬🧪🧬🧫⚗️
    🩺💊⚖️🔭🛠️

    View Slide

  45. Deep Tech スタートアップの
    特徴
    47

    View Slide

  46. Deep Tech スタートアップの特徴
    Deep Tech スタートアップには、IT 系とは異なるいくつかの特
    徴がある。
    48
    (1)
    リスクの
    取り方が
    違う
    ⚠️
    (2)
    お金の取り方
    と使い方が
    違う
    💰
    (3)
    何かと
    時間が
    かかる

    (4)
    ビジネス
    サイドが
    かなり重要
    💱

    View Slide

  47. 49
    (1) リスクの取り方が違う

    View Slide

  48. 50
    事業のリスクを
    「技術リスク」
    「市場リスク」
    の 2 つで考える

    View Slide

  49. 大きく二つの種類のリスクがある
    スタートアップは市場リスクと技術リスクの「1 つ」もしくは
    「両方」を選ぶ。
    51
    ⚙️ 技術リスク
    解決策に必要なものが技術的に実現可能か
    どうか分からない場合、技術リスクがある
    と考える。
    急激な技術の変化があったとしても、その
    技術が本当に作れるかどうかはまだ分から
    ない。
    🛒 市場リスク
    市場に受け入れられるかどうか分からない
    場合、マーケットリスクがあると見做す。
    • ニーズや課題があるか
    • 市場は大きいか(急成長するか)
    • 規制
    技術リスク
    市場リスク
    技術リスク
    市場リスク

    View Slide

  50. Deep Tech スタートアップは主に技術リスクを取る
    Deep Tech スタートアップは技術リスクをほぼ必ず取る。
    52
    ⚙️ 技術リスク
    解決策に必要なものが技術的に実現可能か
    どうか分からない場合、技術リスクがある
    と考える。
    急激な技術の変化があったとしても、その
    技術が本当に作れるかどうかはまだ分から
    ない。
    🛒 市場リスク
    市場に受け入れられるかどうか分からない
    場合、マーケットリスクがあると見做す。
    • ニーズや課題があるか
    • 市場は大きいか(急成長するか)
    • 規制
    技術リスク
    市場リスク
    技術リスク
    市場リスク

    View Slide

  51. リスクの 2 つの軸によるマッピング
    「技術リスク」と「市場リスク」の二つの軸で整理する。
    53
    技術リスク
    市場リスク

    View Slide

  52. スモールビジネスではリスクが両方小さめ
    スモールビジネスは両方のリスクが小さく、うまく価値が提供
    できれば維持可能なビジネスになりやすい。
    ※ リスクは個別の事業によって異なります 54
    技術リスク
    市場リスク
    スモールビジネス
    の領域
    👨‍💼コンサル 📰メディア
    🍆八百屋

    View Slide

  53. IT 系スタートアップは主に市場リスクを取る
    IT 系は技術的に作れることが分かっている上で「顧客に課題が
    あるか」「市場が大きいか」が分からないという事業が多い。
    ※ リスクは個別の事業によって異なります 55
    技術リスク
    市場リスク
    📱アプリ
    🌎Web/SaaS
    👨‍💼コンサル 📰メディア
    🍆八百屋
    スモールビジネス
    の領域

    View Slide

  54. 創薬やエネルギーなどは技術リスクが高め
    創薬や医療機器は良いものを低コストで「作ることができれば」
    売れて、かつ市場も大きいため、技術リスクが主体となる。
    ※ リスクは個別の事業によって異なります 56
    技術リスク
    市場リスク
    🩺医療系
    💊創薬
    📱アプリ
    🌎Web/SaaS
    👨‍💼コンサル 📰メディア
    🍆八百屋
    💻半導体
    ⚡エネルギー
    スモールビジネス
    の領域

    View Slide

  55. スモールビジネス
    の領域
    技術リスクも市場リスクも両方高い場合もある
    技術リスクと市場リスクの両方が高い領域もある。
    57
    技術リスク
    市場リスク
    🩺医療系
    💊創薬 🤖ロボット系
    📱アプリ
    🌎Web/SaaS
    📕規制系 🧰新ハードウェア
    👨‍💼コンサル 📰メディア
    🍆八百屋
    💻半導体
    ⚡エネルギー

    View Slide

  56. Deep Tech は技術リスクが高い領域の総称
    Deep Tech の領域は主にこの上の部分に該当する。
    58
    技術リスク
    市場リスク
    🩺医療系
    💊創薬 🤖ロボット系
    📱アプリ
    🌎Web/SaaS
    📕規制系 🧰新ハードウェア
    👨‍💼コンサル 📰メディア
    🍆八百屋
    💻半導体
    ⚡エネルギー
    スモールビジネス
    の領域
    Deep Tech 領域

    View Slide

  57. 技術リスクだけが高い領域は投資家はそれなりにいる
    創薬やライフサイエンスを専門とする投資家がそれなりにいる。
    59
    技術リスク
    市場リスク
    🩺医療系
    💊創薬 🤖ロボット系
    📱アプリ
    🌎Web/SaaS
    📕規制系 🧰新ハードウェア
    👨‍💼コンサル 📰メディア
    🍆八百屋
    💻半導体
    ⚡エネルギー
    スモールビジネス
    の領域
    「技術的に作れさえすれば市場はある」
    領域には投資家もそれなりにいる

    View Slide

  58. 技術と市場の両方のリスクが高い領域は投資が難しい
    両方のリスクが高いと、どんな投資家でも投資はしづらい。
    60
    技術リスク
    市場リスク
    🩺医療系
    💊創薬 🤖ロボット系
    📱アプリ
    🌎Web/SaaS
    📕規制系 🧰新ハードウェア
    👨‍💼コンサル 📰メディア
    🍆八百屋
    💻半導体
    ⚡エネルギー
    スモールビジネス
    の領域
    技術リスク×市場リスクの
    両方が高いと難しい領域💀

    View Slide

  59. 61
    Deep Tech スタートアップの取る
    ”技術リスク × 市場リスク” は
    大企業の研究開発部門よりも高い
    (大企業の人から見たら「うまくいかないだろう」というものに取り組む)
    そうでなければスタートアップという形態を
    選ばなくても良い(選ばないほうが良い)

    View Slide

  60. 62
    Deep Tech スタートアップは
    高い技術リスクを特に取る

    View Slide

  61. 63
    Deep Tech スタートアップは
    高い技術リスクを特に取る
    技術リスクには
    主に 2 種類ある

    View Slide

  62. 2 つの技術リスク: 科学的リスクと工学的リスク
    技術リスクにも大きく科学と工学の 2 つのリスクがあり、事業
    やフェーズによって技術リスクの大きさは異なってくる。
    64
    “科学的” 技術リスク
    主に初期に大きなリスク
    例)
    • 物理的に実現可能かどうか
    • 現象に再現性があるか
    • 危険性がないか
    “工学的” 技術リスク
    初期から後期まで関わってくるリスク
    例)
    • 製造時の再現性や歩留まり
    • 環境の影響(温度、湿度など)
    • 耐久性や安全性
    実験をして確かめる お金をかけて試行錯誤をしながら
    最適解を見つける

    View Slide

  63. 65
    技術リスクの検証には
    多くのお金💰が必要

    View Slide

  64. 66
    (2) お金の取り方と
    使い方が違う

    View Slide

  65. スタートアップは赤字を掘る
    スタートアップは初期に赤字を掘って、将来の急激な成長を目
    指すことが多い。IT 系スタートアップも数年赤字を掘る。
    67
    利益
    時間
    IT 系スタートアップ

    View Slide

  66. Deep Tech スタートアップの赤字は IT 系よりも
    金銭的に深く、時間的に長く掘ることが多い。
    68
    利益
    時間
    Deep Tech
    Deep Tech スタートアップは長く深く赤字を掘る
    IT 系スタートアップ

    View Slide

  67. 赤字の種類が違う
    Deep Tech はどのフェーズでも設備投資が必要で、お金がかか
    りがち。
    69
    IT 系: 人件費と販管費
    ソフトウェアの場合、初期は主に人件費。
    一定規模を超えると、営業やマーケティン
    グなどでの販管費が多くなる。
    設備投資がほとんどない。
    Deep Tech: 研究開発や量産
    研究開発や量産のための赤字が発生するこ
    とが多い。
    どのフェーズでも設備投資が必要で、大き
    くなればなるほど設備投資が大きくなる。
    スケールする際にも生産費用が必要。
    技術リスクの検証のためにも初期からお金
    が必要で、多様な人材が必要になる傾向に
    あるため、人材採用にもお金がかかる。

    View Slide

  68. 資金調達も複雑になりがち
    Deep Tech スタートアップは、VC からの出資だけではなく、
    様々な資金調達手段を組み合わせて補填する(特に助成金)
    70
    貸付による
    融資
    株式による
    出資
    起業への
    助成金

    View Slide

  69. IT 系と Deep Tech 系の資金調達活動の違い
    IT 系のスタートアップは主に出資で賄い、Deep Tech 系は全て
    の資金調達活動を行うことが多い。
    71
    IT 系: 主に出資 (+ 融資)
    主に VC からの出資を使いながら、創業融
    資などを組み合わせることが多い。助成金
    はテーマに合致しないことが多いため、活
    用の機会は少ない。
    Deep Tech: 全部使う
    VC からの出資に加えて、原料調達のため
    に融資を使ったり、テーマに合致するもの
    は助成金を使ったりする。ただし助成金は
    資金用途の融通がつきづらいなどのデメ
    リットもある。
    貸付による
    融資
    株式による
    出資
    起業への
    助成金
    貸付による
    融資
    株式による
    出資
    起業への
    助成金

    View Slide

  70. 特に政府などからの助成金を活用することが多い
    Deep Tech 系は市場の中で評価されづらいため、それを補うた
    めに政府系が助成金で支援することが多い。
    72
    貸付による
    融資
    株式による
    出資
    起業への
    助成金

    View Slide

  71. 助成金を活用することが多い
    初期は政府系の助成金を活用することが多い。下記は mRNA ワ
    クチンの BioNTech の例。初期に約 10 億円の助成金を活用。
    2021: The year of Deep Tech | Dealroom.co から 73

    View Slide

  72. Deep Tech は助成金をよく使う
    助成金を良く使う結果、IT 系に比べて資金に関するステークホ
    ルダーが多くなる傾向にある。
    75
    大学
    大規模な研究プロジェクト
    を大学で行ってから事業化
    することも多い。
    GAP ファンドなど、大学の
    中で橋渡しのためのお金が
    提供される場合もある。
    政府 & 自治体
    NEDO や AMED といった
    政府系団体からの助成金を
    申請することが多い。
    各地方自治体で Deep Tech
    向けの助成金は提供される
    ことがある。
    財団
    ゲイツ財団や三菱UFJ技術育
    成財団など、民間や公益財
    団から助成を受けることも
    ある。

    View Slide

  73. 76
    助成金申請&処理に必要な
    公募要領の読解力と
    申請時の文章力と
    検査対応の事務処理能力が
    問われる
    (いずれにせよ CEO はコミュニケーション能力がとても重要)

    View Slide

  74. ただし資金の出し手自体の「数」は相対的に少ない
    家族やクラウドファンディングは使わない傾向 (Different Funds)
    カテゴリ 資金の出し手 日本の IT 系
    エコシステム
    日本 のDeep Tech
    エコシステム
    海外の Deep Tech
    エコシステム
    政府助成 大学 × 〇 〇
    政府・自治体 △ 〇 〇
    民間助成 コンテスト賞金 × △ 〇
    財団 × △ 〇
    篤志家 × △ 〇
    民間支援 エンジェル投資家 〇 △ 〇
    クラウドファンディング 使わないことが多い △ ×
    アクセラレーター/Fellowship 〇 △ 〇
    民間出資 Catalytic Capital × × 〇
    VC (アーリー) ◎ △ ◎
    VC (ミドル・レイター) 〇 △ ◎
    CVC ◎ △ ◎
    企業本体投資 △ 〇 〇
    民間融資 銀行など 〇 〇 △

    View Slide

  75. ※ 投資されるお金は後半になるほど相対的に小さい
    Deep Tech スタートアップは初期の資金調達の額は大きいもの
    の、後半は IT 系に比べると相対的に小さくなる傾向にある。
    https://differentfunds.com/research/deeptech-deal-funnel-part-2/ 79

    View Slide

  76. 80
    Deep Tech スタートアップは
    お金をうまく使う & 集める
    必要がある

    View Slide

  77. 81
    Deep Tech スタートアップは
    技術だけではなく
    ファイナンスの知識も
    IT 系より必要な傾向にある
    (起業数が少なく「型」化されていないことも影響している)

    View Slide

  78. 82
    (3) 何かと時間がかかる

    View Slide

  79. Deep Tech スタートアップは長期戦
    Deep Tech スタートアップは長期戦になりがち。
    83
    IT 系スタートアップ
    利益が出るまでが短い (約 3 ~ 5 年)
    ただし、利益を再投資に回して急成長する
    ため、赤字が続く(成長への投資を止めることで、
    利益を出そうと思えば出せる)
    5 10 15 年
    利益
    5 10 15 年
    利益
    Deep Tech スタートアップ
    利益が出るまでが長い (約 10 年)
    そのため Deep Tech 系の VC はファンド
    償還期限を長くする傾向にある
    (+日本の東証は赤字や新規性の高い企業に対して厳
    しいため、Deep Tech 企業は上場しづらい)

    View Slide

  80. 時間がかかる要因は技術、ビジネス、組織など
    Deep Tech スタートアップは様々な要因で時間がかかりやすい。
    84
    技術開発の時間
    IT 系に比べて仮説検証に時
    間がかかる傾向にあり、技
    術の開発や商用化にも時間
    がかかりがち。
    資材調達が必要で、世間の
    動向の影響を受けやすい。
    技術開発が進まないため事
    業が進まないこともある。
    セールスの時間
    技術が需要や課題とマッチ
    していると限らない。
    B2B が多く、意思決定が遅
    くなりがち。また既にある
    業務プロセスに入れること
    が多いため、セールスサイ
    クルも長くなる。
    組織構築の時間
    必要な人材が伝統的大企業
    にいる傾向があり、急激に
    人を増やすことが難しく、
    IT 系ほど組織拡大が容易で
    はない。

    View Slide

  81. 例)ゴリラガラスの事業化の時間のかかり方
    ゴリラガラスはスマートフォンで使われている強化ガラス。
    発明から普及までかなりの時間がかかった。
    https://youtu.be/oj9xGbH9aUU
    Glass Works: How Corning Created the Ultrathin, Ultrastrong Material of the Future | WIRED
    85
    歴史
    1952 年 - 科学的な発見が行われる
    1960 年代 – コーニング社が Project Muscle と
    いう活動でガラスの強度を高める取り組みを実施
    1971 年 – 売上ほぼ 0 円 (自動車会社等に売ろうとした
    ものの誰も欲しがらなかったのでプロジェクトを棚上げ)
    2007 年 – 売上 25 億円 (iPhone に採用)
    2016 年 – 売上 1000 億円

    View Slide

  82. 88
    長く時間がかかる分
    Deep Tech は
    より大きなアップサイド
    を狙う必要がある

    View Slide

  83. ラピッドグロースではなく、ハイパーグロース狙い
    Deep Tech スタートアップはハイパーグロースを狙わなければ、
    スタートアップとして投資リターンを出しづらい傾向にある。
    89
    利益
    1 兆
    1000 億
    100 億
    10 億
    1 億
    5 10 15 年 5 10 15 年
    ラピッドグロース
    利益が出るまで 5 年
    最大利益は数十億円
    ハイパーグロース
    利益が出るまで 10 年以上
    ただし中長期の利益は数百億円
    利益
    1 兆
    1000 億
    100 億
    10 億
    1 億

    View Slide

  84. 90
    「成功すれば世界を変える」
    というビジネスである必要性
    (投資家にとって 50 倍以上のリターンが出せるか、など)

    View Slide

  85. 92
    (4) ビジネスサイドが
    かなり重要

    View Slide

  86. Deep Tech はビジネスサイドがかなり重要
    技術だけではなくビジネスサイドもかなり重要になるのが Deep
    Tech スタートアップの特徴でもある。
    93

    B2B
    が多い

    変数が
    多い

    組織が
    複雑

    View Slide

  87. ① B2B であるがゆえにビジネスが大事
    Deep Tech は B2B が多いため、業界知識やセールスの知見が
    必要になってくることが多い
    94
    深い業務 & 業界理解が必要
    製品がどう使われるかといったワークフ
    ローや製造プロセスへの理解が必須とな
    る。
    顧客候補やサプライヤーなどとパートナー
    シップを組むことも多く、業界知識や業界
    のコネクションが必要になることも多い。
    規制業界であることも多く、その場合は法
    律への理解も必要になる。
    セールスやサポート体制の構築
    B2B の製品の多くは、技術の良し悪しだけ
    ではなく、サポート体制やサービスなども
    重要になる。
    またエンタープライズセールスや B2B マー
    ケティングの必要性も増し、その方法論や
    コネクションが必要になってくる。
    (※創薬や素材などは技術の強さ=事業の強さなので例外)

    View Slide

  88. ② ビジネスの変数も多い
    Deep Tech は IT 系に比べると、コスト計算なども必須となり、
    ビジネスの変数も多くなる傾向にある。
    95
    資金の出し手 SaaS Deep Tech
    利益率(粗利) 80% 様々
    コスト構造 販管費+人件費 様々
    ビジネスモデル 月額/従量課金 様々
    参入障壁 低い 高い
    技術的専門性 様々 高い

    View Slide

  89. ③ 組織設計が大変になりがち
    Deep Tech は組織構造上、運営も大変になることが多い
    (しかも組織運営の知見は業界によってバラつきが多く、IT 系ほど型化されていない)
    96
    複数拠点を持ちがち
    本社を都心に置きつつ、工
    場や研究所等、国内で複数
    拠点を持つ傾向にある。グ
    ローバル展開をするなら海
    外にも支店を置くこともあ
    る。
    多様な人材が必要
    技術者であっても、機械、
    電気、ソフト、生物、化学、
    医療の中から複数の領域を
    採用する必要がある。また
    研究と開発と製造などで役
    割を分けることもある。
    バックオフィスも多めにな
    る傾向にある。
    年齢層も高めになり、組織
    制度設計も大変になりがち。
    文化の構築が大変
    様々な会社から年齢層高め
    な人たちが中途採用で集ま
    る傾向にあるため、企業文
    化を作るのが IT 系より難し
    くなることが多い (IT 系は
    ある程度文化の共有ができ
    ている)

    View Slide

  90. 97
    Deep Tech スタートアップは
    技術だけではなく
    ビジネスの知識も
    IT 系より必要な傾向にある

    View Slide

  91. 99
    Deep Tech だからこそ
    市場やビジネスサイドに
    物凄く気を付ける

    View Slide

  92. ※ ただしビジネス知識は走りながら学べる
    スタートアップ養成機関の Y Combinator 曰く…
    • Deep Tech スタートアップの最初の数年は一般的な「ビジネス」をする
    わけではない
    • ビジネススキルはその数年の過程で身に着けていくことができる
    • Y Combinator に入った Deep Tech スタートアップの創業者の多くはビ
    ジネスの経験がない
    • ビジネスパーソンはビジネスを過剰に難しく語るが、そんなに難しくない
    結論として「ビジネスは (学ぶ意欲さえあれば) やりながら学べる」
    (※ビジネスパーソンとチームを組むという手もある)
    大学の研究を使ってスタートアップを始める方法 (Y Combinator) by FoundX Review 100

    View Slide

  93. 101
    とはいえ
    Deep Tech スタートアップは
    本当に難しい

    View Slide

  94. 予想より辛いことも多い
    多くの Deep Tech 起業家は「予想よりも大変だった」と言う。
    103
    ⌛ 時間
    • 研究開発だけで
    はなく、事業開
    発に関わる時間
    が長い
    • 申請書にかける
    時間は多い
    • 予想以上に時間
    がかかる
    💰 お金
    • 常にお金には苦
    しむ
    • 研究に使えるお
    金ばかりではな

    👪 人
    • 人や組織に関す
    る問題にも取り
    組む必要がある
    • 研究職以外の人
    との付き合いも
    増える
    • 周りに同領域の
    起業家がいない
    💻 その他
    • IT 系スタート
    アップとの進捗
    の差が重圧に
    • 英語と日本語で
    資料を用意する
    のが大変

    View Slide

  95. それでも Deep Tech
    スタートアップを始める理由
    104

    View Slide

  96. Deep Tech スタートアップを始めた理由
    Deep Tech 系起業家からよく聞く理由は以下のようなもの。
    様々な理由が複合してそのキャリアを選んでいることが多い。
    105
    ⭕ 研究を社会に還元できる
    研究成果を論文で公開する
    だけではなく、実際に社会
    の中で使われるものにでき

    ⭕ 技術で社会を変えられる
    科学技術を用いて生活やビ
    ジネスを明らかに良くでき

    ⭕ 研究費よりもお金がつく
    若手であれば、研究費より
    も大きなお金(数億円)を
    取って自分の意思で研究開
    発を進めることができる
    ⭕ グローバルで戦える
    技術は文化に依存しづらい
    ため、IT に比べるとグロー
    バルでの勝負をしやすく、
    日本の次世代産業を作れる
    ⭕ 個人としてのお金
    楽しいことをしながら、成
    功すればお金持ちになれる
    可能性がある (※ただし単にお金
    持ちになることだけが目的なら、別の手
    段を選んだ方が楽、という意見が多い)
    ⭕ 科学や技術が好き
    科学や技術が好きで、自分
    のやりたいことを仕事にで
    きる

    View Slide

  97. 107
    Deep Tech スタートアップは
    ビジネスの総合格闘技
    難しいけれどやりがいはある

    View Slide

  98. 108
    やっていきましょう

    View Slide

  99. Deep Tech スタートアップを
    始めるために
    109

    View Slide

  100. 情報収集
    まずは簡単な情報収集から始めると良い。
    110
    Web で情報を集める
    Deep Tech スタートアップ
    の情報を集める。たとえば
    FoundX Review や VC の
    ブログなど。
    • FoundX Review のハードテッ
    ク記事 / Climate Tech 記事
    • ANRI note
    • IDATEN Ventures Blog
    • ディープテックを追え
    知り合いに聞く
    知り合いで起業している人
    やスタートアップで働いて
    いる人に聞いてみると、
    色々と参照先を教えてくれ
    ることが多い。
    イベントに参加する
    Deep Tech 系のイベントを
    探して参加してみる。なん
    となくの興味で受動的に参
    加しても構わない。
    技術を持っていない人は学
    会などに参加してみるのも
    一つの手。

    View Slide

  101. Deep Tech のエコシステムに関わってみる
    もう少し深くスタートアップのことを知りたい場合は、能動的
    に動いてみる。
    111
    プログラムに参加
    Deep Tech 系の学習プログ
    ラムや起業支援プログラム
    (数か月のもの)に参加し
    てみる。
    FoundX だと Deep Tech 起
    業ゼミなど。
    コンテストに参加
    すでに技術があるのであれ
    ば、賞金の当たるスタート
    アップ系のコンテストに応
    募してみる。
    手伝いをしてみる
    Deep Tech スタートアップ
    で業務委託やインターンな
    どで手伝いをしてみる。
    募集サイトがいくつかある。
    一度 Deep Tech スタート
    アップに転職して、その様
    子を間近で見てみる。

    View Slide

  102. Deep Tech 起業の支援をうまく使う
    各組織からの支援をうまく使うことで、最初の一歩を踏み出し
    やすくなる。
    112
    大学の支援
    研究者や卒業生の場合、大
    学での支援をうまく使う。
    東京大学だと FoundX やイ
    ンキュベーション施設など。
    政府系の支援
    いくつかの国・自治体系の
    プログラムや支援などもあ
    るので、参加を検討する。
    EIR (お金をもらいながら起
    業準備をする) などの仕組
    みも整備されつつある。
    VC の支援
    日本でも Deep Tech を支
    援する VC が徐々に増加し
    ており、相談すると良い場
    合もある。

    View Slide

  103. Deep Tech スタートアップ入門シリーズを公開 (予定)
    以下のトピックなどで Deep Tech 用のスライドを今後公開予定。
    参照先として活用してください。
    • 傾向と対策
    • ステージ別指針集
    • アイデア
    • 戦略とビジネスモデル
    • 製品開発と技術開発
    • 顧客開発と市場開発
    • 資金調達と資本政策
    • 組織開発と採用……など
    113

    View Slide

  104. プログラムに入るなら……
    FoundX の紹介
    114

    View Slide

  105. FoundX - 東京大学のスタートアップ支援プログラム
    115
    東京大学 FoundX は東京大学 産学協創推進本部の下部組
    織です。東京大学 本郷キャンパスの近くに 3 つの施設を構
    え、起業志望者向けのプログラムを複数提供しています。
    投資は行いませんが、無償での個室貸与やプログラムの提
    供、起業家コミュニティへの参加を支援します。
    🔥
    興味
    情熱
    Fellows (9 か月) Founders (9 か月)
    👨‍👩
    ‍👧 ‍👦
    共同創業者
    の説得
    💰
    有利な
    資金調達
    🤝
    フル
    コミット
    🏆
    ビジネス
    実績
    📝
    初契約
    初売上
    💻🤖
    製品開発
    と改善
    💲
    助成金や
    コンテス

    賞金の獲

    Deep Tech 起業ゼミ (9 か月)

    試行
    錯誤
    🌱
    アイデア
    の種
    💡
    検証された
    アイデア
    📚
    起業家の
    基礎知識
    &スキル
    🔨
    プロト
    タイプ
    🙎
    顧客イン
    タビュー

    View Slide

  106. プログラムの対応表
    116
    Deep Tech
    起業ゼミ
    (毎月 10 日締切)
    Deep Tech 系で
    アイデアを探している
    卒業生・研究者の個人
    技術を持っていて
    助成金を獲得したい
    研究者の個人
    Fellows
    Program
    (毎月 10 日締切)
    Deep Tech 系のみの支援
    アイデアを持っていて
    資金調達をしたい
    卒業生のチーム
    Founders
    Program
    (3/1, 6/1, 9/1, 12/1 締切)
    アイデアは何でも OK
    (Deep Tech から B2C まで全てが対象)

    View Slide

  107. スライド著者 & FoundX 運営
    馬田隆明 (東京大学 FoundX ディレクター)
    University of Toronto 卒業後、日本マイクロソフトでの Visual
    Studio のプロダクトマネージャーを経て、テクニカルエバンジェリス
    トとしてスタートアップ支援を行う。スタートアップ向けのスライド、
    ブログなどの情報提供を行う。
    サイト: https://takaumada.com/
    117
    スタートアップの
    方法論の基礎
    Amazon
    (2017年3月)
    起業環境の重要性と
    アクセラレーター
    の設計方法
    Amazon
    (2019年4月)
    スタートアップの
    公共や規制との
    付き合い方
    Amazon
    (2021年1月)
    スタートアップに
    ついてのスライド
    Slideshare
    SpeakerDeck

    View Slide

  108. 118
    https://foundx.jp/
    ご応募お待ちしています
    😊

    View Slide