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「三角ロジック」の作り方
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Keitaro UCHIDA
April 11, 2018
Education
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「三角ロジック」の作り方
S. トゥルーミンの「三角ロジック」について基本的な作り方を説明しています。
動画版はこちらです。 →
https://www.youtube.com/watch?v=g_HxLg0JTeE
Keitaro UCHIDA
April 11, 2018
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Transcript
三角ロジックの作り方 〜 論理的にものごとを考える方法 〜
内田啓太郎
[email protected]
1. 「三角ロジック」とは何か ある事柄について自分の主張を説得的に説明する(論証 する)ためには必ずデータを用意し、そのデータと主張を 結び付けなくてはなりません。 これをロジックと呼びます。このロジックの組み立て方 のひとつとして有名なのがS. トゥールミンの三角ロジッ クと呼ばれるものです。
根拠 Data 論拠 Warrant 主張 Claim 2. 三角ロジックの基本形 三角ロジックは3つのパー ツから構成されている。
具体的には「主張」「根拠」 「論拠」の3つ。 3つのパーツを組み合せ ると「三角形」に見えるか ら「三角ロジック」と呼ば れている。
根拠 論拠 主張 Claim 3. 三角ロジック、3つのパーツ 「主張」 「◦◦は××である」 → 事実であることを主張する。
「△△は□□べきである」 → 方針を提案する。
根拠 Data 論拠 Warrant 主張 Claim 4. 三角ロジック、3つのパーツ 「根拠」 なぜその主張(Claim)が成立す
るのか(主張できるのか)、その 「裏付け」となる情報を示す。
根拠 論拠 Warrant 主張 5. 三角ロジック、3つのパーツ 「論拠」 示された根拠(Data)から、なぜ その主張(Claim)が説明できる のか、その理由を説明する。
根拠 論拠 主張 Claim 6. 三角ロジック、3つのパーツ 「主張」 高校生は中学生と比べ、趣味を通じた友人 関係をより広げたいと考えている。 作
成 例 主張の文章は簡潔に書く こと。また主語と述語の 関係をはっきりとさせる。
根拠 Data 論拠 Warrant 主張 Claim 7. 三角ロジック、3つのパーツ 「根拠」 ベネッセ総合教育研究所が、2014年に全
国の中高生を対象として実施した調査結果 (「中高生のICT利用実態調査 2014」) 作 成 例 調査報告書・レポートから 具体的な数値や事実を引 用し、根拠(Data)として 提示する。
根拠 論拠 Warrant 主張 8. 三角ロジック、3つのパーツ 「論拠」 社会学では若者の友人関係を趣味 のつながり=「趣味縁」から考察した 研究がある。
作 成 例 学術書・論文から具体的な 成果を説明している文章を 引用し、論拠(Warrant)と して提示する。
根拠 Data 論拠 Warrant 主張 Claim 9. 3つのパーツを組み立て、三角ロジックが完成 作 成
例 社会学では若者の友人関係を趣味 のつながり=「趣味縁」から考察した 研究がある。 ベネッセ総合教育研究所が、2014年に全 国の中高生を対象として実施した調査結果 (「中高生のICT利用実態調査 2014」) 高校生は中学生と比べ、趣味を通じた友人 関係をより広げたいと考えている。
• 主張:高校生は中学生と比べ、趣味を通じた友人関係をより広げたいと考 えている。 10. 作成例「高校生の趣味縁を拡大するICT」(主張)
11. 作成例「高校生の趣味縁を拡大するICT」(根拠) • ベネッセ総合教育研究所が,2014年に全国の中高生を対象として実施し た調査結果(「中高生のICT利用実態調査 2014」)を引用する。 • 「インターネットで知り合った人・友達」の有無を尋ねており、ある質問 項目では「趣味のつながり」を前提とした友人・知人の有無を尋ねた。 •
友人・知人が「いる」割合は中学生(50.2%)より高校生(56.6%)の 方が高い。 • その中で実際に会った人がいると答えた割合は、中学生(27.6%)よ り高校生(41.5%)の方が高く、10数ポイント(13.9%)の差がある。 • 上記の事柄は「第61回 デジタルネイティブ世代の「つながり」とは?- 『中高生のICT利用実態調査2014』より-」という記事を参照した。
12. 作成例「高校生の趣味縁を拡大するICT」(論拠) • 社会学では若者の友人関係を趣味のつながりを「趣味縁」として捉え、そ の観点から考察した研究がある。 • その研究は浅野智彦(2011)『若者の気分―趣味縁からはじまる社会 参加』であり、本書から具体的な説明箇所を引用する。 • その中では、ICTにより濃密化・拡大化する若者の趣味縁にもとづい
た友人関係を「社会関係資本」と捉え、これは若者たちが社会生活を円 滑に送るために欠かせないものである、と述べられている。
13. ロジックでの根拠・論拠と引用・参照の関係 なぜ根拠や論拠に「先行研究」や「統計調査データ」を引用・参照するのか? ① 主張(Claim)を支える(裏付ける)情報である根拠(Data)や、その理 由である論拠(Warrant)の信頼性を高めるために行う。 ② 形式を守って引用すると、根拠や論拠(である情報)の出所を示すこと ができる。つまり、それらの信頼性が高いことをアピールできる。 ③
形式を守って引用すると、自分自身の考え(アイデア)の独自性を示すこ とができる。 ④ 自分の考えと他人の考えにおいて、関連している箇所と違っている箇 所を示すことは非常に大切である。
14. 深く学びたい人に向けた参考図書の紹介 ࢁ ࡎ ̞ േ ௌ ̞ ଇ
ʯ χ Τ ఱ ൯ ཕ Ӣ Τ Ϣ V. ࢺ ڊ ࿔ ڡ ะ ࢛ ܅ ࢛ ఱ ໘ ڊ ࡾ ɽ ݴ ऄ ࡾ ˙ Ұ ˙ ϩ ϩ ϩ ϩ ϩ ɼ ˙ ̍ &ɺ 福澤一吉(2012) 『論理的に読む技術』 サイエンス・アイ新書 福澤一吉(2012) 『文章を論理で読み解 くためのクリティカル・ リーディング』 NHK出版新書
15. もっと深く学びたい人に向けた参考図書の紹介 スティーヴン・トゥールミン (戸田山和久・福澤一吉訳、2012) 『議論の技法 トゥールミンモデルの原点』 東京図書 ٞͷٕ๏ τʔϧϛϯϞσϧͷݪ εςΟʔϰϯŋτΡʔϧϛϯஶ ށాࢁٱŋᷕҰ٢༁
̙ Ұ J 4 P $ ̬ ʩ ɼ ˠ ͂ ̾ ֒ ֠ C J F D U ͷ ઔ ̑ ɽ ̼ ʮ ̶ ʱ ʛ Ϥ Ϥ ΰ Ϥ ᶃ ͜ ͷ ᶃ ͷ ̶ Ξ ʮ এ ʱ ϣ ͷ Ϥ ʔ l ̑ ̦ ̼ ̦ ࡾ ɻ ɽ ̡ â̩ ̬ TP\ؓ֠ʜ ʛ ʼ ౦ژਤॻ
16. まとめ 三角ロジックを考える・作る際にいくつか注意しておくこと ① 根拠(Data)と論拠(Warrant)の役割を取り違えないこと。 ② 根拠となる数値や事実に「なので」という言葉を足して、読み上げてみ る。違和感を感じなければ、ひとまず根拠として使っても大丈夫。 ③ 論拠となる引用文を「なぜなら」と「だから」という言葉でサンドイッチ
してみる。違和感を感じなければ、これも論拠として使って大丈夫。 ④ 主張を先に考え、裏付けとなる根拠とその理由を示す論拠を探すと三 角ロジックを作りやすいが、逆に根拠や論拠から主張を考えても構わ ない。
17. 制作者の連絡先 この動画・スライドの内容に関するご質問はこちらへどうぞ。 ① メール →
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@ucdktr2016 ③ ウェブログ → u-labo.org/wp/ ④ note → note.mu/u_labo