Research Conference Pop-up in Fukuoka 登壇資料
1レガシーなサービス‧組織でリサーチの⼟壌を耕す上⽥ 利瑳⼦GMOペパボ株式会社 ホスティング事業部2023.09.15
View Slide
2華々しいお話というより、私からはしくじりエピソードをもとにお話します。“ 失敗談 ”
3⾃⼰紹介ホスティング事業部 プロダクトチーム2021年 新卒⼊社上⽥ 利瑳⼦ Ueda Risako● 「うえぽん」@uepon● デザイナー(リサーチ専攻)● ⼤学院で質的調査‧研究● 4歳の息⼦と楽しく暮らす● お休みの⽇は⽷島によくいます 🌊
4今⽇お話すること1. サービスと組織の状況2. 失敗談と、そこからどう乗り越えたか3. 組織のリサーチカルチャー4. 学びとこれから
サービスと組織5
サービスと組織6
私の所属するホスティング事業部7
⾒に覚えのある⼈いますか?8
2001年 11⽉11⽇9
サービスのリリースから20年以上10
サービスと組織11• 個⼈サイト‧ブログ全盛期だったが• iPhone、Twitter、instagram、YouTube、AI…• 表現の⼿段が広がり、アウトプットの幅も広がった 🌈20年が経って…
時代の流れとともに起きた変化121. ユーザーの変化2. 組織の変化
13ユーザーの変化個⼈〜法⼈まで幅広く「ナウでヤング」な若者‧学⽣ユーザーもユースケースも多様になった
時代の流れとともに起きた変化141. ユーザーの変化2. 組織の変化
15ユーザーの変化10年以上のベテラン使ったことない新しい⼈🤝多様な⼈‧役割‧職種が混在する組織になり、100名以上の規模に
そんな状況で16• 新卒⼊社(職種:デザイナー)• ロリポを中学⽣の頃から知ってはいた2021年、⼊社
スキルエリア「リサーチ」を選択17
スキルエリア「リサーチ」を選択18
⼊社後の状況19• 新卒⼊社(職種:デザイナー)• ロリポを中学⽣の頃から知ってはいた• 学⽣時代にやってきた研究の経験をデザインでも活かせそう。• 「リサーチ」やっていきたい!!!2021年、⼊社
ペパボのデザイナーの状況20リサーチ専⾨少ない = やってる⼈も少ない(「リサーチャー」職種ない)
⼊社後の状況21• リサーチの知⾒や気づきを #design-research チャンネルでゆるく投稿社内でリサーチについて発信
⼊社後の状況22• デザイナー向け社内勉強会(デザミ)で発表• 👉 なんとなく「リサーチの⼈」と認知されるように社内でリサーチについて発信
⼊社後の状況23• 「リサーチャー」ではないので、普段は幅広いデザイン業務がメイン• ビジュアルデザインから簡易的なコーディングまで• デザイナーとして施策の担当範囲を遂⾏• 施策の中で単発的にユーザビリティテストやアンケート、簡易的なインタビューがたまに起こる状況• 他サービスや他チームのそれを、指を加えて眺めてた🥺とはいえ業務でのリサーチ機会は少なかった
という前提をふまえたうえで24リサーチと失敗組織のリサーチカルチャー242つのケースを話します
という前提をふまえたうえで25リサーチと失敗組織のリサーチカルチャー252つのケースを話します
26なかなかリサーチの機会はない状況でしたが…
27やってきたリサーチ機運1
28初‧業務でのがっつりリサーチ
29失敗談
• 「ぜひ任せてください! 設計から分析まで、独⼒でできます!」• 「リリース前にそんな時間ある?」• 「このスケジュールなら10名に調査可能です!」 👉 実際に、検証リサーチとして インタビュー+コンセプトテスト実施できたが…リサーチ機運130規模⼤きめ施策にアサインされ、リリース前の検証リサーチを提案🔥🔥
31リサーチ機運1せっかく調査を実施したのに、うまく結果を活⽤できなかった…。リリース内容に反映されなかった
32リサーチ機運1なぜ?
なぜリリース内容に反映されなかった?33• 「リリース絶対間に合わせる!🔥」• だが分析‧活⽤まで⾒通したプランを⽴てられず「調査して終わり」に…• ⽂字起こしも気合いでなんとかしようとしてた 👉 でも本質は多分こっちじゃない…実査をギチギチに詰め込んだ、急ぎのスケジュール
なぜリリース内容に反映されなかった?34• 調査結果を納品すればいい、くらいに思ってた• 関係者を巻き込まず、周りを置いてけぼりにしてしまっていた• 「独⼒でできることを⽰したい」も無意識にあったのかも…💭 👉 調査結果をチームにうまく同期できず、リリース内容に反映できなかった ※ その後の⼆次リリースの検討材料にはなったので、全くムダだったわけではない🫥スピードのためには⼀⼈で決めて、⼀⼈でやる必要があると思ってた
35うちの組織で求められているのは「独⼒で⾼度な結果を納品する専⾨家」じゃなかった…
それから数ヵ⽉後36
やってきたリサーチの機運237
リサーチの機運238「インタビューやっていきたいので、 お⼒貸してください!」⼤規模な新機能の初期段階、仮説検証リサーチPM
リサーチの機運239「ぜひ!!」💭 ちゃんと活⽤されるように、 前回の失敗繰り返したくない…!⼤規模な新機能の初期段階、仮説検証リサーチuepon
やったこと40
41みんなでやる、個に閉じない、やってること‧考えてること‧迷ってることも全部オープンにする。とにかくオープンにした
• 何をやろうとしてるか、何を意識してるか、何に困ってるかとにかくオープンにした42チームのチャンネルの⾒える場所に、進捗や状況をまめに書く
とにかくオープンにした43チームのチャンネルの⾒える場所に、進捗や状況をまめに書く
44⼤きな調査をバーンとやるのではなく、カジュアルに調査と議論を回して段階的に仮説をアップデートするやり⽅にした。⼩さく速く仮説をアップデートする
⼩さく速く仮説検証を回すスケジュール45前回の進め⽅調査・・・⼀⼈で分析💦💦
⼩さく速く仮説検証を回すスケジュール461回ごとにラフに議論して、仮説を少しずつアップデート調査+議論社内の対象者に…
⼩さく速く仮説検証を回すスケジュール471回ごとにラフに議論して、仮説を少しずつアップデート調査+議論社内の対象者に…次に社外 仮説 …
結果48
49PMもデザイナーもインタビュー内容と仮説が同期できていたので、要件が反映されたプロトタイプが爆速でできた。(デザイナーさんの⼒!)すぐに「いい感じ」のプロトタイプができた
結果どうなったか50プロトタイプが社内で盛り上がった 🎉🎉
「リサーチ=オプション」って捉えられがちだけど、サービスの企画段階からリサーチが⼊るとこんなにいいものができるって実感できた。いい成功体験だったし、これは必要なプロセスだと感じた。結果どうなったか51⼀緒にやったメンバーからデザイナー
結果どうなったか52• スピーディーな要求定義とプロトタイプに貢献できた• プロセスをオープンにしていたことで「リサーチしたから、すぐに良いプロトタイプができたんだね」をみんなで実感できた👉 プロセスを⾒ていた⼈たちは リサーチの効⽤を実感する体験 ができていた💡よかったこと
リサーチを進める中で明らかになっていった53リサーチと失敗組織のリサーチカルチャー53もう1つの話
リサーチを進める中で明らかになっていった54リサーチと失敗組織のリサーチカルチャー54もう1つの話
サービスのリリースから20年以上55
リリースから20年以上経って561. ユーザーの変化若者‧学⽣向け → 個⼈〜法⼈まで幅広く2. 組織の変化サービス初期を知る⼈から使ったことない⼈まで多様な100⼈に
57組織の状況リサーチを進めるうちに…組織の状況が⾒えてきた 👀
58組織の状況みんなが抱く「ユーザー像」がバラバラ説
ユーザー像がバラバラ説59• みんなが参照しているユーザー情報がバラバラ• 施策やチーム別に、ペルソナを作ったりアンケートを実施したり、それぞれでユーザー像を調査‧定義してきたユーザー像がバラバラとは?施策Aのペルソナ施策Bのジャーニーマップ📈チームCが⾏なったアンケート📝
ユーザー像がバラバラ説60• 施策‧チーム別に、違うものを⾒ている👉 組織全体で「ユーザーさんってこんな⼈だよね」という共通の認識持ちにくい👉 ⽣産性低い‧合意形成に時間がかかるユーザー像がバラバラとは?施策Aのペルソナ施策Bのジャーニーマップ📈チームCが⾏なったアンケート📝
61組織の状況ユーザーさんのことわかってる⼈、実は少ないかも説
😥🙁🤔ユーザーさんのことわかってる⼈、実は少ないかも説62• 「昔は若者‧学⽣ってわかりやすかったけど、今はどんな⼈が使ってくれてるか、わからないんだよね…」(サービス初期からいる⼈)• 「⾃分が開発するサービスの何がウケていて、どんなユースケースに使われているのか、わからない」(最近⼊った⼈)ユーザーさんのことが想像しにくくなっている💭💭💭
63そんな中リサーチ機運3
64規模⼤きめの調査プロジェクト
65今‧これから使うユーザーさんってどんな⼈?調査
66組織の状況に対しても貢献できるかも…?💭
やったこと67
68さっきと同じく「オープンにやる‧みんなでやる」を、PJメンバー以外の事業部全メンバーに対して、できるだけ巻き込む形で実践。全メンバーを対象にオープン&巻き込み
PJメンバー以外にもオープン&巻き込み69• 定期的に⽴てて「なんかリサーチやってるな」• 分報スレのように、取り組みを可視化事業部全メンバー(約100名)のいるSlackチャンネルに、進捗スレを⽴てた
PJメンバー以外にもオープン&巻き込み70事業部全メンバー(約100名)のいるSlackチャンネルに、進捗スレを⽴てた
71ユーザー接点を増やす(量)×ユーザー理解を深める(質)
ユーザー解像度を、量‧質ともに⾼める72• ユーザーインタビューのHuddle中継• インタビュアーとしてマーケティングチームのディレクター同席提案接点の量を増やす
ユーザー解像度を、量‧質ともに⾼める73接点の量を増やす
事業部メンバーのユーザー解像度を、量‧質の双⽅から⾼める74• 分析ワークショップの参加者を広く募り、実施• 難しく感じられないように、あえて「分析」と⾔わない理解の質を深める
事業部メンバーのユーザー解像度を、量‧質の双⽅から⾼める75理解の質を深める
事業部メンバーのユーザー解像度を、量‧質の双⽅から⾼める76理解の質を深める• 調査結果を1回全体共有して終わりではなく、チームMTGで各チーム向けに情報をアレンジしてお伝え‧活⽤提案
77名前だけでも覚えて帰って! ユーザー理解プロジェクトをキャッチーな命名に「ユーザー探検隊」
ユーザー探検隊78キャッチーな命名にしてSlackでも展開していく
結果、どうなった?79
結果どうなったか80ユーザーに対する誤解がとけてきた• 分析結果をさまざまな視点で何度か共有• デモグラフィック(年齢や業種など)を軸にしたペルソナではなく、ユースケースの実態に基づくセグメント仮説
結果どうなったか81「ユーザーのこと知りたい時、まずここ⾒てみよ」ができてきた
• 複数の施策やチームで参照されている結果どうなったか82「ユーザーのこと知りたい時、まずここ⾒てみよ」ができてきた
結果どうなったか83「とりあえず、@uepon に聞いてみよ」ができてきた
学びとこれから84
学びとこれから85• 歴史の⻑いサービス‧組織で「リサーチャー」というロールや理解がない状況下では「独⼒で⾼度な結果を納品する専⾨家」スタンスは向いてない• 取り組みや思考のプロセスをとにかくオープンに‧広く巻き込んでいったことがよかった💡• 巻き込んだ⽅が、速も出せる 💨💨よかったことと学び
学びとこれから86• オープンにしたことで「リサーチしたから良いものができたんだね」をみんなで実感できた• 👉 そのプロセスを⾒ていたマネージャーから「戦略リサーチ」と「リサーチ浸透」のミッションをいただいた!よかったことと学び
学びとこれから87• 「ユーザーのことを知りたい」が頭に浮かんだときの第⼀想起をつくることが、組織で⼀貫したユーザー⽬線を持つための⼟壌になる• 想起先としてのリサーチポータルページの整備‧運⽤• 「リサーチについてまずこの⼈に聞いたらよさそう」と思ってもらうような存在になる• 組織はすぐには変わらないので、⻑い⽬線で、少しずつ種を蒔く気持ちで 🌱• ⼤きな⼭の頂を⾒つめつつ、⾜元の⼩さな変化を感じとるよかったことと学び
学びとこれから88• まだまだ網羅できてない既存データを集約+今後新たに獲得するデータの蓄積‧活⽤の基盤と仕組みづくり• 定量‧定性横断で、常にユーザー理解を押し上げられる仕組み‧体制‧カルチャーをつくりたいこれから
学びとこれから89• 今回は「特定サービスの事業部」のケースだったが、サービス‧事業部横断でこういった取り組みを展開していきます(現在、全社展開進⾏中!🚂)• 👉 チーム開発体制もビジネスモデルもユーザー属性も異なる部署間で、どうやって共通基盤とカルチャーをつくるのか?• 試⾏錯誤&トライ中 💭• 続報をお楽しみに!!これから
リサーチの⼟壌をもっと広範にみんなで耕していく90
91ありがとうございました!今後のリサーチの取り組みはペパボテックブログまたはnoteで発信していきます。ぜひご覧ください!
92