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ICH Q3A 原薬の類縁物質
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August 13, 2020
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ICH Q3A 原薬の類縁物質
ICH Q3Aは未承認の新規有効成分における不純物・類縁物質についてのガイドラインです。
xjorv
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August 13, 2020
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Transcript
ICH Q3A 新規有効成分の類縁物質 2020/7/29 Ver. 1.0
ガイドラインの対象 化学医薬品が対象となる • 生物学的医薬品 • ペプチド • オリゴヌクレオチド • 放射性医薬品
• 発酵生成物とその誘導体 • 生薬 は対象外
類縁物質の評価基準 2つの視点から類縁物質を評価する • 化学的視点 類縁物質の同定と分類、発生機構、規格、分析方法について • 安全性からの視点 臨床試験で用いられる医薬品に含まれる類縁物質が十分に 少ないことを示す
類縁物質の分類 主に3種に分類される • 有機的類縁物質(工程/有効成分由来) • 無機的類縁物質 • 残留溶媒 *類縁物質というよりは夾雑物(Impuritiesなので)と訳すほうがよいのかもしれない
有機的類縁物質(Organic Impurities) 製造中/保管中に発生する • 特定可能性/揮発性が異なるものを含む • 原料・副産物・中間体・分解産物など • 試薬・触媒補助物質・触媒など
無機的類縁物質(Inorganic Impurities) 製造中に混入する • 試薬・触媒補助物質・触媒など • 重金属・その他の金属 • 無機塩類 •
フィルターのかけら、炭など
残留溶媒 製造中に使用する無機・有機の溶媒 • 毒性を持つものを含む • ICH Q3Cで扱われる
類縁物質報告・制御の根拠/有機的類縁物質 合成・精製・保管で発生しうる類縁物質をまとめ、報告する • 科学的に評価し、化学反応経路を示す • 類縁物質特定時の研究資料*1をまとめ、報告する • 同定閾値以上*2の類縁物質の構造を決定する • 同定閾値以下でも、毒性があれば調査し、報告する
*1 小ロット、商業ロット、安定性試験結果を含む *2 同定閾値(Identification threshold)はAttachment1に記載。同定できなかったときは試行した結果を述べ、考察する
Attachment1: 同定の閾値 Attachment1: 同定が必要な類縁物質量の閾値 一日の最大処方量 報告が必要な 閾値 同定が必要な 閾値 安全性確認が
必要な閾値 2g/day以下 0.05% 0.10%または 摂取量が1.0mg/day 0.15%または 摂取量が1.0mg/day 2g/day以上 0.03% 0.05% 0.05% 閾値(最低値)より多ければ報告・同定・確認を行う
類縁物質報告・制御の根拠/無機的類縁物質 普通は局方試験等で同定・定量される • 無機触媒の製品への持ち込みを評価し、報告する • 規格試験にどの無機物質を含むか議論し、報告する • 安全性情報を元に、日局標準の許容基準を作成する
類縁物質報告・制御の根拠/残留溶媒 残留溶媒についてはICH Q3Cで扱う
分析の手順 申請書類には以下の説明が必要 • 分析方法と分析法バリデーションの情報 • 同定閾値を変えるとき*はその理由を記載する • 商用・少ロットで異なる閾値の場合にも説明が必要 • 定量限界は報告されているもの以下であること
*薄層クロマトグラフィーのような精度の低い手法も理由によっては使用可能
分析の手順 2 有機的類縁物質の測定方法について • 適切な対照、もしくは原薬を用いて測定する • 類縁物質の対照は適切に評価しておく必要がある • 許容範囲や分析方法は分析から推定して決めてよい* *理由の正当化は必要
各ロットの類縁物質量の報告 臨床・試験・商用ロットの結果を報告する必要がある • 測定値の結果は数字で示し、“適合”などは使わない • Attachment1にしたがい類縁物質を報告する • 1.0%以下の類縁物質は小数点第二位の%で示す*1 • 類縁物質には適切に名前を付け、RT*2を表示する
*1: 1.0%以上のときは小数点以下第一位まで *2: Retention timeのこと。液体クロマトグラフィーを参照
各ロットの類縁物質量の報告 2 開発中に試験法を変更した場合 • 結果と分析法バリデーションの情報を記載知る • クロマトグラムを提供する • 個々の製造ロットの類縁物質の結果がわかるようにしておく •
GMP的な記録(ロットサイズ、製造日、試験結果等)を残す
規格設定された類縁物質のリスト 品質規格に類縁物質のリストを含める必要がある • 安定性試験や開発時のデータから作成する • 商業用の製造方法で作成した結果を用いて作成する • 類縁物質の規格に許容範囲を設定する • 規格に設定する/しない理由を説明する必要がある
*規格設定された類縁物質をSpecified impuritiesと呼ぶ
規格設定された類縁物質のリスト 2 許容範囲はAttachment 1と安全性にしたがい決める • 類縁物質のバラツキの大きさは製造方法の調整・バリデー ションが完全でないことを示す • 規格には有機的類縁物質のみでなく、無機的・残留溶媒も 含む
類縁物質の知識(Qualification) 安全性などの類縁物質の情報を示す • すべての類縁物質について、安全性を検証しておく • ヒト/動物の代謝物に存在するものは特に留意する • 有害性の報告があるものについても留意する • 情報を調べる必要性については、Attachment3に従う
Attachment 3 類縁物質は 同定閾値 より多い YES NO 何もしない (No action)
安全なレベルまで 許容値を下げる 構造は同定 されている YES NO ヒトにリス クがある YES NO 許容値を同 定閾値まで 下げる *YES NO 類縁物質は 検証閾値 より多い YES *NO 許容値を検 証閾値まで 下げる YES NO 患者数・使用期間を考慮し ①遺伝毒性 ②一般的な毒性(14-90日) ③毒性のエンドポイント の調査を検討する 有害性が 見つかる YES NO 安全なレベルまで 許容値を下げる 検証する *正確にはそれ以上何もしない(“No further action”) 類縁物質の許容値を 決めるカスケード
Glossary(用語) • Chemical Development Studies スケールアップ・最適化・バリデーションのための研究のこと • Enantiomeric Impurity 類縁物質内の光学異性のこと。同組成でも立体構造が異なる
• Extraneous Contaminant 無関係な夾雑物。製造工程で発生しないもののこと • Herbal Products 生薬のこと
Glossary(用語) • Identified Impurity 構造決定(同定)済みの類縁物質のこと • Identification Threshold(同定閾値) 同定閾値より多く含まれる類縁物質は同定を必要とする •
Impurity(類縁物質、夾雑物) 有効成分に含まれる、有効成分以外の成分のこと • Impurity profile 有効成分に含まれる同定/未同定の類縁物質に関する記述のこと
Glossary(用語) • Intermediate 合成中間物質。有効成分合成経路中の化学物質のこと • Ligand 金属イオンに強く結合する物質のこと* • New Drug
Substance 新規有効成分。未承認で、これから申請する予定の物質 • Polymorphic Forms 結晶多形。同じ化学物質で、結晶の構造が違うもの *触媒補助物質と訳したが、間違っているかもしれない
Glossary(用語) • Potential Impurity 製造・保管時に発生しうる類縁物質のこと • Qualification(知識と訳した部分) 類縁物質の毒性・安全性を調べた情報のこと • Qualification
Threshold 検証閾値。この濃度より多い類縁物質にはQualificationが必要 • Reagent 合成開始体・中間体・溶媒ではない、製造に使用する物質のこと
Glossary(用語) • Reporting Threshold 報告閾値。この濃度より多い類縁物質は報告が必要 • Solvent 溶媒。物質の輸送や合成場所として使用される有機/無機の液体 • Specified
Impurity 規格設定された類縁物質のこと。出荷時に調べる必要がある • Starting Material 合成開始体。普通は購入できて、構造も既知である
Glossary(用語) • Unidentified Impurity 分析上得られているが、構造を特定していない類縁物質のこと • Unspecified Impurity 分析上得られているが、規格設定されていない少量の類縁物質のこと