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日本薬局方-一般試験法 2.62 質量分析法
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xjorv
June 10, 2020
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日本薬局方-一般試験法 2.62 質量分析法
質量分析法とは、原子・分子を荷電し、その質量と電荷に応じて分離し、測定する方法です。一般的にMS(Mass Spectrometry)と呼ばれます。
xjorv
June 10, 2020
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Transcript
日本薬局方-一般試験法 2.62 質量分析法 2020/5/27 Ver. 1.0
質量分析とは? イオンの電荷と質量から、物質を分離・検出する方法のこと • Mass Spectrometry(MS)と呼ばれる • イオンの質量(m)と電荷(z)の比(m/z)を求める • mの単位は分子量 •
m/zをX軸、信号をY軸にとった結果が得られる • MSでの分離を2回行う方法(MS/MS)も用いられる
質量分析計 イオン化した試料を分離し、検出する • 試料導入部 • イオン化部 • 質量分離部 • 検出部・データ処理部
からなる
試料導入部 対象となる試料をイオン化部へと導入する • 直接注入法と直接導入法がある • シリンジやキャピラリーチッピを用いるのが直接注入法 • 試料をイオン化部の近傍まで近づけるのが直接導入法 • 液体クロマトグラフィーなどで分離、導入することもある
イオン化部 試料をイオン化し、電荷を与える部分のこと いくつかの種類がある • 電子イオン化法(EI) • 化学イオン化法(CI) • エレクトロスプレーイオン化法(ESI) •
大気圧化学イオン化法(ACPI) • マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI) • 電解イオン化法(FI) • 電解脱離法(FD) • 二次イオン質量分析法(SIMS) • 大気圧光イオン化法(APPI) イオン化法 旭川医科大学 教育研究推進センター http://cent-scorpio.asahikawa-med.ac.jp/akutsu/mass/ionizations/
イオン化の例: 電子イオン化法 気化した試料を熱電子でイオン化する • 最も一般的な方法の一つ • 熱電子のエネルギーは70eV • 熱を加え試料を気化する •
熱不安定・難揮発性試料では難しい
イオン化の例: 化学イオン化法 反応イオンとの分子反応で試料をイオン化する方法 • メタンやイソブタン、アンモニアを熱電子でイオン化する • 上記のイオンを気化した試料と反応させる • プロトン付加分子、脱プロトン分子、反応イオン付加分子が 生成される
イオン化の例: エレクトロスプレーイオン化法 試料を高電圧をかけたキャピラリーから噴霧する方法 • 試料は溶液として調製する • キャピラリーは先端を高電圧で印加する • 帯電した液滴が乾燥することで、イオン化試料ができる •
生体高分子にも適用できる
質量分離部 イオンをm/zに基づいて分離する 分離法にも様々なものがある • 4重極型分離部(Q) • イオントラップ型分離部(IT) • ポールイオントラップ •
キングドントラップ • ペニングイオントラップ • 飛行時間型分離部(TOF) • 磁気セクター型分離部
4重極型分離部 4つの電極を平行に配置し、イオンを通す方法 • 対向する電極に逆の電荷をかける • 直流と交流の電極を置く • 電荷の強さにより、試料の直進性 が変わる •
検出できた試料のm/zを検出部の 電荷から調べる
イオントラップ型分離部 電場・磁場でイオンを空間に閉じ込める方法 • ポールイオントラップ型 4重極の棒状の代わりにリング状とエンドキャップ電極を用いるもの • キングドントラップ型 紡錘形電極周辺をイオンが回転・トラップされるもの • ペニングイオントラップ型
磁場中のイオンの渦巻状運動から生じたm/zに応じた電流を測定するもの
飛行時間型分離部 イオンが導入部から検出部まで飛行する時間で分離する方法 • 一定電圧でイオンを加速する • イオンが検出部に到達する時間は電荷と質量に依存する = Τ × 2
V: 加速電圧、L: 検出部までの距離
磁場セクター型分離部 加速したイオンに磁場をかけ、曲がり方で分離する方法 • 質量と電荷によって、曲がり方が違う • 検出部に到達できたイオンを測定する • 検出部の前にスリットを設ける
検出部 イオンから電子を放出させることで検出する 検出部にも多種類ある • 二次電子倍増管(SEM) • チャンネル電子倍増管(CEM) • マイクロチャンネルプレート(MCP) •
ファラデーカップ(FC)
タンデム質量分析計(MS/MS) 2つの質量分離部を持つ質量分析計のこと • 1つ目でイオンをm/zにしたがい分離する • 分離したイオンの一部を2つ目へ渡す • 渡す前にイオンを解離させる イオンの構造推定・高感度・特異的な分析に用いる
イオンの解離 1つ目の分離部で分離したイオンの一部*を解離させる *プリカーサーイオンと呼ぶ • 衝突誘起解離とポストソース分解が主な方法 • 衝突誘起解離ではイオンとガスを衝突させ、解離させる • ポストソース分解では、イオンのエネルギーにより解離する •
電子捕獲解離、電子移動解離などの方法もある
MS/MSの分離部構成 MSを2つ連ねる方法にもいくつか種類がある • 三連4重極型 4重極を直列に3つ並べるもの • 4重極飛行時間型 三連4重極の3つ目が飛行時間型のもの • 飛行時間飛行時間型
飛行時間型を直列に並べるもの *それぞれQ-q-Q型、Q-TOF型、TOF-TOF型と呼ぶ
測定様式 MSとMS/MSでそれぞれ様式がある MS/MS MS • 全イオンモニタリング • 選択イオンモニタリング • プロダクトイオン分析
• プリカーサーイオンスキャン • コンスタントニュートラルロススキャン • 選択反応モニタリング
MSの測定様式 • 全イオンモニタリング • 選択イオンモニタリング 検出したすべてのイオンのm/zを走査する方法 特定のm/zに対応するイオンを走査する方法
MS/MSの測定様式 • プロダクトイオン分析 • プリカーサーイオンスキャン • コンスタントニュートラルロススキャン • 選択反応モニタリング 特定のm/zを持つプリカーサーから得たイオンを検出する
特定のm/zを持つプロダクトイオンのプレカーサーを走査する 解離により質量が減少するものを走査する 2度の分離のm/zを特定して走査する方法
装置の最適化 検出のピーク形状、感度、真度を標準物質で最適化する • チューニング 設定パラメータを調整して最適化する • キャリブレーション 標準物質で校正し、出力の正しさを調べる • 質量分解能
2つのイオンピークを分離できるよう調整する