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InnerSource Pattern: インナーソースライセンス

InnerSource Pattern: インナーソースライセンス

概要
パターンの著者: Cornelius Schumacher (DB Systel GmbH) / Schlomo Schapiro (DB Systel GmbH) / Sebastian Spier
スピーカー/翻訳: Yuki Hattori | LinkedIn | Twitter | GitHub
YouTube: インナーソースライセンス
Doc: インナーソースライセンス

「InnerSource Pattern: インナーソースライセンス」
同じ組織に属する2つの法人は、ソフトウェアのソースコードを互いに共有したいと考えていますが、法的責任や会社間の会計処理の観点からの影響を懸念しています。

**インナーソースライセンス**は、組織内でソースコードを共有するための再利用可能な法的枠組みを提供します。これにより、新しいコラボレーションの選択肢が広がり、関係する法人 の権利と義務が明確になります。

リンク
InnerSource Patterns: English 🇬🇧| 日本語 🇯🇵
Website: innersourcecommons.org
Slack: Invite Link | 🇯🇵#jp-general
Twitter: @InnerSourceJP (日本) | @InnerSourceOrg (公式)

Yuki Hattori

January 13, 2023
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Transcript

  1. インナーソースライセンス
    InnerSource Patterns
    Speaker: Yuki Hattori (@yuhattor)
    Pattern Authors:
    Cornelius Schumacher (DB Systel GmbH)
    Schlomo Schapiro (DB Systel GmbH)
    Sebastian Spier

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  2. 概要
    同じ組織に属する2
    つの法人は、ソフトウェアのソースコードを互いに共有したいと考えていますが、法的責
    任や会社間の会計処理の観点からの影響を懸念しています。
    インナーソースライセンスは、組織内でソースコードを共有するための再利用可能な法的枠組みを提供しま
    す。これにより、新しいコラボレーションの選択肢が広がり、関係する法人 の権利と義務が明確になりま
    す。
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    @yuhattor
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  3. 問題
    組織内の2
    つ以上の法人が互いにコードを共有したい場合、条件についての合意が必要であり、多くの
    場合で法的契約が必要になります。プロジェクトごとにこのような契約を作成するには手間がかかり、
    それは共有における障壁になってしまいます。たとえば、ある法人のチームは複雑そうだからという理
    由で、組織内の別の法人とソースコードを共有しないことに決めるかもしれません。
    共有における障壁は、組織の複数で同様のソリューションを再構築する際のサイロ化と車輪の再発明に
    つながる可能性があります。
    ソースコードを共有する時点では、共有の価値を確実に予測することはできません。共有の活動に(
    使用
    条件の交渉などの)
    多大な労力が必要な場合、法人は投資に対する収益率を懸念しているため、一連の活
    動を行う可能性は低くなります。
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  4. 状況
    コードを共有したい大量の子会社を持つ大組織。組織が大きくなればなるほど、このパターンの価値は
    高くなります。
    定義によると、法人は独自の法的権利と義務を持っています。
    複数の法人はソフトウェアを開発しており、他の法人のサービスを使用しています。彼らには、お互い
    のソースコードに貢献する動機があります。
    組織とその組織構造は十分に複雑です。
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  5. 組織に働く力学
    正式な契約書を書く際には労力のレベルが必要です
    多くの内部規制がある大きな組織は新しい契約が規制に準拠しているか評価が困難なことがあります。
    組織内には独占的なコードに依存するビジネスモデルがある場合があります
    インナーソースのコラボレーションが企業文化に慣れていない場合があります
    インナーソースは競争や所有権の拡大につながることがあります
    インナーソースに関する法的なルールが標準化されていなく、追加の労力が必要です。既存の契約では
    ソースコードの共有が十分にできないことがあります
    非公式なソースコードの共有は、所有権や権利・義務の明確化が必要なケースがあります
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  6. ソリューション
    対象組織(
    およびその法人)
    のニーズに合わせてカスタマイズした インナーソース ライセンス を作成しま
    す。このライセンスは、最も重要な企業間関係に適用できるような汎用的なものである必要がありま
    す。
    インナーソース ライセンスは、関係する法的実体の境界を越えて、本当にオープンソースのような共同
    作業を可能にするように書くことが重要です。したがって、フリーソフトウェアの4
    つの自由*
    は、ライ
    センスに統合されるべきです。
    このライセンスは正式な法的文書として書かれており、コード共有契約を管理するために法人間の契約
    の一部として使用することができるようにします。
    *4
    つの自由:
    使用する自由,
    変更する自由,
    共有する自由,
    変更したソフトウェアを再配布する自由
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  7. 結果の状況
    インナーソースライセンスにより、組織内の法人間でコードを共有するためのツールを手に入れることがで
    きます。
    このライセンスは、ソースコードの共有に関する組織内の会話を簡素化し、法人が最初に使う動機づけにも
    なっています。
    注:
    事例で説明されている実験は初期段階にあります。したがって、しっかりとした結果の状況はまだ形成さ
    れていません。数ヶ月後には、この問題に対するインナーソースライセンスの効果がより明確になり、この
    セクションは更新されるでしょう。
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  8. 事例
    DB Systel
    社は彼ら自身のインナーソースライセンスを作りました、内容はDB Inner Source License
    をご
    覧ください。彼らは、オープンソースのような出発点を提供するEUPL
    を使用し、その後、彼らの特定の
    組織のコンテキストに必要な制約と追加のルールを作り出しました。
    DB
    社の中で最初の法人(
    企業)
    は、このインナーソース ライセンスを使用しています。
    すでに現れているポジティブな効果のひとつは、特に関係者の中にまだインナーソースのコンセプトを
    よく知らない人がいる場合、会話がシンプルになることです。ライセンスはよく知られた概念なので、
    インナーソースライセンスがあることは、議論のきっかけになります。
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  9. 事例の補足
    この実験では、真のインナーソースのコントリビューションとコラボレーションモデルにつながるために解
    決しなければならない、さらなるコラボレーションの課題があることも明らかになりました。 その課題と
    は、以下のようなものです。
    インナーソースのライセンスプロジェクトを発見できるようにする
    オープンソースのように、プロジェクトでコラボレーションするためのコミュニティを構築すること。
    これまでのところ、このインナーソースライセンスの下で共有されるソフトウェアは、ほとんどがツール、
    インフラ、およびスタックの下位にあるツールであることは言及に値します。
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  10. リファレンス
    FOSSBack 2020 Presentation: Cornelius Schumacher - Blending Open Source and Corporate Values -
    インナ
    ーソース ライセンスの詳細については、27:30
    以降をご覧ください
    DB Inner Source License
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  11. 単語の解説
    組織 -
    複数の企業の母体(
    同義語:
    グループ、ホールディング、エンタープライズ) (
    例: Microsoft
    Corporation)
    法的エンティティ -
    独自の法的権利と義務を有するエンティティ (
    同義語:
    グループ子会社、子会社、関
    連会社) (
    例: Microsoft Japan, GitHub, LinkedIn)
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  12. InnerSource
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