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20250313_Mutureカンファレンス

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Kimura Atsunobu

March 13, 2025
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  1. 1 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    日本リビングラボネットワーク 代表理事 地域創生Coデザイン研究所 ポリフォニックパートナー 東京理科大学 客員准教授 共創のパラダイムシフト 2025/3/13 Muturelism Conference2025 NTTグループ企画セッション
  2. 2 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 研究領域紹介 情報科学

    (キーワード:情報デザイン、ヒューマンインタフェース、 インタラクション,CSCW,VR) デザイン学 (キーワード:コ・デザイン、リビングラボ, 参加型デザイン,デザイン態度, サービスデザイン,ソーシャルデザイン) システムデザイン理論 (キーワード:社会システム,トランジション(転換), ウェルビーイング,公共政策,地域社会) 学会活動 日本デザイン学会,ヒューマンインターフェイス学会,情報処理学会,電子通信情報学会,サービス学会,共創学会,人間中心設計推進機構等 人と人がコミュニケーションし,関係を築いていく暮らしを, より面白く,豊かに,効果的にするためには,情報デザ イン、ヒューマンインタフェース、インタラクション,CSCW、 VR/ARなどの情報技術の研究が必要になります. 新しいメディア体験を創出するために,遠隔コミュニケー ションを活性化するための五感フィードバックに関する研究 や,日常的な会話や出会いの場を支援するコミュニケー ションメディアの研究を行ってきました. 社会に意味のある価値を探索し、社会実装するためには, 既存の社会の枠組みや役割に囚われない,セクターを 超えた共創のデザイン方法論が必要になります. 企業・行政・市民活動において,誰もがデザインに取り 組むために必要な手法や環境設計の方法論を研究し, ガイドブック・ツール等を開発するとともに,企業のビジネス 開発,行政の計画策定,地域のコミュニティづくりの実 践を行ってきました. ウェルビーイングな社会を実現するためには,現象的な問 題だけに取り組むのではなく、問題の構造(社会システ ムのエラー)を捉え,また一方で生活者のリアルなナラ ティヴを捉え,システム世界と生活世界の両面をハッキン グしながら転換する第三のデザイン(システムデザイン理 論)が必要になります. 福岡県大牟田市などで団体を立ち上げ,システム転換 を志向する統合的な実践と社会システムデザイン方法論 の提案を行うとともに,愛知県、奈良県、東京都など他 地域での展開を行っています。
  3. 3 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 協働と共創:いずれもセクターを超えた共創の方法論 「Co-Procuction:協働」

    (行政学・社会学用語) 1977年~ 米インディアナ大の政治学者ヴィンセント・オストロムが、「地 域住民と自治体職員とが協働して自治体政府の役割を果 たしてゆくこと」の意味を一語で表現するために造語したもの。 (Comparing Urban Service Delivery Systems, 1977) 日本では、荒木昭次郎がCo-Procuctionを「協働」と訳し、 「地域住民と自治体職員とが、心を合わせ、力を合わせ、助 け合って、地域住民の福祉の向上に有用であると自治体政 府が住民の意思に基づいて判断した公共的性質をもつ財 やサービスを生産し、供給してゆく活動体系である」と定義 (参加と協働:新しい市民=行政関係の創造, ぎょうせい, 1990) 「Co-Creation:共創」 (経営学・マーケティング学用語) 2004年~ 米ミシガン大ビジネススクール教授コインバトール・K・プラハ ラードとベンカト・ラマスワミが提起した「企業が、様々なステー クホルダーと協働して共に新たな価値を創造する」という概念。 (The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers,2004) これからの時代、顧客と一緒になって価値を生みださなけれ ば企業は競争に生き残れないと説き、「企業主体の価値創 造」から「顧客中心の価値共創」の時代へという新しいパラダ イムを提示した。
  4. 4 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs セクターを超えた共創の方法論:リビングラボ Steen,

    K. & Bueren, E. (2017). The Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. ※木村 (2021)「高齢者を支える 技術と社会的課題」第5章 リビング ラボの可能性と日本における構造的 課題、(調査資料2020-6)国立 国会図書館調査及び立法考査局 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model 『はじめてのリビングラボ ──「共創」を生みだす場のつくりかた』 木村篤信,安岡美佳 著 出版社:NTT出版 予約開始中(4月発売予定)
  5. 5 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs サービスデザイン(サービス企画)とリビングラボの方法論的差異 提供者

    (企業/行政) 客体的な関係性 (サービス提供/利用) フェアなパートナー関係 共に主体的な関係性 (学び合い相互に変容) 利用者 (市民/地域) C o デ ザ イ ン リ ビ ン グ ラ ボ 一 般 的 な サ ー ビ ス デ ザ イ ン 方法論的特徴 一方的な提供者-利用者関係 提供者 (企業/行政) 生活者 (市民/地域) ・人口ボーナス期&拡 大・成長期 ・潤沢な供給リソース と需要 ・物質的充足 ※広井(2019)人口減少社会のデザイン, 東洋経済新報社. ・人口オーナス = 定常期※ ・ひっ迫した供給リソー スと減らない需要 ・精神的充足(ウェル ビーイング) 社会背景
  6. 7 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創0.0 企業が地域で

    ソリューションを検討し提供する 提供者 (企業) 地域 企業のソリューション提供が主題であ り、共に価値を考えるプロセスがない 企業にとって意義 ・市民/地域のニーズを把握・検証できる ・市民/地域にトライアルとしてサービス提供できる (仮説検証リビングラボ) ・共創というよりは、検証(実証実験)・営業・プロモーションの効果 地域にとっての意義 ・無償提供期間は企業のリソースを活用できる ・自治体の産業振興課などは実績作り・PRになる ・ただし、地域に共創で取り組みたい地域像がない場合が多く、参画 した他部署・地域関係者にメリットがあるかは不明(実証の多い地 域では、実証疲れ)
  7. 8 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創1.0 地域(生活者)とともに

    地域の問題を探索し実装する 企業にとって意義 ・市民/地域の現象的な問題を探索できる ・新しいモデル事業・体験設計を開発できる ・市民/地域とトライアルができる 地域にとっての意義 ・解決のために企業のリソースを活用できる ・ただ、企業主導の活動になり、地域にとっては部分的な問題である 場合が多い ・重要でない問題を扱う場合、活動自体が無意味なものになる(一 部の人がヒアリングされ、他の人にとって重要かわからないプロジェクト が立上る=実証に距離をとる) 地域の産官学民の関係者 提供者 (企業) 生活者とともに、問題を探索し、 解決手段を創出する。
  8. 9 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創2.0 地域(ステークホルダー)とともに

    社会・地域の構造を探索し転換する 提供者 (企業) 地域の関係者とともに、構造的な問題 を探索し、新しい構造を実現する。 地域の産官学民の関係者 地域にとっての意義 ・地域の持続や地域が変わっていくために向き合いたい問題の構造を 探索できる ・探索のために企業のリソースも活用できる 企業にとって意義 ・市民/地域のニーズを探索できる ・新しいモデル事業・体験設計を開発できる ・市民/地域とトライアルができる ・新しいビジネス領域を発見できる
  9. 10 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 欧州では、気候変動など自分たちの社会構造転換がアジェンダに (国際会議でもリビングラボの主題は“転換”にシフト)

    共創2.0のテーマ1:気候変動など自分たちの社会構造転換 ・第三の領域:Change/Transition User DrivenやData Drivenでは対応できないのが、気候変 動、不平等、世界の民主化、健康と福祉などの厄介な 問題(wicked problems)。そのために必要な第三の領域が、 行動を変え、文化を変え、生き方を変えること この領域にこそ、一方的に作用するのではなく一緒に変え ていくCo-Creationが有効 (Jarmo Eskelinen, ENoLL 15 years – An outlook on the past and the future of Living Labs, OLLD2022)
  10. 11 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創2.0のテーマ2:労働供給制約社会における社会構造転換 構造的な人手不足により働き手を補えない「労働供給制約」状況となり、物流、建設・土木、介護、交通、

    小売、飲食などの生活維持サービスが維持できない状況が迫っている。 未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる(2023),リクルートワークス研究所. 「働き手不足1100万人」の衝撃(2024)古屋星斗、リクルートワークス研究所 日本での社会構造転換のアジェンダは、“構造的な人手不足” (国やメディアも共通言語として議論し、取り組みを始めようとしている) 「単なる人手不足論ではない。後継者不足や技能承継難、デジタル人材の不 足などといった産業・ 企業視点からの問題ではなく、「生活を維持するために必 要な労働力を日本社会は供給できなくなるのではないか」という問題意識であ る。」 「労働供給制約社会において最も懸念されるのは、「生活維持サービス」である。 物流や建設・土木、介護・福祉、接客などの職種は既に需給ギャップが 顕在 化しており、著しい人手不足に陥っている。これは「大変だなあ」ではすまない問 題でもある。こうした職種の供給不足を放置すると、私たちの生活に大きなダ メージを与える可能性が高い」 参議院自民党・政策審議会 ホワイトカラー消 滅: 私たちは働き 方をどう変えるべき か (NHK出版、 2024) 冨山和彦氏 IGPIグループ会長 朝日新聞特集「8がけ社会」 永田町、霞ヶ関、主要な経済団 体の政策・戦略検討において前 提としての位置づけを得るとともに、 産業界等のオピニオンリーダーが 公式の場で使い、メディアも特集 を組んで報道すること、それを共 通言語に議論を深めることが起き 始めている。
  11. 12 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創のパラダイムシフト 登壇者

    2025/3/13 Muturelism Conference2025 NTTグループ企画セッション 一般社団法人大牟田未来共創センター (ポニポニ) 代表理事 原口 悠氏 日本電信電話株式会社 NTTコンピュータ&データサイエンス研究所 主幹研究員 竹内 亨氏 日本リビングラボネットワーク 代表理事 木村 篤信
  12. 13 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 論点 ◆企業における研究開発・サービス開発・社会実装の課題

    ◆地域の現状と企業との共創への期待 ◆AIコンステを活用した会議シンギュラリティの取り組みによる気づき