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20251102_第7回全国LLNW会議_リビングラボ・トークin福井w高野さん森さん

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Kimura Atsunobu

November 02, 2025
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  1. 2 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    (Kimura Atsunobu) Profile 地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ) ポリフォニックパートナー 日本リビングラボネットワーク 代表理事 東京理科大学 客員准教授 東京電機大学/東京都市大学/大阪樟蔭女子大学(予定) 非常勤講師 生駒市「緑の基本計画改定懇話会」 有識者(リビングラボ) デジタル庁 認定Well-beingファシリテーター 総務省 経営・財務マネジメント強化事業 アドバイザー JST RISTEX「ケアが根づく社会システム」 領域アドバイザー 日本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー 京都大学デザインイノベーションコンソーシアム/ソーシャルビジネスネットワーク フェロー 横浜市PTA連絡協議会 理事 実践:社会課題解決/ソーシャルビジネス開発 研究:共創/リビングラボ/社会システムデザイン 教育:サービスデザイン/ソーシャルデザイン ⑧ ⑨ ⑩ 地域経営主体(中間支援団体)運営/伴走 地域共創拠点構築・運営 事業開発,政策立案,コミュニティ開発 学術論文・書籍 メディア・書籍取材 (人手不足、ウェルビーイング、民主主義、自律共生等) 大牟田市、奈良市, 岡崎市,生駒市, 八丈町,神山町, 天川村,佐渡市, 小松市、尼崎市 浦添市など 教育機関 非営利活動
  2. 4 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボ・トーク シリーズ

    組織・セクターを超えた価値共創について対話したい人はぜひご登録ください ▼当面の予定 ・11/2(日) 東北芸術工科大 森一貴さん/福井県立大 高野さん in福井 ・11/6(木) BIOTOPE 佐宗邦威さん in 霞が関 ・11/9(日)デザイン学会第一支部大会 in 三条マルシェ ・11/16(日) DeepCareLab川地さん/田島さん in 大阪 應典院 ・12/17(水) ここにある 藤本遼さん共催 in 尼崎 ・12/19(金) ミラツク/エッセンス 西村勇也さん共催 in京都 ・1/20(火) 浦添市 松岡さん、ドコモ 榎本さん共催 in 沖縄 デンマークのスマートシティ 研究者とともに、日本初の リビングラボ書籍(教科 書)を刊行。全国30カ所 で対話イベント実施予定。 リビングラボML トーク含めた国内のLLイベント情報 『はじめてのリビングラボ』NL 書籍の中身やトークに関するつぶやき Muture Podcast、 山田崇ラジ オ、渋谷で Deathラジ オ等も 公開中!
  3. 5 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs タイムテーブル ▼16:00

    開会(書籍販売・サインあり) ▼16:30 会の趣旨説明・JNoLLの紹介(長島 洋介さん) ▼16:50 リビングラボとは何か?のプレゼンテーション(木村 篤信さん) ▼17:10 福井・鯖江の活動紹介(森 一貴さん、高野 翔さん) ▼17:30 木村 篤信さん × 森 一貴さん × 高野 翔さんのクロストーク
  4. 7 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボとは Carayannis,

    E.G., Campbell, D.F.J., 2009. “Mode 3″ and “Quadruple Helix”: toward a 21st century fractal innovation ecosystem. Int. J. Technol. Manag 46, 201. 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model モノ・コトをつくるときに 生活者と行政・企業・大学が共に 暮らしの場(リビング)において 試行錯誤(ラボ)をする活動・場 (人口減少時代の社会課題解決に必要な方法論 ≒コレクティブ・インパクト) デンマークのスマートシティ研 究者とともに、日本初のリビン グラボ書籍(教科書)を刊 行。全国30カ所で対話イベ ント実施予定。 千葉工業大学(情報学部・デザイン学部) 関西学院大学(イノベーション研究会) 官民共創HUB×東京大学(産官学民関係者) 徳島県神山町(地域創生関係者)
  5. 9 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 世界のリビングラボの分布(ENoLL過去登録済みリビングラボ 500+@40か国,ENoLL,

    2024) ※ENoLLとは 欧州で2006年に立ち上がったリビングラボの 国際的ネットワーク。欧州委員会の資金提 供プロジェクトを活用しながら、EUの政策提 言や、リビングラボの推進に取り組んでいる。 出典:https://enoll.org/
  6. 10 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs アンドラ公国で開催されたリビングラボ国際会議 アンドラはフランスとスペインの国境にあるピレネー山脈の

    山中の国家。外部の大国に支配されないよう、伝統的 なフランス大統領とスペインの司教による共同統治国 (コ・プリンシパリティ)の形式を続けているが、実態は 議会民主主義で運営。 今回の国際会議には、5大陸から300人以上が参加。 基調講演は南アフリカのビジネススクール教員が行うな ど、コ・デザインの活動が世界的に広がっていることが 示唆された。 ランチタイムは、ワーキンググループごとのセッションなども 実施され、テーマについてのより深い対話が行われた。 書籍「はじめてのリビングラボ」についても関心が高く、 海外でのカンファレンスの登壇依頼あり。 欧州リビングラボネットワークの議長からは、Open Living Lab Daysの日本での開催について相談あり。
  7. 11 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボの年表と分布 2005.03

    仙台フィンランド健康福祉センター 2006.09 Lions Living Labo 2010.01-2014.03 湘南リビングラボ 2010.11 経産省 情報政策課 リビングラボ紹介 「情報政策の要諦ー新成長戦略におけるIT・エレクトロニクス政策の方向性」 2011.10 みんなの使いやすさラボ(みんラボ) 2011.12 BABAラボ 2012.08 富士通総研 リビングラボ研究レポート 2012.10 おたがいさまコミュニティ 2013.02 Living Lab Tokyo 2013.07 Virtual Living Lab 2014.12 松本ヘルスラボ 2015.01 三浦リビングラボラトリー 2015.04 子育てママリビングラボ 2015.09 Cyber Living Lab 2016.01 第5期科学技術基本計画(Society5.0) 2016.01 八千代リビングラボ 2016.06 みなまきラボ 2016.07 産総研スマートリビングラボ 2016.07 東急WISE Living Lab 2016.11 鎌倉リビング・ラボ ほか5件 2017.01 井土ヶ谷アーバンデザインセンター(井土ヶ谷リビングラボ) 2017.05 ともに育むサービスラボ(はぐラボ) 2017.06 福岡ヘルス・ラボ 2017.09 経産省 ヴィンテージ・ソサエティ構築実証事業(リビングラボ4 件) 2017.09 神奈川ME-BYOリビングラボ 2017.10 高石・僥倖リビング・ラボ 2017.12 ドリームハイツ ヘルスケア リビングラボ(とつかリビングラボ) ほか9件 2018.02 大牟田リビングラボ 2018.03 横浜リビングラボ創生会議 2018.04 第一回リビングラボネットワーク会議 2018.04 こまつしまリビングラボ 2018.07 経産省 「未来の教室」実証事業(大牟田リビングラボ含む4件) 2018.10 サイクル・リビングラボ 2018.11 地域共創リビングラボ ほか10件 2019.02 Well Being リビングラボ 2019.03 第二回リビングラボネットワーク会議 2019.10 岡山リビングラボ ほか3件 2020.07 関内リビングラボ 2020.08 厚労省 「介護ロボットの開発実証普及のプラットフォーム事業」 (リビングラボ6件) 2020.03 経産省 リビングラボにおける革新的な社会課題解決サービスの 創出に係る調査「リビングラボ導入ガイドブック」 2020.10 おやまちリビングラボ 2020.11 奈良リビングラボ ほか8件 凡例) オレンジ色:日本全体の動き 黒色:他の日本での取り組み ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、 (調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局を元に作成 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ ( 2023/04 時点 ) 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづくり スタジオ ふじみ野LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy
  8. 12 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボで扱われる様々なテーマ building

    mobility dormitory & office gastronom y water children agriculture smart city handicap
  9. 14 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボが活用される場面 欧州をはじめとしてさまざまなプロジェクトが取り組まれており(440+)※1日本では経産省・厚労省が活用し

    始めている(100+)※2また、大きくは以下の4種の場面で活用されている※3 ②行政サービス改善 (enabler-driven) -住民・NPOと自治体の関係性構築 -陳情や自治体の政策エビデンス獲得 -地域としての政策イノベーション by自治体・住民/NPO etc. ①サービス・技術開発 (utilizer-driven) -サービス検証 -サービスイノベーション創出 by民間企業・大学etc. ③地域活性化 (user-driven) -地域関係者のつながり形成 -地域のにぎわいづくり(イベント) -持続的な住民生活の問題解決・価値向上 by住民/NPO・デベロッパー・ 自治体 etc. ※1:European Network of Living Labs (ENoLL) 5大陸35カ国から151組織のアクティブメンバー(過去の登録メンバーは全 世界で500組織以上)(2023.04) ※2:木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料 2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 ※3:Leminen, S., Westerlund, M., & Nystrom, A. G.(2012).Living Labs as open open-innovation networks, Technology Innovation Management Review Review. ④方法論研究 (provider-driven) -方法論の実践 -方法論の体系化と展開 By大学・研究機関 etc. 松本ヘルスラボ ME-BYOリビングラボ 丹後リビングラボ 佐渡島自然共生ラボ イノベーション神戸 Turinリビングラボ ・・・ 鎌倉リビングラボ みんラボ フューチャー・リビ ング・ラボ(日立) ノボ ノルディスク エーザイ韓国 ・・・ おやまちリビングラボ 寿リビングラボ WISEリビングラボ デルフト工科大 ・・・ 東大 KDDI研 NTT研 i-mec Public- intelligence ・・・
  10. 15 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs さまざまな種類のリビングラボが日本にも増えてきている 政策イノベーションのためのリビングラボ

    (教育、介護予防、雇用、 移動交通、テクノロジー etc.) (大牟田、佐渡、会津、松本、神奈川MI-BYO・・・) 産業・ビジネス開発のためのリビングラボ (デスラボ、鎌倉リビングラボ、ナスコンバレー、つくばみんラボ・・・) 地方創生のためのリビングラボ (神山つなぐ公社、三豊, 丹後・・・) 公共施設開発・エリマネのためのリビングラボ (小千谷、小松、おやまち、たまプラーザ・・・)
  11. 16 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボに関連する国内政策 第6期科学技術・イノベーション基本計画

    内閣府 COI-NEXT、地域大学振興 文部科学省 産業開発・イノベーション政策 経済産業省 介護ロボット開発・実証 厚生労働省
  12. 18 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 広義のリビングラボ: 主体的な人たち・共創活動・問いが持続的に生まれる仕掛け

    A.具体的な共創プロジェクト B.中間支援的な共創プラットフォーム 共創活動 総体的・連続的に 深める問い 主体的に 動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる A.具体的な共創プロジェクト B.中間支援的な共創プラットフォーム ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会
  13. 19 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボプロジェクトのプロセス Planner

    / Operator (Company) User (Citizen) Facilitator (Univ. / Designer) ①相互理解・対話 ②課題設定 ③アイデア創出 ④プロトタイピング ⑤テスト ⑥社会実装 Planner / Operator (Local admin.) 相互理解 (チームビルド) 暮らしの課題設定 Coデザイン 社会実装 共感・理解 (一方的なユーザ理解) (PJの)課題設定 デザイン 一般 リビングラボ 木村, 赤坂(2018)「社会課題解決に向けたリビングラボの効果と課題」『サービソロジー』5 巻, 3 号, p.4-11.
  14. 20 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs フェアな価値創出を促すCoデザイン/リビングラボのパラダイム 提供者

    (企業/行政) 客体的な関係性 (サービス提供/利用) フェアなパートナー関係 共に主体的な関係性 (学び合い相互に変容) 利用者 (市民) C o デ ザ イ ン リ ビ ン グ ラ ボ 一 般 的 な サ ー ビ ス デ ザ イ ン 価値創出のパラダイムシフト 一方的な提供者-利用者関係 提供者 (企業/行政) 利用者 (市民) 協働をしても、セクターの枠組みに縛られ 部分的な問題解決になりやすい セクターを超えて本質的な 価値を探索できる枠組み 答えがみえた時代 ・人口ボーナス期 = 拡大・成長期 ・潤沢な供給リソース と需要 ・官僚組織による計画 的マネジメント ※広井(2019)人口減少社会の デザイン, 東洋経済新報社. 答えのみえない時代 ・人口オーナス = 定常期※ ・ひっ迫した供給リソー スと減らない需要 ・共創によるアジャイ ル・ガバナンス (デジタル活用、プラットフォー ムビルダー化) 社会構造の変化 市民のアップデート 政策のアップデート Techのアップデート
  15. 21 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボの3つの系譜 系譜1:現場で学びを得る科学へ

    系譜2:みんなに開いてつくる文化へ 系譜3:使うものを自らつくる権利へ
  16. 22 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 系譜1:シチズンサイエンス(現場で学びを得る科学へ) ※川喜田(1967)発想法―創造性開発のために,

    中央公論社. 1990年代から実験科学・市民科学の分野でLiving Labと名前の付い た活動が行われている • “The Living Lab is a pilot program teaching estuarine issues to junior and senior high school students.” (Short, 1992) • “The program has a room in the residence quarters of the YMCA called the ‘’Living Lab.” This laboratory is an opportunity for a youth to gain practical experience living on his or her own while receiving support from staff, DYFS and other agencies.” (State of New Jersey, 1993) • “From using the environment as a living lab to enhance your science and math studies to using it to help inspire your students to create poetry, there are many innovative ways to promote outdoor experiences with your students.” (Wood et. al., 1993) 実験科学[Lewin,1946;Kawakita,1967;Neisser,1978]や市民 科学[Short,1992;Wood,1993]の分野では、限定的な環境での試 行実験の限界に対して、アクションリサーチ、野外科学、PBLなどの実環 境での実践や検証が重要視された。リビングラボの概念の提唱者として 知られるWilliam J. Mitchellは建築分野でこの取り組みを行った人物 である[Mulvenna;2011]。 特徴 • 実環境下(real-life setting) • 生徒の巻き込み(student involvement) • エンパワーメント(empowerment)
  17. 23 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 系譜2:オープンイノベーション(みんなに開いてつくる文化へ) ※D.A.

    Norman, (1990)誰のためのデザイン?,新曜社. Human Computer Intaraciton(HCI)の分野では、ジョージア工科大学の Aware Home Projectが1999年にLiving Laboratoryという概念を取り上げ て研究を行った(Cory et al.1999) 欧州委員会は2013年のダブリン宣言で、オープンイノベーション2.0をオープンイノ ベーションの新たなパラダイムとして考え、欧州全体で推進していくこと ・ 世界に発信し ていくことが決議され、「Open Innovation 2.0 Yearbook」では、Living Lab が多く取り上げられている 1980年代にパーソナルコンピューターが普及したとき、人としての使いやすさに焦点を当てた ユーザ中心設計Norman(1986)が提唱された。これは限定的な関係者による設計の 限界に対して、実際のユーザの巻き込むアプローチであり、その後サービスデザイン [Stickdorn;2012]などに拡張されていった。また、企業イノベーションにおけるオープンイノ ベーション[Chesbrough;2003]や行政運営における市民参加の梯子 [Arnstein;1969]など、さまざまなセクターのモノづくり(コトづくり)においても、関係者に 開いてつくる文化(デザインの民主化)へのシフトが志向されている。 特徴 • ユーザの巻き込み(user involvement) • 共創(co-creation) • 価値協創(joint-value) • ガバナンス(governance)
  18. 24 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 系譜3:参加型デザイン(使うものを自らつくる権利へ) ※S.

    Bodker et al. (2021) Participatory Design, Springer. 職場の生産性を高めるために技術システムを導入したい経営者と、自分たちの 労働の現場に技術システムを入れることに不満を持つ労働者との対立に対して、 第3の道として、民主主義的な方法で問題解決を図ったのが参加型デザイン ノルウェー鉄・金属労組の技術プロジェクト(1970年~) スウェーデンのDEMOSプロジェクト(1975~1979年) デンマークのプロジェクトDUE(1977~1980年)など 北欧リビングラボの源流と言われる参加型デザイン[Nygaard,1975]は、社会民 主主義的な理念を持ち、生活者やユーザの権利として、自らが身の回りにある組 織構造やプロセス(社会技術システム:Socio-technical system[Trist,1951])に対して主体的に関わっていくことが基本的な考え方と なっている。形を持つ製品から、形を持たないサービス、さらには組織や社会につい てまで、それを設計・運用することに主体的に関わる活動が展開されてきた。 特徴 • エンパワーメント(empowerment) • 自発性(Spontaneity) • ガバナンス(governance) • ラピッドプロトタイピングと評価(rapid prototyping & testing )
  19. 25 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボが示すパラダイムの変化 みんなと

    現場で 自らつくる 系譜1:現場で学びを得る 系譜2:みんなと開いてつくる 系譜3:使うものを自らつくる権利
  20. 27 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボプロジェクトの事例 生活者・自治体・企業が地域/現場で課題探索や社会実装の試行錯誤を重ねることで,

    社会課題解決をするサービスを開発し,展開する事例が増えている 子 ど も の 成 長 ( 妊 娠 週 数 や 生 ま れ て か ら の 月 日 ) が 一 目 で わ か り 、 予防接種スケジューリング機能がキラーコンテンツとなった【母子モ】 B t o G t o C な の で 、 ユ ー ザ と 自 治 体 の 、 双 方 が よ り 便 利 で 使 い や す い サ ー ビ ス に し て い く 必 要 が あ っ た . た と え ば 、 紙 の 母 子 健 康 手 帳 の 内 容 の 中 か ら 、 電 子 化 す る べ き 項 目 を 取 捨 選 択 す る こ と に も 悩 ん だ が , 実 際 に 子 育 て し て い る 人 へ の ヒ ア リ ン グ や 、 母 子 健 康 手 帳 を 何 度 も 読 み 込 み な が ら 開 発 を 行 っ た . 2025 年 6 月 現 在 、 全 国 730 以 上 の 自治体で 導 入されて い る. 高 齢 者 サ ー ビ ス に 民 間 の 力 を 使 う こ と で 、 介 護 保 険 給 付 や 税 金 の 支出を減らせる乗り合い送迎サービス【チョイソコ】 未要 介護認定高齢者への調査で 「徒歩移動がつ ら い ・きつ い 」 「 バスの本数が少な い 、時 間 が 合 わ な い 」 な ど 不安 や 不 便 を 感 じ る 声 を 掴 ん だ 自 治 体 の 福 祉 担 当 ・ 公 共 交 通 担 当, ア イ シ ン は , 大 量 輸 送 で は な い 「 少 数 輸 送 」 の サ ー ビ ス が 地 域 に 必 要 と い う 目 的 意 識 を 共 有 し 、 バ ス と タ ク シ ー の 特 徴 を い い と こ 取 り し た サ ー ビ ス を 開 発 し た. 現 在 , 全 国 30 地域に展開さ れている .
  21. 28 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:循環型都市の実験室 De

    Ceuvel 概要: 1世紀にわたる造船業によって荒廃し土壌汚染していた造船所跡地を改 善するため、アムステルダム市が民間公募して生まれた循環型都市開発 のためのリビングラボ。アムステルダム北部に位置する敷地面積1250m² の小さなエリアで、地域のエネルギー、栄養素、廃棄物サイクルの「ループを 閉じる」完全なリサイクルを実現する再生技術の開発や実証に、建築家、 芸術家、起業家、研究者、ボランティアなど多様な組織が協力して取り組 んでいる。アムステルダム市からの補助金(€250,000)と市の保証によ る銀行融資(€200,000)を受けて資金を調達している。14隻の貸し 出しハウスボード、ラボ&コミュニティ施設、レセプションスペース、カフェ・レス トランから構成され、文化的およびコミュニティのハブとなっている。 主体:Metabolic社 (2014~2024) 活動: ハウスボートは廃船をアップサイクル利用し、根を通して汚染物質を吸収し て分解する特殊な植物で覆う「分散型葉緑素ろ過のシステム」を開発 再生可能エネルギーの地域生産と交換を促進するため、ブロックチェーン 技術を用いた仮想通貨のJouliette(ジュリエット)を導入 温室で育てた植物、海藻バーガー、キノコで作ったミートボールなどを敷地 内レストランで提供 地域との関わり方: 毎年35,000人を超える訪問者(Covid-19前)。 作り手として関わるイベント(土壌を回復させる植物を植える、カフェやハウ スボートオフィスなどのテーブルなどに釘を打つ、オフィスのデザイン等) ②行政サービス改善 ①サービス・技術開発 ③地域活性化
  22. 29 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 事例:小千谷リビングラボ「at!おぢや」 概要:

    旧小千谷総合病院の統合移転に伴う跡地整備の計画として、図書館を 核とした複合施設を整備し、中心市街地の活性化を図る事業が起点に なったプロジェクト。その根幹には、リビングラボの思想と重なり、新しい公共、 新しい公共空間をみんなで創っていくプロセスが大事にされた。そして、「つく る」「つかう・参加する」「見つけ・動かす」などにフェーズを区切りながら、まち や公共施設における市民の関わり代を生み出していった。2020年12月の プレイベントより始まったこのプロジェクトを経て、2024年9月に施設「ひと・ま ち・文化共創拠点 ホントカ。」がオープンし、市民が関わる多数の活動が 行われている。 主体:小千谷市役所 (2020~) 活動: 市民参加プラットフォームを育てるためのシンポジウム 第1~16回小千谷リビングラボ「まちと公共施設の未来をともに創造する」 小千谷リビングラボ(仮称)愛称市民投票 出張at!おぢや(ふるさと夢づくり教育) 新潟工科大学連携プログラム 共にある 共に創る暮らし「鰯新聞」(いわしんぶん) 地域との関わり方: 従来は行政と委託事業者だけで進めていたプロセスを、市民に開き、市民 がみんなで創っていくプロセスとなるように事業が設計された。また、施設の 設計においてもハード中心ではなく、その後の活動が中心となるように、地 域の若者、子育て世帯、高齢者など多様な人が活動しやすくする仕掛け を埋め込んでいる。 ②行政サービス改善 ③地域活性化
  23. 30 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs みなさんとこれから考えたいこと 共創活動

    総体的・連続的 に深める問い 主体的に 動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国 立国会図書館調査及び立法考査局 ※木村(2021)「リビングラボの可能性を広げるためにできること」,第3回全国リビングラボネットワーク会議基調講演 ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会
  24. 31 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs みなさんとこれから考えたいこと 「わたしの活動」が「みんなの活動」につながりうる土壌には必要な要素がある

    現代日本の社会参加 欧州の社会参加 みんなの活動 (閉じられている・委ねてしまう) ・ ・ ・ ・ ・ ・ わたしの活動 (発露しづらい・わたし的趣味とみんな的公共の乖離) みんなの活動 (開かれている・自分も関わりうる) ・ ・ わたしの活動 (表現が求められる・やりたいからはじまる) ・活動に寄り添って伴走される ・うずうずが引き出される(意欲醸成) ・安心・自由を感じていられる(存在肯定) あいだがつながらない (空気社会・お上意識)
  25. 32 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 暮らしの時間 ・主体的、生成的、多様

    ・歴史的な絆、人間、世間 e.g. 自立共生的、生活世界 みなさんとこれから考えたいこと 日本において、リビングラボ的な暮らしや自然のある現場でのボトムアップの取り組みは増 えてきているが、価値観・質感を政策/テクノロジー/ビジネスなど(社会システム)へ組 み込むにはどうすればよいか? システムの時間 ・客体的、計画的、均質 ・政策的経緯、公論 e.g.操作的、システム 「人間の能力を拡張し生産性 を拡大させる(個人が責任を 取れる)道具」を経て、「人間 を操作し依存させ主体性を 奪ってしまう道具」へ