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20251105FCAJフォーラム_共創からトランジションを生み出すために

 20251105FCAJフォーラム_共創からトランジションを生み出すために

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Kimura Atsunobu

November 05, 2025
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  1. 1 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    日本リビングラボネットワーク 代表理事 地域創生Coデザイン研究所 ポリフォニックパートナー 東京理科大学 客員准教授 共創からトランジションを 生み出すために 2025/11/5 Future Center Alliance Japan(FCAJ)主催イベント EMICフォーラム2025
  2. 2 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 木村 篤信

    (Kimura Atsunobu) Profile 地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ) ポリフォニックパートナー 日本リビングラボネットワーク 代表理事 東京理科大学 客員准教授 東京電機大学/東京都市大学/大阪樟蔭女子大学(予定) 非常勤講師 生駒市「緑の基本計画改定懇話会」 有識者(リビングラボ) デジタル庁 認定Well-beingファシリテーター 総務省 経営・財務マネジメント強化事業 アドバイザー JST RISTEX「ケアが根づく社会システム」 領域アドバイザー 日本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー 京都大学デザインイノベーションコンソーシアム/ソーシャルビジネスネットワーク フェロー 横浜市PTA連絡協議会 理事 実践:社会課題解決/ソーシャルビジネス開発 研究:共創/リビングラボ/社会システムデザイン 教育:サービスデザイン/ソーシャルデザイン ⑧ ⑨ ⑩ 地域経営主体(中間支援団体)運営/伴走 地域共創拠点構築・運営 事業開発,政策立案,コミュニティ開発 学術論文・書籍 メディア・書籍取材 (人手不足、ウェルビーイング、民主主義、自律共生等) 大牟田市、奈良市, 岡崎市,生駒市, 八丈町,神山町, 天川村,佐渡市, 小松市、尼崎市 浦添市など 教育機関 非営利活動
  3. 3 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 協働と共創:いずれもセクターを超えた共創の方法論 「Co-Procuction:協働」

    (行政学・社会学用語) 1977年~ 米インディアナ大の政治学者ヴィンセント・オストロムが、「地 域住民と自治体職員とが協働して自治体政府の役割を果 たしてゆくこと」の意味を一語で表現するために造語したもの。 (Comparing Urban Service Delivery Systems, 1977) 日本では、荒木昭次郎がCo-Procuctionを「協働」と訳し、 「地域住民と自治体職員とが、心を合わせ、力を合わせ、助 け合って、地域住民の福祉の向上に有用であると自治体政 府が住民の意思に基づいて判断した公共的性質をもつ財 やサービスを生産し、供給してゆく活動体系である」と定義 (参加と協働:新しい市民=行政関係の創造, ぎょうせい, 1990) 「Co-Creation:共創」 (経営学・マーケティング学用語) 2004年~ 米ミシガン大ビジネススクール教授コインバトール・K・プラハ ラードとベンカト・ラマスワミが提起した「企業が、様々なステー クホルダーと協働して共に新たな価値を創造する」という概念。 (The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers,2004) これからの時代、顧客と一緒になって価値を生みださなけれ ば企業は競争に生き残れないと説き、「企業主体の価値創 造」から「顧客中心の価値共創」の時代へという新しいパラダ イムを提示した。
  4. 4 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボとは Carayannis,

    E.G., Campbell, D.F.J., 2009. “Mode 3″ and “Quadruple Helix”: toward a 21st century fractal innovation ecosystem. Int. J. Technol. Manag 46, 201. 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model モノ・コトをつくるときに 生活者と行政・企業・大学が共に 暮らしの場(リビング)において 試行錯誤(ラボ)をする活動・場 (人口減少時代の社会課題解決に必要な 方法論 ≒コレクティブ・インパクト) デンマークのスマートシティ研 究者とともに、日本初のリビ ングラボ書籍(教科書)を 刊行。全国30カ所で対話イ ベント実施予定。 千葉工業大学(情報学部・デザイン学部) 関西学院大学(イノベーション研究会) 官民共創HUB×東京大学(産官学民関係者) 徳島県神山町(地域創生関係者) リビングラボML トーク含めたLLイベント情報
  5. 7 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創における「問いと土壌の循環モデル」 共創活動

    総体的・連続的に 深める問い 主体的に 動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張, 第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会 成果・報告・形式知の領域 持続的な共創プラットフォームとしてのリビングラボには、共創活動だ けではなく、「主体的に動き出せる土壌」や「総体的・連続的に深める 問い」が重視されている。
  6. 8 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創0.0:仮説検証 企業が地域で

    ソリューションを検討し提供する 提供者 (企業) 地域 企業のソリューション提供が主題であ り、共に価値を考えるプロセスがない 企業にとって意義 ・市民/地域のニーズを把握・検証できる ・市民/地域にトライアルとしてサービス提供できる (仮説検証リビングラボ) ・共創というよりは、検証(実証実験)・営業・プロモーションの効果 地域にとっての意義 ・無償提供期間は企業のリソースを活用できる ・自治体の産業振興課などは実績作り・PRになる ・ただし、地域に共創で取り組みたい地域像がない場合が多く、参画 した他部署・地域関係者にメリットがあるかは不明(実証の多い地 域では、実証疲れ)
  7. 9 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 日本のリビングラボに関連する国内政策 第6期科学技術・イノベーション基本計画

    内閣府 COI-NEXT、地域大学振興 文部科学省 産業開発・イノベーション政策 経済産業省 介護ロボット開発・実証 厚生労働省
  8. 10 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創1.0:仮説探索 地域(生活者)とともに

    地域の問題を探索し実装する 企業にとって意義 ・市民/地域の現象的な問題を探索できる ・新しいモデル事業・体験設計を開発できる ・市民/地域とトライアルができる 地域にとっての意義 ・解決のために企業のリソースを活用できる ・ただ、企業主導の活動になり、地域にとっては部分的な問題である 場合が多い ・重要でない問題を扱う場合、活動自体が無意味なものになる(一 部の人がヒアリングされ、他の人にとって重要かわからないプロジェクト が立上る=実証に距離をとる) 地域の産官学民の関係者 提供者 (企業) 生活者とともに、問題を探索し、 解決手段を創出する。
  9. 11 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボプロジェクトの事例 生活者・自治体・企業が地域/現場で課題探索や社会実装の試行錯誤を重ねることで,

    社会課題解決をするサービスを開発し,展開する事例が増えている 子 ど も の 成 長 ( 妊 娠 週 数 や 生 ま れ て か ら の 月 日 ) が 一 目 で わ か り 、 予防接種スケジューリング機能がキラーコンテンツとなった【母子モ】 B t o G t o C な の で 、 ユ ー ザ と 自 治 体 の 、 双 方 が よ り 便 利 で 使 い や す い サ ー ビ ス に し て い く 必 要 が あ っ た . た と え ば 、 紙 の 母 子 健 康 手 帳 の 内 容 の 中 か ら 、 電 子 化 す る べ き 項 目 を 取 捨 選 択 す る こ と に も 悩 ん だ が , 実 際 に 子 育 て し て い る 人 へ の ヒ ア リ ン グ や 、 母 子 健 康 手 帳 を 何 度 も 読 み 込 み な が ら 開 発 を 行 っ た . 2025 年 6 月 現 在 、 全 国 730 以 上 の 自治体で 導 入されて い る. 高 齢 者 サ ー ビ ス に 民 間 の 力 を 使 う こ と で 、 介 護 保 険 給 付 や 税 金 の 支出を減らせる乗り合い送迎サービス【チョイソコ】 未要 介護認定高齢者への調査で 「徒歩移動がつ ら い ・きつ い 」 「 バスの本数が少な い 、時 間 が 合 わ な い 」 な ど 不安 や 不 便 を 感 じ る 声 を 掴 ん だ 自 治 体 の 福 祉 担 当 ・ 公 共 交 通 担 当, ア イ シ ン は , 大 量 輸 送 で は な い 「 少 数 輸 送 」 の サ ー ビ ス が 地 域 に 必 要 と い う 目 的 意 識 を 共 有 し 、 バ ス と タ ク シ ー の 特 徴 を い い と こ 取 り し た サ ー ビ ス を 開 発 し た. 現 在 , 全 国 30 地域に展開さ れている .
  10. 12 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 共創2.0:トランジション(システム転換) 地域(ステークホルダー)とともに

    社会・地域の新たなシステムを探索し転換する 提供者 (企業) 地域の関係者とともに、構造的な問題 を探索し、新たなシステムを実現する。 地域の産官学民の関係者 地域にとっての意義 ・地域の持続や地域が変わっていくために向き合いたい問題の構造を 探索できる ・探索のために企業のリソースも活用できる ・新しいシステムに変わっていける(ウェルビーイングなシステム、サス ティナブルなシステム等) 企業にとって意義 ・市民/地域のニーズを探索できる ・新しいモデル事業・体験設計を開発できる ・市民/地域とトライアルができる ・新しいビジネス領域を発見できる
  11. 13 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 個別の地域活動や企業サービス、 領域ごとの政策による対応で

    バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる + 個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換※を志向 トランジションの必要性 気候変動、不平等、世界の民主化、健康と福祉などの問題に対して、(問題再生産の構造延命にも寄与 する)部分的解決ではなく統合的に向き合うために、システム・トランジション、コレクティブインパクト、トラ ンジション・デザイン、システミック・デザインなどの方法論が提唱されている。 e.g.本籍校に復帰できることを目標にする適応指導教室 e.g.人手が足りないので好待遇で採用活動 e.g.学習計画を子どもたち自身が作るイエナプラン教育 e.g.働く人が働きたい地域・力を発揮しやすい職場づくり
  12. 15 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs トランジションのローカルアジェンダ:労働供給制約社会 構造的な人手不足により働き手を補えない「労働供給制約」状況となり、物流、建設・土木、介護、交通、小売、飲食

    などの生活維持サービスが維持できない状況が迫っている。 未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる(2023),リクルートワークス研究所. 「働き手不足1100万人」の衝撃(2024)古屋星斗、リクルートワークス研究所 日本での社会構造転換のメインアジェンダは“構造的な人手不足” (地域では喫緊の課題であり、2024年には国やメディアの共通言語化している) 「単なる人手不足論ではない。後継者不足や技能承継難、デジタル人材の不 足などといった産業・ 企業視点からの問題ではなく、「生活を維持するために必 要な労働力を日本社会は供給できなくなるのではないか」という問題意識であ る。」 「労働供給制約社会において最も懸念されるのは、「生活維持サービス」である。 物流や建設・土木、介護・福祉、接客などの職種は既に需給ギャップが 顕在 化しており、著しい人手不足に陥っている。これは「大変だなあ」ではすまない問 題でもある。こうした職種の供給不足を放置すると、私たちの生活に大きなダ メージを与える可能性が高い」 参議院自民党・政策審議会 ホワイトカラー消 滅: 私たちは働き 方をどう変えるべき か (NHK出版、 2024) 冨山和彦氏 IGPIグループ会長 朝日新聞特集「8がけ社会」 永田町、霞ヶ関、主要な経済団 体の政策・戦略検討において前 提としての位置づけを得るとともに、 産業界等のオピニオンリーダーが 公式の場で使い、メディアも特集 を組んで報道すること、それを共 通言語に議論を深めることが起き 始めている。
  13. 16 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs デザイン学におけるシステムトランジションの動向 ▼2008年

    ドネラ・メドウズが 「Thinking in systems : a primer(邦題:世界はシステムで 動く)」を発表(ヨーロッパ流のシステ ミックデザイン) ▼2012年 システミックデザイン協会 が発足(デルフト工科大学やオンタリ オ州立芸術大学のデザインプログラム にシステミックデザインが導入) ▼2015年 テリー・アーウィンらが 「Transition design」を提唱(アメ リカ流のシステミックデザイン) ▼2021年 イギリス デザインカウンシ ルが「Systemic Design Approach」を発表 ▼2022年 ピーター・ジョーンズらが 「Practice Tools for Systemic Design(邦題:システミックデザイン の実践)」を発表 デザインカウンシル(2021) システミックデザインフレームワーク. https://www.designcouncil.org.uk/our-resources/systemic-design-framework/ Irwin, T., Transition Design: A Proposal for a New Area of Design Practice, Study, and Research, Design and Culture, 7(2), 2015, pp. 229–246.
  14. 17 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 社会システムの性質 •コミュニケーションのシステム(個人間の相互作用、

    組織、法、経済、政治、宗教、科学、教育などの社会の機能シ ステム) •複雑性に選択を加えて営為を一定範囲 のパターンに制限する構造により,不確 実性のリスクを抑制 •内と外を区別し,境界を維持するための 内的秩序が存在 •内的秩序は原理に基づいて構成 ※ニクラス・ルーマン, 1992, 『公式組織の機能とその派生的問題(上巻)』, 新泉社. 【例】 ▼経済システム(原理=支払える/支払えない) あなたがAmazonで本を買うとき、個人の善意でも文化 の影響でもなく「支払可能か否か」で処理される顧客が 良い人でも、お金を払えなければ取引は成立しない ▼法システム(原理=合法/違法) 同じ行為(例えば道路への落書き)であっても、美術 的評価ではなく、「違法か合法か」で判断される ▼科学システム(原理=真/偽) ワクチンの安全性は、政治的判断でも宗教的信念でも なく、科学論文による「真/偽」の判定で決まる
  15. 18 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 社会システムの性質 【例】

    ▼交通システム ・社会に信号機が置いてあるだけはシステムは機能しない ・個人が「赤信号では止まる」という交通ルールを守ることで機能する(内面化) 図:交通システムにおける相互関係の例 社会システム(サービス・制度・組 織等)は、個人の外側にある社 会システム単独では成り立たず、 個人が社会システムのルールを内 面化することではじめて成り立つ (相互関係の構造)。 そのため、外形的にサービス・制 度・組織等を変えるだけでなく、そ れに関わる個人の内面も同時に 変容していく必要がある。
  16. 19 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs アプローチ1: 個人の支配的な価値観から新たな価値観への変容

    個人・コミュニティの価値観が変容していくメカニズムの分析モデル:Two Loop Model Wheatley, Margaret and Frieze, D. (2011). Walk Out Walk On: A Learning Journey into Communities Daring to Live the Future. Berrett-Koehler Publishers.
  17. 20 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs アプローチ2: 現行の社会システムから新たな社会システムへの組み替え

    社会システムが変容していくメカニズムの分析モデル:Multi-level Perspective ①ニッチがボトムアッ プから複数立ち上が る ②一部が社会技術 レジームに組み込まれ る Geels, F. and Schot, J.(2007)Typology of Sociotechnical Transition Pathways, Research Policy,36(3),pp.399-417.
  18. 21 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 暮らしの時間 ・主体的、生成的、多様

    ・歴史的な絆、人間、世間 e.g. 自立共生的、生活世界 これからのトランジションのフォーカス: 暮らしの質感・自然との共生をとりこぼさない社会システムデザイン ・暮らしや自然のある現場でのボトムアップの取り組みは増えてきているが、政策、テクノロジー、ビジネスな どの社会システムへの組み込みが課題 ・現場において統合性を起点に試行錯誤するリビングラボのアプローチが有効 システムの時間 ・客体的、計画的、均質 ・政策的経緯、公論 e.g.操作的、システム 「人間の能力を拡張し生産性 を拡大させる(個人が責任を 取れる)道具」を経て、「人間 を操作し依存させ主体性を 奪ってしまう道具」へ
  19. 23 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 行政政策: 健康福祉総合計画策定・運用等

    人の意欲が発揮され人手不 足を解消するムーブメントを 生み出す「労働供給制約社 会・大牟田」 人の力を引き出 す職場づくり「超 短時間雇用」PJ ×東大等 みんなが自然と元 気になるまちPJ w/ モデル事業 ×NTTデータ等 Well-being な住まいPJ ×有明高専等 社会の本質に迫る 問いと対話のメディア 「湯リイカ」 ×SMBC等 「わたし」として扱われる場があたたまりを生む 公営住宅モデルルームと住みこなしに必要な家具DIY 対話を通じて住民の主体性 があたたまる定期イベント 「ぐるぐるダイアログ」 主体的なデジタル活用をサ ポートする人材 「インフォナビゲーター」養成 講座 高齢者の主体性を引き出す デジタル体験 「VRを活用した未来の福祉 プロジェクト」 ×東大等 多様な市民や内外の関係者がが集うイベント 対話を通じて未来について考える仲間が集う 生産性と多様性 の両立する地域 企業への伴走支 援PJ 住民があたたまり地域内のキーパーソン同士がつながる場 大牟田から未来をのぞき見る、 対話・体験・テクノロジー 「NINGEN Societal Festival」 官民連携を推進する主体: 大牟田未来共創センター(大牟田市との連携協定) 地域共創拠点: うずうずマイン(コワーキング,イベントスペース,チャレンジショップ等) ・・・ 健康福祉総合計画策定・運用 ❶人がのんびりと 動き出せる土壌 ❷未来にむけた 問いを深める対話 ❸システム転換を 志向する実践 「人々が主体的に共創できる社会」のモデルをつくる
  20. 24 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 医療・介護・健康:Being-wellな社会参加機会の創出 ⚫

    介護予防は本人視点では意識することができない概念であることを整理し、本人視点に立ったBeing- well※(本人の力が発揮されている状態)に転換。そのうえで、関わる事業者・団体についても、従来 の医療・介護サービス事業者ではない新たな事業者・団体が担う方向で、企業や地域と協働 要介護状態にならないように 予防する 要介護状態 介護予防 介護が必要な状態になったことがない人にとって、 それを予防するという意識を持つことができない Being-well※(本人の力が発揮されている状態) どのような状態でも、本人の存在が肯定され、 力が発揮されている状態を目指す ※Well-beingが「Well(良い状態)」を先に規定していることに対して、「Being(存在)」を肯定した上で、多 様な「Well(良い状態)」に開かれていることを目指す理念。造語。 高齢者等 • 医療・介護サービス事業者が担う • 制度の構造として、医療や介護が必要な状態 になったほうが収益が上がるため、予防に対す るインセンティブが働かない 要介護状態 高齢者等 一緒に力を引き出す(見出す) ような関わり方 • 医療・介護サービス事業者ではない事業者・団体が担う (新たなビジネス領域の可能性) • 誰もが、どのような状態になっても、社会参加ができるよう機会のユニバー サル化を図る
  21. 25 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 住まい・コミュニティ:「いる」の位相に基づく暮らしづくりへの転換 今後のスマートシティ・スマートホームに関する設計指針を得るために、公営住宅引っ越しに伴うリロケーションダメージなどの

    具体的な課題と向き合う実践に取り組んだ。スマートな先取りによる「ある」の位相では見落とされる、暮らしている人や 地域に根差した「いる」の位相に基づく暮らしのデザインや政策形成への転換の必要性と、Well-beingにつながるアイデ ンティティ形成の具体的なアプローチ(DIY等の住みこなしの実践知)について明らかにした。 新しい住宅のモデルルームを再現し、それを住みこなす体験・対話のプロセスを協働した 住みこなしに必要な家具を、住民と地域の学生が一緒にDIYするプロセスを持った 大牟田市営住宅での調査を通じたWell-being な 住まい・地域づくりのあり方に関する研究報告書より コモンズ・住みこなし 篠原聡子『アジアン・コモン ズ: いま考える集住のつなが りとデザイン』(平凡社、 2021) 篠原聡子 「いる」の世界 石井美保『環世界の人類 学 南インドにおける野生・ 近代・神霊祭祀』(京都 大学学術出版会、2017) 石井美保 伊藤亜紗 予防と予備 伊藤亜紗「予 防から予備へ: 「パーソンセン タード」な冒険の ために」
  22. 26 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 移動・交通:人の意欲をまんなかにしたアクセシビリティの保障 個人

    移動 (モビリティ) 目的 (目的地・機会) 徒歩(移動する力) 自家用車 地域交通(コミュニティバス等) 公共交通(鉄道・バス・タクシー等) 私的 公的 ト レ ー ド オ フ 社会的包摂(地域共生社会) 地域経済活性化・地域活性化 免許返納 少子高齢化 つながり つながり 社会的孤立 フレイル 医療・介護政策 交通政策(狭義) コミュニティ政策 地域包括ケアシステム 産業政策 まちづくり政策 事業者 (医療介護・商業) 福祉輸送(移送) 財政負担増 減便・空白地 医療・介護政策 財政負担増 ※移動制約者は高齢者以外にもいる 移動主体 移動手段 モビリティミックス 経済的制約 •人口カバー率(大牟田市地域公共交通網形成計画より抜粋) 交通政策(狭義) 人を真ん中にした移動・交通政策(広義) ※大牟田市保健福祉部福祉課(2019)地 域包括ケアシステムにおける移動支援のあり方 ,第2回地域包括ケアシステム推進会議資料 公共交通の人口カバー率(鉄道駅 800m、バス 停 300m)が低く、高低差等により移動の困難が 生じやすい地域も存在している
  23. 27 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 就労・雇用:だれもが働きやすいフェアな就労モデル 従来の慣習的な就労モデルが、長時間雇用や職務定義のなさにあることを捉え、(障害者を含めた)働

    き手が就労に向けて一方的に努力するのではなく、採用する企業だけが労働環境を改善するのでもなく、 明確に定義されたジョブで働くことでだれでもが本来業務で関わることができるフェアな就労モデルにより、女 性や高齢者などの多様な働き方を促進するとともに、高度なコミュニケーション能力がある人材への過度な 職務集中に伴う過労や鬱などの健康被害も低減 慣習的な就労モデル ・「長時間働く必要がある」 ・「採用時に職務定義がない」ため、高度 なコミュニケーション能力が求められる フェアな就労モデル「超短時間雇用モデル」 ・「短時間から働くことができる」 ・「ジョブが明確に定義されている」 https://www.oecd.org/social/disability-work- and-inclusion-1eaa5e9c-en.htm 高齢でなく施設入 所していない人 (働ける人)の母 数に対して15%程 度しか就労してい ない(他国に比べ 障害者雇用率が 低い) 神戸市超短時間雇用事例集 https://www.city.kobe.lg.jp/documents/46683/jireisyuu.pdf
  24. 28 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 転換の理念: 「人々の可能性を引きだす自律支援型社会」の実現

    ①存在の肯定 (信頼) ②対話的関わり (伴走的関わり) ③自律 責任 グループ・チーム ・コミュニティ 人々が自ら社会・組織をつくる自律型社会 (人=唯一性、主体) 働きかけ 参加 自分の存在には 価値がある 社会は 変えられる 「失敗」の許容 出入り自由 出入り自由 ④他者・社会への ひらかれ・試み ⑤新たなつながり、協 働 ①存在論的不安 ③非自律的 個人 (お上意識、 空気優先) 責任 ムラ的関係・都会的孤独 社会・組織に人々が合わせる管理型社会 (人=代替可能性、客体) 「失敗」への不寛 容 ④他者・社会への 無関心 ⑤縦割り・自己責任 ②交換的関わり ・客体的・均質的な制度・環境(cf.第二の分水嶺(イリイチ)) ・自ら関わることが難しい他者・社会 ・人の感性や自然の価値の疎外する文化 ・主体的・物語的な暮らしを許容する制度・環境 ・連帯してよりよく変えていける社会 ・真善美の感覚を涵養する文化
  25. 29 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs 外部メディア掲載・外部発信・表彰 オウンドメディア(湯リイカ)

    書籍・外部メディア掲載 29 学術・登壇活動(資料はQRコードより) https://dialogue-eureka.jp/ ※上記以外にも、「リビングラボ」「社会システムデザイン」という テーマで受賞・論文採択・講演登壇・セッション企画を多数 様々な分野における気鋭の有識者・実践者との対話メディア。
  26. 30 Copyright 2025 Japanese Network of Living Labs リビングラボ・トーク シリーズ

    組織・セクターを超えた価値共創について対話したい人はぜひご登録ください ▼当面の予定 ・11/2(日) 東北芸術工科大 森一貴さん/福井県立大 高野さん in福井 ・11/6(木) BIOTOPE 佐宗邦威さん in 霞が関 ・11/16(日) DeepCareLab川地さん/田島さん in 大阪 應典院 ・12/17(水) ここにある 藤本遼さん共催 in 尼崎 ・12/19(金) ミラツク/エッセンス 西村勇也さん共催 in京都 ・1/20(火) 浦添市 松岡さん、ドコモ 榎本さん共催 in 沖縄 ▼その他の予定 ・PYNT 吉備 友理恵さん共催 in飯田橋 ・北海道大学 土井將義さん共催 in北海道 等多数企画中 デンマークのスマートシティ 研究者とともに、日本初の リビングラボ書籍(教科 書)を刊行。全国30カ所 で対話イベント実施予定。 リビングラボML トーク含めた国内のLLイベント情報 Muture Podcast、 山 田崇ラジオ、渋谷で Deathラジオ等も公開中