2023年7月25日から3泊4日で愛媛県の宇和海沿岸の高校生が東日本大震災の被災地を訪れました。その事前学習として、震災復興を5つの要素 (地形と土地利用、海との関係、各まちの拠点、産業の再生、まちの歴史)からまとめました。
避難と復興まちづくりを学ぶ東北視察事前レクチャー東京⼤学⼤学院 ⼯学系研究科社会基盤学専攻博⼠1年 増⽥慧樹修⼠2年 近藤愛⼦防災地理部20232023年7⽉25⽇
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復興ツアーで何を⾒るか被災後に,まちと暮らしを取り戻すためにどのような議論があり,それぞれのまちがどのような答えを出したのか.防災地理部 避難と復興まちづくりを学ぶ東北視察事前レクチャー 22023/7/252011年3⽉ 2021年9⽉Google Earth Google Earth
復興ツアーで何を⾒るか防災地理部 避難と復興まちづくりを学ぶ東北視察事前レクチャー 32023/7/25地形の特徴と⼟地利⽤海との関係各まちの拠点まちの歴史産業の再⽣
1. 地形の特徴と⼟地利⽤震災後,どのように災害に強いまちをつくったか1. 地形の特徴と⼟地利⽤ 42023/7/25
東⽇本⼤震災の教訓• 数千年に⼀度起こるような巨⼤津波を,津波防潮堤だけで防ぐことはできない← コスト,⽇常⽣活の不便さ,⽼朽化…• 津波が防潮堤を越えたとしても命だけは助かるように,災害リスクの⾼い場所・低い場所をどう使うかを考える1. 地形の特徴と⼟地利⽤ 52023/7/25宮古市⽥⽼地区⾼さ10.65m、総延⻑2.4km,⽇本⼀の巨⼤防潮堤を,津波は越えた.Wikipediaよりhttps://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=28852929
ポイント:地形のちがい1. 地形の特徴と⼟地利⽤ 62023/7/25津波の流速速いまま 内陸に向かって減衰居住地として利⽤できる⾼台リアス部 平野部ありなし→ 浸⽔域の家は流出の危険→ 浸⽔域を⾮居住とするのは難2011年津波と同等の津波により浸⽔しない⾼台に居住地を配置嵩上げや防御施設で浸⽔深2m以下にすれば居住を許可宮城県の例)
リアス部の例 – ⾼台移転,職住分離1. 地形の特徴と⼟地利⽤ 72023/7/25住宅エリア公共施設道路・鉄道⼯場商業施設農地• ⼥川,気仙沼,南三陸,陸前⾼⽥2011年津波と同等の津波により浸⽔しない⾼台に居住地を配置
リアス部の例 – ⾼台移転,職住分離1. 地形の特徴と⼟地利⽤ 82023/7/25南三陸町出典: 災害に強いまちづくり 宮城モデルの構築旧市街地⼭を切り崩して市街地移転
平野部の例 – 多重防御1. 地形の特徴と⼟地利⽤ 92023/7/25防災緑地農地道路鉄道商業減衰減衰• 荒浜,⽯巻市街地嵩上げや防御施設で浸⽔深2m以下にすれば居住を許可構造物で津波の勢いを減衰
平野部の例 – 多重防御• 仙台東部道路• 7m-10mの盛り⼟構造• 住⺠の避難先,市街地への津波や⽡礫の流⼊防⽌の機能1. 地形の特徴と⼟地利⽤ 102023/7/25東⽇本⼤震災メモリアルhttps://infra-archive311.jp/sp_sign/infra.html仙台市HP 仙台東部道路の避難階段を使った津波訓練の様⼦https://www.city.sendai.jp/shiminkoho/shise/daishinsai/zenkoku/photoarchive/fukko/059.html
まとめ1. 地形の特徴と⼟地利⽤ 112023/7/25リアス部 平野部• 実際には,さらに細かいそれぞれのまちに特有の地形を考えた,復興の形が⾒られると思います• まちを俯瞰して⾒て,地形の特徴と⼟地の利⽤のされ⽅を考えてみましょう
2. 海との関係津波被害を受けた被災地で,海とどう付き合っていくか?2. 海との関係 122023/7/25
海との関係津波によってまちを破壊された後,どのように海と付き合っていくか?特に被害が⼤きかった地域では,もう被災したくないという住⺠感情▷⾼い防潮堤を求める傾向漁業関係者が多い地域→海が⾒えなくては漁に⾏くべきか等判断ができない▷安全を求める声と,海を⾒たい声との対⽴や葛藤⼀⽅,国の⽅針では…東⽇本⼤震災の津波は想定をはるかに超えたもので,(津波)防災の考え⽅が⾒直された1. 数⼗年〜数百年に⼀度のL1津波は構造物で被害を出さない「防護」を⽬指す2. 数百年〜千年に⼀度の低頻度のL2津波は構造物+避難で犠牲者を最⼩化する「減災」を⽬指す2. 海との関係 132023/7/25
宮古市⽥⽼地区「万⾥の⻑城」と称された⾼さ10mの⼆重防潮堤が損壊し,181名が亡くなった宮古市⽥⽼地区⼆重防潮堤を改めて整備する(2線堤は従来⾼さ10mに復旧,1線堤は14.7mに)と共に,国道45号より⼭側を嵩上げし住宅はその嵩上げ地,または⾼台へ2. 海との関係 142023/7/25近藤撮影@⽥⽼の⾼台移転地: ⼭王団地(2021.3)⽥⽼物語 事業編(https://www.mlit.go.jp/common/001154345.pdfにて公開)
⼥川町コンセプト「どこからでも海が⾒える」「海とともに⽣きる」防潮堤のない町,と呼ばれているが,実は防潮堤はある2. 海との関係 152023/7/25(2018 グッドデザイン賞 ⼥川町震災復興事業より)↓防潮堤⼥川駅前から海の⽅向を臨んだ写真
⼥川町コンセプト「どこからでも海が⾒える」「海とともに⽣きる」L1津波からまちを守る防潮堤を国道398号線で「隠し」,市街地全体を嵩上げし海が⾒えるように防潮堤から続く低地のBエリアは商業・⽔産加⼯・公共施設を整備居住地A, A’エリアは今次津波と同程度の津波でも浸⽔しない⾼さまで盛⼟2. 海との関係 162023/7/25*防潮堤の内側は低地で災害危険区域として未利⽤/低利⽤になっている地域も多い
釜⽯市花露辺・気仙沼市舞根被災した居住区域で防潮堤が建設されなかったのは2カ所だけ:花露辺と舞根元々防潮堤はなかった花露辺.直後は防潮堤を要望したが,14.5mの県の計画に対し,「海が⾒えるのか」「ワカメの作業場はどうなる」と異論が相次ぎ,居住地の⾼台移転と避難路の整備で合意した舞根も52軒中42軒が流された漁村だが,2012年に集落の⾼台移転を決定.住⺠の総意で景観を損なう9.9mの防潮堤は不要とした東京都⽴⼤学の横⼭勝英教授(環境⽔理学)によれば,どちらも⼩さな集落で、⾃治会の強いリーダーシップで、住⺠の意⾒を集約できた点が共通している2. 海との関係 172023/7/25近藤撮影@花露辺漁港から集落を臨む(2021.3)東⽇本⼤震災の津波では68軒中25軒が全半壊,1名がなくなり,64隻の船はほぼ全滅した.
その他訪問地など• 南三陸町志津川地区:防潮堤は⾼さを上げ,住宅や公共施設は⾼台へ移転,低地には産業・観光施設.• 陸前⾼⽥市⾼⽥地区:被災前5.5mに対し,15mの防潮堤を要望したが,12.5mと県が決定.低地は⼤規模な嵩上げ⼯事(当初は5m程度を予定したが防潮堤⾼を反映し8-11mに.2. 海との関係 182023/7/25近藤撮影@陸前⾼⽥市本丸公園(2023.3)↓防潮堤低地(嵩上げなし)嵩上げした市街地
海との関係(再掲)津波によってまちを破壊された後,どのように海と付き合っていくか?特に被害が⼤きかった地域では,もう被災したくないという住⺠感情▷⾼い防潮堤を求める傾向漁業関係者が多い地域→海が⾒えなくては漁に⾏くべきか等判断ができない▷安全を求める声と,海を⾒たい声との対⽴や葛藤⼀⽅,国の⽅針では…東⽇本⼤震災の津波は想定をはるかに超えたもので,(津波)防災の考え⽅が⾒直された1. 数⼗年〜数百年に⼀度のL1津波は構造物で被害を出さない「防護」を⽬指す2. 数百年〜千年に⼀度の低頻度のL2津波は構造物+避難で犠牲者を最⼩化する「減災」を⽬指す2. 海との関係 192023/7/25
3. 各まちの拠点復興市街地のまちの核,拠り所3. 各まちの拠点 202023/7/25
各まちの拠点東⽇本⼤震災の被災地となった各地も,震災前から他の地⽅都市の例にもれず,⼈⼝減少やシャッター街に悩まされていた復興にあたって,シャッター街を再⽣したいわけではない今後も⼈⼝減少が続いていく中,復興市街地で核となるような施設・空間はどうつくるか?また,復興をどのように牽引するか?3. 各まちの拠点 212023/7/25
南三陸さんさん商店街「サンサンと輝く太陽のように、笑顔とパワーに満ちた南三陸の商店街にしたい」震災の翌⽉から,商店主らがみずから⽴ち上がり,⽉に⼀度のテント市「福興市」が始まったその出店店舗を中⼼に,「南三陸さんさん商店街」と名付け,2012年2⽉に仮設商店街が発⾜ポイント• 全店舗1階建てにして,回遊性の向上• 中⼼部に⾃由に飲⾷できるフードコートやステージを設けイベントも頻繁に開催…交流の場に▷おしゃべりが⽬的で商店街を訪れる町⺠も多かった2017年3⽉3⽇から,本設の商店街としてオープン今も復興のシンボルとして,交流の拠点として⼈気の施設3. 各まちの拠点 222023/7/25(南三陸観光ポータルサイト 南三陸さんさん商店街より)
シーパルピア⼥川JR⼥川駅から海の⽅へ向けて緩やかに下がっていくプロムナードレンガみちの商業施設「シーパルピア⼥川」町に分散⽴地した商店を思い切って集約し,集客効果で賑わいを⽣み出すポイント• 町⺠に優先的に⼊ってもらい,外部の⼈にも声をかける▷新しい⾵を• 町が⼟地を所有・施設整備し,テナントとして⼊ってもらう▷後継者不⾜等による廃業→シャッター街となることを防ぐ統⼀的なデザインと,上記の仕組みで,復興後のまちの商業の維持と発展も考えられた計画3. 各まちの拠点 232023/7/25(2018 グッドデザイン賞 ⼥川町震災復興事業より)
アバッセたかた地元のことばで「⼀緒に⾏きましょう」を意味する「あばっせ」地域に密着したタウンセンター「アバッセたかた」被災当時は海側のバイパス沿いに位置していた,全壊したショッピングセンターを市街地に移転市⺠の⽇常的な⽣活を⽀える商業各施設を早期に整備し,まちづくりを先導する役割を担うポイント• 市⽴図書館との⼀体的な整備• スーパー,ドラッグストア,⼤型⾐料品店の集客⼒で被災事業者の事業持続⼒に繋げる• その他のまちなか利⽤者も利⽤できる市営の⼤型駐⾞場をアバッセ前に整備▷被災前は,バイパス沿いにロードサイド店の出店が進み,市街地の⾞での利便性の低さが衰退の⼀因でもあった3. 各まちの拠点 242023/7/25(Web東海新報より)https://tohkaishimpo.com/2018/05/09/204360/図書館 商業エリア市営駐⾞場
まちなかテラスアバッセたかたから⾯的にまちが広がるための,商業エリアの先導役陸前⾼⽥復興市街地の中⼼部に位置する五店舗からなる⼩さな商業集積「まちなかテラス」アバッセしかなかったような市街地に,商業エリアができていくための先導役として⼀緒に仮設商店街を営んでいた⼈気店が出店ポイント• 共同で出資し会社をつくり,その会社が店舗を所有仮に廃業しても,次のテナントを誘致するまで家賃を払う▷⼥川と同様,空洞化を防⽌し持続可能性を⽬指す• 駐⾞場は裏側に配置,統⼀感がありながら個性的なデザイン▷ユニバーサルデザインと景観の両⽴を⽬指す復興市街地の⽅針を踏襲し,未来のまちの姿を想像させる3. 各まちの拠点 252023/7/25(Web東海新報より)https://tohkaishimpo.com/2017/10/03/177129/
各まちの拠点(再掲)東⽇本⼤震災の被災地となった各地も,震災前から他の地⽅都市の例にもれず,⼈⼝減少やシャッター街に悩まされていた復興にあたって,シャッター街を再⽣したいわけではない今後も⼈⼝減少が続いていく中,復興市街地で核となるような施設・空間はどうつくるか?また,復興をどのように牽引するか?3. 各まちの拠点 262023/7/25
4. 産業の再⽣⼟地に住み,働き続けるために4. 産業の再⽣ 272023/7/25
東⽇本⼤震災の産業への影響4. 産業の再⽣ 282023/7/25• 地域間格差の存在• 事業所・従業者数が半減以下の⾃治体も存在• 2012年と2009年の事業所・従業者数の増減どのようにして,働く場所を回復し,住み続けられるまちをつくるか復興庁 被災地域の 経済・産業の現状と 復旧・復興の取組https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-19/261201_fukkyufukkou.pdf
農業・漁業の復興⾼齢化・後継者不⾜等の震災前からの問題…→ 震災後,元に戻すだけでなく,従来の課題を解決する施策• 農地の⼤区画化により経営規模の拡⼤・収益増 ex) 荒浜周辺• 観光農園 ex) JRフルーツパーク仙台あらはま• 海外展開• ブランド牡蠣,ブランドサーモンなどのブランド化4. 産業の再⽣ 292023/7/25
地域の基幹産業の早期復旧・復興• ⽇本製紙⽯巻⼯場• 従業員は3000⼈に上り,地域経済の根幹を担う地域のシンボル• 被災15⽇後の3⽉26⽇には,「⽯巻⼯場を必ず復興させる」と宣⾔→ 市⺠の復興の励みに• 1年半後には完全復興を果たす4. 産業の再⽣ 302023/7/25⽇本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC176MP0X10C22A2000000/基幹産業の復興が精神的な⽀えになる
5. まちの歴史まちの⾻格が災害に対してどう変化してきたか5. まちの歴史 312023/7/25
東北と津波の歴史5. まちの歴史 322023/7/25 明治三陸津波国⼟地理院https://www.gsi.go.jp/johofukyu/kani_ortho_1.html Google Earth20101977東⽇本⼤震災の浸⽔範囲昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災陸前⾼⽥市東⽇本⼤震災以前,都市は災害に備えられていたか
陸前⾼⽥市と津波①5. まちの歴史 332023/7/25今昔マップ on the webより 明治三陸津波 昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災まちの始まり• 陸前⾼⽥市の原初の集落は,⼭裾の街道沿いにある,⾼⽥と今泉の両集落であった.
陸前⾼⽥市と津波②5. まちの歴史 342023/7/25今昔マップ on the webより 明治三陸津波 昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災駅の開業• 1933年に陸前⾼⽥駅が開業• 低地部に置かれた← 政治的な理由将来の発展の余地を残すため• 1952年時点では,建物は⼭裾の集落に密集
陸前⾼⽥市と津波③5. まちの歴史 352023/7/25今昔マップ on the webより 明治三陸津波 昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災• チリ地震津波後,陸前⾼⽥駅前で⼟地区画整理事業 (1961 –1981)→ 低地部の駅に向けて市街地が発展※⼟地区画整理事業…公共施設整備や宅地開発を⽬的に,⼟地の区画を変更・新設する制度(市街地開発)駅前の⼟地の区画整理事業
陸前⾼⽥市と津波④5. まちの歴史 362023/7/25今昔マップ on the webより 明治三陸津波 昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災低地を通るバイパス⾼台の開発 • 1983年 国道45号バイパスが低地部に開通→ 低地部の市街地が更に拡⼤• ⾼台の住宅団地の開発→ 東⽇本⼤震災直前には,⾼台の⼈⼝増
⼤船渡と津波①5. まちの歴史 372023/7/25 明治三陸津波 昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災• 内陸の盛町(商業・⾏政)と,湾⻄側の⼤船渡村(漁業)を中⼼に発展まちの始まり
⼤船渡と津波②5. まちの歴史 382023/7/25 明治三陸津波 昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災駅の開業• 1934, 35年 盛駅・⼤船渡駅が開業• 低地部を通る国道45号旧国道45号
⼤船渡と津波③5. まちの歴史 392023/7/25 明治三陸津波 昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災• チリ地震津波の甚⼤な被害を経て,防災都市を建設1. 低地部は⼯業⽤地として利⽤(減災的⼟地利⽤)2. 低地を通る国道45号の⾼台への付け替え(丘陵部の道路の重要性)国道の⾼台への付け替え低地部の⼯業利⽤
⼤船渡と津波④5. まちの歴史 402023/7/25 明治三陸津波 昭和三陸津波 チリ地震津波 東⽇本⼤震災• 東⽇本⼤震災前には,国道沿いの丘陵部や内陸で⼈⼝が増加していた
まとめ• 現在の住まい⽅やまちづくりの決定が,まちの防災への強さを変え,次の災害の被害に影響する!= 事前復興• 災害に強いまちをつくるために,⾃分のまちの何を変える必要があるでしょうか5. まちの歴史 412023/7/25
復興ツアーで何を⾒るか• 5つの視点ü地形の特徴と⼟地利⽤ü海との関係ü各まちの拠点ü産業の再⽣üまちの歴史l ⾃分の住んでいるまちとの共通点・相違点を考える!防災地理部 避難と復興まちづくりを学ぶ東北視察事前レクチャー 422023/7/25
6. 番外編⼤学での事前復興演習の取り組み6.⼤学での事前復興演習の取り組み 432023/7/25
⼤学での事前復興演習⼤学3年⽣の都市設計演習で,⼋幡浜の事前復興計画(2020応⽤プロジェクト1⼋幡浜班)⼤学院1年⽣の復興計画演習で,宇和島の事前復興計画(2022復興デザインスタジオ)に取り組みました6.⼤学での事前復興演習の取り組み 442023/7/25写真は,⼋幡浜の愛宕⼭から撮った⼣陽.(2020.12)
⼋幡浜 災害リスク対象敷地は中⼼市街地南海トラフ巨⼤地震とそれに伴う津波リスク空き家や⽯積みが多く避難路閉塞の可能性も⾼い6.⼤学での事前復興演習の取り組み 452023/7/25津波浸水予想深*地理院地図に加筆⽊造の空き家が並ぶ狭路避難場所までの道
⼋幡浜 災害タイムラインの作成漠然と「やばいかも」と思っていても、具体的に想像できている⼈はなかなかいないのではないか?→災害タイムラインの作成§ 今のままではどうなってしまうか?§ その被害を防ぐためにどのような対策があるか?を時系列にまとめた6.⼤学での事前復興演習の取り組み 462023/7/25
⼋幡浜 ⾼台整備提案愛宕⼭の⾼台造成とアクセス道の整備§ 3⽅向から新規道路を整備し,既存のアクセス道路も拡幅→⾞避難の容量を確保§ ⾼台に分庁舎や選果場を配置し,速やかな復旧,産業の復興を⽬指す6.⼤学での事前復興演習の取り組み 472023/7/25
⼋幡浜 低地整備提案⾼齢者等の徒歩避難や,広い道に⾞が出るときに障壁にならないよう,空き家・ブロック塀を撤去市街地のすべての道を班員4⼈で⼿分けして歩き,空き家やブロック塀の危険度を⽬視で判定→優先して取り組むべき場所を⽰した6.⼤学での事前復興演習の取り組み 482023/7/25
宇和島 災害リスク対象敷地は宇和島中⼼部の東側の臨海地域⽴地を⽣かした⽔産加⼯・造船業が盛ん,⼯場が⽴ち並ぶ同様に,南海トラフ巨⼤地震による津波の際には,全域で3-5mの浸⽔想定避難場所となっている住吉⼭の登⼭道は雑草に覆われ,「避難したくない」という地元の声も..6.⼤学での事前復興演習の取り組み 492023/7/25津波浸水想定造船所 雑草に覆われた避難経路
宇和島 住吉⼭整備平時に使われる場所でないと,避難しない!→避難場所の住吉⼭を再整備イベント等で利⽤できるテントは,災害時には⼀次避難時に活⽤6.⼤学での事前復興演習の取り組み 502023/7/25
宇和島 社員寮整備平時に使われる場所でないと,避難しない!→地域の⼈が平時から集まる,地域に開いた社員寮の整備5階の銭湯や,2階のカフェに平時から⼈が集まる6.⼤学での事前復興演習の取り組み 512023/7/25大階段を外周に沿わせ、津波避難ビルとしての認識を強化平時の機能災害復旧期のカフェから工場一帯・海への眺め
宇和島 ロードマップ提案地域の強みを活かして⽬指す将来像を考え,災害は将来像へ向かうのを加速してくれる,とポジティブに捉えた6.⼤学での事前復興演習の取り組み 522023/7/25徐々に内陸側に⼈⼝誘導し,災害を景気に地域を危険区域に指定し,産業⽴地を主とした地区を⽬指す
⼤事にしたこと・気をつけたこと・教訓など• 災害発⽣後、どういう町にしたいのか。• 浸⽔後、どのような⼟地利⽤がされる?• ⼈に住んでほしいのか、居住はなくなる前提なのか?• 元々あった施設はどうする?移転?現地再建?• ⽣業や町の産業は?• 産業がない町は、財源もなくなり、衰退してしまう• 元の仕事に戻れるのか?いつ、戻れるのか?• 過去の復興や他事例の参照• いい例も悪い例もある。• 違う⼟地にそのまま転⽤できるわけでもない。• 予算制約も変わるだろう。6.⼤学での事前復興演習や避難研究の取り組み 532023/7/25
参考⽂献 *図はスライドに記⼊したため省略全体• 伊藤滋編著. 都市計画家・伊藤滋がみた東北復興縦断2011-2021.有限会社万来舎, 2023年5⽉.⼥川• ⼟屋信⾏. 「防潮堤のない町 ⼥川復興物語」 2021年3⽉https://www.sankei.com/article/20210310-YQP4Q3JLRZOVTCRRE3SPGVLWZ4/ (最終閲覧⽇: 2023年7⽉16⽇)陸前⾼⽥• 中井検裕, ⻑坂泰之, 阿部勝, 永⼭悟編著.復興・陸前⾼⽥ゼロからのまちづくり.⿅島出版会, 2022年3⽉.花露辺・舞根• 菅沼栄⼀郎. 「震災10年『防潮堤に頼らない』を選んだ⼆つの街 被災前の砂浜を取り戻した地域も」2021年2⽉14https://dot.asahi.com/aera/2021020900071.html (最終閲覧⽇: 2023年7⽉17⽇)南三陸さんさん商店街• ⼩島まき⼦. 「南三陸さんさん商店街の今までとこれから。移転先でもおもてなしを!」 2016年8⽉1⽇ https://m-now.net/2016/08/sansan-3.html (最終閲覧⽇: 2023年7⽉17⽇)• 経済産業省. 「南三陸さんさん商店街(南三陸志津川福興名店街運営組合)」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/monozukuri300sha/shoutengai30/2014/S03.pdf (最終閲覧⽇: 2023年7⽉17⽇)防災地理部 避難と復興まちづくりを学ぶ東北視察事前レクチャー(仮) 542023/7/25
参考⽂献 *図はスライドに記⼊したため省略復興まちづくり• 宮城県, 復興まちづくり計画の概要, https://www.pref.miyagi.jp/documents/35873/03_1syou.pdf, (最終閲覧⽇2023年7⽉25⽇)• 宮城県⼟⽊部,災害に強いまちづくり 宮城モデルの構築, https://www.pref.miyagi.jp/documents/9134/725618.pdf (最終閲覧⽇2023年7⽉25⽇)産業の復興• 復興庁, 2014年12⽉, https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-19/261201_fukkyufukkou.pdf (最終閲覧⽇2023年7⽉25⽇)• 農林⽔産省, 特集 東⽇本⼤震災の発⽣から10年、 現在の姿と残された課題 ,https://www.maff.go.jp/tohoku/seisaku/zyousei/file/attach/pdf/19_zyousei-79.pdf (最終閲覧⽇2023年7⽉25⽇)• ⽇本製紙グループCSR報告書2012, https://www.nipponpapergroup.com/contents/200140746.pdf(最終閲覧⽇2023年7⽉25⽇)まちの歴史• ⼩関 玲奈, ⼭本 正太郎, ⽻藤 英⼆, 津波・⽔害常襲地域における都市形成と災害後の都市計画的対応に関する⽐較分析, ⼟⽊学会論⽂集D2(⼟⽊史), 2022, 78 巻, 1 号, p. 47-58,防災地理部 避難と復興まちづくりを学ぶ東北視察事前レクチャー(仮) 552023/7/25