Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

遠くへ行きたければ、チームで行け! アジャイルとスクラムに学ぶチームの 成長のためのエッセンス

Kazuya Suda
September 08, 2024

遠くへ行きたければ、チームで行け! アジャイルとスクラムに学ぶチームの 成長のためのエッセンス

JBUG広島#14「解けないパズルは皆で解こうの会〜」のメインセッションの資料です。

Kazuya Suda

September 08, 2024
Tweet

More Decks by Kazuya Suda

Other Decks in Business

Transcript

  1. 1 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation ⾃⼰紹介 KDDIアジャイル開発センター株式会社(KAG) プラットフォームエンジニアリング部⻑

    須⽥ ⼀也(すだ かずや) 主な経歴 2016〜 auでんきアプリ開発スクラムオブスクラムマスター(AWS×スクラム) 2019〜 MaaSアプリ開発スクラムマスター(AWS×GCP×スクラム) 2021〜 Scrum Inc. Japanスクラムコーチ兼務 202207〜 KDDIアジャイル開発センター株式会社兼務出向 202404〜 KAGプラットフォームエンジニアリング部⻑
  2. 6 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation KDDI Digital Divergence

    Group クラウドインテグレーション・ マネージド アジャイル開発 グループ事業戦略⽴案・推進 オンラインとリアルの コミュニケーションサービス アジャイル コンサルティング・コーチ 企業⽤データ連携・ データ活⽤プラットフォーム 国内における⼤規模⾔語モデル(LLM)の リーディングカンパニー
  3. 7 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation KDDIにおけるアジャイル開発の歩み 2022 2021

    2020 2019 2018 2017 2016 2015 2014 2013 開発案件拡⼤ オフショア ニアショア 法⼈向けクラウドサービス KDDI BusinessIDにて 初のアジャイル開発導⼊ アジャイル開発センター発⾜ (様々な部⾨でAgile開始) 共創ビジネス創出へ DX 領域拡⼤(Personal) auでんき auHOME(IoT) 顧客視点強化 UI/UX取り組み強化・加速 KDDI DIGITAL GATE Scrum inc. Japan設⽴ 5 400+
  4. 8 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation アジャイルサービス開発事例 KDDIサービス auでんき

    auでんきサービスの300万の契約者向けアプリを当初から複数 チームによる⼤規模スクラムで開発。⽉間130万⼈以上のお客さ まにご利⽤いただく⼈気アプリとして成⻑した今もスクラムを 活かし、新機能を⽇々リリースしている。 また、auでんきアプリをホワイトレーベル化し、パートナー企 業に提供。当該パートナー企業のお客さまのロイヤリティ向上に も寄与している。 ネットワークカメラ、リモコンなどの各種IoT機器と連携する 総合IoTサービス。 UI/UXを磨き上げることで数多くのお客さまにご利⽤いただき、 ユーザー数国内No.1の総合IoTサービスになるまで成⻑した。 サービスの⽴ち上げから、安定稼働フェーズに⾄るまで開発を 実施、現在はグループ会社に開発/運⽤を移管済み。 UI/UX 複数スクラム ネイティブアプリ au HOME UI/UX IoT ネイティブアプリ 運⽤引き継ぎ
  5. 9 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation アジャイルサービス開発事例 サービス共創、他社サービス 空間⾃在ワークプレイスサービス

    離れていても同じ場所にいるかのようにチームが繋がるための 法⼈のお客さま向けサービス(東⽇本旅客鉄道社と共同でサービ ス化)。 ⼤画⾯かつ4K相当の⾼画質映像や、発⾔者の位置から⾳が聞こ えるサラウンドシステム、資料投影時に透過させることができ、 参加者全員の表情を⾒ながらディスカッションが⾏えるなど、リ モート環境における円滑なコミュニケーションを実現すべく、 サービスのUX設計から実施。 UI/UX サービス共創 ヘルスケア⽀援アプリ DX(ヘルスケア) 内製化⽀援
  6. 11 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation アジャイル開発⽀援メニュー ⼀覧 MVP

    価値探索 (デザイン) プロトタイプ ラーニング 検証/評価 アイデア/ 課題 アジャイル 開発 スプリント 計画 スプリント 開発 リリース 計画 スプリント ふりかえり スプリント レビュー MVP リリース サービス開発サイクル サービスデザイン ワークショップ 新規サービスの価値を 探索/検証したい DXアジャイル開発 経験豊富なエンジニアと アジャイル開発を始めたい DXアジャイル開発 内製⽀援&エンジニア育成 実開発案件を通じ、 内製開発組織を⽴ち上げたい
  7. 17 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation 誰の何のために作るのか︖ 「当事者」が不在だと、価値を⽣み出せない RAGをつかったChatbot

    なら作れます︕ ⽣成AIを使った業務改善 何かできないですかね︖ 業務が改善できる とは⾔っていない
  8. 18 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation これまでの仕事のやり⽅ 組織とプロセスが⽣む負の側⾯ •

    階層構造︓ ◦ 上司からの指⽰を遂⾏ ◦ ⽬的が曖昧なことが多い ◦ 「顧客が本当に必要だったもの」よりも上司の感覚が優先 • プロジェクト型︓ ◦ 異なる役割を持った異なる組織のメンバーが集まり、⽬的を達成すると解散 ◦ 遅延、課題が⽣じても、ギリギリまで⾃組織で何とかしようとして、プロジェクトメンバーへの報告が遅れがち ◦ キックオフと打ち上げだけは⾔いたいことが⾔い合えたりする • ウォーターフォール型︓ ◦ ⼯程毎に役割とメンバーが決まっていて、個⼈にタスクがアサインされ、分担して作業を進める ◦ 初期調査と仮説に基づいて全ての仕様を決定するが、完成までに⻑い時間がかかり、仕様通りの成果物も、上司 や顧客からイメージと違うと⾔われたりして結局使われない ◦ 納期、コスト、スコープが変えられず、納期近くなるとみんな疲弊する
  9. 20 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation 新しい仕事のやり⽅と組織 価値と⼈、チームにフォーカス プロジェクト

    プロダクト 階層型 フラットな チーム中⼼型 ウォーター フォール アジャイル 当事者不在の ⾃⼰防衛 チーム 価値への共感 と ⼼理的安全性 のあるチーム
  10. 21 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation フラットなチーム中⼼型であること 組織はチームのために重点をおく 必要な権限はチームに移譲されている

    ⾃⼰管理型で誰が何を、いつ、どのように⾏うかはチームが決める リーダーはチームをよく観察し、すばやく価値を出すために必要な⽀援を⾏う (サーバントリーダー) タスクはチームで共有され、協⼒して取り組む
  11. 22 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation プロダクトを中⼼にしたチームづくり 有期の急造チームからプロダクトの価値を⽣み続ける固定チームへ プロダクトに関するナレッジをチームに集める

    プロダクトに関してチームが責任を持つ (顧客の声やデータなど)フィードバックループに基づく価値の探索と改善 プロダクトの価値を提供するために必要なスキルのメンバーを揃える
  12. 23 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation アジャイルのマインドセットを持つこと アジャイルはITだけのものではなく、働き⽅についての新しい⾒⽅ フィードバックが

    得られる成果物 出典︓Scrum inc. 計画に従うより変化への対応 包括的なドキュメントより動くプロダクト プロセスやツールより個⼈との対話 契約交渉より顧客との協調
  13. 24 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation 価値への共感と⼼理的安全性のあるチーム ⽬的・価値に対する共感が前提としてあり、チームメンバーに信頼と尊敬を持って発⾔する チームメンバーが⾃らのイメージ、地位、キャリアにマイナスな影響がおよぶ恐れなく⾏動できる

    という共通の概念として定義される。 (中略) チームに⾼い⼼理的安全性があると、彼らは家族のように感じ、「⼀緒に魔法を起こしている」 ように感じられるという。 ⼼理的に安全なチームにおける主なポジティブかつ望ましい⾏動規範は、「発⾔」するというものだ。 チームメンバーが常にオープンで恐ることなく⾃らの意⾒を⾔い、批判し、貢献できる状態を指す。 『⼼理的安全性とアジャイル』ドゥエナ・ブロムストロム著 ⽤語集「⼼理的安全性」から抜粋
  14. 26 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation アジャイル開発チーム構成 アジャイル開発の⼿法の⼀つであるスクラムのチーム プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者の三位⼀体体制

    スクラムチーム プロダクトオーナー(PO) プロダクトの価値の最⼤化 (WHAT/WHY)に対し全責任 を負い、バックログの優先順位 付けを⾏う。 ステークホルダー (利害関係者) スプリントゴールに向け、プロ ダクトを開発(HOW)し、品 質、計画の適応に責任を持つ。 スクラムプロセスの実践を促進 し、チームパフォーマンスを向 上させ、ゴールを達成させる。 スクラムマスター(SM) 開発者 顧客、パートナー 事業責任者、営業部⾨ 社内関係者 社外関係者 ステークホルダーの 要求ヒアリング ユーザーから のフィード バック
  15. 27 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation アジャイル開発チームの仕事のやり⽅ 新しい働き⽅を実践 •

    プロダクトオーナー ユーザ分析や顧客フィードバック、マーケット調査、ステークホルダーの意⾒など、さまざまなデータから なぜ(WHY)プロダクトを作るのか、どんな(WHAT)顧客価値とビジネス価値を⽣み出すのかを決定 ◦ プロダクトに関してチームが責任を持つ ◦ (顧客の声やデータなど)フィードバックループに基づく価値の探索と改善 • スクラムマスター(サーバントリーダー) チームをよく観察し、チームがすばやく価値を出すために、プロダクトオーナー、開発者を⽀援 ◦ リーダーはチームをよく観察し、すばやく価値を出すために必要な⽀援を⾏う(サーバントリーダー) • 開発者 どうやって(HOW)作るかを決め、作業内容を洗い出し、作業の分担、進め⽅を決める(ペア、モブ) リリース可能なプロダクトを開発し、品質の担保、計画の適応に責任を持つ ◦ ⾃⼰管理型で誰が何を、いつ、どのように⾏うかはチームが決める スクラムマスターって バックログスイーパー かも︕︖
  16. 28 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation お互いに協⼒し合うことが必要 役割のタスクだけに注⼒するのではなく、お互いに助け合うことが⼤事 プロダクトオーナー(PO)

    早く価値を届けるべきプロダクト(バックロ グ)の優先順位を⾼くし、開発者からのプロ ダクトに対する相談に素早く判断する。 パフォーマンスの向上とゴールを達成するため に、進捗を妨げる障害物を排除するように働き かけ、さまざまな形でPOと開発者を⽀援する。 スクラムマスター(SM) ゴールを達成すべく、開発者同 ⼠で協⼒して、素早くプロダク トを完成させる。 開発者
  17. 29 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation チームの⼼理的安全性が前提 チームメンバーのことを知り、⾔いたいことが⾔い合える関係づくり •

    お互いのことを知る ◦ 偏愛マップ︓⾃分の好きなもの、興味があることを共有し、共感や会話を⽣むきっかけづくり • インセプションデッキ ◦ プロダクトで達成したい⽬的、⽬標や優先順位、リスクなどを簡潔に記載 ◦ チームメンバー全員で作成し、メンバー変更時など定期的に⾒直す • ドラッカー⾵エクササイズ ◦ ⾃分が何が得意なのか︖ ◦ ⾃分はどうやって貢献するつもりか︖ ◦ ⾃分が⼤切に思う価値は何か︖ ◦ チームメンバーは⾃分にどんな成果を期待していると思うか︖ • ワーキングアグリーメント ◦ チームが気持ちよく仕事ができるようにチーム全員で決めた約束ごと われわれ はなぜこ こにいる のか エレベー ターピッチ パッケージ デザイン やること やらない ことリス ト プロジェクト コミュニティ 夜も眠れない問題 技術的な 解決策 トレードオ フスライ ダー 期間を ⾒極める なにが どれだけ 必要か Whyを明らかにする Howを明らかにする インセプションデッキ
  18. 31 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation 解けないパズルはチームで解こう スクラムでは常にチームで協⼒して課題を解決 •

    ペアワーク(プログラミング)、モブワーク(プログラミング) ◦ 複数⼈で協⼒して同じタスク、プログラミングに取り組む ◦ ⼀⼈では調査や解決に時間がかかることも、すばやく効率的に解決でき、 経験者から実践の中で学ぶことで、メンバーのスキル向上につながる • スウォーミング ◦ 群がること。チームが優先すべきタスクや障害に⼀気に取り掛かること ◦ デイリースクラムの後に、必要なメンバーが集まって協⼒して解決する • ブレインストーミング 課題や価値を明確にするためのアイデア出しもチームメンバー全員で⾏う ◦ バリューストリームマッピング ◦ ユーザーストーリマッピング
  19. 32 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation WIPは制限しよう デイリースクラムとタスクボードの活⽤ •

    処理中のタスク(WIP︓Work In Progress)の数を制限し、コンテキストスイッチの発⽣を抑え、優先度の⾼いタ スクに集中して取り組む(例︓ワーキングアグリーメントでWIPは2までとする) • デイリースクラム(朝会)でタスクボードを確認しながら、昨⽇やったこと、今⽇やることを確認し、WIPが多く なっていないかを確認する • WIPが多くなっている場合、優先度の⾼いタスクを完了させられない理由が何かを確認し、その障害を取り除くため に、朝会後にチームでスウォーミングしたり、スクラムマスターが解決を⽀援する
  20. 33 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation スプリントレトロスペクティブ(振り返り) より良いやり⽅を⾒つけ、チームの⾏動を少しずつ変えていく •

    KPT(Keep/Problem/Try)︓より良いやり⽅を取り⼊れていく⼿法 ◦ Keep︓続けたいこと ◦ Problem︓課題に思っていること ◦ Try︓KとPを踏まえて試したいこと、改善したいこと • Fun/Done/Learn︓チームのマインド⾯での変化を確認 ◦ Fun︓楽しかったこと ◦ Done︓やり遂げたこと ◦ Learn︓学んだこと • 象、死んだ⿂、嘔吐︓⾔いたいことが⾔えなくなってきた負の側⾯を曝け出す KAG Blog DX を加速する「ふりかえり」︓KPT と Fun Done Learn の活⽤法 https://developers.kddi.com/blog/3yvBaZE66w8a7cbWjTJzjF Qiita ふりかえり⼿法「象、死んだ⿂、嘔吐」でチームの闇と向き合おう https://qiita.com/piyonakajima/items/ad3c44d1dc377e41d3904
  21. 34 ©2024 KDDI Agile Development Center Corporation チームで成⻑するということ 対話、共同作業、ドキュメント化、⼿の内化を通じて、チームでナレッジは共有し、⼀緒に魔法を起こし続ける d’s

    JOURNAL「【図解あり】SECIモデルとは|実践プロセスや運⽤のポイントを解説」 https://www.dodadsj.com/content/230427_seci-model/ モブプログラミング ペアプログラミング ふりかえり ドキュメント作成 勉強会(CoP)の開催 ブログ執筆 チーム間、社外の勉強会や ブログ、ドキュメントの内容を ⾃チームの開発に取り⼊れる 個⼈でも習得した知識 をもとに⼿を動かし、 ⼿の内化する