"ゼロイチ スプリント"は、デザインスプリント(SPRINT)から派生した、ゼロから売れる可能性の高いプロダクト開発を行うためのプロセスです。
デザインスプリントのプロセスだけではく、「ジョブ理論」や「スタートアップ サイエンス」などのエッセンスを盛り込んで、3日で有力なビジネスモデルが創成できるように設計しました。
ゼロイチ スプリント→デザインスプリントの順にプロセスを踏むことで、より短期間で精度の高いビジネスモデルを練り上げることができます。
ゼロイチスプリントVersion 3.1導入の手引き
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2なぜ新規事業開発・新商品開発は難しいのでしょう?「中小企業白書2017」他より引用ビジネスアイデアが偶然成功する確率は、わずか1400万分の1新規事業の成功確率は、わずか5%確率的に考えれば確かに狭き門だが、「さすがに100回、1000回」もチャレンジは必要ないだろう」と誰もが楽観的に考える。しかし、これが主たる敗因である。
3では、どうすれば良いのかと言うと・・・新規事業の創出の成功確率を高めるためには、プロダクト(商品/サービス)開発を体系的で再現性のあるやり方で進めることです。「リーン顧客開発ー売れないリスクを最小限にする技術ー」より引用体系化された方法、再現性のあるやり方を誰もが身につけること。
4何を体系化するのか?顧客課題a顧客課題b顧客課題c顧客課題d顧客課題e顧客課題f顧客課題gプロダクトaプロダクトbプロダクトcプロダクトdプロダクトeプロダクトfプロダクトg×△◯××◯△プロダクトb’プロダクトc1’プロダクトf’プロダクトg’×△△×プロダクトC1”プロダクトf”××プロダクトc2’ ◯ プロダクトC2” ◯ プロダクトC2 ◉特にこの期間の決断を速く出す体系が重要
5方法その1:プロセス化・タスク化する属人化せず、再現性を高めるために全工程をプロセスとして平準化し、さらに1つ1つタスクに分解して進めやすくする必要がある。
6方法その2:マニュアル化するプロセス化・タスク化した手順を1つのドキュメントに集約すること。
方法その3:成果向上のコミュニティを運営する 7うまくいった方法・うまくいかなかった方法を情報共有し、同じ間違いや「あるある」を極力無くすようにすること
8ゼロから新規事業・新商品開発を創る際の6つの誤解優れたビジネスアイデアが優れたビジネスのもとになるニーズが見つかれば、ビジネスはうまくいく優れた技術や革新的技術があれば、優れたプロダクトができるビッグデータの分析ができれば、優れたビジネスアイデアが生まれるプロダクトインが理解できれば、優れたビジネスアイデアが見つかるマーケットアウトが理解できれば、優れたビジネスアイデアが見つかる××××××
9なぜ誤解が起きるのでしょうか?が、解明されていないためです。toBであれ、toCであれ、顧客が、なぜそのプロダクトを購入したのか?・・
10ビッグデータから革新的な新規事業は生まれるか?「この顧客はあの顧客と類似性が高い」「このプロダクトはあのプロダクトとパフォーマンス属性が似ている」「 この人とこの人は過去に同じ行動をとったことがある」「 顧客の68パーセントが商品Bより商品Aを好む」 というような分析結果は、分かります。しかしなぜ、その人が、その商品を買ったのか、どんな問題や悩みを解決したかったのか?という購入に至る決定的な理由まで分かりません(現在の技術では)。断言するが、データからイノベーティブなプロダクトは絶対生まれない。
11どうすればイノベーティブなプロダクトが創成できるか?答え:「ジョブ理論」から、「顧客が片付けるジョブ」を掘り起こし、さらに「無消費ジョブ」を見つける。「ジョブ理論」の定義人は、ある特定の商品/サービスを購入したくて購入するのではなく、それを生活の中に引き入れることで「進歩」したいと望む。「進歩」には、やりたいこと、やらなければいけないこと、片付けるべき仕事、本質的な欲望、表面的な願望など様々ある。このことを「顧客が片づけるべきジョブ」と呼ぶ。顧客はジョブを片づけるため、顧客は商品/サービスを「雇用」する、と解釈するのがジョブ理論の中核理論。クレイトン・クリステンセン氏朝いちで重要な会議を控えているビジネスパーソンは、どうしても出社せねばならない状況の中で、頭痛を素早く抑えるという願望を解決したい。そのために市販薬[A]を購入する。ジョブ定義文の例:商品の選択は顧客が「進歩」したいと望んだ末の「雇用」でしかない。
12「ジョブ理論」から新規事業開発・新商品開発を始めるある特定の人 は その特定状況の中 で ジョブ を解決したい。「顧客の状況」と「ジョブ」を推理する。朝いちで重要な会議を控えているビジネスパーソンは、どうしても出社せねばならない状況の中で、頭痛を早く抑えたいという願望を解決したい。ジョブ定義文の穴埋め例(風邪薬の例)ジョブ定義文
13ピボットの重要性「ピボット」とは?新規事業開発における「方向転換」や「路線変更」を表す用語。当初の事業戦略のため、大きな軌道修正をしたり、まったく別のアイデアに取り組んだりすること、またそうした経営判断そのものを「ピボット」と呼んでいます。顧客の状況とジョブが解明できたら、素早くピボットする(「IT用語辞典」より引用)ピポットをすることで、正しい顧客と潜在ニーズを掘り起こすことができる。ピボットをためらうことで、大きな機会損失につながることもあり得る。
14ニーズを掘り起こすのを妨げる最大の敗因は何か?開発中のプロダクト売れるか分からないので、上の承認が下りない企業都合・組織都合で開発が遅れること。勝因があるとするなら、これらの問題を突破し、今の数倍、開発のスピードをあげることアイデアや技術仕様がまとまらない(会議が進まない)××よく聞くあるある
15そのプロダクトが売れるかどうか、確実に知るには?開発の初期段階または開発途中で、顧客にインタビューをして反応を得て改善(ピボット)すること。顧客に直接訊くこと。【1】そもそもこちらが想定しているモヤモヤや課題を感じるか?【2】そのモヤモヤや課題に対してどんな価値が必要と感じるか?何が価値の決め手と感じるか?【3】当該プロダクトを使ったら、モヤモヤや課題を解決できそうか?【4】当該プロダクトの使いやすいか?利用しやすいか?もっと利用しやすい他社のものに心当たりは?【5】当該プロダクトでモヤモヤや課題を完全に解決できるとしたら、いくら払う価値があるか?
16プロトタイプをどう創るか?1. 顧客のモヤモヤ・悩みがあるかの検証 そもそもプロダクトの使い勝手・顧客価値以前に仮説としてプロダクト提供者が抱いている、「顧客の特定の状況下でのモヤモヤ・課題」を持っているかを明らかにするのがデザインスプリントの第一歩。2.どんな価値が必要かを検証顧客にとってのモヤモヤや悩みを解決する価値があるかを検証するには、「何に」価値があるかを具体的に見せてあげることが必要なので、これに適したプロトタイプを限られた時間で制作する。3.ソリューションが成立するかの検証 顧客にモヤモヤや課題があり、プロダクトに価値があることが検証できている場合に限り、具体的なユーザーインターフイェイスのプロトタイプを用いて使い勝手を検証できる。逆に顧客の課題、プロダクトに価値があるか検証できていない場合は、これをやっても全く意味がない。4.プロダクトの値ごろ感の検証最低でも1と2が検証できている場合に限り、はじめてプロダクトにいくら払うかを尋ねることができる。値段は具体的な価格を提示して、いくらまでなら払う価値があるか、どのような支払い方法が的を得ているかを訊く。作るプロトタイプの目的を見極めることが大事。
17一番大事なこと:10年、20年後も存在できるプロダクトをイメージするピーター・ティール曰く<イノベーションを生み出す7つのポイント>◆永続性この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか?◆隠れた真実他者が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?「ゼロ・トゥ・ワン -君はゼロから何を生み出せるか-(ピーター・ティールとブレイク・マスターズ著)」より引用・一部加筆 ここが一番大事!(仮説を見える化する)
18ゼロイチ スプリントとは?
19ゼロイチスプリントとは?ゼロイチスプリントは「どうしたら素早く確実に効率的に新事業開発・新商品開発が行えるか」をあらゆる確度で考えた末のフレーワークである。デザインスプリントを基盤にしてさまざまな企業で実際に実験を繰り返し開発された「3日で答えを出す売れる新商品開発法」である。再現性の難しい「ジョブ理論」を基に徹底的に顧客課題を掘り起こすことで可能になる。「ジョブ理論」の定義人は、ある特定の商品/サービスを購入したくて購入するのではなく、それを生活の中に引き入れることで「進歩」したいと望む。「進歩」には、やりたいこと、やらなければいけないこと、片付けるべき仕事、本質的な欲望、表面的な願望など様々ある。このことを「顧客が片づけるべきジョブ」と呼ぶ。顧客はジョブを片づけるため、顧客は商品/サービスを「雇用」する、と解釈するのがジョブ理論の中核理論。クレイトン・クリステンセン氏朝いちで重要な会議を控えているビジネスパーソンは、どうしても出社せねばならない状況の中で、頭痛を素早く抑えるという願望を解決したい。そのために市販薬[A]を購入する。
20デザインスプリントとゼロイチスプリントの違い新規事業開発・新商品開発ゼロイチスプリント事業改善・商品改善デザインスプリント目的とビジネス深度に応じて使い分ける。顧客ターゲットが絞りこまれていないMVPが定義されていない商品がすでに販売されているリーンキャンバス(事業計画)がない顧客インタビューをしたことがない何らかの理由で売れることが判明している顧客ターゲットが絞りこまれているMVPが定義されているリーンキャンバス(事業計画)がある顧客インタビューをしたことがある
ゼロイチスプリントの基本フェーズ 21ゼロイチスプリントの基本フェーズはデザインスプリントと同じ。ジョブ理論やスタートアップサイエンスのエッセンスをデザインスプリントの基本フェーズに従って実務レベルで作業していく。ここが一番大事!(仮説を見える化する)
フェーズ1 / 理解する 22顧客となる人物の感情的な起伏の大きいモヤモヤ・悩みを見える化します。「顧客」は誰か?・UBERの創業理由は、創業者の「目的地に確実に移動したい」だった。・Airbnbの創業理由は、創業者の「参加者を自宅に泊めてもてなしたい」だった。・アップルの創業理由は、創業者の「コンピューターは、もっと簡単な回路にできる」だった。・ソニーの創業理由は、創業者の「ラジオを修理して好きなだけ聴きたい」だった。創業時の顧客が創業者自身だった企業は、少なくない。
フェーズ1 / 理解する 23顧客となる人物の感情的な起伏の大きいモヤモヤ・悩みを見える化します。
フェーズ2 / 定義する 24ジョブを深掘り・細分化することで周辺情報を整理します。障害となっていること
フェーズ3 / 発散する 25ジョブから得た“モヤモヤ”をビジネスアイデアとして具体化させます。
フェーズ4 / 決定する 26アイデアを張り出して、最もイノベーショナルなアイデアに投票します。
フェーズ5 / 試作する 27アイデアを実現するモック(プロダクトの外観)を、最低限必要な分だけ作ります。
←インタビュアー←インタビュイー(インタビュー協力者)他は皆メモをとる人になるフェーズ6 / 検証する 28試作品にお客様にとって価値があるかどうかを1対1のインタビューによって明らかにします。同時にその場でメモを取り、次のアクションを決めます。
フェーズ6 / MVPを意識してキャンバスを描く 29スプリントキャンバスでビジネスモデル(プランA)を定義します。
30よくいただく質問
デザインスプリント/ゼロイチスプリントを業務で利用する際のポイントPJリーダーと進行役(SPRINTマスター)は別々の人物にすることタスクごとに必ず細かい時間制限を設けることメンバー全員集中して参加できる時間を確保すること(途中で抜けたりしない)最後に顧客にインタビューする前提でスケジュルを立てること(途中でやめない)2回以上回す計画を立てること(数回の実施がプロトタイプの精度を上げる)意思決定者を必ず入れること(または全権委任した代理人を立てること)34567231とはいえ、一度にすべてを網羅するのは難しい場合は、1つずつ実現化していっても良いでしょう。多彩なメンバーで構成すること(ダイバーシティ重視:同じ職種・同じ部署で固めない)1
よくいただく質問とご回答1進行役(SPRINTマスター)を除き、最適な人数は 5〜6名です。多くても最大7名にとどめてください。会議体の参加人数は、これ以上多くなると意見がまとまらなくなることが学術的に実証されています。実際、10人でデザインスプリントをしたことがありますが、なかなか意見はまとまらず時間がかかりました、もし参加者が8名以上になる場合は、2つ以上のグループ (例えば4名 X 2グループなど)に分けて行うようにしてください(進行役も同数必要です)。逆に最低実施人数は 3名です。極端に人数が少ないとアイデアの広がりが期待できません。このような場合は、部内・外、あるいは社外から参加希望者を募って5〜6人にして実施すると効果が高まります。参加者の人数は何人が適切ですか?32Q1A1
よくいただく質問とご回答2まず意思決定者を含めて、プロダクトや事業に関わるの主要メンバーが参加すべきです。もしもどうしても意思決定者が参加できない場合は、 同等の権限を譲渡した他のメンバーに代わりに参加してもらいます 。このことにより「その場で決定しない」リスクを防ぎます。意思決定者以外のメンバーは、 なるべく職種や役職の多様な人を揃えます 。お客様に入っていただくのも良いでしょう。これは多様なアイデアや知見を結集させるためです。もしもメンバーがエンジニアだけとか、デザイナーだけというように職種が偏る場合は、別の部署から応援を頼むんでください。この場合、当該プロダクトに関与しない同職種の人であれば、多少、多様性が出たとみなしてもよいでしょう。また予算があれば派遣会社などを利用しても効果は高いでしょう。どんな人が参加すべきですか?(参加メンバーの適切な属性)33Q2A3
デザイン思考との違いについてデザインスプリントには、デザイン思考が含まれています。デザイン思考は、もともとIDEO社のトム・ケリー氏が企業上層部にコンサルティングするための戦略的に考え出された思考法です。考え方が重要なので、具体的なタスクはガイドライン程度で再現性が薄いことが特徴です。つまり、具体的なタスクが明確にないと実際に効果が出にくい特徴があります。とはいえ、デザインスプリントはデザイン思考を参考にして考案されてるので、デザイン思考の「考え方」が惜しみなく投入されています。Google社の業務の中で自然に溶け込み、実際に日々行われいたタスクなので、他のメソッドと併用したり、加えたりしなくても、デザインスプリント単体でしかるべき効果を上げることができます。また、デザイン思考は全体を通して実践しないと意味がないのですが、デザインスプリントは、1部分のタスクだけを取り出しても日常業務の中で実行できることもデザイン思考との大きな違い(特徴)です。34
デザインスプリントがあれば、論理的思考法はいりませんか?フォーキャスト(論理的思考)いいえ。必要です。デザインスプリントでは、バックキャストとフォーキャストのバランスを 3:7から2:8くらいの割合で考えます。原因・理由が明確に特定できる場合バックキャスト(創造的思考)前提条件利用用途得意な命題例既存プロダクトの課題解決・直径100cmでゴム製ボールを作れ・売上1億円を達成せよ原因・理由が不明確・不確実かつ常に変動する場合新規事業開発、スタートアップ、社会問題解決・世界を幸せにするボールを作れ・イノベーションを起こせ(定義が曖昧なこと)代表的な思考法・考え方右脳型、ゼロベース思考、未来思考、クリエティブシンキング、デザイン思考、創造的思考法など明確な起点を持たない思考法左脳型、ロジカルシンキング、分析的思考MBA的思考法。その他過去を起点にした思考法。35
36開発プロセスモデル
他社で行われている開発事例1 37分析設計実装テスト分析設計実装テスト分析設計実装テスト分析設計実装テストアジャイル開発理解する 定義する検証する 発散する試作する 決定する企画又は要件定義理解する 定義する検証する 発散する試作する 決定する企画又は要件定義
他社で行われている開発事例2 38ここが大事!(2回以上やる)
39ここが大事!(もう1回プロトタイプを作り直す)ここが大事!(もう1回プロトタイプを作り直す)アジャイル開発に着手
40新規事業の蓋然性を読み合わせる
蓋然(がいぜん)性チェック以降の1.「新規事業」の定義2.ピーター・ティールの7つの質問3.課題ドリブン4.ビジネスアイディアの蓋然(がいぜん)性検証5.メタ原則I6.メタ原則Ⅱをチーム全員で読み合わせる。1つ1つコメントを細かく見ていくことが望ましいが、時間がない時はざっと読むだけでも潜在的に頭に残るので事業アイデアを考える時にフィルターになり効果的である。コーヒーを淹れる際にろ過をするように、イメージ上のフィルターとして位置づけて、ビジネスアイデアやプロダクトの原石の方向性を微修正したり、変化を検証したりするような使い方をすると良い。41
1.「新規事業」の定義いわゆる「起業」「新規事業開発」における4分類企業内新規開発(企業内起業)顧客は上司、依頼主主に考えることは、お題の正確な理解と社内の根回し、外部の応援養成、プロジェクトチームメイク。最大のボトルネック:上司や依頼主が「うん」と言わなければプロジェクトすらスタートすることができないこと(稟議を通す)。スモールビジネス顧客は一般消費者、または取引先企業の担当者主に考えることは、事業の継続性。故にポジショニングの明確化と磨き込みが最優先事項。最大のボトルネック:顧客に満足・新たな価値を提供できるものでなければ購入してもらえないこと・使ってもらえないこと。スタートアップ顧客は一般消費者、または取引先企業の担当者主に考えることは、新市場開拓・新市場創造。故に課題仮説(まだ一般に見つけられていない市場)の深堀と磨き込みが最優先事項。最大のボトルネック:顧客に満足・新たな価値を提供できるものでなければ購入してもらえないこと・使ってもらえないこと。独立・フリーランス顧客は取引先の担当者、発注先の担当者主に考えることは、ポジショニングの確立と複数取引先の平行維持、支払いサイトの調整。最大のボトルネック:取引先、元受会社の責任者が「うん」と言わなければ納品が完了しないこと。42
2.ピーター・ティールの7つの質問どんなビジネスも答えを出すべき、 ピーター・ティールの7つの質問1.エンジニアリング段階的な改善ではなく、ブレイクスルーとなる技術を開発できるだろうか?2.タイミングこのビジネスを始めるのに、今が最適なタイミングか?3.独占大きなシェアが取れるような小さな市場から初めているか?4.人材正しいチーム作りができているか?5.販売プロトタイプを作るだけでなく、それを届ける方法があるか?6.永続性この先10年、20年と生き残れるポジショニングができているか?7.隠れた真実他者が気づいていない、独自のチャンスを見つけているか?43
3.課題ドリブン★解決する課題ドリブンの質を高める(「スタートアップが避けるべき7つのアイディア」のふるいにかける)1. 誰が見ても最初から良いアイディアに見えないか?一見良さそうな安易なアイディアはすでに誰かが手がけていたり、代替えしている可能性がある。近侍サービスや検索して似たサービスが出てくる場合は、そのアイディアを続けるのはさせるべき。2. ニッチすぎないか?闇雲にニッチにするのでなく、現状ニッチでも、将来的に成長が見込める市場であるべき。3. 作りやすいものではないか?課題から生まれるものではなく、出来る技術で作れるものを作る、という発想は避けるべき。4. 根拠のない想像上の課題ではないか?クラウドファンディングでたまたま成功したプロダクトだったり、「なんとなく」というよな、人に論理的に説明できない説得力のないアイディアは避けるべき。5. 分析から生まれたアイディアではないか?スケールするストーリーや課題、起業家の想いがなく、市場を俯瞰し空いている部分を狙う、などのスタンスは市場環境が変化した時に適切にピボットできないので、空中分解する可能性が高い。「2番煎じ」は大企業や資本力のある企業に任せて置けば良い。6. 激しい競争に切り込むアイディアではないか?すでにパラダイムシフトが起こりつつある市場では、既存プレーヤーと新参者が熾烈な競争を初めている場合が多いので、 起業家として参入するのは避けるべき。7. 一言では言えないアイディアではないか?複雑なビジネスアイディア、抽象的なアイディアでは人を動かし、納得させることは到底できない。そのような場合、アイディアそのものが見当違いか、方向性や考え方が間違っているか、あるいはアイディアの磨き込みが足りないかどちかのどれかである。44
4.ビジネスアイディアの蓋然(がいぜん)性検証A. なぜ、今なのか?B. 市場の変化C. 進化が止まっている領域?法の規制、業界内のしがらみ、既存プレーヤーの市場独占、ユーザーが凡庸なサービス利用を余儀なくされている硬直化した領域を再定義するプロダクトを創造し、投入する。その市場を再定義できるか?始めようとしている事業の潜在能力を検証する。市場環境の流れを読むプロダクトを投入する市場の歴史的進歩や背景はどうなっているか?今後、その市場ではどのような方向に向かって行くか(客観的事実や数値)?他の業界で、似た課題に対するソリューションが可能になった最近の技術的トレンドは何?追い風に乗る(乗ろうと思って乗れるものでもないが、追い風が吹きそうな業界や分野、技術を選ぶことはできる)45
5.メタ原則Iスタートアップを前提とした時の一般企業との違い間違い1:詳細なビジネスプランを作るスタートアップに詳細なビジネスモデルはいらない。最初はあくまで仮説で、のちに大きく変わる可能性が高いので変更を前提に柔軟に考えておく必要があるため。詳細なプランを作ってしまうとそれを達成することが成果であるかのように錯覚してしまう恐れがある。正解はいいつも、プランの外にある。間違い2:正確なフィナンシャル・プロジェクションを用意するビジネスの前提条件が見えていない不確実な段階(シード期)で正確な資金計画を作ることは、無駄以外の何者でもない。間違い3:詳細な仕様書をもとに開発する「間違い2」と同じ理由で、言わずもがな、である。間違い4:万人に好かれるプロダクトを作る社内で立ち上げる事業にありがち。上司から文句を言われないし、自分も優等生に見えるので、正しいと錯覚しがちである、一番多い過ちである。「一部の人に熱狂的に好かれるプロダクト」を作り上げることがスタートアップの使命。46
5.メタ原則I間違い5:最初に想定したビジネスモデルの執着するオーナーの思い込みや独りよがり、自己中心的な満足からか慣れないと、いつまで経っても顧客が必要とするプロダクトに近づけない。スタートアップは、顧客の反応によってビジネスモデルが常に覆されることを前提に作っていく必要がある。最初のアイディアは、否定されて「なんぼ」と心得るべし。間違い6:競合を意識しすぎるビジネス環境を左右しかねない大手のプレイヤー、有名企業のサービスなどの動向を注視することは大事である。しかし注視し過ぎて競合の追随型になることは、最初から既存のサービスや大手のプレイヤー、有名企業に負けを認めているようなものだ。いくら競合を追いかけても競合に対して優位に立つことはできない。間違い7:差別化を意識し過ぎるスタートアップにとっての差別化は結論であって、目的ではない。強豪と差別化できるプロダクトを作ろうという発想は、顧客の声を大切にしない、売り手の勝手で一人よがりなプロダクトになってしまうことが多い。間違い8:Nice-to haveな機能を追加するPMFが達成いるかどうかは、「あったら嬉しい機能」の多さではなく、顧客の痛みが大きい課題に解決できている「Must-to-have」、つまり「無くてはならない」機能が実装されているかどうかで決まる。間違い9:ビジネスモデルができていないのに、グラフィックデザインやユーザビリティの細部にこだわるスタートアップ期では、デザインや操作性を詰めることは二の次で良い。それよりも顧客の反応を反映させることに注力すべき。多少デザインが悪い、あるいは操作性が悪くても、喜んで顧客に使ってもらえるプロダクトを作ることを念頭に置くべき。スタートアップ期のプロダクトの完成度は70%から80%で十分である。47
5.メタ原則I間違い10:高度なシステム、自動化を行うスタートアップ初期段階で、いきなりAI を組み込んだり、いきなり自動化プログラムを開発したりしない。他のもので代用して成果が出ることを確認してから開発を初めても遅くはない。むしろその方が正しい開発の進め方だ。間違い11:ビジネスモデルが出来上がる前に人を増やす10に関連するが開発に必要だからと言って、積極的に人を増やすのは、自殺行為である。リスクは最大限に低くすべきなのは、言わずもがな、である。間違い12:仕事の役割を厳密に設ける得意・不得意のみを基準にして、縦割りの役割分担を敢行すべきではない。ある程度の分野分けや主な担当決めは要るが、創業期のメンバーは、事業に関する全てを把握し、常に学び続けて価値観をバージョンアップさせていかなければ、事業の成長はありえないからだ。間違い13:受託開発やコンサルなどを必要以上に受けない運転資金を確保するための受託開発やコンサル業務をすることは、悪いことではない。しかし「ノン・リカーリング・レベニュー(本業以外の売り上げ)」としっかり認識し、中毒にならないように心掛けたい。長期化する前に、本業で売り上げを立てる厳しめの計画と腹積もりが必要である。間違い14:業界の専門家からのアドバイスに頼る資金到達やマーケティング戦略など、自分に不慣れな領域について、業界の専門家からの助言を得ることは悪いことではない。ただし、思考の全てを丸投げして、全てを委ねてしまうほど頼り切ってしまうのは行き過ぎであると肝に命じること。自分である程度勉強し、仮説を立てておき、最終判断と責任は自らが下すことを忘れてはいけない。48
6.メタ原則ⅡFake Jobをしない「緊急に対処しなければいけないが、重要ではない仕事」に時間を費やさない。「犬の道」にハマってはいけない。常に「正しい問題」「大きな石」の解決に取り組むことが重要である。スタートアップのファウンダーが専念すべきは、顧客が痛みを抱える課題の専門家になり、顧客に愛されるMVP、つまりMLP(Minimum Loved Product)の早期実現に専念数することだ。PMF及びMLP達成までは、顧客のが言語化できない深く潜在的な課題(インサイト)に気づき、それを言語化・構造化して真因を見つけ、解決できるプロダクトを早く作り上げることに90%以上の時間を割くべきだ。それ以外の仕事は優先順位を低く設定すべき。49
参考:PEST分析業態や業界の「兆し」を見つける細かい、小さな事象に着目する前に、社会や経済、業界や業態の全体像を掴む。10年後の社会で実現できていることは、現在にその「兆し」がきっとある。それを見つけられるか、その可能性を張れるかが大事。1. Politics市場の枠組み、規則性に影響するもの:法律、政治、条例など。2. Economyバリューチェーンに影響するもの:経済動向、所得や消費の動きなど。3. Society需要構造に影響するもの:人口の動態変化、文化・流行の推移・傾向など。4. Technology競争ステージに影響するもの:技術革新に進み方は?テックジャイアントの動向は?ぞれぞれの領域で情報を集め、近い将来、どう変化するか仮説を立てて最終的にその変化が自分のビジネスにどのような影響を及ぼすかを推論する。「Zoom out,them zoom in」3日くらいリサーチすると、どこにチャンスがあり、どこに地雷があるのか見えてくる。50
51ゼロイチ スプリント開発者
プロフィール東京藝術大学美術学部卒業後、テレビ朝日グループ、電通グループを経て独立。1998年:保険事業の新規ビジネスに参画。2000年:建築資材の流通に関する新規ビジネスに参画。2002年:IT分野の新規ビジネスに参画。2005年:食品分野の新規ビジネスに参画。2017年:デザインスプリントの事業化を開始し1年で顧客企業30社に成長。夏本 健司優れた新事業がたくさん立ち上がれば、社会や人はもっと良くなる。SPRINTマスターご質問やご提案活動は、常時お受けしております。お気軽にお問い合わせください。52https://goo.gl/GK3CfT
参考文献 53・デザインスプリント(リチャード・バンフィールド他)・SPRINT 最速仕事術(ジェイク・ナップ他) ジョブ理論(クレイトン M クリステンセン他)・「ジョブ理論」完全理解読本(津田真吾 +INDEE Japan)・起業の科学 スタートアップ・サイエンス(田所雅之)・アントレプレナーの教科書(スティーブン・G・ブランク)・スタトアップウェイ(エリック・リース) UPSTARTS(ブラッド・ストーン)・ジェフ・ベゾス 果てしなき野望(ブラッド・ストーン)・GAFA 四騎士が塗り替えた世界(スコット・ギャロウェイ)・ハーバード・ビジネス・レビュー「デザイン思考」を超えるデザイン思考(濱口秀司)・ハーバード・ビジネス・レビュー「Job to be Done: 顧客ニーズを見極めよ」(クレイトン M クリステンセン他)・ハーバード・ビジネス・レビュー「顧客が欲しいと思う30の『価値要素』」(エリック・アルムキスト他)・ハーバード・ビジネス・レビュー「ジョブ・マッピングでイノベーションを見出す」(アンソニー W アルウィック他)・ハーバード・ビジネス・レビュー「真の顧客ニーズを製品開発に結びつける方法』」(アンソニー W アルウィック他・ハーバード・ビジネス・レビュー「テクノロジーは戦略をどう変えるか」(マイケル・ポーター他)・イシューからはじめよ(安宅和人)・10 歳でもわかる問題解決の授業(苅野進)・0から1の発想術(大前研一)・0から1をつくる まだないビジネスモデルの描き方 2(佐々木 哲也、黒木 昭博)・ゼロイチ - トヨタとソフトバンクで鍛えた0から1を生み出す思考法 -(林要)・リーンスタートアップ成長戦略(アッシュ・マウリャ)・実践リーンスタートアップ(アッシュ・マウリャ)・リーン顧客開発 -「売れないリスク」を極少化する技術 -(シンディ・アルバレス)・リーン UX-「アジャイルなチームによるプロダクト開発 -(ジェフ・ゴーセルフ他)・リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす(エリック・リース)・ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか(ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ)・ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書(アレックス・オスターワルダー)当メソッドの実践回数2016年6月より今日まで、のべ40回以上の企業研修や実践ワークショップにより、改善を繰り返してバージョンアップを重ねてきた、実践メソッドです(2019年3月現在)