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TLS 証明書管理って何?

TLS 証明書管理って何?

本スライドは のの会 (Notes Knows Community) 第40回 で使用しました。

HCL Domino 12.0 の新機能である「TLS 証明書管理」に関連して TLS 証明書とは何かとか、その管理とはいったいどういうことを指すのかについても簡単ですがまとめています。

これから HCL Domino をV12以降のバージョンにアップグレードする方や、Domino サーバーの TLS 証明書を新たに作成したい方を対象としています。

V12 の証明書管理機能について設定手順などもっと詳しく知りたい方は、HCL 公式の動画をご覧になることをお勧めします。

証明書マネージャによる証明書の自動発行

証明書マネージャによる証明書の手動発行

証明書マネージャのアップデート

Haruyuki Nakano

June 10, 2022
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Transcript

  1. 本スライドの目的 • HCL Domino V12 を使い始める管理者が、新規または既存の SSL/TLS 証明書を Domino でどのように管理できるのかのヒントを提供します

    • 証明書ストア(CertStore.nsf)の詳細な設定方法および CertMgr タスクの操作 方法には触れていません
  2. TLS 証明書の管理 • TLS 証明書には有効期限があり、使い続けるには更新が必要 • 発行/更新の都度、次の管理の手間が定期的に発生 1. 証明書発行/更新の費用面 2.

    有効期限の管理 3. CSR 等の作成 4. 証明書発行機関(CA)とのやりとり 5. サーバー等への証明書の設置 証明書のタイプ DV (ドメイン認証) OV (企業認証) EV (Extended Validation) 認証レベル ドメイン所有確認のみ 組織の法的実在性確認 組織の活動実態確認 発行までの時間(例) 最短10分 最短10分 1週間~2週間 価格(例) 年間1,100円(税込) 年間8,800円(税込) 年間16,500円(税込) 暗号強度はどれも同じ
  3. TLS 証明書の管理 • TLS 証明書には有効期限があり、使い続けるには更新が必要 • 発行/更新の都度、次の管理の手間が定期的に発生 1. 証明書発行/更新の費用面 2.

    有効期限の管理 3. CSR 等の作成 4. 証明書発行機関(CA)とのやりとり 5. サーバー等への証明書の設置 証明書の数だけ発生
  4. 管理の手間を軽減する方法(1) ~証明書の数を減らす~ • マルチドメイン 異なるドメイン名を含む FQDN を証明書の SAN (Subject Alternative

    Name) の領域に登録することが可能な証明書 www.acme.com site.acme.jp meeting.acme2022.jp • ワイルドカード ドメイン名(下線部)が同じサーバーで共用可能な証明書 www.acme.com *.acme.com smtp.acme.com ftp.acme.com
  5. 管理の手間を軽減する方法(2) ~Certbot~ • TLS 証明書を発行するツール(CA 側の対応必要) • ACME プロトコル •

    定期的な自動実行で証明書更新を自動化 Certbot利用で 2~5が不要になる 可能性あります!
  6. 管理の手間を軽減する方法(3) ~Let’s Encrypt~ • Internet Security Research Group (ISRG) が提供する認証局

    • 有効期間90日の証明書を無償で発行 • 証明書タイプはDVのみ • マルチドメイン/ワイルドカードにも対応 • Certbot 対応(HCL Domino V12 含む) Let’s Encrypt利用で 1~5が不要になる 可能性あります!
  7. ACME (Automated Certificate Management Environment) • X.509証明書のドメイン検証、インストール、および管理を自 動化するための標準プロトコル (IETF RFC

    8555) • 証明書の自動取得/自動更新のためのプロトコル ACME プロトコルに対応した認証局は Let’s Encrypt 以外に ZeroSSL 等あります
  8. チャレンジの特徴 HTTP-01 • CA は HTTP で Web サー バーへアクセスして検証

    • FQDN 証明書のみ DNS-01 • CA はホスト名を管理する DNS へアクセスして検証 • ワイルドカード証明書を取得 可能 • 自動化にはDNS プロバイダか らの自動アップデート可能な API 提供が必要
  9. 証明書のタイプ 価格は表の下へ行くほど高額 組織の実在性確認が DV は不要だが OV, EV は必要 Let’s Encrypt

    は DV のみサポート 略称 法的実体の確認 DV Domain Varidation なし OV Organization Validation あり EV Extend Validation あり(厳密)
  10. OpenSSL + KYRTool • OpenSSL • 鍵作成、CSR発行、証明書の内容確認のためのツール • 別途インストール必要 •

    KYRTool • キーリングファイルの作成や各種証明書の格納のためのツール • HCL Domino V11 以降はプログラムディレクトリに存在 • どちらもコマンド操作が前提 • 証明書をファイルで扱うため一括管理しづらい
  11. 証明書の操作 コマンド OpenSSL + KYRTool V11 以前 GUI CertStore.nsf +

    CertMgr コマンド OpenSSL + KYRTool V12 以降 and / or
  12. 移行できない証明書 • キーリングファイルや .pem や .p12 のファイルを要求するアプリ ケーションを使用している • HCL

    Sametime • PROTON タスク(AppDev Pack) ※ただし、Domino 12.0.1 では、証明書ストアからの証明書のエクス ポート機能あり。証明書ストアでTLS証明書の作成時にエクスポート 可能なキーを作成しておけば、後からエクスポートして使用すること が可能
  13. ACME「チャレンジ」の使い分け • HTTP-01 チャレンジ 証明書のホスト名を持つ Domino サーバーが既存 社外から HTTP で

    Domino サーバーへアクセス可能 • DNS-01 チャレンジ 存在しない Domino サーバーの証明書を取得したい CA から Domino サーバーへアクセス不可 ワイルドカード証明書を取得したい
  14. V12 証明書管理のメリット • 証明書を「TLS 証明書」文書に保管する • 証明書の配布が容易(同一 Domino ドメイン内で複製可能) •

    証明書更新時に HTTP タスクの再起動が不要になる • 証明書一覧があり、ホスト名や期限の順に並び替え可能 • 認証局を Let’s Encrypt へ切り替える • 証明書の発行/更新にかかる費用がかからない • ワイルドカード証明書、マルチドメイン証明書の利用も可能 • 証明書の期限管理が不要 • 秘密鍵や CSR 作成のためのコマンド操作が不要 • 認証局とのやり取りの自動化
  15. V12 証明書管理機能まとめ • TLS 証明書を文書内で保管、一覧表示可能 • Let’s Encrypt を標準サポート(自動化) •

    証明書ごとに自動 or 手動を選択可能 • キーリングファイルや .pem ファイル等をインポート可能 • 証明書ストアは同一 Domino ドメイン内で複製可能 • HTTP タスクは証明書更新後の再起動が不要