「エンジニアリング組織論への招待」はビジネス書としても技術書としても評価された。これら二つは別のことなのだろうか。それをも同じものなのだろうか。
この講演では技術者体験DXと企業のデジタル化のDXの2つを橋渡ししていく。
「エンジニアリング組織論への招待」の骨子である、不確実性を恐れる人間の本能を乗り越えて、それらに向き合える組織を作ることによって生産的なチームができる。
そして、ソフトウェアを作るとは、「認識に齟齬がないほど明晰な言語に書き下すこと」であれば、これは情報の非対称性を減らすというコミュニケーションそのものだろう。
このコミュニケーションのコスト構造をそのまま、システムの構造に当て込んでしまうというのを「コンウェイの法則」と呼ばれている。
組織構造の問題が、システムへと転移して、コントローラビリティを喪失すること。これが技術的負債の真実であるなら、これはありふれた経済現象である。
にもかかわらず、この技術的負債現象が問題になる理由は何か。
それは、エンジニアと非エンジニアに情報の非対称性があり、それであるがゆえに
非機能要件のリストに過ぎない、コントローラビリティのためのアクションをとることができない。この非対称性こそが技術的負債と呼び合う現象を引き起こすトリガーである。
つまり、これは、非エンジニアとエンジニアの非対称性の問題なのだ。
実際に、開発組織は徐々にエンジニアと非エンジニアの距離が近くなるように進化していく傾向がある。しかし、非対称性の大きさがハレーションを引き起こすので、行き来しながらも非対称性が減った組織文化が生まれる。
これこそが、高いDX = 開発者体験と企業のデジタル化を導くことになる。
つまり、これらは二つのDXは同じものである。