エンジニアリング組織論への招待:第1章(プレゼン)

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February 09, 2019

 エンジニアリング組織論への招待:第1章(プレゼン)

書籍執筆時にアウトラインを決めるために作成したプレゼンテーション。
第1章の分です。

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hirokidaichi

February 09, 2019
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  1. 7.

    プロジェクトにおける不確実性コーン エンジニアリングとは何か? 時間 終了見込み時期の幅 4倍 2倍 1.5倍 1.25倍 1/1.25 1/1.5

    1/2 1/4 プロジェクト前半は終了時期に 大きな不確実性がある 後半になると不確実性が 減っている 社 長 部 長 課 長 社 員 曖昧な構想 曖昧な方策 具体的な方策 具体的な行動 不 確 実 性
  2. 8.

    組織構造における不確実性の流れ エンジニアリングとは何か? 曖昧な構想 曖昧な方策 具体的な方策 具体的な行動 会社という組織構造においては、上位に行けばいく ほど、曖昧な状態のものを指示したり、提示する必 要が出てきます。逆に現場に行くほど、指示や行動 が具体的になってきます。

    会社という組織を通じて、何かを実現するために、 より曖昧な状態から具体的な状態に変化させるとい うことを行なっています。 より曖昧な指示が可能な組織ほど、具体化能力の 高い組織だということになります。 そのことを「権限が委譲されている」組織だというこ とができます。 企業組織とは、つまるところ不確実なものを確実な ものに変化させる処理装置だと言えます。 社長 部長 課長 社員
  3. 14.

    情報を生み出すには? エンジニアリングとは何か? 不確実性を下げていく工程 ソフトウェアを作る際、ある程度はっきりとした要求があ る方が、簡単に作ることができます。それは、当たり前 で、要求に不確実性が低いからです。つまるところそれ は、不確実性の削減を「要求を作る人」に委ねているか らです。 確かな要求があれば、不確実性の高い現実から一時 的に目を背けることができます。ところが、現実のソフト

    ウェア開発を取り巻く状況は不確実性に溢れていま す。 より高い情報処理能力を持つ、エンジニアになるには、 あるいはエンジニア組織を作るには「いかにして不確 実性を下げるか」という思考様式を取り入れる必要が あります。 それを中学高校などで行なっていた学力テストとの差 を示す形で紹介します。
  4. 18.

    仕事と学力テストの3つの違いと思考様式:論理的思考の盲点 仕事と学力テストの違い 仕事は複数人で行う  立場の違う複数人によって、問題解決を目指して 仕事を行います。その結果、コミュニケーションコス トが発生します。  それだけでなく、どんな人でも自分の立場を攻撃 されたと感じれば、防御的になったり、怒りを覚えた りします。  また、様々な人間の認知能力の限界や、自分で

    ない人の情報を全て手に入れることが不可能であ るという現実があります。このことから、事実を正し く認識することが難しくなります。  そのため、仕事での問題解決を行うために必要な 論理的思考力は、制限されてしまいます。  どんなに自分が正論だと思っていることも、その 人自身の世界の中で認識できる範囲の中で正論に 過ぎず、正解ではないということです。 仕事は複数人で行います。そのため、人間関係や 他人との共同作業をしていく上で、感情的になるこ とがままあります。これを乗り越えて、問題の正しく 認知する必要があります。
  5. 19.

    仕事と学力テストの3つの違いと思考様式:経験主義と仮説思考 仕事と学力テストの違い 答えを出すのに必要な情報を手に入れる 問題を解くの必要な情報が、目の前にないのであ れば、それを入手しなければ問題は解決できませ ん。 情報を入手するために、行動を起こして問題解決を 行う考え方を経験主義と言います。 また、限定された情報であっても、その情報から全 体像を想定し、それを確かめることで少ない情報か

    ら問題解決に向かう思考様式を仮説思考と言いま す。 この2つがなければ、行動が止まってしまったり、答 えに近づくことが難しくなってしまいます。 仕事では、その場にある情報だけでなく必要な情報 を得るために行動することができます。それによっ て問題を明晰化する必要があります。
  6. 26.

    非論理的に考えないこと = 論理的に考えること 論理的思考の盲点 論理的思考 「論理的に考える」ことに注目すると見えなくなりが ちですが、論理的に考えるには、 「非論理的に考えてしまう」瞬間を知ることが重要で す。 考える

    論理的に 考える 論理的に 考える 非論理的 に考える エンジニアは論理的に考えることが得意だと一般 には思われています。それは、論理的な不整合が あるとプログラムが動作しないから、論理的な思考 を進めることが得意だという類推です。 これは一面的には正しいです。一方で、論理的思 考能力は、多くの人が持ち得ており、巷のロジカル シンキング講座も、どのように論理的に考えるかと いうことばかりが注目されています。 ですが、「自分や人はいつ非論理的になるのか」を 知らない人は、論理的思考力が限定されてしまう 環境でワークすることができません。
  7. 28.

    ベーコンの4つのイドラ 論理的思考の盲点 伝統や権威を無批判に受け入れて、誤った考えで あっても信じてしまうことから生じる偏見。 例:偉い人の言っていることは正しいだろうと思うこ と。 個々を取り巻く環境から、外の世界を知らずに一般 的なことだと決めつけて理解することから生じる偏 見。 例:自分がそうだから、他の人もそうだと思う

    例:自分の家では目玉焼きにマヨネーズだからみん なそうだ。   人間が本来持っている性質から生じる錯覚や偏見。 例:遠くにあるものが小さく見える 例:暗い場所ではものがはっきりと見えない。 言葉の不適切な使用から生じる誤解や偏見。噂話が あったときに、ありえないことを本当のことだと思い込 むことで生じる。 例:噂話やデマを信じてしまう。 種族のイドラ 洞窟のイドラ 市場のイドラ 劇場のイドラ
  8. 29.

    認知の歪み 論理的思考の盲点 ゼロイチ思考 一般化のしすぎ すべき思考 物事をゼロかイチ(すべて)かで 考えてしまう。物事にはグラデー ションがあり、バランスが重要。し かし、人は物事を白か黒かで判 断してしまう。

    実際には、二、三回あっただけの 出来事に対して、「常に」「いつ も」というように問題を一般化して 捉えて決めつけてしまう。 ルールなど関わることに対して、 「〜すべき」とばかり考えてしまう 認知のバイアス。本来はあなた 自身が「〜したい」と思ったことを すればいい。 自己関連付け 選択的注目 レッテル貼り どんな出来事も「悪いのは自分」 だと直接関係のないことまで責任 を感じて、自分を責めてしまう。 一度、そうだと思うと、そのような 情報だけが目に入ってしまい、自 説を強化してしまう。 実際には、そういった情報ばかり 探してしまっている。 あいつは「営業」だから、とかあい つは「エンジニア」だからというよ うにレッテルを貼って、物事を判 断する。
  9. 30.

    扁桃体をコントロールする 論理的思考の盲点 恐怖・悲しみ・危機 怒り 人間の脳は、なにか自分や仲間が脅かされる であるとか、ぞんざいに扱われたと感じると、恐 怖と感情を司る扁桃体が発火します。これに よって、人間は自分自身を守るために、「怒り」 を発生させ、相手に対する攻撃と防御を無意識 に起こそうとします。

    動物の脳である扁桃体は、危機や恐怖が先 立っています。それが「悲しみ」であれば原初 的な感情なのですが、知的能力を司る脳が防 衛・退避を起こそうとすると怒りに変わります。 怒っている人はよく喋るのは、知的な能力を 使っているからです。
  10. 32.

    認知的不協和 論理的思考の盲点 タバコを吸う人の認知 タバコを嫌いな人の認知 タバコを吸う人は、タバコが体に悪いということ は認知しています。しかし、自分自身がタバコを 吸うという行動をとっていて、矛盾してしまいま す。その整合性が取れない状態から、「タバコは 体に悪くない」「他の原因で死ぬ人の方が多い」 など別の情報を選択的にと取り入れ、不整合を

    避けます。 逆にタバコを嫌いな人は、タバコの匂いがしただ けで健康に悪いと思ったり、必要以上にタバコを 吸う人を責め立てたりします。このように自分の 感情や行動の矛盾(不協和)を解決するため に、認知自体を歪めることを認知的不協和の理 論と言います。
  11. 33.

    問題解決より、問題認知の方が難しい 論理的思考の盲点 問題解決 お膳立ての整った形での問題解決は、簡単にで きるはずです。問題が難しいと感じるのは、それ が他人のことは決して完全には知り得ないとい う事実から生まれます。それを無視して、狭い認 知範囲で問題を解決できると思うのは思い上が りです。 問題認知

    難しいのは、問題を正しく認知することです。。人 は自分が間違っているかもしれないことを無意 識に避けてしまい、正しい情報を認知できませ ん。自分は間違っているかもしれないが、それに 早く気付くほうがいいと思考のパターンを変える 必要があります。
  12. 36.

    わからないのであれば、「調べてみる」しかない 経験主義と仮説思考 理性主義 近世以前のヨーロッパの哲学的態度。知識は、 人間の理性の中に存在するという考え方。何か の法則や原則から出発して、演繹的に世の中を 捉える考え方。論理的思考の盲点として説明し たように、前提が間違っていたのであれば、結 論も間違ってしまう。 経験主義

    経験主義は、近世のイギリスで花開いた哲学的 態度。知識の源泉を「経験」に求める。実験を 行ったり、行動を行うことで、知識を積み上げて いく。近代科学的な思考態度は、ここから生まれ た。エンジニアにとっては、スクラムの3つの価値 として、「経験主義」があげられている
  13. 37.

    わからないことを行動を行って徐々に突き止めていく 経験主義と仮説思考 理性主義的な問題解決 経験主義的な問題解決 わからなかったの で、もう一度考えて みよう! わからなかったの で、次に何をしたら わかるのか考えよ

    う。 理性主義的な問題解決では、 「わからなかった」という事実から、次の行動へ の一手が浮かび上がってきません。 なので、もう一度同じことを繰り返して、何かミス がなかったかと考えるしかなく、袋小路に陥って しまいます。 一方で、経験主義的な問題解決では、 「わからなかった」あるいは「正解ではなかった」 ということが重大なヒントになり、次の行動を生 み出します。
  14. 38.

    「答え」ではなく「答えに近づくための一手」をとる 「答え」を考える 「次の一手」を考える もし、答えに至るための情報が全て揃っていて、 問題に取り組んでいるのであれば、答えを求め て考えることに意味があります。 しかし、学力テストと違って、答えに至るために 必要な情報が目の前にないことの方が多いの です。 にもかかわらず答えを探すと、大抵もんもんと考

    え込むだけで、問題は解決できません。 それに対して、全ての情報が揃っていないの だから、より問題をはっきりさせるためにはど のような「次の一手」を打てばいいのか考える のであれば、思い悩むことが少なくなります。 なぜなら、今わからないということ自体が、次 の一手への重大なヒントだからです。 一発で正解に至る必要はない。 正解に近づいていけばよい。 経験主義と仮説思考
  15. 39.

    不確実性をコントロールする夏休みの宿題理論 経験主義と仮説思考 不確実性の高い宿題 不確実性の低い宿題 自由研究や苦手な教科の宿題のように、どのく らいでおわるか読みづらいものは、不確実性の 高い宿題と言えます。時間が読みづらいもの は、やってみるとどのくらいで終わるのか見えて 来ます。実際に行動を取ることで、スケジュール の精度があがるのです。

    逆に、不確実性の低い宿題。たとえば、得意教 科のドリルなどを先に手がける場合、不確実性 の高い宿題だけが手元に残ります。量は少なく なっているのに、不確実性は高いままなので、 いつまでに終わるのか読みにくく、夏休みを楽し む時間が減ってしまいます。
  16. 44.

    仮説思考とは何か? 演繹法 帰納法 仮説法 仮説を元に、事例から結論を導き出す思 考。「論理的に」というときに、多くは演繹 法のことを指している。 帰納法は、ケースと結果の組み合わせの リストから、このような仮説があるのでは ないかと推論する思考法。確証性の原理

    や、自然の斉一性原理によって支えられ る。 わずかな痕跡から、それを説明可能とす る大胆な思考展開・モデル化を行い、それ を検証するための行動につなげる思考様 式。 経験主義と仮説思考 ルール 事象 結論 人間は皆死ぬ。 ソクラテスは人間であ る。 ソクラテスは死ぬ。 事象 結論 このカラスは黒い。 あのカラスも黒い。 すべてのカラスは黒 い。 事象 事象 結論 二つの大陸の海岸線 は似ている 大陸は移動したので はないか 2つの海岸線が1つで ある証拠を探そう 仮説
  17. 45.

    PDCAサイクル W・エドワーズ・デミング (1900-1990) PDCAサイクルは別名、デミングホ イールとも呼ばれる PDCAサイクル/デミングホイール  仮説をたて、それを検証し、問題点に対して対 応するというサイクル。  広く流通している語であるが、多くの場合正しく PDCAを回すことができていない。

    経験主義と仮説思考 現在ある情報から、改善のための仮説を立 て行動計画を決める。 PLAN:仮説を立て、行動計画を決める DO:実行する CHECK:検証と反省を行う それを実行する。 仮説が正しいのか検証し、反省を行う。 ACTION:検証結果に基づき行動する 検証結果から、次の仮説構築・行動を行う。
  18. 46.

    データ駆動な意思決定の誤解 経験主義と仮説思考 データから決定的に導かれる データから仮説を立てる データ駆動な意思決定について、多く誤解があ る。十分なデータが存在すればそこから、次にと るべき正しい行動がわかるとする考え方だ。実 際は、常にデータは不完全である。 なので、数少ないデータから大胆に顧客のイン サイトや仮説を推論し、それが正しいのかという

    不確実性を検証するための行動をとるというの がデータによる意思決定である。 データ 次にとるべき正しい行動 データ データ データ データ データ データ分析 データ データ データ データ データ データ 大胆なモデル化と 検証手段 それを確かめるための行動
  19. 48.

    遅延した意思決定:オプションとは後出しジャンケンできるための価格 経験主義と仮説思考 遅延しない意思決定 具体的な数字で見てみると、 1000万円かけて、 売上が1800万となるプロジェクトにおいて、期待 値は、うまくいった場合の利益 800万とうまくいか なかった場合の損を含めて考えると、 -100万の期

    待値となります。 遅延した意思決定 オプションを100万で購入しうまくいくかいかない かがわかった場合では、損金が 100万円。利益 は700万円となり、期待値は +300万円となりま す。うまくオプションを作ることで安全にチャレン ジできるようになります。 50% 50% 投資1000万円 売上1800万円 売上0万円 +800万円 -1000万円 期待値 = 800*0.5 -1000 * 0.5 = -100万円 50% オプション 100万円 1800万円 0万円 +700万円 -100万円 期待値 = 700*0.5 -100 * 0.5 = 300万円 50% 追加投資 1000万円
  20. 49.

    遅延した意思決定:リアルオプション戦略とLEAN STARTUP 経験主義と仮説思考 LEAN STARTUP LEAN STARTUPでは、新規事業において、小 さな単位での仮説検証の重要性が説かれてい ます。これは不確実性が高いほどに仮説検証 の予算を多くつけても割りにあうというリアルオ

    プションの理論に基づいています。 不確実性が高いプロジェクトには、 仮説が検証できるまで大きな投資をしない という判断を行 います。 最小限の仮説検証が可能な、 MVP( Minimum Valuable Product)を作り、それを市場投入し、仮説が検証されれ ば、追加で大きな投資をします。検証されなければ、新た な仮説をつくり、再度検証を行います。 仮説の検証の仕方は、ペーパープロトタイプでもユー ザーヒアリングでもテストマーケティングでもよく、重要なこ とは、意思決定を遅延させるための「権利」を獲得するア イデアを作ることです。 仮説思考と不確実性の取り扱いは、現代で必須スキルの 1つになります。
  21. 50.

    問題解決より、問題の明晰化の方が難しい 経験主義と仮説思考 問題解決 必要十分な情報が揃っている状態で問題を解 決することはそれほど難しいことではありませ ん。現在であれば、コンピュータを使って適切な い意思決定を行うことができるでしょう。しかし、 社会で取り組む問題の多くは、情報が不完全な 状態から始まります。 問題の明晰化

    そのため、問題解決よりも先に「どのような問題 なのか」をはっきりとさせる経験主義の考え方と 仮説思考が重要になってきます。そして、そのた めの行動を適切にとるという動的な態度というの がプラグマティズムと呼ばれています。これは、 アメリカ社会の基礎的な哲学の一つとなっていま す。
  22. 52.

    システムという言葉の意味 全体論とシステム思考 要素還元的思考(要素に注目) 全体を要素に分解して、設計主義的に問題を記述 するやり方です。ロジカルシンキングにおけるロジッ クツリーなどはそれにあたります。 全体 部分 部分 全体論的思考(関係性に注目)

    全体論的思考は、関係性に注目します。要素だけ を見てもわからない性質たとえば、害獣を駆除した ら、有益な植物もいなくなったなど。 システム論はこのような関係性の学問です。
  23. 54.

    ビジネス施策とシステム 全体論とシステム思考 施策A : 50万円の原資でキャンペーンを打った。 すると500万円の売上増になった。 施策B : 50万円の原資でキャンペーンを打った。 すると10%の継続利用ユーザーが増加した

    施策C : 50万円の原資で不満の多い機能を改善し た。すると1%退会率が減少した。 とあるアプリについての施策 5万人ユーザー、退会率もともと 5%、1ユーザあた り売上100円のとき どの施策がもっとも資産価値を増大させたか。
  24. 55.

    ビジネス施策とシステム:コストと売り上げの次元 全体論とシステム思考 施策A : 50万円の原資でキャンペーンを打った。 すると500万円の売上増になった。 施策B : 50万円の原資でキャンペーンを打った。 すると10%の継続利用ユーザーが増加した

    施策C : 50万円の原資で不満の多い機能を改善し た。すると1%退会率が減少した。 売上500万円 - コスト50万円 = 利益450万円 売上(5万人*10%*100円) - コスト50万円 = 売上(50万円) - コスト50万円 = 利益0円 売上(5万人*1%*100円) - コスト50万円 = 売上(5万円) - コスト(50万円) = 利益▲45万円
  25. 56.

    ビジネス施策とシステム 全体論とシステム思考 資産 = ストック = バランスシート 利益 = フロー

    = P/L ビジネスモデル 微分 微分 積分 積分 ビジネスは「資産に関する関数」 ビジネスを記述する関係性は、資産に関する時間 的なシステムになる。利益というのは、単位時間の 資産の差分なので、資産から見ると微分にあたる。 顧客資産を将来的に産み出しうる利益の総額とす ると、上記の式で概算できる。 g(t) g’(t) g’’(t) 顧客資産を概算する式 総ライフタイムバリュー = ユーザー数 * ARPU * (1/退会率)
  26. 57.

    ビジネス施策とシステム 全体論とシステム思考 資産 = ストック = バランスシート 利益 = フロー

    = P/L ビジネスモデル 微分 微分 積分 積分 ビジネスは「資産に関する関数」 g(t) g’(t) g’’(t) ビジネスのフィードバックサイクル 資産 利益 ビジネス モデル
  27. 60.

    ビジネス施策とシステム:顧客資産の次元 全体論とシステム思考 施策A : 50万円の原資でキャンペーンを打った。 すると500万円の売上増になった。 施策B : 50万円の原資でキャンペーンを打った。 すると10%の継続利用ユーザーが増加した

    施策C : 50万円の原資で不満の多い機能を改善し た。すると1%退会率が減少した。 施策後の価値 - 施策前の価値 = 0円 施策後の価値 - 施策前の価値 = 5.5万人 * 100円 * 1/0.05 - 1億円 = 1,000万円 施策後の価値 - 施策前の価値 = 5万人 * 100円 * 1/0.04 - 1億円 = 2,500万円
  28. 61.

    役割によって「システム」の一部しか認識できなくなる。 全体論とシステム思考 利益の次元で見た良い施策 売上利益の次元で、日々ビジネスを捉えている営 業マンにとっては、施策 Aの価値が高いように見え ている。 資産の次元で見た良い施策 資産の次元で、サービスに価値提供をしている CS

    部門、デザイン、開発のメンバーにとっては、施策 C の価値が高いように見えている。 施策A : 50万円の原資でキャンペーンを打っ た。すると500万円の売上増になった。 施策C : 50万円の原資で不満の多い機能を改 善した。すると1%退会率が減少した。
  29. 63.

    問題解決より、問題発見の方が難しい 全体論とシステム思考 問題解決 与えられた問題を与えられた範囲で解決できる のであれば、それは比較的簡単なことです。し かし、世の中は複雑な相互関係を持っていま す。たとえば、害獣が現れたのであれば駆除す ればよいという解決は簡単です。しかし、それに よって益獣までも根絶してしまう可能性がありま す。

    問題の発見 それに対して、人々や社会の複雑な相互関係の 中の関連性に注目し、その関連性の中で重要な 一手を打つというのが、ビジネスでは必要な考え になってきます。それがシステム思考という考え 方です。非連続的な成長を目指す ITでは、線形 的な世界観で物事を捉えては本質を見失ってし まいます。
  30. 65.

    3つの思考は人間の不完全さを受け入れる思考 人間の不完全さ 論理的思考の盲点 経験主義と仮説思考 システム思考 3つの思考は、ただ思索にふけることによって問題の解決 にはつながらないということを教えてくれました。人間は不 完全であるので、常に理性的に考えることができるわけで はありません。感情的になってしまい、冷静な判断をする ことができないのです。

    また、「わからないもの」「不確実なもの」を無意識に避け てしまいます。間違いや不安に直面したくないからです。 正解ではなく次の行動を探す、経験主義と仮説思考が重 要になります。 多くの問題は誰かがわるいのではなく、関係性の中で作 られています。システム思考は、人ではなく関係性に原因 を求めます。