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キャリアを時間・空間軸で考える / Thinking about your career fr...
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Kentaro Kuribayashi
August 23, 2022
Technology
15
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キャリアを時間・空間軸で考える / Thinking about your career from both time and space viewpoints
type エンジニア転職フェア ONLINE(2022年9月3日)
https://type.jp/s/fair/online/
Kentaro Kuribayashi
August 23, 2022
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Transcript
1 キャリアを時間・空間軸で考える いちソフトウェアエンジニアの事例から 栗林 健太郎 / GMOペパボ株式会社 2022年9月3日 type エンジニア転職フェア
ONLINE
取締役CTO / ペパボ研究所々長 1976年12月12日生 2 自己紹介 栗林 健太郎 Kentaro Kuribayashi
人々からは主に「あんちぽ」と呼ばれています。 • GMOペパボ株式会社取締役CTO • 日本CTO協会理事 • https://kentarokuribayashi.com/
3 アジェンダ 1. 私のキャリア 2. キャリアを時空間で考える 1. キャリアの時間軸 2. キャリアの空間軸
3. キャリアを作る 4. おわりに
4 今後のキャリアのために何をどう考えていくとよいのかについてお話しします 「将来はSEとして活躍したい」「マネジメントの道に進んで活躍したい」など今後の キャリアについて漠然と考えてはいるものの実際に何をすればいいのかわからず 行動に移せない方も多いのではないでしょうか。本セミナーでは、インターネット 上での表現活動を支援する様々なサービスを提供するGMOペパボのCTO栗林 氏に、自身の経験談を基に自らのキャリアについて深く考え、 学びを継続してい くことの重要性についてお話いただきます。 –
概要文より 本トークの概要
5 - これまで「キャリア」に対して戦略的に取り組んできましたか? - YesでもNoでも、それがうまくいかないから悩んでいるのではないですか? - そもそも、考え方の根本から見直す必要もあるかもしれません。本トークがそ のためのヒントになると幸いです。 キャリアをちゃんと考えられていますか? 本トークのテーマ
6 1. 私のキャリア
7 1. 私のキャリア - 1976年12月12日生まれ、鹿児島県奄美市出身 - 1999年、東京都立大学法学部政治学科卒業(22歳) - 2002年、奄美市役所入所(25歳) -
2008年、株式会社はてな入社(31歳) - 2012年、GMOペパボ株式会社入社(35歳) - 2015年、執行役員CTO就任(38歳) - 2017年、取締役CTO就任(40歳) - 2020年、北陸先端科学技術大学院大学入学(43歳) これまでのキャリアサマリー ← エンジニアに転身 ← マネージャーに転身 ← 社会人学生を開始
8 1. 私のキャリア - 2002年、奄美市役所入所(25歳) - 2008年、株式会社はてな入社(31歳) この時の状況: - 趣味のプログラミングで、ライブラリやWebサービスを作って遊んでいた。
- 向いてるかどうかはともかく、仕事になるといいなあとは思っていた。 - たまたまタイミングが合ったので、その日の内に履歴書を書いて申し込んだ。 田舎の市役所職員から、都会の先端的IT企業のWebエンジニアへの転身
9 1. 私のキャリア - 2012年、GMOペパボ株式会社入社(35歳) - 2015年、執行役員CTO就任(38歳) この時の状況: - サービス開発をする上で、もっと幅広く貢献したいという思いで転職した。
- 自分の力だけでなく、組織的なこともうまくやる必要があると実感した。 - 前任者の退職によりマネージャー職を突然引き継ぐことになった。 ソフトウェアエンジニアからマネジメント職への転身
10 1. 私のキャリア - 2017年、取締役CTO就任(40歳) - 2020年、北陸先端科学技術大学院大学入学(43歳) この時の状況: - 2016年に、ペパボ研究所という企業内研究所を立ち上げた。
- メンバーのレベル向上に対して、自分がボトルネックになりかねなかった。 - 自分も研究者として一定の成果を達成する必要性に迫られた。 役職を勤めつつ、社会人大学院生として研究者(見習い)も兼任
11 マネジメントへ転身した経緯 1. 私のキャリア これまでのキャリアの話 突然のエンジニアリングマネージャー転身。イチ技術者が GMOペパボ・取締役CTOに就くまでに学んだこと https://engineer-lab.findy-code.io/inevitable -changes-in-career キャリアキーノート
https://speakerdeck.com/kentaro/career-ke ynote
12 1. 私のキャリア - GMOペパボ株式会社をもっと大きくしていきたい - 公共的な活動を通じても、世の中に貢献していきたい そのためにやるべきこと: - 魅力的なビジョンを掲げ、社内外の人々を巻き込んでいく力を身につける。
- 興味関心を幅広く持ち、少しでも世の中がよくなるためにポジティブに考える。 - 上記を実現できるよう、毎日少しずつでも行動を積み重ね続ける。 この後のキャリアへの展望
13 2. キャリアを時空間で考える
14 - 「キャリアなど考えたことない」 - 「ただ好きでエンジニアリングしてきただけ」 - 「幸運は用意された心のみに宿る」(※) - 「必要に応じてやってたらこうなった」 全部、実際に自分が口にしたことがある内容。実際この通りだったし、これはこれで普
通に正論だと思う。 → しかし、せっかくなのでもうちょっと踏み込んで、戦略的に考えてみたい。 「正論」は置いといて、キャリアをもうちょっとだけ戦略的に考えてみよう 2. キャリアを時空間で考える ※ 幸運は用意された心のみに宿る - Wikipedia
15 GMOペパボでは、能力・スキルを以下の3つの力の総合として認識・評価する 2. キャリアを時空間で考える 出典:GMOペパボ会社紹介資料p.28 https://speakerdeck.com/pepabo_recruit/company-profile-for-career?slide=28
16 2. キャリアを時空間で考える - 元々は、エンジニアを評価する上で「『技術力』とは何か?」を言語化したもの - 今では、職種を問わず全社的に用いられる指標になっている 能力・スキルの3軸に、キャリアを考える上でのヒント=時空間が含まれる 影響を広げる力 キャリアの空間軸に
関わる項目 先を見通す力 キャリアの時間軸に 関わる項目 作り上げる力 個人の能力そのも のに関わる項目
17 2.1. キャリアの時間軸
18 みなさんは、ご自分の人生の時間軸をどのように捉えていますか? 「同じ年でも、アーリーリタイアを目指す人と年齢に関わらず一生働き続けたい人では、考え方 やタイミングが違って当然です。私のように、働けるならいくつになっても働きたいと思う人 であれば、投資回収が見込める40代で大学院に入るのは悪くない選択のはず。 でもアーリーリタイアを目指す人にとっては、経済合理性もありませんし論理的な選択とは言 えないでしょう。だからこそ、人生の時間軸の捉え方が異なる人を一緒くたに論じるのは危険 だと思うようになりました」 – 「GMOペパボ・栗林健太郎が語る“逆算型キャリアデザイン”の落とし穴」より
2.1. キャリアの時間軸
19 2.1. キャリアの時間軸 - 人によって「時間軸」をどう捉えているかは異なる - 現職でどう成長できるか考えているひと - 直近の転職候補について考えているひと -
将来のビジョンについて考えているひと - これらのどれも、もちろんOK! - ただし本トークでは「キャリア」について扱っているので、人生スパンの話 とはいえ、直近の活動に役立たないわけでもない(と期待したい)。 「キャリア」をどのような時間軸で捉えていますか?
20 2.1. キャリアの時間軸 - Webエンジニアは30年前には存在しなかった職業 - 最初のWebページは1990年に公開(※) - Webエンジニアが職業になるのは数年後から -
いままさに、我々の将来において普通になる職業が胚胎しているのかも? - 最新情報へのキャッチアップももちろん重要 - さらには、時間の経過に耐えるファンダメンタルなスキルが大事 ところで、「ファンダメンタルなスキル」って何?英語?数学?プログラミング? 「キャリア」をどのような時間軸で捉えていますか? ※ World Wide Web - Wikipedia
21 2.1. キャリアの時間軸 「変わりにくい」=変化に時間がかかる性質の強化に時間をかけて取り組むべし 出典:服部 泰宏. 採用学(新潮選書) (Japanese Edition) (p.138).
Kindle 版.
22 エンジニアリングにおいても時間軸が重要 2.1. キャリアの時間軸 本書が共有する重要な見識に、ソフトウェアエンジニアリン グとは「時間で積分したプログラミング」とみなせる、という ものがある。 … 時間と変化 コードがその存続期間にわたりどのように適応していかな
ければならないか スケールと発展 進化するにつれて組織がどのように適応していかなければ ならないか トレードオフとコスト 「時間と変化」、「スケールと発展」から得られる教訓に基づ き、組織がどのように決定を行うべきか 出典:O'Reilly Japan - Googleのソフトウェアエンジニアリング p.x
23 自社サービス会社のリアル=フルサイクル開発者 2.1. キャリアの時間軸 「ビジネスアイディアからお客さんに届くまで」を1 つのサイクルとみて、それを全て一人の技術者でも やれるようにしよう、というのがフルサイクル開発 者のイメージです。 … ビジネスの一番最初から運用して観測するという
フィードバックサイクルを回せるのが「フルサイクル」 のイメージ(...)。 出典:事業をエンジニアリングする技術者たち ― フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場 p.61
24 2.1. キャリアの時間軸 フルサイクル=開発サイクル+事業ライフサイクルを通じてエンジニアリングする 出典:Netflixにおけるフルサイクル開発者―開発したものが運用する - CARTA TECH BLOG https://techblog.cartaholdings.co.jp/entry/2019/02/04/171325
を元に筆者が改変 時間の経過 立ち上げ期 成長期 成熟期 この全体がフルサイクル
25 2.1. キャリアの時間軸 (再掲)フルサイクルエンジニアリングには「変わりにくい」スキルが必要になる 出典:服部 泰宏. 採用学(新潮選書) (Japanese Edition) (p.138).
Kindle 版. こっちのスキルが 必要な比重が大 きくなる
26 2.1. キャリアの時間軸 - 世の中、時間のかかることばかり - 自分の人生におけるキャリア - ソフトウェアエンジニアリング -
「変わりにくい」スキルの向上 - ならば、時間を味方につけ、息の長いことに継続的に取り組むのがよし - 「変わりにくい」スキルの向上にフォーカスしよう 時間の経過に向き合い、味方につけること
27 2.2. キャリアの空間軸
28 2.2. キャリアの空間軸 - 空間軸という時にイメージするポイントは2つある - 自分から見える景色 - 自分と他者との関係 -
影響力を及ぼしたい範囲を、自己視点・他者視点の両面から考える - 両者は緊密に結びついている 「キャリア」をどのような空間軸で捉えていますか?
29 自分から見える景色としての視点・視座・視野をそれぞれ個別にイメージする 2.2. キャリアの空間軸 出典:リーダーであるための視野・視座・視点 - Tech Inside Drecom https://tech.drecom.co.jp/viewpoint-of-being-leader/
を元に筆者が改変 視座が高い 視野が広い 視点が鋭い
30 見晴らしのいい場所(Vantage Point)に立つべし。高さが同じでも視野が変わる 2.2. キャリアの空間軸 低い山の頂上 高い山の中腹 360度見渡せ るよ! 見える範囲が
限られるよ
31 見晴らしのいい場所(Vantage Point)とは? 2.2. キャリアの空間軸 - 必ずしも、高いポジションにつくべしとい うことではない(ついてもいいけど) - 視野がサイクルのどこか一点の範囲に止
まるのか、それともサイクル全体を自分 の視野とするのかという違い あなたは、山の頂上にいるつもりなのか? それとも、山の中腹にいるつもりなのか? それは高さそのものの問題ではない。 出典:Netflixにおけるフルサイクル開発者―開発したものが運用する - CARTA TECH BLOG https://techblog.cartaholdings.co.jp/entry/2019/02/04/171325
32 誰もが頂上に立てるし、立つべきである 2.2. キャリアの空間軸 - リーダーシップは、日常生活におけるさ まざまな経験に宿る - 頂上に立つ経験は、飲み会の幹事をする ことでだってできる(↓)
出典:なんで全員にリーダーシップを求めるの? - Chikirinの日記 https://chikirin.hatenablog.com/entry/20110927 一回でも忘年会の幹事をやれば、店の選び方につ いて後からどうでもいい意見を言ってみたり、参加 可否を問うメールを放置して返事をしなかったり、 たいした用もないのに遅れてきたり、「オレは酒が 飲めないから安くしろ」と言ってみたりすることが、 どれくらい慎むべき行為かすぐに理解できます。
33 2.2. キャリアの空間軸 - メンバーひとりひとりの立場からすれば、自分ひとりのこと - 「自分ひとりの小さな要求をかなえるぐらい、大したことないはず」 - リーダーからすれば、メンバーひとりひとりの立場の総合 -
「ひとつずつは小さくても集まると大きいし、メンバーが増えれば調整コストが飛 躍的に高まる」 自分の立場は脇に置いといて、まずは何が目的なのかにフォーカスすること。 リーダーシップとは、目的の実現にフォーカスする態度
34 サービスの提供価値=目的とは、他者=ユーザとのやり取りによって決定する この業界では、ユーザファーストで行動するとかユーザ価値を提供するとか、そういうことが よくいわれます。では、なぜこんなにもユーザがどうのといわれるのか? その根源は、我々がサービス企業であるからということにつきます。我々の提供しているサー ビスは、そのどれもがひとに頼まれて作っているものではありません。我々が、世の中に対し て「こういうのがあれば便利じゃないか?楽しいんじゃないか?」と思ってやっていることで す。 つまり、すごくざっくりいうと、頼まれてもないのに勝手にやっている。我々の商売は、使われ なければ1円にもならない。なぜなら、勝手にやってるから。つまり、ユーザに対して価値を提
供して初めて我々の活動は意味があるし、また、お給金もそこから出るわけです。 – 社内文書「ユーザファーストの根源」(拙著)より 2.2. キャリアの空間軸
自分たち 35 2.2. キャリアの空間軸 自分たちだけで決まることは何もない。自己の空間の外延を他者へ広げること プロダクト 技術選定 他者たち ユーザ エコシステム、市場
両者の相互作用によって何が適切かが決まる。 この部分だけで 独立して正しいこ とはあり得ない
36 2.2. キャリアの空間軸 - 何事も他者との相互関係で決まり、変化し続ける。正しいことなどない - 目的を実現する落とし所(これも空間的比喩)を都度見出し続けること リーダーシップを発揮して、自分から見える範囲と他者との関係を広げ続けよう 他者との関係 (3)他者と価値を共
創し続けること リーダーシップ (2)目的の実現に フォーカスして、 視野・視座・視点 (1)見晴らしの良い 場所から、
37 3. キャリアを作る
38 まずはキャリアキーノートを書いて、これまでの自分に通底する考えを探ろう 2.3. キャリアを作る 出典:キャリアキーノート p.8 https://speakerdeck.com/kentaro/career-keynote?slide=8
39 能力・動機・価値観の組み合わせでキャリア選択上の譲れない軸が決まる 2.3. キャリアを作る 価値観 動機 能力 出典:エドガー・シャイン『キャリア・アンカー―自分のほんとうの価値を発見しよう』(白桃書房、2003年) キャリアキーノートから見出された譲れない軸=強みの元
40 - 「強み」とは、以下の掛け合わせである - 好き・得意なこと - 参入障壁が高いこと - 社会的価値のあること -
一番簡単に強みを作る方法は、面白いと思える範囲を広げること - 視座を高め、視野を広げ、たくさんの視点を持つこと - 「好き・得意なこと」がもしなくても、「やり続けていても苦にならないこと」も強 みになるかも キャリアキーノートから見出した自分の軸を、強みに変えていく 2.3. キャリアを作る
41 2.3. キャリアを作る (再々掲)マジで重要なので、さらに3回目で登場してもらいました。 出典:服部 泰宏. 採用学(新潮選書) (Japanese Edition) (p.138).
Kindle 版. とにかく時間がか かるからお早め に! - 好き・得意なこと - 参入障壁が高いこと - 社会的価値のあること
42 変化に対応するためには、学んだことを捨てる=アンラーニングする必要もある 「今のままでは、自分の存在が組織の成長を妨げるような状況になることを危惧していまし た。エンジニアは、常に学び続けることを宿命付けられた存在だと感じている人は少なくあり ません。しかしある程度の経験を重ねてくると、キャリアの半ばで学ぶのを止めてしまう人が 一定数いるのも確か。 もちろんそういう人がいても構わないとは思います。ですが、そうした人物が、古びて使い物 にならない過去の成功体験や価値観を振りかざして、組織の成長を止めてしまうことは不幸 でしかありません。だから未来ある組織の阻害要因にならないため、私が率先してアンラーニ ングすべきだと考えたわけです」
– 「「古きは潔く捨てよ」“アンラーニング”がベテランエンジニアの価値を左右する」より 2.3. キャリアを作る
43 アンラーニングは年長者のみの問題ではない 2.3. キャリアを作る - スキルを身につける=バイアスにまみれ るということでもある - バイアスを制御し、思考力を改善する 出典:思考力改善ドリル
- 株式会社 勁草書房 pp3-4 スキーマとは、物事を理解して適切に行動するため の知識の構造や認識の枠組みのことを言う。 … スキーマの存在はとてもありがたいということが分 かる。ところがその反面で、スキーマは、人の思考を 縛り、ものの見方を制限してしまう働きもする。
44 4. おわりに
45 - これからの「キャリア」に対して、戦略的に取り組んでいけそうですか? - キャリアの時間軸・空間軸について、イメージできましたか? - 今日から具体的に動けるアクションを決められますか? キャリアをちゃんと考えられそうですか? 4. おわりに
Thank You!! 46 ご静聴ありがとうございました!