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17_1019 人と接触するロボットのための安全な力制御技術

Ryo Kikuuwe
October 19, 2017

17_1019 人と接触するロボットのための安全な力制御技術

九州大学・科学技術振興機構(JST)共催,新技術説明会,2017年10月19日(木).

Ryo Kikuuwe

October 19, 2017
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Transcript

  1. 1 人と接触するロボットのための 人と接触するロボットのための 安全な力制御技術 安全な力制御技術 http://home.hiroshima-u.ac.jp/kikuuwe/ http://www.youtube.com/kikuuwe/ 菊 植 亮

    き く   う え りょう 2017年9月30日まで:九州大学 大学院工学研究院 准教授 2017年10月1日から:広島大学 大学院工学研究科 教授
  2. 3 インピーダンス制御(広義) インピーダンス制御(広義)  指定の「目標インピーダンス」(慣性/粘性(/剛性),重さ /粘っこさ(/硬さ))をもった「仮想物体」を想定.  ロボットの手先に外力が加わったときの応答(=動き)を,そ の「仮想物体」の応答と一致させる. 

    ロボットの手先を押し引きすると,あたかもその重さ/粘っこ さ(/硬さ)の物体を触っているかのような感覚が得られる.  接触力の目標値を指定することもできる.(「狭義の力制 御」の機能も実現できる.) 外力 運動 目標接触力 外力
  3. 4 外 界 外 界 ロボットの 位置 接触力 位置 指令

    位置 制御器 位置 制御器 トルク 指令 仮想物体 仮想物体 外力 + + + アドミッタンス制御 アドミッタンス制御  インピーダンス制御(広義)の 一種  別名:「位置制御ベース・イン ピーダンス制御」・「仮想モデル 追従制御」など  力センサが必要 f Mv Bv  目標インピーダンスを持つ「仮想物体」と,「位置 制御器」から成る  ロボが仮想物体に追従できれば,ロボの見かけの インピーダンスが「目標インピーダンス」に近くなる
  4. 5 アドミッタンス制御:利点 アドミッタンス制御:利点 Moog Simodont Dental Trainer 力制御スピニング加工機 [Arai, 2006,

    ICRA] ウィンドウ搭載支援ロボット [トヨタ自動車・村山ら] リハビリテーション [Moog, HapticMaster]  「力学的に透明でない」ロボットでも力制御が可能!  = モーターの力がそのまま手先に伝わらないロボット  関節に減速機を持つもの,リンク慣性が大きいものなど 外 界 外 界 ロボットの 位置 接触力 位置 指令 位置 制御器 位置 制御器 トルク 指令 仮想物体 仮想物体 外力 + + +
  5. 6 アドミッタンス制御の危険性:その1 アドミッタンス制御の危険性:その1  力センサへの外力のみに反応. 力センサ外での外力には反応し ない. (位置制御器が位置を保持)  力センサ外で物体や人に接触

    すると,破損や事故の可能性 外 界 外 界 ロボットの 位置 接触力 位置 指令 位置 制御器 位置 制御器 トルク 指令 仮想物体 仮想物体 外力 + + +
  6. 7 発生トルクに制限をかけても危ない 発生トルクに制限をかけても危ない  仮想物体位置が外力に反応 しない ⇒ 外力が取り除かれると,ロ ボットが仮想物体位置に戻ろ うとする!

     ロボットを抑えて力センサに力 を加えると,仮想物体が予期 せぬ動きをしてしまうことも 外 界 外 界 ロボットの 位置 接触力 位置 指令 位置 制御器 位置 制御器 トルク 指令 仮想物体 仮想物体 外力 + + +
  7. 8 アドミッタンス制御の危険性:その アドミッタンス制御の危険性:その2 2  硬い環境に接触したときに振動 (不安定化)する.  トルク制限をかけられないので, 振動の大きさも制限できない.

     指定インピーダンス(粘性・慣 性)を大きくすると振動は抑制 できるが,動きが鈍重になる.  産業用ロボットにも実装できるというアドミッタンス制 御の利点を残しながら,トルク制限をかける手法が 必要!!
  8. 10 提案手法の制御則(数学的表現) 提案手法の制御則(数学的表現)  不連続関数(多価関数)を含んだ連立微分方程 式(微分代数包含式)として表現される 外 界 外 界

    ロボットの 位置 接触力 指令 位置 位置 制御器 位置 制御器 トルク 指令 仮想物体 仮想物体 外力 + + + - 微分代数包含式を用いた 制御系設計:菊植のオン リーワン技術!
  9. 13 実装:力センサ外接触に対する応答 実装:力センサ外接触に対する応答 従来手法(旧) 提案手法(新)  リンクに外力 旧:ロボットが仮想物体から 乖離.その後,戻るので危険 新:仮想物体はロボットに追

    従  リンクを押さえて力セン サに外力 旧:仮想物体が遠くへ飛んで いく.そのあとロボットが追従 してしまって危険 新:仮想物体はロボットととも に留まる.
  10. 15 新技術の特徴・従来技術との比較 新技術の特徴・従来技術との比較  不連続性を含む連立微分方程式として制御則を構築する というアプローチは,世界的にもオンリーワン技術  「透明でない」ロボットの力制御において,トルクに制限かけ る本質安全を実現 

    従来のアドミッタンス制御は  力センサ部でしか接触しない  トルク飽和しない という前提での利用に限られていた.その前提を除去する ことができる.  不安定化したときの危険性も小さくなる.
  11. 16 FAQ1 FAQ1 質問:  他の制御則でも同様の応答特性を実現可能か? 回答:  可能かもしれないが,おそらく複雑な条件分岐を含 んだ制御則が必要になる.条件が切り替わるときの

    速度,加速度,トルクの連続性を保つためには注意 深いプログラミングが必要.複雑な条件分岐はプロ グラムのバグや信頼性の低下につながるので望ま しくない.
  12. 18 想定される用途 想定される用途  直感的なロボットティーチング  ティーチングペンダントで数値で指定するのではなく, ロボットを直接手でつかんで動かして動きを教示  人と作業スペースを共有する産業用ロボット

     作業時にロボットと人間が接触しても安全  人間と協調作業するロボット  重量物の位置決め/組み立て作業など  人間の動作を支援するロボット/メカトロニクス機器  脚,腰,腕などのリハビリや,パワーアシストなど
  13. 19 実用化に向けた課題 実用化に向けた課題  純粋に技術的な課題はないはず.しかし・・・  ほとんどの産業用ロボットは,メーカーの長年のノウ ハウが詰め込まれた専用位置制御器(関節角度制 御器)で制御される. 

    本技術の実装では位置制御器自体を改変する必 要があるため,若干,敷居が高いかもしれない.  そこをなんとかクリアしていただければ,簡単に実装 可能です.(本技術に限らず,さまざまな力制御技 術も実装可能になります!!)
  14. 20 企業様への期待 企業様への期待  まずは実装して試してみてください!  できるだけ制御周期の短い,トルク指令型のコントローラ が望ましい.  必要ならばお手伝いします.

     具体的な適用先の候補やアイデアをお持ちであれ ば,ぜひお知らせください.  新たな研究テーマや制御則改良のヒントにもなります.  適用先に合わせたカスタマイズも可能です.  座標系の設定,多次元化など,関節トルクセンサへの 対応など