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22_0905 可逆駆動性の低い歯車減速機の運動方程式表現

22_0905 可逆駆動性の低い歯車減速機の運動方程式表現

第40回日本ロボット学会学術講演会における発表資料.
内容の詳細は下記をご参照ください.
https://doi.org/10.36227/techrxiv.18583775

キーワード:バックドライバビリティ,backdrivability,摩擦,運動方程式,微分代数包含式,微分包含式,ギアボックス

Mechanism and Machine Theory に掲載されています.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0094114X22003627

Ryo Kikuuwe

July 17, 2022
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Transcript

  1. 1 可逆駆動性の低い歯車減速機の 可逆駆動性の低い歯車減速機の 運動方程式表現 運動方程式表現 An Equation-of-Motion Representation of An

    Equation-of-Motion Representation of Gear Transmissions with Gear Transmissions with Low Backdrivability Low Backdrivability 広島大学 先進理工系科学研究科 菊植 亮 https://home.hiroshima-u.ac.jp/kikuuwe/ https://www.youtube.com/user/kikuuwe/ Ryo Kikuuwe
  2. 3 本論文の内容 本論文の内容  歯車減速機の新しい運動方程式表現を提案  微分代数包含式(Differential Algebraic Inclusion)としての表現 

    v: 速度(出力軸)  m, M: 入力/出力側慣性(出力軸換算)  fu , fv : 入力/出力トルク(出力軸換算)  ¸: 内力×摩擦係数 ( が摩擦力の大きさ)  °u , °v : 新たな係数 ⇒ 伝達効率や可逆駆動性などを決定  この表現の離散時間表現(=シミュレーションの ためのアルゴリズム)と多次元版の表現も提案.  可逆駆動性の低い産業用ロボットのシミュレー ション,安定性解析などへの応用が期待できる.
  3. 6 微分代数包含式( 微分代数包含式(DAI DAI)表現 )表現  「表」の動特性は v を更新,「裏」の動特性は ¸

    を決定.  係数 °u および °v が摩擦特性を決定.  摩擦が無いときには .⇒ ¸ もゼロになる. ・・・「表」の動特性 ・・・「裏」の動特性  v: 速度(出力軸換算)  m, M: 入力/出力側慣性 (出力軸換算)  fu , fv : 入力/出力トルク(出力軸換算)  ¸: 内力×摩擦係数 ( が摩擦力の大きさ)  °u , °v : 新たな係数  減速比 · は式中に現れない. (慣性,トルク,速度はすべて出力軸換算だから)
  4. 7 静力学:順効率と逆効率 静力学:順効率と逆効率 不可逆駆動 & 可順駆動 可逆駆動 & 不可順駆動 不可逆駆動

    & 不可順駆動  °u と°v で順逆可駆動 性が決まる.  可駆動となる入出力 トルクの比率の範囲 も決まる. 静止摩擦 準静的な順駆動 準静的な逆駆動 入力軸トルク 出力軸トルク 静止摩擦状態の成立条件 運動方程式  ´f =順効率,´b =逆効率  これらは°u と°v できまる.
  5. 8  可順駆動かつ可逆駆動のときは .  のとき,摩擦力が存在しないまたは2つ存在することがある.  存在しない=無限大の加速度で速度がゼロにジャンプ.  2つ存在=物理的にどういう状況か不明.

    (未解決問題!)      ⇒一方の値は不自然なので無視できるかもしれない. 動力学:微分包含式( 動力学:微分包含式(DI DI)表現 )表現  ¸ を消去して一つの式に統合 摩擦力が, 入出力トルクの関数として 陽に出てくる
  6. 10 シミュレーション: シミュレーション:1 1自由度系 自由度系  慣性で環境に衝突してめり込み.  可逆駆動性が低いと,モーター発生 力より大きな接触力が持続.

    赤矢印:モーター力 青矢印:接触力 モーター力より大きい 接触力が持続 モーター力がゼロでも 大きい接触力が持続 当たった直後にのみ 接触力が大きくなる 不可逆駆動 摩擦が小さい ギリギリ可逆駆動
  7. 11 多自由度系 多自由度系  関節に減速機を持つ剛体リンク系(多関節ロボ) ロータ慣性 ベクトル  機構の慣性行列によって,複数の軸の摩擦トルクが互いに 即時的に影響.(摩擦力どうしが代数的に拘束される)

    ⇒ 摩擦力の計算は関節ごとに独立して行えない. ⇒ シミュレーションには収束計算が必要 機構の慣性 行列 モータートルク 減速機出力軸側慣性 のベクトル 手先外力 遠心・コリオリ・重力
  8. 12 シミュレーション: シミュレーション:2 2自由度系 自由度系  アームが弾性壁を押し付け,弾性壁が押し返し,その後, アームが能動的に手先を左へ引く,という動作パターン.           

    に固定. 第1関節が不可逆駆動 第2関節が不可逆駆動 不可逆駆動 摩擦が小さい 摩擦が中くらい 赤矢印:モーター力 青矢印:接触力
  9. 13 まとめ まとめ  歯車減速機の新しい運動方程式表現を示した.  「非対称性係数」 と,順・逆可駆動性およ び順・逆伝達効率の関係を示した. 

    後退オイラー法によって,シミュレーションのため の離散時間表現を導いた.  剛体多リンク機構への拡張を示した.  可逆駆動性の低い産業用ロボットのシミュレーショ ン,安定性解析などへの応用が期待できる.  本論文の詳細版は techRxiv,本スライドは Speaker Deck で公開中です.
  10. 15 静力学:可逆駆動性と可順駆動性 静力学:可逆駆動性と可順駆動性 1 -1 1 -1 ここは無視できる.(運動方程式が{°u , °v

    } の同時符号反転に対して不変だから.) ほとんどの歯車減速機はここ. 不可逆駆動(non-backdrivable). fu=0のとき,いかなるfv でも不動. 不可順駆動(non-forward-drivable). fv=0のとき,いかなるfu でも不動. 静止摩擦状態の成立条件 運動方程式 係数 係数 :入力トルク :出力トルク
  11. 16 見かけの慣性 見かけの慣性  順駆動時と逆駆動時で見かけの慣性が異なる,という 見方ができる.  過去の論文に同様の表現がある.  ただしこの考え方だと,

     摩擦力が式に含まれなくなる.  静止摩擦状態を扱えない. 順駆動時 逆駆動時  [Yeh & Wu, 2009; Eqs. (18) and (19)]  [Matsuki et al, 2019; Section II.A]  [Sim & Ramos, 2021; Eqs. (5) and (6)]  [Mablekos-Alexiou et al., 2021; Eq. (20)]  [Wang & Kim; Eqs. (5) and (6)]
  12. 17 多自由度系:離散時間表現 多自由度系:離散時間表現  後退オイラー法によって, 時間積分のアルゴリズム が得られる.  ただし,収束計算が必 要な関数が出現.

     解の存在の十分条件は これ.これが満たされな い場合の対処・挙動は 不明!  全ての関節が順・逆可駆動(        )でも, 上記の条件は保証されない.(なぜ?⇒未解決問題!)