八百屋がプロダクトマネジメント？ 食材を届ける、DXを届ける 食材流通の現場から考えるプロダクトマネジメント

もともと飲食店向けの八百屋をしていたベジクルでは、飲食店と卸をつなぐ食材流通プラットフォーム「ラクシーレ」を開発。古い慣習と泥臭い現場に、どうデジタルを溶け込ませるか？ 価格変動・品質ばらつき・FAX文化という“非定型”の世界で、PMがどう価値を定義し、開発を前進させたのかを現場のリアルとともに共有します。

河口 康平
ベジクル株式会社
プロダクト戦略室シニアディレクター

Transcript

1. 八百屋がプロダクトマネジメント？ 
 食材を届ける、 DXを届ける
 食材流通の現場から考えるプロダクトマネジメント 
 1 河口康平
2. 河口康平
 所属：ベジクル株式会社プロダクト戦略室シニアディレクター 
 
 🍎経歴：
 • 新卒で検索システムのベンチャーにて営業・ PM
 • その後創業初期の atama plusにて約7年間15→200→100人の フェーズを経験。 BizDev、PdM、スクラムマスターなど役割を変え ながらプロダクト組織作りに従事 
 • 2025年、料理好きがこうじて食の世界へ 
 
 🍎現在：
 • ベジクル株式会社の唯一のプロダクトマネージャー 
 • 受発注プロダクト、基幹システムなどプロダクト全体を統括する。 
 2 自己紹介

3. 3 本日のお気持ち・・・ 
 「食材流通の世界」って一番アナログかも？ 
 とにかく業界を応援してほしい！
4. 1. なんで”八百屋”がプロダクトづくりしているの？ 
 2. 食材流通のリアル（飲食店編） 
 3. 食材流通のリアル（卸業者編） 
 4. アナログな業界における PMの学び3選
 5. 本日のまとめ 
 4 アウトライン 

5. 5 なんで”八百屋”がプロダクトづくりしているの？
6. 6 非チェーン飲食店向け 
 青果流通事業 
 食材流通事業者向け BPaaS
 ベジクルのビジネス 
 主力事業 新規事業
7. 7 非チェーン飲食店向け 
 青果流通事業 
 食材流通事業者向け BPaaS
 • 飲食店向け八百屋業
 • 毎朝都内約2,000店舗へ数万点 の野菜を配送
 • 夜に受注処理
 →夜中ピッキング
 →朝5時にはトラック出発
 →10：00までに各飲食店へ配送
 ベジクルのビジネス 
 主力事業 新規事業
8. 8 非チェーン飲食店向け 
 青果流通事業 
 食材流通事業者向け BPaaS
 ベジクルのビジネス 
 • 飲食店向け八百屋業
 • 毎朝都内約2,000店舗へ数万点 の野菜を配送
 • 夜に受注処理
 →夜中ピッキング
 →朝5時にはトラック出発
 →10：00までに各飲食店へ配送
 主力事業 新規事業
9. 9 個人飲食店向け 
 青果流通事業 
 食材流通事業者向け BPaaS
 • 飲食店向け仕入れ先見直しサー ビス
 • 肉卸、魚卸、酒卸などをご紹介
 • 受発注アプリで一括発注
 • 各卸業者が受注画面をみて、配 送
 • 飲食店向け八百屋業
 • 毎朝都内約2,000店舗へ数万点 の野菜を配送
 • 夜に受注処理
 →夜中ピッキング
 →朝5時にはトラック出発
 →10：00までに各飲食店へ配送
 ベジクルのビジネス 
 主力事業 新規事業
10. 10 食材流通のリアル（飲食店編）
11. 11 個人飲食店の発注ツールは様々（ FAX、アプリ、電話・・・） 
 肉卸
 魚卸
 野菜卸
 材料費は高騰、 人手不足・・・ 早く発注終わらせて 帰りたい・・・
12. 12 食材流通のリアル（卸業者編）
13. 13 商品にバーコードがない 

14. 14 品質に個体差（色、形、匂い、重さ） 

15. 15 相場が毎日変動、仕入も安定しない 
 • 大田市場での仕入れはFAXのみ
 • 今年は暑さの影響でトマトが高騰して1 ケース（24個入り）が1万円以上！
 • 価格が高騰すると発注しても商品が入っ てこないことも
 ◦ 在庫管理は現物をカウント

16. 16 バーコードな し 品質に 個体差 相場・量が 毎日変動 SaaSのソフトウエアだけでの解決は困難。 
 自社で八百屋をやっている僕達だからこそ業界を DXすることで出来る！ 
 食材流通は “デジタル化が最も難しい領域 ”

17. 17 はよ、PMの話しろよ
18. 18 アナログな業界における PMの学び3選
19. 19 配送
 一括発注
 受注
 納品
 野菜・肉・魚をひとつの受発注アプリへ 
 肉・魚・酒・野菜卸業者 飲食店 ピッキング

20. Confidential 20 アナログな業界における PMの学び3選
 1. 現場の業務フローをそのままプロダクト要件にするべからず 
 2. アナログとデジタルの組み合わせで効率最大化 
 3. 現場が業務ハックをしてくれることを信じるべし 

21. 入社当初の開発体制 
 • プロダクトマネジメント出来る人がいないまま 開発会社に丸投げ。複雑な業務フローがそ のままシステムに・・・😱
 • 現場の業務フローを理解しつつ、1つずつ仕 様を分解しながらシンプルな設計へ作り直し ・・・💪
 Confidential 21 1. 現場の業務フローをそのままプロダクト要件にするべからず 
 現実の複雑さをそのまま作るのは、プロダクトの敗北 

22. 飲食店が記入する備考欄へ対応 
 • 備考欄に「アボガド柔らかめ」 など要望 が入る
 • 「発注書を印刷して確認するほうが早 い」ということを最大限活かした、プロダ クト設計
 Confidential 22 2. アナログとデジタルの組み合わせで効率最大化 
 どこをデジタル化して、どこをアナログで残すか 
 の判断こそが PMに求められる勘所 

23. 現場は、人力効 率化の知恵の集 合体
 Confidential 23 3. 現場が業務ハックをしてくれることを信じるべし 
 新しいシステム構 造を提示すると、 現場側もそれを ハックして新たな 最適化を行う。 
 固く作らず、柔ら かくプロダクトを作 り現場がプロダク トをハックするのを 観察する

24. Confidential 24 アナログな業界における PMの学び3選
 1. 現場の業務フローをそのままプロダクト要件にするべからず 
 2. アナログとデジタルの組み合わせで効率最大化 
 3. 現場が業務ハックをしてくれることを信じるべし 
 PMの価値は複雑な現実を “シンプルな構造 ”に還元し、 
 拡張しながら現場で回すことにある。 

25. 25 本日のお気持ち・・・ 
 「食材流通の世界」って一番アナログかも？ 
 とにかく業界を応援してほしい！