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「持続可能な社会づくり」に向けた解決すべき課題(人文地理学的視点):松原 宏(日本学術会議会員...

「持続可能な社会づくり」に向けた解決すべき課題(人文地理学的視点):松原 宏(日本学術会議会員、東京大学大学院総合文化研究科教授)

「持続可能な社会づくり」に向けた解決すべき課題(人文地理学的視点):松原 宏(日本学術会議会員、東京大学大学院総合文化研究科教授)
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持続可能な社会づくりに向けた地理教育の充実
-SDGs実現における教育の役割-
日本学術会議公開シンポジウム(2017Nov04)開催報告

http://www.iknowshachu.org/scj/

Taichi FURUHASHI

November 04, 2017
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  1. 均衡論 資本 労働 生産要素の移動性 農村・農業地域 不均衡論 図1 地域間格差に関する均衡論と不均衡論 (松原作成) 地域A

    地域B 農業と工業の不均等発展 都市と農村との対立 所得 労働力・ 都市・工業地域 中心 地域 周辺 地域 a 新古典派地域経済成長モデル(ボーツ・スタイン, 1964) b 内生的成長理論(バロー・サラ-イ-マーティン, 1995) c マルクス主義 地域内の技術革新 d クルーグマン(1991)の地理的集中モデル 収穫逓増に伴う集積過程 産業 Ⅱ 地域的不平等に関するアプローチ
  2. 成長 地域 低成長 地域 成長 地域 停滞 地域 格差縮小 格差拡大

    波及効果>逆流効果 波及効果<逆流効果 平等主義的政策 図2 ミュルダールの循環的・累積的因果関係論 (矢田俊文(1990)「開発経済論と 国際間不平等の増大 累積的・循環的過程 開発国 低開発国 格差拡大的政策 ①市場諸力の累積的効果 ②世界国家の欠如 ③人類相互連帯性の欠如
  3. R1 θb 空間 (距離) 図3 経済圏の階層性と重層性 (松原作成) 注:θbとθlは, それぞれ圏域B, Lの形成に関わる輸送費や交通費などの空間的抵抗の

    大きさを示す。図中には示していないが, 圏域N, Rに関わって, θn, θrをも想定すること ができる。 財・サービスの 階次もしくは 中心地の機能 θl • • F T S R2 R3 N B L1 L2 L3 高次 低次 地域間の不平等を議論する際に、比較する地域の空間的スケールを どう捉えるか、何をもって不平等とするか、不平等が生じるメカニズムを いかに考えるか、何をすべきか、といった問題は、長年の検討課題。
  4. 本社 R&D マザー 工場 国内 分工場 海外 分工場 国内 関連工場

    海外 関連工場 国内 研究 機関 国内 他社 ほか 国内 他工場 空間 フロー 情報 知識 技術 モノ モノ 情報 知識 技術 工場間の経済 地域 イノベーション 外注連関 地域 労働市場 ヒト 金融 機関 カネ ヒト 図5 多国籍企業の企業内分業と地域的分業 (松原作成) 技術連関 都市 システム 組織文化 地域文化
  5. 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

    100% 1965 1975 1985 1995 2005 2015 地方圏 名古屋圏 関西圏 東京圏 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1965 1975 1985 1995 2005 2015 地方圏 名古屋圏 関西圏 東京圏 図6 各種指標における三大都市圏の対全国比 a 人口 b 製造品出荷額等 注:東京圏は、埼玉、千葉、東京、神奈川、 関西圏は、京都、大阪、兵庫、奈良、 名古屋圏は、岐阜、愛知、三重の各都府県。 東京圏の 対全国シェア のトレンド 年 年 出典:『国勢調査報告』 『工業統計表』
  6. 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

    100% 1965 1975 1985 1995 2005 2015 地方圏 名古屋圏 関西圏 東京圏 c 卸売業年間商品販売額 d 全国銀行貸出残高 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1964 1974 1985 1994 2004 2014 地方圏 名古屋圏 関西圏 東京圏 『金融』(全国銀行協会連合会) 出典:『商業統計表』 東京圏の 対全国シェア のトレンド 年 年
  7. 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

    100% 1965 1975 1985 1995 2005 2015 地方圏 名古屋圏 関西圏 東京圏 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1965 1975 1985 1995 2005 2015 地方圏 名古屋圏 関西圏 東京圏 e 資本金10億円以上の法人数 f 外国法人数 出典:『国税庁統計年報』 年 年 東京圏の 対全国シェア のトレンド
  8. 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%

    100% 1969 1975 1986 1996 2006 2014 地方圏 名古屋圏 関西圏 東京圏 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 1966 1975 1986 1996 2006 2014 地方圏 名古屋圏 関西圏 東京圏 g 情報サービス業・広告業従業者数 h 学術・開発研究機関従業者数 出典:『事業所統計調査報告』、『事業所・企業統計調査報告』、『経済センサス』 年 年 東京圏の 対全国シェア のトレンド
  9. 2)産業立地政策の変化 図7 産業立地政策の変遷(経済産業省資料をもとに作成) 1950・60年代 臨海部における 重化学工業の推進 太平洋ベルト 地帯構想 工業等制限法 (2002年廃止)

    新産業都市 建設促進法 工業整備特別 地域促進法 (2001年廃止) 1970・80年代 地方分散の 促進・均衡ある発展 工業再配置促進法 (2006年廃止) 工場立地法 テクノポリス法 頭脳立地法 (2005年廃止) 地方拠点法 1990年代 空洞化防止と新 規成長分野の発 展促進 地域産業集積 活性化法 (2007年廃止) 新事業創出 促進法 中小企業 新事業 活動促進法 2001年~ 競争力のある地域 産業・企業の発展 支援 産業クラスター 計画 (2001年~) 文部科学省 知的クラスター 創成事業 (2002年~12年) 廃止 企業立地 促進法 (2007年~)
  10. 都道府県 都道府県 1 市町村 地方ブロック圏域 承認 同意 同意 都道府県 承認

    民間事業者による 地域経済牽引事業 市町村 都道府県 承認 民間事業者による 地域経済牽引事業 ② ① ② ③ ① ③ ④ ④ 基本計画 基本計画 国 連携支援計画 国 ⑤ ⑤ 国 支援 機関 支援 機関 図8 地域経済牽引事業計画の承認スキーム 注)図中の◦は各地域経済牽引事業を示し、番号は以下の事業例を示す。 ①先端ものづくり分野、②農林水産、地域商社、③第4次産業革命関連 ④観光、スポーツ、文化、まちづくり関連、⑤ヘルスケア、教育サービス等。 出所)「地域未来投資促進法案について」(経済産業省地域経済産業グループ 2017年2月28日) をもとに松原作成。 ▪2017年7月末:「地域未来投資促進法」施行
  11. 産業立地政策 国土 政策 地域 雇用 政策 地域イノベーション政策 地方 行財政 政策

    特区 等の 地域 活性化 都道 府県 市 町 村 国 広域経済圏 地域経済 (経済産業省・農林水産省) (国土交通省) (厚生 労働省) (総務省) (文部科学省) (内閣府 地方創生 推進室) 図9 地域政策の多様化と枠組みの変化 (松原作成) 「まち・ひと・しごと 創生本部」 3)地方創生施策の登場 ①人口減少・ グローバル化・ 財政危機の 下での 地域問題 の変化 ②省庁の縦割り・ 類似政策の乱立・ 政策形成力の劣化 ③政治的力学 など
  12. 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18

    北海道 青森 岩手 宮城 秋田 山形 福島 茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 東京 神奈川 新潟 富山 石川 福井 山梨 長野 岐阜 静岡 愛知 三重 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 鳥取 島根 岡山 広島 山口 徳島 香川 愛媛 高知 福岡 佐賀 長崎 熊本 大分 宮崎 鹿児島 沖縄 (10億円) 拠点整備交付金 推進交付金 加速化交付金 先行型交付金 図10 都道府県別地方創生交付金総額(2015年11月~2017年4月)