Researchってなんだろう?調査? 研究?
今回「研究」について簡単にまとめました。 2018年10月3日にリーン組織開発研究会で発表した資料です。
2018/10/03 森 雄哉witch&wizards inc.研究の研究[email protected]リーン組織開発研究会
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Researchってなんだろう?調査? 研究?今回「研究」について簡単にまとめました。
⽬次・⽇本やOECDにおける研究の分類 ・基礎研究、応⽤研究、開発研究・基礎研究と応⽤研究によくある誤解・魔の⾕、デスバレー(死の⾕)、ダーウィンの海・ブリコラージュという⽅法・森の個⼈事例から成功例と失敗例を振り返る・趨勢 ・技術、製品、性能、制約、コンテンツ ・クレイトン・クリステンセンの予⾔・例 Pixel2のカメラはすごい ・新しくて奇妙な製品と、本物の製品・組織的な研究開発に向けて ・社会実装というトレンド ・巨⼈の肩に乗る ・技術に関する必要⼗分な6つの質問
研究の分類
⽇本やOECDにおける研究の分類0&$%૯লՊֶٕज़ݚڀௐࠪͰఆٛ͞Ε͍ͯΔݚڀʹͭͷྨ͕͋Δɻɾجૅݚڀʢ#BTJDSFTFBSDIʣɾԠ༻ݚڀʢ"QQMJFESFTFBSDIʣɾ։ൃݚڀʢ&YQFSJNFOUBMEFWFMPQNFOUʣετʔΫε %POBME&4UPLFTʹΑΔྨ༻͍ΒΕΔ͜ͱ͕͋Δɻɾ७ਮجૅݚڀʢ1VSFCBTJDSFTFBSDIɺϘʔΞͷݶʣɾ༻్Λߟྀͨ͠جૅݚڀʢ6TFJOTQJSFECBTJDSFTFBSDIɺύεπʔϧͷݶʣɾ७ਮԠ༻ݚڀʢ1VSFBQQMJFESFTFBSDIɺΤδιϯͷݶʣ[email protected]
基礎研究 Basic ResearchఆٛಛผͳԠ༻ɺ༻్Λʹߟྀ͢Δ͜ͱͳ͘ɺԾઆཧΛܗ͢ΔͨΊɺຢݱ؍Մೳͳࣄ࣮ʹؔͯ͠৽͍ࣝ͠ΛಘΔͨΊʹߦΘΕΔཧతຢ࣮ݧతݚڀΛ͍͏ɻɾࣗવքͷཧղ͕తɻະݱ͔Βൃݟͱղ໌Λ͢Δɻɾཧɺݪཧɺఆཧɺ๏ଇΛ໌Β͔ʹ͢Δɻɾެڞࡒͷੑ͕֨͋Γɺ͕ࢧԉ͢Δ͜ͱ͕ଟ͍ɾࣗવքͷՊֶతࣄ࣮ͷൃݟͱཱূ͢ΔݚڀͰ͋ΔͨΊɺഉଞతͳར༻ݖೝΊΒΕͳ͍ɻͭ·ΓಛڐऔಘͰ͖ͳ͍ɻɾΞτΧϜͷҰྫੑೳΛ্͛ΔͨΊʹੑΛ໌Β͔ʹ͢Δ͜ͱͰదͳύϥϝʔλʔͷվળʹूதͰ͖ΔΑ͏ʹͳΔ[email protected]
応⽤研究 Applied ResearchఆٛجૅݚڀʹΑͬͯൃݟ͞ΕͨࣝΛར༻ͯ͠ɺಛఆͷඪΛఆΊ࣮ͯ༻ԽͷՄೳੑΛ͔֬ΊΔݚڀɺطʹ࣮༻Խ͞Ε͍ͯΔํ๏ʹؔͯ͠ɺ৽ͨͳԠ༻ํ๏Λ୳ࡧ͢ΔݚڀΛ͍͏ɻɾͷղܾ͕తɻɾಛڐʹΑΔഉଞతར༻͕ೝΊΒΕΔɻɾެڞࡒͰͳ͘ࢢΛ௨ͯ͡ڙڅ͞ΕΔࡒ͕ͩɺ҆શΛతͱ͢Δ߹ͳͲެڞࡒڙڅͷؔ༩͕ਖ਼Խ͞ΕΔɻɾࢢʹԿΒ͔ͷࣦഊ͕ൃੜ͠ɺʹΑΔิͷඞཁੑ͕ੜ͡Δ߹ɺͷؔ༩͕ظ͞ΕΔɻ ެͳͲ[email protected]
開発研究 Experimental developmentఆٛجૅݚڀɺԠ༻ݚڀٴͼ࣮ࡍͷܦݧ͔Βಘͨࣝͷར༻Ͱ͋Γɺ৽͍͠ࡐྉɺஔɺɺγεςϜɺఔͷಋೖຢطଘͷ͜ΕΒͷͷͷվྑΛͶΒ͍ͱ͢ΔݚڀΛ͍͏ɻɾ࣮ࣾձͰͷར༻͕తɻࢢχʔζ͕ॏཁͰ͋Δɻɾ҆શੑɺอकੑɺܦࡁੑͳͲ͕ٻΊΒΕΔɾಛڐͳͲʹΑΔഉଞతར༻͕ೝΊΒΕΔɻɾॳظ։ൃɹɾ࠷ॳͷϞσϧϓϩηεʹద༻͢Δɾظ։ൃɹɾఔ։࢝ͷաఔ[email protected]
基礎研究と応⽤研究によくある誤解ºجૅݚڀͷ͋ͱʹԠ༻ݚڀ͕͋Δɻ˓Ԡ༻ݚڀ։ൃݚڀͷ࠷தʹطଘཧͰઆ໌͔ͭͳ͍ݱ͕ݱΕɺͦͷղ໌ͱͯ͠جૅݚڀ͕ߦΘΕΔ͜ͱ͕ଟ͍ɻ基礎研究 応⽤研究 開発研究
魔の⾕デスバレーダーウィンの海
魔の⾕、デスバレー(死の⾕)、ダーウィンの海ݚڀʹ͓͚Δͭͷোนຐͷɹɾجૅݚڀ͔ΒԠ༻ݚڀ·ͰͷؒͷؔɾোนσεόϨʔʢࢮͷ୩ʣɹɾԠ༻ݚڀ͔Β৽Ϗδωε͋Δ͍Խ·ͰͷؒͷؔɾোนμʔΟϯͷւɾ৽Ϗδωε͋Δ͍Խ͔ΒɺࣄۀԽ·ͰͷؒͷؔɾোนXJLJQFEJB
魔の⾕、デスバレー(死の⾕)、ダーウィンの海リチウム電池の例[email protected]@BSUJDMFIUNM
ブリコラージュ
ブリコラージュという⽅法ʮ৽ͨͳػձʹରͯ͠ख࣋ͪͷࢿݯͷ߹ͤΛ༻͍ͯؒʹ߹ΘͤΔ͜ͱʯԼͷͱؔͳ͘ूΊΒΕͨ࣋ͪ߹ΘͤͷࢿݯΛར༻͢Δຊདྷͷ༻్͔Β֎Ε͍ͨํؚΉ߹ͤͰطଘͷࢿݯ͔Β৽ͨͳՁΛੜΈग़੍͢ʹཱ͔͍ͪɺʹର͠ੵۃతߦಈΛࢦ͢Δ͜ͱl৽ͷ։ൃʹ͓͍ͯɼຊ࣭తʹ৽͍͠ཁૉٕज़௨ৗ΄ΜͷҰ෦Ͱ͋Γɼେطଘٕज़Ͱߏ͞ΕΔͨΊɼͦ͜ʹϒϦίϥʔδϡ͕ཁٻ͞ΕΔ·ͨϒϦίϥʔδϡͰҰൠʹ͍׳ΕͨखʹೖΓ͍͢ߏཁૉΛ͏ͨΊɼ৴པੑ͕ߴ͘Ձ֨Ͱ࣮༻Խͷෑډͷ͍ٕज़͕ಘΒΕΔͱߟ͑ΒΕΔzIUUQTTUB⒎BJTUHPKQIBSBJSPCPUJDTSPCPNFDQEG
失敗と成功の差
全体像趨勢 解法問題課題 成果物アウトカム対価計測学習学習構築外部内部
・だいたいブリコラージュ的な仕事・オペレーションQCDSの向上・ほんのたまに開発研究(特許が絡みそうなのはほんの⼀部)趨勢の実態が分かっているものはうまくいき、まだ分かっていないことは失敗した。森の個⼈事例
趨勢
趨勢 -すうせい-「物事がこれからどうなってゆくかという、ありさま。なりゆき。」5つをみている。・コンテンツ・制約(プラットフォームや法規制)・性能・製品開発・技術研究
ゲーム機の趨勢制約 ・半導体⾯積が240平⽅mmがコスト限界 ・240平⽅mmに詰め込めるトランジスタ数は製造プロセスに制約される ・製造プロセスの改善は年々鈍化傾向。ムーアの法則の源。性能(ざっくり ・性能の⼤きな割合がトランジスタ数によって決まる。 ・2006年 PS3の発売時の製造プロセスは90nmで、258平⽅mm、約3億トランジスタ、約220GFLOPS。 ・2013年 PS4の発売時の製造プロセスは28mnで、361平⽅mm、約30億トランジスタ、約1840GFLOPS(サイズはCPUと合算)。 ・2016年 Geforce GTX1060 製造プロセス16nm 200平⽅mm、約46億トランジスタ、約4400G FLOPS。
ゲーム機の趨勢製造プロセスの趨勢を⾒ていれば、何年にどれくらいの性能のゲーム機が出てくるのかが分かる。2020年であればGeforceGTX1070+α?最新技術としてもてはやされているVRでも、いつ、どれくらいの計算資源を⽤いた提案をぶっこめるかは推測がつく。(PS3時代は30FPS、VRは90FPSでないと酔ってしまいやすいのでPS4以降でないと難しかった。)*ただしNPUやレイトレーシングといった今までは別⽅向にトランジスタを裂く動きが出てきているので読みはぶれやすくなっている。趨勢がぶれる。
産業への⼤きなインパクトプリキュアのエンディングは3Dで作られている。・昔ながらの⽅法では出⼒に1枚あたり50分かかっていた。1秒30枚必要なので1分の映像に1800*50分の時間がかかることになる。・Unityを⽤いてリアルタイムレンダリングにしたとこ1枚当たり15秒となった。50倍近い速度となる。今までレンダーファームといった、データセンターならぬ、計算センターを⽤いて映像制作していたのが、個⼈機でも⼗分にいける速度感になった。
産業への⼤きなインパクト2018年9⽉に発売されたGeforceRTX2080は、レイトレーシング処理がハードウェア実装されることとなった。これによって光源処理速度の桁が変わるインパクトになる。ハリウッド映画の制作⼯程や規模、レンダーファームビジネスが⼤きく変わる可能性がある。つまり川下産業の構造やプロセスが⼤きく変化する。また桁違いの光線のシミュレーションができるという特性を活⽤した、新たな製品カテゴリーが誕⽣する可能性が⾼い。
クレイトン・クリステンセンの予⾔研究による趨勢や、企業内の意思決定が製品カテゴリーにどのような影響を与えてきたのかを語った。・イノベーションのジレンマ提唱者・破壊的イノベーションの提唱者でもある・Intel Celeronの発案者 ・Intel⾃ら互換CPU駆逐に向けて製品開発 ・第⼀世代は性能的に⼤失敗。 ・第⼆世代は⼤ヒット。300Aは伝説。・フラッシュメモリー技術(USBメモリやSSD)のメジャー化を1995年あたりに予⾔。
Pixel2のカメラはすごいGoogle Pixel2の写真はボケを後から調整できる。撮影時にRGBと深度マップを同時に撮影する。deep laningによって被写体と背景を区別し、深度マップを⽤いて⾃由に調整できる。また⾁眼で⾒た光景と、カメラで撮影した光景は異なることが知られていた。⾁眼で⾒たままの光や⾊を再現する性能をフィデリティ性能という。ソフトウェア処理を何⼗ステップにも重ねることで、⼀眼レフなどでは難しかったフィデリティ性能を⼀気に⾼めることができた。
新しくて奇妙な製品と、本物の製品実はGoogle Pixel2の4年前に、ボケを後からでも調整できるLYTRO ILLUM(ライトロ イルム)というカメラがあった。⼆世代発売されたものの撤退。たしかにボケを後から調整できるのは魅⼒だったが、それだけでメジャーになるほどの魅⼒は無かったのかも知れない。
雑感
組織的な研究に向けて基礎研究や応⽤研究はほぼ携わったことがないといえそう。ただ特許取得の狙いのある開発だったり、セオリーになっていない技術利⽤においては開発研究要素が幾分か含まれるかもしれない。製品がユーザーにfitしているかを確かめる段階では顧客同席、顧客開発が有効そう。リンスタがフォーカスしているところ製品カテゴリーが急成⻑だったり競争が激しい段階ではマーケティングが中⼼になりそう。受託開発や、キャズム以後の参⼊で研究の占める割合は少なそう。研究と設計はどのような違いがあるのだろう。
組織的な研究に向けて⽇々の過ごし⽅(スクラム)も⼤事だけど、質の良いインプットと問題提起ができる⼈、つまり⽬利きができる⼈といかに働けるか、どのように採⽤するかの影響が⼤きい気がする。論⽂や専⾨誌、業界のシンポジウムでの意⾒交換をチームが⽇常的にできるようにする…だろうか。ただ社会実装という考え⽅があたりまえになりつつあるという趨勢なので、今後は仕事として応⽤研究や開発研究に関係することは増えていくかも知れない。
組織的な研究に向けてTOC思考プロセスを改善するというのは、開発研究にあたるのだろうか?参考に私の⽅法を共有します。
森の取り組み
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問題危機のみを機会とするのではなく、平時も機会とするにはどうすればよいか