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教科と情報(1)

Naoki Kato
November 01, 2022

 教科と情報(1)

教育の情報化と情報教育

Naoki Kato

November 01, 2022
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  1. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 自己紹介 加藤直樹 東京学芸大学 ICTセンター

    教育情報化研究チーム 専門:情報工学 Human Computer Interaction 特にペン入力 ペン入力I/Fの教育への利用 文科省:デジタル教科書の今後の在り方等に 関する検討会議 (R2-R3) ・委員 :ICT活用教育アドバイザー派遣事業(H28-) ・アドバイザー :学習者用デジタル教科書のクラウド配信等の 設計に関する検証事業(R4-) ・有識者会議 座長
  2. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化とは “情報化”とは l 情報とは,ある場所から他の場所に伝え

    られる有意味のすべての信号の内容 (京都コンピュータ学院情報システム開発研究所所長 小亀淳) l 様々な対象を伝達できるようにする l 伝達できるようにする・伝達することを 重視する状況 情報通信機器の活⽤が適している
  3. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化とは 知識基盤社会と“情報化”社会とは 知識・情報が もっとも重要な資源

    知識の表現・伝達 が重要 情報 知識 情報通信機器の 普及・浸透 知識 知識
  4. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化とは 教育の“情報化”とは ※イラスト出典「教育の情報化の手引き」(文部科学省),「学力向上ICT活用ハンドブック」(CEC) 教育における

    知識・情報をより重視 教育における 知識の表現・伝達 を活性化 教育現場での 情報通信機器の 普及・浸透 情報 知識 知識 知識
  5. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化とは “教育の情報化”とは l すべての教員が

    ※イラス出典「教育の情報化の手引き」(文部科学省),「学力向上ICT活用ハンドブック」(CEC) 教科指導におけるICT活⽤ 校務の情報化 情報教育 授業でのICT活⽤ 授業準備や評価でのICT活⽤
  6. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化と学習指導要領 前々々学習指導要領(H4/1992~) l 教育活動の中でコンピュータ等の積極的

    活用を促す l 小学校段階:コンピュータ等に慣れ親し ませることを基本方針 l 中学校段階:技術・家庭科に 「情報基礎」を設置 社会科,数学科,理科, 保健体育科で関連内容提示 l 高等学校段階:数学科,理科,家庭科等 に関連内容を取り入れ
  7. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化と学習指導要領 前々学習指導要領(H14/2002~) l 小中学校段階:各教科や「総合的な学習」

    の時間等で積極的に 情報機器の活用 l 中学校段階:技術分野 「情報とコンピュータ」が必修 l 高等学校段階:普通教科「情報」が必修 l 新情報教育の手引き
  8. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化と学習指導要領 前々学習指導要領(H14/2002~) l 小学校総則

    n 教科等の指導に当たっては, n 児童がコンピュータや情報通信ネット ワークなどの情報手段に慣れ親しみ, n コンピュータで文字を入力するなどの 基本的な操作や情報モラルを身に付け, n 適切に活用できるようにする 学習活動を充実するとともに, n これらの情報手段に加え視聴覚教材や 教育機器などの教材・教具の適切な 活用を図ること。 情報教育 ICT活用
  9. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化と学習指導要領 前学習指導要領(H23/2011~) n 各教科等の指導で,情報手段を適切(主体

    的,積極的)に活用できるように学習活動 を充実 n 情報手段をはじめとした教材・教具の適切 な活用 n 中学校段階:技術分野「情報とコンピュー タ」4項目すべてが必修 n 高等学校段階:普通教科「情報」構成変更 「社会と情報」「情報の科学」 l 教育の情報化の手引き
  10. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化と学習指導要領 前々学習指導要領(H14/2002~) l 小学校総則

    n 教科等の指導に当たっては, n 児童がコンピュータや情報通信ネット ワークなどの情報手段に慣れ親しみ, n コンピュータで文字を入力するなどの 基本的な操作や情報モラルを身に付け, n 適切に活用できるようにする 学習活動を充実するとともに, n これらの情報手段に加え視聴覚教材や 教育機器などの教材・教具の適切な 活用を図ること。
  11. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化と学習指導要領 前学習指導要領(H23/2011~) l 小学校総則

    n 教科等の指導に当たっては, n 児童がコンピュータや情報通信ネット ワークなどの情報手段に慣れ親しみ, n コンピュータで文字を入力するなどの 基本的な操作や情報モラルを身に付け, n 適切に活用できるようにするための 学習活動を充実するとともに, n これらの情報手段に加え視聴覚教材や 教育機器などの教材・教具の適切な 活用を図ること。
  12. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 教育の情報化と学習指導要領 前学習指導要領(H23/2011~) l 中学校総則(2012.4~)

    n 各教科等の指導に当たっては,生徒が情報モ ラルを身に付け,コンピュータや情報通信 ネットワークなどの情報手段を適切かつ主体 的,積極的に活用できるようにするための学 習活動を充実するとともに,これらの情報手 段に加え視聴覚教材や教育機器などの教材・ 教具の適切な活用を図ること。 l 高等学校総則(2013年入学生~) n 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒が 情報モラルを身に付け,コンピュータや情報 通信ネットワークなどの情報手段を適切かつ 実践的,主体的に活用できるようにするため の学習活動を充実するとともに,これらの情 報手段に加え視聴覚教材や教育機器などの教 材・教具の適切な活用を図ること。
  13. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 産業(工業)革命:社会の確実な変化 画像引用:SCF2015webサイト http://scf.jp/ja/essay/a005.php

    →石炭→石油・電気 農業→軽工業→重工業 労働力:人→コンピュータ 判断:人→コンピュータ AI,IoT?
  14. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 近い将来すべての人に求められるもの 高度IT人材 ミドルIT人材

    課題 発見 解決 新たな価値の創造 高度情報通信技術 AI技術 活用 こういうこと ができる 依頼
  15. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 新たな価値の創造のために 新たな価値の創造 対話・議論

    自立 協働 説明 理解 問題 発見 解決法 探索 計画 実行 解決 振り返り
  16. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 新学習指導要領での方策(学力の三要素) 人間性 学びに向

    かう力 思考力 判断力 表現力 知識 技能 創造 協働 自立 生きる力 何を知っているか 何ができるか 知っていること できることを どう使うか どのように 社会・世界と関わり よりよい人生を送るか
  17. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 学習指導要領における情報教育の方針 情報及び情報技術を適切かつ効果的に 活用して、問題を発見・解決したり自

    分の考えを形成したりしていくために 必要な資質・能力 (小学校学習指導要領解説 p.51) 情報活用能力 言語能力 問題発見・解決能力 基盤的な力 人間性 学びに向 かう力 思考力 判断力 表現力 知識 技能 創造 協働 自立 加速度的に進展 し続ける社会 Industry4.0 (第四次産業革命)
  18. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 学習指導要領における情報教育の方針 情報及び情報技術を適切かつ効果的に 活用して、問題を発見・解決したり自

    分の考えを形成したりしていくために 必要な資質・能力 (小学校学習指導要領解説 p.51) 情報の科学的な理解に裏打ちされた 情報活用能力を育むことが重要 情報活用能力 言語能力 問題発見・解決能力 基盤的な力 人間性 学びに向 かう力 思考力 判断力 表現力 知識 技能 創造 協働 自立 加速度的に進展 し続ける社会 Industry4.0 (第四次産業革命)
  19. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 系統的な情報活用能力の育成 情報活用能力 言語能力

    問題発見・解決能力 基盤的な力 人間性 学びに向 かう力 思考力 判断力 表現力 知識 技能 創造 協働 自立 技術分野 情報に関する技術 プログラミング教育 基本的な操作 情報モラル 情報化と社会・産業 2021- 2022- 2020- 情報Ⅰ(必修) 情報Ⅱ AI・Data Science教育
  20. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 情報活用能力の育み方 各教科等 国語

    算数 ・・・ 道徳 総合的な学習 の時間 ・・・ 小学校 教育課程 カ リ キ ュ ラ ム ・ マ ネ ジ メ ン ト 中等 教育課程 情報活用能力 言語能力 問題発見・解決能力 基盤的な力 人間性 学びに向 かう力 思考力 判断力 表現力 知識 技能 創造 協働 自立 教 科 横 断 的 視 点 で 教 科 等 の 特 質 に 合 わ せ て
  21. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 国語科と情報教育 国語科における情報教育の考え方 l 国語科の目標

    n 国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し, 伝え合う力を高めるとともに, 思考力や想像力及び言語感覚を養い(豊かにし), 国語に対する関心を深め国語を尊重する態度を育て る。 l 国語科の内容 n A 話すこと・聞くこと n B 書くこと n C 読むこと l ほとんど情報教育の目標 メディア&コミュニケーションリテラシー
  22. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 国語科と情報教育 国語科での情報活用能力育成 l 情報化社会だからこその国語科教育

    を考える必要がある 国語科教育で育む力 情報活用能力 こ れ か ら の 国 語 科 教 育 で 育 む べ き 力
  23. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 国語科と情報教育 情報モラル教育(表現リテラシー) l 短文の読み書き

    バーバルコミュニケーション メールマナー&トラブル + 長文を書くことの重要性も
  24. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 国語科と情報教育 情報モラル教育(著作権) l 「書くこと」で「引用」を取り上げる

    n 大学生でも(^^;; 平気でコピペをします. n 小学生だから,中学生だから 学校の授業だから...はやめて! n 「引用のルール」をしっかりと実践させま しょう
  25. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 国語科と情報教育 文字入力 l 「書く」ことの手段と目的の切り分けも必要

    左:小平市立小平第五小学校,左:品川区立清水台小学校 キーボード入力はICT活用で必須 (生涯能力としても重要) 手書きの力も大切だけど
  26. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 新学習指導要領へ 系統的な情報活用能力の育成 情報活用能力 言語能力

    問題発見・解決能力 基盤的な力 人間性 学びに向 かう力 思考力 判断力 表現力 知識 技能 創造 協働 自立 技術分野 情報に関する技術 プログラミング教育 基本的な操作 情報モラル 情報化と社会・産業 2021- 2022- 2020- 情報Ⅰ(必修) 情報Ⅱ AI・Data Science教育
  27. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 産業(工業)革命:社会の確実な変化 画像引用:SCF2015webサイト http://scf.jp/ja/essay/a005.php

    →石炭→石油・電気 農業→軽工業→重工業 労働力:人→コンピュータ 判断:人→コンピュータ AI,IoT?
  28. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 国家戦略(IT総合戦略本部) (H26~H28/2016.4) l

    一定数の突出した能力を有するIT人材育成 l 新たな産業をリードする高度なIT人材育成 (参考)人材育成におけるプログラミング教育の位置付け等に係る調査報告書 現社会 Industry4.0 (第四次産業革命) 高度なIT利活用社会 (超スマート社会)
  29. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 近い将来すべての人に求められるもの 高度IT人材 ミドルIT人材

    課題 発見 解決 新たな価値の創造 高度情報通信技術 AI技術 活用 こういうこと ができる 依頼
  30. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 世界中でプログラミング教育 l イスラエル

    n 2000年,高校で「Computer Science」 l ハンガリー n 2003年 「Informatica」6~10歳で必修 l イングランド(英国) n 2014年 「Computing」5~13歳で必修 l フィンランド n 2016年から必修化(教科横断型) l オーストラリア n 2016年「Digital Technologies」
  31. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 国家戦略(IT総合戦略本部) (H26~H28/2016.4) l

    一定数の突出した能力を有するIT人材育成 l 新たな産業をリードする高度なIT人材育成 + l あらゆる国民層に対して ITに係る能力を醸成するための取組 l 特に若年層に対するプログラミング教育 (参考)人材育成におけるプログラミング教育の位置付け等に係る調査報告書 現社会 Industry4.0 (第四次産業革命) 高度なIT利活用社会 (超スマート社会)
  32. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 情報活用能力 小学校におけるプログラミング教育 小学校におけるプログラミング教育へ 技術分野

    情報に関する技術 プログラミング教育 基本的な操作 情報モラル 情報化と社会・産業 2021- 2022- 2020- 情報Ⅰ(必修) 情報Ⅱ AI・Data Science教育 科学的な側面の強化 (高度ICTへの意識)
  33. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 学習指導要領での記載 各教科等の特質に応じて, を,計画的に実施

    第3 1 (3) イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8)
  34. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 学習指導要領での記載 第3 1

    (3) イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8) プログラミング 論理的に考える力 のために ※単なるコンピュータ利用とも解釈できるが 文脈からプログラミングであることは自明
  35. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 プログラミング的思考 大きく複雑な 高度情報化社会における

    高度情報化社会における 大きな武器である 抽 象 化 モ デ ル 化 一 般 化 分解 構造化 手順化 評価 順序 分岐 反復 並列 演繹・帰納(類推,仮説) 問題 Computer 高速化・自動化 論理的思考・パタン認識 パ ラ メ タ ラ イ ズ アルゴリズム的思考
  36. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 学習指導要領での記載 各教科等の特質に応じて, を,計画的に実施

    第3 1 (3) イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8)
  37. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 プログラミング体験が重要な理由 l プログラミング体験は楽しい→主体性へ

    l 試行錯誤 が容易 n 自分の考えが正しいかが確認できる n 間違ってたら容易に修正に挑戦できる コンピュータに・・・ 必要な論理的思考力 効果的に! 論理的思考への一番の手立て
  38. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 もう一つの育む力 l これにも体験が必須

    プログラムの働きやよさ,情報社会がコンピュータをはじめと する情報技術によって支えられていることなどに気付き,身近 な問題の解決に主体的に取り組む態度やコンピュータ等を上手 に活用してよりよい社会を築いていこうとする態度などを育む こと (小学校学習指導要領解説 p.85) すごい やってみる のような態度 プ ロ グ ラ ミ ン グ の よ さ を 感 じ 活 用 で き る 子
  39. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 小学校におけるプログラミング教育 学習指導要領での記載 各教科等の特質に応じて, を,計画的に実施

    l 教科等の中でプログラミング教育 第3 1 (3) イ 児童がプログラミングを体験しながら, コンピュータに意図した処理 を行わせるために必要な論理的思考力 を身に付けるための学習活動 (小学校学習指導要領 p.8)
  40. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の展開 電気の利用では創造的なプログラミングへ 写真:前原小、6年生がフィジカルコンピューティングで「電気」を学ぶ ICT教育ニュース

    2017年10月30日 入力 明るさ 温度 加速度 方位 ボタン 湿度 気圧 酸素濃度 : 出力 光 熱 音 動力 : 人がそばにいて 温度が高いと 温度に応じて 回る扇風機 自分たちで発想した アイデアを 自分たちで 作り上げていく
  41. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU プログラミング教育の展開 系統的な学びが重要 創造的プログラミング ア

    ン プ ラ グ ド 情報化社会に関する 探究的課題の中での プログラミング プログラミング 導入 操作練習 教科の学びに 絡めた プログラミング 総合 教科 課程外 正多角形と円 電気の利用 楽しく創造的な 活動にするには
  42. ©2009- Naoki Kato, IML at TGU 国語科でのプログラミング教育 自然言語とプログラミングの決定的な違い 紙をくしゃくしゃにして丸 めます.その周りをセロ

    テープでぐるぐるまきにし ます.30cmくらいに糸を 切って,作ったボールに 国語の文章作りは,伝わることを目的に, 読みやすさも考えながら,様々な語を, (かなり自由な文法にあわせて)並べ替える. プログラミングは,極々限られた語を (厳格な文法にあわせて)並べ替える.