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Agentic Coding の基礎と最新動向 / Foundations and Lates...

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Agentic Coding の基礎と最新動向 / Foundations and Latest Trends in Agentic Coding

2026年1月に NTT グループ内で開催した Agentic Coding Workshop の講演資料です。

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NTT docomo Business

March 30, 2026
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Transcript

  1. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. Agentic Coding

    の基礎と最新動向 
 2026年1月20日
 NTTドコモビジネス株式会社 

  2. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 1 自己紹介


    小倉 真人(@Mahito)/ Mahito Ogura 
 所属
 ◦ NTTドコモビジネス株式会社 ▪ イノベーションセンター テクノロジー部門 • Engineer Empowerment Project Leader 業務
 ◦ エンジニアの働く環境を良くすること ▪ 開発・検証 PC の整備 ▪ GitHub, Miro など SaaS 利用の取りまとめ ▪ エンジニアブログ運営 ▪ イベント開催・協力(NTT Tech Conference, ISUCON11, etc…) 

  3. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 2 話すこと


    • 研究開発組織におけるコード生成AIツール活用のリアルな実態
 • AIを使いこなすチームとそうでないチームや人の具体的な差
 • チーム全体の開発生産性を底上げする実践的アプローチ
 
 話さないこと 
 • 個々のコード生成 AI の詳細や使い方
 本日話すこと/話さないこと 

  4. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 4 Agentic

    Coding とは 
 AI エージェント(コーディングエージェント)にプログラミングのタスクを任せ、 
 人間はより抽象度の高い設計や戦略的思考に集中する開発手法 
 
 AI が単にコードを書くだけではなく一連のサイクルを自律的に回す
 • 目標の解釈 
 • タスクの分解 
 • ツールの利用 
 • 実行・反復 
 • 評価・学習 
 
 人間は「このバグを直して」「この新機能を追加して」という抽象的なゴールを投げ、
 AI が完了報告を出すまで見守る(または適宜修正する)
 コーディングエージェント 
 エンジニア
 エージェント 

  5. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 5 Agentic

    Coding のこれまでと最新動向 

  6. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 6 人間作成した特定のフォーマット・データからコードが生成されていた

    
 
 AI 以前の取り組み 
 • CASE(Computer Aided Software Engineering): 設計書(UMLなど)を元にコードを出力
 • Scaffolding: データモデルを元に CRUD(Create, Read, Update, Delete)のコードを生成
 • IDE による補完: クラス名やメソッド名の先頭数文字から入力候補を提示したうえで出力
 
 Agentic Coding 以前のコード生成 

  7. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 7 LLM(大規模言語モデル)の発展により自然言語からコード生成が可能になった

    
 
 2021 年に OpenAI から出た Codex のモデル(今の Codex とは違う)を利用した 
 GitHub Copilotが登場 
 • コード補完
 • コードコメントからコードを生成
 
 2023 年になり GitHub Copilot Chat (チャットでの Q&A やコードの説明)が可能に 
 なったが、主はあくまで人間であり AI はそのサポートだった 
 AI によるコードアシストの登場 
 GitHub Copilot 

  8. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 8 コーディングエージェントの登場

    
 人間の指示のもと AI が自ら計画を立て、エラーを修正し、ゴールへ向かうように 
 
 コーディングエージェントの特徴 
 • 思考のループ(ReActサイクル) :
 ◦ Reason(推論・思考) : ▪ 現状や目標を分析し、次のステップや取るべき行動を論理的に考える ▪ タスクをより小さなステップに分割し、計画を立てる ◦ Act(実行): Reason での考えや計画に基づきツールやコードなどを AI が実行 ◦ Observe(観察): Act で実行した行動の結果受け取り次の Reason の入力とする • ツール利用 (Tool Use/Function Calling): AIがターミナル、ブラウザ、ファイルを操作
 ◦ 使えるツールはシステムプロンプト側で定義されている ◦ MCP(後述)などを通じて外部のツールやシステムとのやり取りをする ◦ ツール利用については人間に許可を求める(Human-in-the-loop)を採用するケースが多い
  9. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 9 MCP(Model

    Context Protocol) 
 異なるツールやデータソースを AI が統一して扱うための標準化プロトコル 
 
 2024 年 11 月に 「M x N 問題」の解消を目的に Anthropic が発表し、
 2025 年に OpenAI や Google が指示と採用を表明。
 現在は中立性を確保するために Linux Foundation傘下の「Agentic AI Foundation」で活動中
 
 M x N 問題 
 従来、複数の AI モデル(M)と各種ツールやデータ(N)があった場合、
 それぞれの連携に M x N の接続を作る必要があった 
 
 MCP の目的 
 AI 側も各種ツールやデータも MCP という共通のプロトコルを採用することで、
 他の AI や 各種ツールやデータと接続する際は MCP を実装すれば済むようになった

  10. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 10 その他標準化に向けたあれこれ

    
 Agents.md: 
 • AI エージェントにコンテキストと指示を提供するための、シンプルでオープンな標準
 • Agentic AI Foundation(AAIF) が主導
 • Codex, Gemini CLI などで使われているが Claude code では採用されていない
 
 
 Agent Skills: https://agentskills.io/
 • エージェントに新しい機能と専門知識を提供するためのシンプルでオープンな形式
 • Anthropic が主導
 • Claude code や Codex, Gemini CLI, Antigravity などで採用されている
 
 A2A(Agent to Agent): 
 • フレームワークやベンダーに関係なく、エージェント連携の標準を提供するオープンプロトコル
 • Google が主導
 • MCP を補完するオープンプロトコルで、エージェントに役立つツールとコンテキストを提供
 

  11. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 11 正直言うと今時点で正解を見つけるのは難しい

    
 
 ここ1年ぐらいのコーディングエージェント界隈の動き 
 • 2024年末: Devin / CLINE のリリース
 ◦ 2025年2月に CLINEに全部賭けろ がバズり CLINE にユーザが流れる • 2025年3月: Anthropic が Claude Code がリリース
 ◦ 4月に Claude Max ($100)で定額で使えると話題になりユーザが流れる • 2025年5月: OpenAI が Codex がリリース
 ◦ Codex はいいぞという話でユーザが(ry • 2025年6月: Google が Gemini CLI がリリース
 ◦ 11月に Antigravity をリリースし Antigravity + Gemini が強力という話が出てユーザが(ry 
 勝ち馬が決まるまで待っていると世間から周回遅れしてしまうので、 
 コーディングエージェント利用の知見を貯めることに振ってしまい、 
 その時一番使えそうなものを定期的(3ヶ月毎など)に選び直すのが無難 
 GitHub の Agent HQ が鍵になるかも? https://github.blog/jp/2025-10-29-welcome-home-agents/
 コーディングエージェントをどう選ぶか? 

  12. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 12 コーディングエージェントごとに得意なプログラミング言語が異なるらしい

    
 余談:コーディングエージェントと得意・不得意 
 AI-Generated Code Is Not Reproducible (Yet): 
 An Empirical Study of Dependency Gaps in LLM-Based Coding Agents
  13. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 13 Vibe

    Coding から 
 Spec-Driven Development へ 

  14. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 14 Vibe

    Coding 
 AIとの対話の「ノリ(Vibe)」と「意図」だけでソフトを作るスタイル 
 2025年初頭に元OpenAIのAndrej Karpathy氏が提唱
 
 基本的な流れ( Vibe Loop) 1. Intent(意図の伝達) : 「〜を作って」と自然言語で依頼 2. Generation(一括生成) : AIがプロジェクト全体や複雑なロジックを作成 3. Vibe Check(確認と微調整) : 人が動かしてみて、気に入らなければ 「〜に変更して」や動かなければ「ここが動かないから直して」と意図を伝えて修正を繰り返す 4. Completion: 納得する状態に到達したら完成 特徴 • 「何を作るか」に集中し「どう書くか」は AIに任せる ◦ プログラミング言語を知らなくても、論理的思考と表現力があれば開発が可能 • ゼロから動くものを作るまでの時間が速い • 長期化・大規模化すると管理が難しくなり技術負債になりやすい 

  15. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 15 仕様書(Spec)を作り、それをもとに

    AI を制御する開発手法 
 
 Vibe Coding の長期化・大規模化すると管理が技術負債になりやすい問題に対して、
 先に仕様書を作ることで、仕様を Source of Truth として AI がコードを生成する。
 
 基本的な流れ( SDD Workflow) 1. Spec Definition: 機能、データ構造、制約を自然言語+構造化テキスト で記述 2. Validation: AI が仕様書を読み、「矛盾がないか」や「エッジケースは考慮されているか」を人間にフィードバックし、 合意を形成 3. Agent Execution: 仕様書をもとに、コーディングエージェントがコードを生成 4. Verification: 生成されたコードが仕様書と一致しているかを、AI が自動テスト(TDD)を含めて検証 特徴 • 仕様書が主役 : コードは仕様書から生成されるため、仕様書を直せばコードも再生成・修正をする • 高い保守性 : チャット履歴ではなく「最新の仕様書」を確認することでシステムの全容がわかる • チーム開発用途 : 複数のエージェントや人間と仕様書を共有することで協働が可能
 Spec-Driven Development 

  16. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 16 コード生成

    AI で開発生産性は上がるか? 

  17. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 17 コード生成

    AI と開発生産性 
 コード生成 AI を使うことで開発生産性が上がるという風潮だが、
 コード生成 AI を使った結果、開発生産性は落ちていたというレポートも存在
 
 Measuring the Impact of Early-2025 AI on Experienced Open-Source Developer Productivity 
 https://metr.org/blog/2025-07-10-early-2025-ai-experienced-os-dev-study/
 
 • ここで言う開発生産性は与えられたタスクを完了するのに必要だった実装時間の合計
 • 開発者はAIによって24%の速度向上を期待していた 
 • 実際は 19 % の遅延をしていた 
 • 開発者は遅延を経験したあとでも AI が 20 % の効率化をもたらしたと信じていた
 
 定性的な結果だけでは効果は測れないため、定量的な効果測定が必要 

  18. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 18 ソフトウェア開発の開発生産性を測る方法はいくつかある

    
 • 成果物ベースの計測(Lines of Code、ファンクションポイント)
 • スループットベースの計測(ユーザストーリーポイント、チケットの完了数、リードタイム)
 • etc...
 
 DORA (DevOps Research and Assesment)指標
 • デプロイの頻度 - 組織による正常な本番環境へのリリースの頻度
 • 変更のリードタイム - commit から本番環境稼働までの所要時間
 • 変更障害率 - デプロイが原因で本番環境で障害が発生する割合(%)
 • 失敗したデプロイからの復旧時間 - 失敗したデプロイ後に正常な状態に戻るまでにかかる時間
 • 再作業率 - 運用上の問題により発生する計画外のデプロイメントの比率
 ソフトウェアの開発生産性 
 https://dora.dev/guides/dora-metrics/
  19. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 19 個人や組織の能力が

    AI に影響する 
 AI をいかにうまく使えるかが今後の個人や組織の開発生産性に関わってくる 
 AI時代のソフトウェア開発を考える( 2025/07版) https://speakerdeck.com/twada/agentic-software-engineering-findy-2025-07-edition?slide=35
  20. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 20 AI

    が個人と組織の活動を増幅する 
 2025 年 DORA レポートでも「AI は偉大な増幅器」 との記述
 https://cloud.google.com/blog/ja/products/ai-machine-learning/announcing-the-2025-dora-report/
 • ソフトウェアデリバリースループットとプロダクトパフォーマンスの両方で、
 AI の導入と正の相関関係が認められた
 • AI の導入は、引き続きソフトウェアデリバリーの安定性と負の相関関係にある
 • AI がソフトウェア開発を加速するものの、その加速によって下流で弱点が露呈する可能性を示唆
 ◦ フィードバックループが高速な疎結合アーキテクチャで作業するチームは成果を上げる ◦ 密結合システムと遅いプロセスに制約されるチームはほとんど、またはまったくメリットがない 
 AI をうまく利用できる個人・組織が高い開発生産性を実現する 

  21. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 21 AI

    の価値を引き出す 
 2025 年 DORA レポートでは「DORA AI 機能モデル」と「リーダーが最初に取り組むべきこと」にも言及
 「AI の価値は、ツール自体ではなく、それを取り巻く技術的慣行と文化的環境によって引き出されます」 
 → 技術的な土台と AI を利活用できる文化がないと価値を引き出せない 
 
 
 リーダーが最初に取り組むべきこと 
 • AI ポリシーを明確化して周知する
 • AI を社内のコンテキストに接続する
 • 基本的なプラクティスを優先する
 • セーフティ ネットを強化する
 • 社内プラットフォームに投資する
 • エンドユーザーに焦点を当てる

  22. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 22 AI

    が作るコードには品質・セキュリティについての懸念の声がある 
 • そのまま使うとコードの重複やそもそも動作しないなどの問題がある
 • バージョンが古いライブラリを使うケースがありセキュリティリスクの可能性がある
 • 著作権・特許侵害の可能性もある(次頁)
 
 対策
 • テスト駆動開発(TDD)がコーディングエージェントのガードレールになりうる
 • セキュリティ解析ツールの利用
 • 別の AI にコードレビューを依頼
 品質・セキュリティの課題 

  23. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 23 生成

    AI の出力は第三者の著作権・特許を侵害する恐れがあります 
 とは言われても、正直エンジニアがひと目見て著作権 or 特許侵害とはわからないしその出力確率も不明
 
 著作権
 • コードそのものが対象
 • 一方で表現に創作性が必要(単純な処理の記述では創作性は認められない)
 
 特許
 • コードによって実現される技術的なアイデアや機能が対象
 • コードそのものは対象外
 
 対策にはサービス側の補償やガードレール技術の適用を検討 
 • 第三者の著作権・特許侵害での訴訟費用をサービス提供側が負担(Claude, Devin, GitHub, etc...)
 • 一致するコードがあった場合、当該コードを参照 or ブロックする機能を提供(GitHub)
 生成 AI 利用による訴訟リスク対策 

  24. © NTT DOCOMO BUSINESS, Inc. All Rights Reserved. 25 Agentic

    Coding 
 • これからは人間の指示のもと AI が自ら計画を立て、エラーを修正し、開発を進めていく
 • そのためのツールやプロトコル(MCP, Agent.md, A2A)の標準化が進められている
 
 Vibe Coding と Spec-Driven Development 
 • Vibe Coding: AIとの対話の「ノリ(Vibe)」と「意図」だけで開発をするため楽だが破綻しやすい
 • SDD: 仕様書を作り、それをもとに AI を制御しながら開発をする
 
 開発生産性 
 • 生産性: AI を使うことでソフトウェアデリバリースループットとプロダクトパフォーマンスは上がる
 • 安定性: AI を使うことで下がる傾向にある
 
 その他
 • セキュリティや著作権の懸念があるため対応は必要
 まとめ