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KampoDBをより使いやすくするための大幅更新
奥 牧人 (富山大学)
2022/03/11
第69回 バイオ情報学研究会

Transcript

1. KampoDBをより使いやすくするための 大幅更新 奥 牧人 (富山大学) 2022/03/11 第69回 バイオ情報学研究会 1 / 29
2. Agenda はじめに 表示と構成に関する変更点 実装に関する変更点 データに関する変更点 未解決の課題 大幅更新の効果 まとめ 2 / 29
3. Agenda はじめに 表示と構成に関する変更点 実装に関する変更点 データに関する変更点 未解決の課題 大幅更新の効果 まとめ 3 / 29
4. KampoDBとは? KampoDB は、漢方処方、生薬、天然化合物、蛋白質などの 関係をまとめたデータベース URL: https://wakanmoview.inm.u-toyama.ac.jp/kampo/ 元論文: R. Sawada, et al., Sci. Rep., 8:11216 (2018). 4 / 29
5. 他のデータベースとの違い 漢方処方や生薬の情報を含むデータベースは他にもある。 KEGG KNApSAcK Metabolomics.jp 伝統医薬データベース KampoDBの特色 化合物と蛋白質の結合予測 (構造ベース、リガンドベース) エンリッチメント解析 5 / 29
6. 大幅リニューアルに至った経緯 私 (奥) はKampoDBの構築には一切関わっていない。 2019年5月: 奥が管理担当になる 2019年9月: 調査結果を第59回バイオ情報学研究会で報告 → 現状の整理と問題点の指摘 2020年1月: 和漢研の所内アンケート実施 → KampoDBが使いづらいとの指摘 そこで、KampoDBをより使いやすくするため、 2021年7月15日に 大幅にリニューアル した。 6 / 29
7. Agenda はじめに 表示と構成に関する変更点 実装に関する変更点 データに関する変更点 未解決の課題 大幅更新の効果 まとめ 7 / 29
8. ページ毎に固有のURL これまでは、ウェブサイト内でボタンを押したりした時に、URL が変わらずに画面表示のみが変わる方式が多用されていた。 問題点 Googleなどの検索サイトから個々のページを探せない。 他のデータベースとページ毎の相互リンクが出来ない。 ページ毎に固有のURL を割り当て、切り替わるようにした。 葛根湯: https://wakanmoview.inm.u- toyama.ac.jp/kampo/formula/KT 六君子湯: https://wakanmoview.inm.u- toyama.ac.jp/kampo/formula/RKT 8 / 29
9. 検索ボックスの統合 これまでは3部に分かれていた。第1部と第2部には検索ボックス が4つずつあった。第3部には検索ボックスが無かった。 どのページも一つの検索ボックスで検索出来るようにした。 大文字と小文字を区別しない方式 (case-insensitive) にした。 9 / 29
10. 長い一覧の分割表示 長い一覧は10件ずつ分割表示 (pagination) するようにした。 10 / 29
11. 全体構成の見直し これまで3部に分かれていた内容を1つにまとめた。 11 / 29
12. 結合強度の6段階表示 化合物と蛋白質の結合強度を 6段階表示 にした。 12 / 29
13. 結合強度の6段階表示の詳細 Level Affinity's range (kcal/mol) Ratio 1 53.3 % 2 27.2 % 3 13.5 % 4 4.6 % 5 1.2 % 6 0.2 % 13 / 29
14. Agenda はじめに 表示と構成に関する変更点 実装に関する変更点 データに関する変更点 未解決の課題 大幅更新の効果 まとめ 14 / 29
15. 実装に関する変更点 リニューアルに伴い実装も変えた。 項目 変更前 変更後 バックエンド JavaServer Pages (JSP) PythonのFlask フロントエンド jQuery Vue.js RDB管理システム PostgreSQL SQLite 分子描画ライブラリ JSmol 3Dmol.js マシン 物理マシン 仮想マシン 通信プロトコル https (2020年2月より) https 15 / 29
16. 分子描画ライブラリの変更 分子描画ライブラリを 3Dmol.js に変更した。 分子の表示がより滑らかになった。 JSmol 3Dmol.js 16 / 29
17. Agenda はじめに 表示と構成に関する変更点 実装に関する変更点 データに関する変更点 未解決の課題 大幅更新の効果 まとめ 17 / 29
18. データに関する変更点 外部の情報源から取得しているデータの多くを最新版にした。 識別子も一部変更した。 独自データは少し整理しただけで、追加や更新はしていない。 エンリッチメント解析は、これまでは事前に計算した結果を表示 していたが、その場で計算する方式に変えた。 データの種類 更新前 更新後 SQLで扱うデータ 80 MB 173 MB PDB形式のデータ 35 GB 14 GB 18 / 29
19. 情報源の一覧、その1 情報源 利用した情報 Hagihara, et al., (2017) 漢方処方の一覧、漢方処方の英語略号 漢方処方ローマ字表記法 漢方処方のローマ字表記のルール 一般用漢方製剤製造販売承認基準 漢方処方と生薬の関係 KEGG 同上 第十八改正日本薬局方 生薬の基本情報、生薬と基原植物の関係 日本薬局方外生薬規格2018 同上 伝統医薬データベース 同上 KNApSAcK 基原植物と化合物の関係 19 / 29
20. 情報源の一覧、その2 情報源 利用した情報 PubChem 化合物の名前とCID CTD 化合物と蛋白質の関係 NCBI 遺伝子の記号とEntrez gene ID Gene Ontology Consortium GO注釈 UniProt UniProt IDとEntrez gene IDの関係 KEGG KEGGパスウェイ、疾患 ChEMBL リガンドベース予測 (変更なし) SAHG 構造ベース予測 (変更なし) 20 / 29
21. Agenda はじめに 表示と構成に関する変更点 実装に関する変更点 データに関する変更点 未解決の課題 大幅更新の効果 まとめ 21 / 29
22. 課題の対応状況 過去の調査で見つかった課題の多くは解決した。 ✓ 検索ボックスの統合 ✓ 長い一覧の分割表示 ✓ 分子描画ライブラリの更新 ✓ 全体構成の見直し ✓ 仮想サーバへの移行 × docker化 ✓ https化 ✓ Web APIの作成 22 / 29
23. 未解決の課題 追加課題と、今回対象外とした独自データに関する課題は未解決 × 日本語版の作成 × 蛋白質データの変更 (X線結晶構造解析 データ、AlphaFold DBのデータなど) × 可動部の設定 × 元から結合しているペプチドの除去 × 探索範囲の限定 × AutoDock Vinaより新しいソフトウェア (もしあれば) × 化合物の追加 × 結果の無い箇所の再計算 23 / 29
24. Agenda はじめに 表示と構成に関する変更点 実装に関する変更点 データに関する変更点 未解決の課題 大幅更新の効果 まとめ 24 / 29
25. 大幅更新の効果 Google Analyticsで大幅更新前 (2019/5/9 – 2021/7/14) と 更新後 (7/16 – 11/30) を比較した。 1日当たりのページ閲覧数とユーザ数が 約2倍 に増えた。 name before after page views per day 9.30 ± 0.52 17.30 ± 1.65 number of users per day 2.31 ± 0.06 4.83 ± 0.25 number of sessions per day 2.56 ± 0.07 5.23 ± 0.28 average session duration (s) 108.2 ± 9.0 90.0 ± 15.0 bounce rate (%) 55.5 ± 1.4 69.4 ± 2.1 mean ± standard error 25 / 29
26. 利用統計の時系列 ページ閲覧数とユーザ数は確かに大幅更新以降で増えていた。 直帰率は2020年2月に急激に増加し、その後は横ばいだった。 つまり、大幅更新により増えた訳ではなかった。 26 / 29
27. Agenda はじめに 表示と構成に関する変更点 実装に関する変更点 データに関する変更点 未解決の課題 大幅更新の効果 まとめ 27 / 29
28. まとめ KampoDBを大幅更新した。 表示と構成、実装、非独自データに関する変更・更新をした。 1日当たりのページ閲覧数とユーザ数が約2倍に増え、改善の効果 が示唆された。 一つ一つは些細なことかもしれませんが、 それらの積み重ねで、以前より使いやすく なってくれたことを期待しています。 28 / 29
29. ご清聴どうもありがとうございました! 29 / 29