正直であることから始める / Start by being honest.

RSGT 2024 Day 2 スポンサーセッション

Transcript

1. 正直であることから始める 株式会社ビットキー　パウリ　2024/01/11 1
2. 「誠実な組織」になるために 「正直」であることから始める 2
3. 目次 はじめに 意識的な嘘への対処 無意識の嘘への対処 さいごに 3
4. はじめに 4
5. 自己紹介 パウリ / @pauli_agile 株式会社 ビットキー / VPoE Office EM、スクラムマスター、技術広報 ... アニメ、ディズニー、 、 、 最近 Corne Cherry V3 を買った はじめに 5
7. 今世の中では誠実な組織が求められています では誠実な組織とは何か？ 何から始めれば良いか？ そんなお話ができればと思います 7
8. 「誠実な組織」になるために 「正直」であることから始める 8
9. 「誠実な組織」になるために 「正直」であることから始める 9
10. 参考：https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2993-1 10
11. 2つの実験 1. Honesty saves time (and justifications) 2. The implicit honesty premium: Why honest advice is more persuasive than highly informed advice.© Request Permissions 11
12. 2つの実験 1. Honesty saves time (and justifications) 2. The implicit honesty premium: Why honest advice is more persuasive than highly informed advice.© Request Permissions 12
13. 2人でカップにダイスを見えないように入れて振り、高い目が出た方に賞金 Honesty saves time (and justifications) https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2013.00473/full 13
14. 振り終わった直後にダイスの目を聞くと正直な回答が多かった Honesty saves time (and justifications) https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2013.00473/full 14
15. 振り終わった後少ししてからダイスの目を聞くと嘘の回答が多かった Honesty saves time (and justifications) https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2013.00473/full 15
16. “dishonest responses do not seem to be a truly automatic tendency but rather do they take more time and cognitive effort than truthful responses.” 「不誠実な回答は真に自動的な傾向（無意識）ではなく、 むしろ真実の回答よりも時間と認知的努力を要するよう だ。」 Honesty saves time (and justifications) https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2013.00473/full 16
17. “dishonest responses do not seem to be a truly automatic tendency but rather do they take more time and cognitive effort than truthful responses.” 無意識下では正直であろうとしていて、また嘘をつく時は 意識的である Honesty saves time (and justifications) https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpsyg.2013.00473/full 17
18. 2つの実験 1. Honesty saves time (and justifications) 2. The implicit honesty premium: Why honest advice is more persuasive than highly informed advice.© Request Permissions 18
19. 販売員から車の説明を受ける The implicit honesty premium: Why honest advice is more persuasive than highly informed advice.© Request Permissions https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fxge0000677 19
20. 事前に「インセンティブが入る」「たまに間違える」と吹き込まれる The implicit honesty premium: Why honest advice is more persuasive than highly informed advice.© Request Permissions https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fxge0000677 20
21. 顧客に対し真摯に対応としたとしても、その助言に応じない傾向に The implicit honesty premium: Why honest advice is more persuasive than highly informed advice.© Request Permissions https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fxge0000677 21
22. 正直なだけではなく、善意に基づく行動で、自身の損得で なく相手を思っての行動でないと人は動かない 22
23. なぜ正直ではなく 誠実 ？ 23
24. なぜ正直ではなく 誠実 ？ →正直である（真実）だけではなく、善意に基づく行動 （公正）で、自身の損得でなく相手を思っての行動（目 的）である必要がある 24
25. 参考：https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2993-1 25
26. 参考：https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2993-1 26
27. 参考：https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2993-1 27
28. 参考：https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2993-1 28
29. 参考：https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2993-1 29
30. 自分は誠実であろうとし、他者に対しても誠実であること を求める 30
31. お互いに誠実であろうとし、誠実であることを求めている 中でなぜ隠し事や嘘が発生するのか？ 31
32. 不誠実な行動がそそのかれる環境においては、徐々に不誠 実に屈してしまうと言うこともわかっている ※ "The brain adapts to dishonesty" より（時間の都合で詳細な実験内容は割愛） https://www.nature.com/articles/nn.4426 32
33. お互いに誠実であろうとし、誠実であることを求めている 中でなぜ隠し事や嘘が発生するのか？ 33
34. お互いに誠実であろうとし、誠実であることを求めている 中でなぜ隠し事や嘘が発生するのか？ →不誠実な行動がそそのかれる環境の可能性 34
35. 不誠実な行動がそそのかれる環境はどう生まれてしまうの か？ またどうその環境を変えていけば良いのか？ 35
36. 意識的な嘘（≒不安）への対処 36
37. どこかのレトロスペクティブ 37
38. どこかのレトロスペクティブ 38
39. どこかのレトロスペクティブ 39
40. どこかのレトロスペクティブ 40
41. どこかのレトロスペクティブ 41
42. どうしてこうなった？ Aさんが「正直に話す」ことから状況は好転しそうですが、 過去に遡って、どうしてこうなったのか見てみましょう 42
43. 「緊急対応のリリースが遅れた」というProblemに対するTryを相談している 43
44. 「緊急対応のリリースが遅れた」というProblemに対するTryを相談している 44
45. 「緊急対応のリリースが遅れた」というProblemに対するTryを相談している 45
46. 「緊急対応のリリースが遅れた」というProblemに対するTryを相談している 46
47. 「緊急対応のリリースが遅れた」というProblemに対するTryを相談している 47
48. こういう問答が何度かあった後のレトロスペクティブ 48
50. Aさんが正直に話さなくなってしまったのはなぜか 50
52. お互い正直には話せているが... Bさんが非協力的に見える Bさんへ説明するハードルが高く思われている 52
53. 人の行動は以下で制御されている 心理的安全性のつくりかた：https://pub.jmam.co.jp/book/b517388.html 53
57. ではどうすればよかったのか？ 57
66. 正直に話し、正直に話してくれたことを賞賛する 66
67. 他の場面でも同じようにこれに当てはめる 67
68. 何かに挑戦した際の「みかえり」 より高い水準での挑戦へ 68
69. 対人関係のフィードバックをした際の「みかえり」 コミュニケーションの改善により、会議が闊達に 69
70. 意識的な嘘や隠し事は認知的な活動であり、何かしらの意 図があるはず 一つ一つの意見（＝それぞれの真実）に正直に、かつ相手 を尊重し対応する 70
71. 無意識の嘘への対処 ※ ここから文字文字します 71
72. こんなことないですか？な例 72
73. Cさん「今週は業務量が多かったんです 」 73
74. Cさん「今週は業務量が多かったんです 」 × N週間連続 74
75. 何があったか？ Cさんの業務を分解すると、他者の巻き取りや差し込みの対応など この業務量はCさんのチームリーダーが全てを「完璧」にこなそうとした →全ての計画や問い合わせに対してミスなく最速で対応し切ると言う思いから生まれていた 75
76. この「真実」に対し、 76
77. The U.S. Naval Institute on Leadership Ethics とあるトップ成績の士官が、同じくチームに高い水準の成績を求めたところ 部下の（飲酒などの）問題行動などを止めることができなくなってしまった 参考：https://amzn.asia/d/9EGoFts 77
78. The U.S. Naval Institute on Leadership Ethics " まず必要なのは、失敗は恥じるべきものではなく、成長や改善を促す独自の価値を持つもの だと再定義することだ。求めるべきは完璧さではない。 次に、失敗を成功につなげられるような安全な空間づくりに努めなくてはならない。失敗は 反省を促し、反省は自己認識を促し、自己認識は状況への適応を促し、適応によってパフォ ーマンスの改善がもたらされる、と伝えることが大切だ。" （海軍上級士官　ニーハイム氏） 参考：https://amzn.asia/d/9EGoFts 78
79. もしかしたらこんな不正が常態化するかも... 1. ダマでの残業 2. テストを通さない（通したと嘘をつく） 3. 可読性・保守性の低いソースコード 79
80. 「公正」な状態を求めて各々の「真実」を語り合う 1. Cさん i. チームリーダーが「完璧」を求められる状況を知りに行く ii. チームリーダーの価値観を知りに行く 2. チームリーダー i. 失敗から学べる環境を構築する（ex ふりかえり） ii. 隣接諸組織との調整 80
81. こんなことないですか？な例 81
82. リファインメント時 PO「今後予約関連機能を拡充していくぞ！まずは予約時に残予約可能枠数が表示されるよう にしましょう」 開発「いいですね！ただやりたいのは山々なんですが、技術的負債がある部分なので時間が かかってしまいます。具体的にはこれくらい」 PO「えぇ、エグいですね...。ROI考えると他のを優先せざるを得ないか...。」 82
83. Nカ月後 PO「今後予約関連機能を拡充していくぞ！まずは予約時に残予約可能枠数が表示されるよう にしましょう」 開発「いいですね！ただやりたいのは山々なんですが、技術的負債がある部分なので時間が かかってしまいます。具体的にはこれくらい」 PO「えぇ、エグいですね...。ROI考えると他のを優先せざるを得ないか...。」 83
84. なんだかモヤモヤ お互い「真実」を話せてはいるが、なんというかこれでいいのか感... 84
85. ここで必要なのは 参考：https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2993-1 85
86. 「目的（パーパス）」とは パーパスとは、「うわべだけのものがいずれ本物になる」ようなものではない。本心か ら生まれたものでなければ、そのパーパスはないのと同じだ。そしてそのようなうわべ だけのパーパスは、人々にもすぐに見抜かれる。 パーパスは、社会における組織の真の役割や存在価値を定義し、ビジネスの成長と世界 へのポジティブな影響をもたらす。組織、ブランド、およびそれらが提供するエクスペ リエンスは、パーパスに深く根差したものでなければならない。 （エデルマン・トラストバロメーターから引用） 参考：EDELMAN TRUST BAROMETER：https://perma.cc/BWH7-NNSH 86
87. どうすれば「目的（パーパス）」が実現できるか 参考：EDELMAN TRUST BAROMETER：https://perma.cc/BWH7-NNSH 87
88. 「伝える」そして「実践する」こと 参考：EDELMAN TRUST BAROMETER：https://perma.cc/BWH7-NNSH 88
89. 先の例では、 1. POがなぜ予約機能の改修が重要なのかを伝える 2. 優先度が高いのであれば曲げない（諦めない） 3. 開発チームはPOに寄り添い「目的」の解釈を進める 4. 全体で目的を遂行するための現実的なプランを練る のような対応が求められる 89
90. 本筋と関係ない補足 「予約機能関連の体験向上なので頻繁に仮設検証を加えたい」のであれば 「頻繁に仮設検証を加えられるようなアーキテクチャにする」と言う要求もセットであると 解釈できる これを機にバックログに「開発プロセスにおける要件は何か」などシステム以外の期待の調 整を進めると良いかも 90
91. このように現場で発生している 嘘や隠し事がなぜ発生しているのか 真実・目的・公正の軸で考えると 事態が好転するかもしれません 参考：https://d21.co.jp/book/detail/978-4-7993-2993-1 91
92. さいごに 92
93. まとめ 共通して人は「正直に話さない」のではなく「正直に話せない」 だからこそ、もし近い環境に遭遇したらまず自分が「正直に話すことから始め」てみましょ う。 それによってチームメンバーや組織にどんな変化が働くでしょうか。または変化しないでし ょうか。 その際必要なのは真実、目的、公正のどれでしょうか。 誠実な組織を作るために考えていきましょう 93
94. We are Hiring! などなど、たくさんのポジションで 募集中！ 1. スクラムマスター 2. PdM 3. EM 4. ソフトウェア・モバイ ルエンジニア 94