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次世代図書館専門課程(2020年)_第1回02
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都市経営プロフェッショナルスクール
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October 01, 2020
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次世代図書館専門課程(2020年)_第1回02
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Transcript
都市経営プロフェッショナルスクール 次世代図書館専門課程 「地域社会、地域経済を支援する図書館」 ②「これからの図書館」をどう創造し経営するか 奈良大学 文学部(司書課程) 嶋田 学
1.「これからの図書館」をどう創造し経営するか 1)公設公営(直営)の図書館経営の優位性とは? 2)図書館の公共性の意味を問い、そのあり方を再構築する 3)「ものがたり」、「コミュニティ」の提供を考える
1.「これからの図書館」をどう創造し経営するか 1)公設公営(直営)の図書館経営の優位性とは? *言われていること ・司書の継続的雇用によって、経験や知識が蓄積され 専門性の維持向上が担保される。 → 雇用環境の変化(職員の継続的雇用は縮小) 専門職制を維持していない自治体では困難 → むしろ司書比率は外部委託によって高まる
・住民協働、行政連携がスムーズに展開できる。 → 武雄市図書館(いわゆるツタヤ図書館) 「認知症カフェ」(社会福祉協議会) 「ブックスタート」(子育て支援課+読書ボランティア)
1.「これからの図書館」をどう創造し経営するか 1)公設公営(直営)の図書館経営の優位性とは? *自治体政策の展開という観点で図書館施策を捉えてい るか? *住民の暮らしや仕事を「学び」という視点で捉え、資料・ 情報の選定や提供企画を検討、実施しているか? *経営環境を自明視せず、住民ニーズや時代状況に即し て改善していく思考と実践を行っているか。 *住民を単なるサービス対象としてではなく、自治の担い手 と捉え、パートナーシップをもって接しているか?
1.「これからの図書館」をどう創造し経営するか 2)図書館の公共性の意味を問い、そのあり方を再構築する *「公共」とは、「みんなの…」ということ → 一部の住民の図書館サービスになっていないか? → 「強いニーズ」 = 「多くの住民」とは限らない 「みんな」を意識してニーズを把握し、ウォンツを引き出せ
ているか? ↓ さらには、「みんな」との積極的な関係性の構築を通して、 住民や地域社会にあるニーズを創出できているか…。
1.「これからの図書館」をどう創造し経営するか 2)図書館の公共性の意味を問い、そのあり方を再構築する *関係性マーケティング 「売り手と顧客が相互作用、双方向コミュニケーションを 通して信頼性を構築しながら、立場を超えて一体化する ことにより、新して価値を創っていく」という概念。 → 需要が潜在的に存在するという前提に立ちニーズを 考えるのではなく… →
顧客との交互作用的なコミュニケーション活動によっ て生まれるニーズは、売り手と顧客との間に共創的 に生まれる、と考える。 『図書館制度・経営論』(ミネルヴァ書房)第9章 永田潤子
1.「これからの図書館」をどう創造し経営するか 3)「ものがたり」、「コミュニティ」の提供を考える ここで言う、「ものがたり」とは、文学表現としてのものだけで はない。 人が生きる営みの中で繰り広げられる「暮らし」「仕事」 「所得に関わらない社会活動」など、様々な生活時間の中で の「意味の流れ」(鈴木均)のことを指す。 → それは、ほかの何かと交換可能な「価値」を超えて、 唯一無二の「私」の生きている「意味」を現わす表象
である。
1.「これからの図書館」をどう創造し経営するか 3)「ものがたり」、「コミュニティ」の提供を考える 一人ひとりの「私」が生きる瞬間にある「意味の流れ」を より有意義な「ものがたり」にするために、図書館がなす べきことがある。 → 「私」の生の営みを、より豊かに、そして「私」にとって 有意なものにするために、必要な知的支援をするのが 図書館の使命である。 →
それは、図書館が保有、提供する資料、情報群だけで はなく、そのコミュニティに集う「他者」たちによってもた らされる知識や情報、コミュニケーションも含まれる。
1.「これからの図書館」をどう創造し経営するか 3)「ものがたり」、「コミュニティ」の提供を考える → それは、図書館が保有、提供する資料、情報群だけで はなく、そのコミュニティに集う「他者」たちによってもた らされる知識や情報、コミュニケーションも含まれる。 → つまり、図書館は「私」と「知的資源」の出会いがもたら す「ものがたり」の醸成を支援するとともに、「私」と「他 者」のコミュニケーションを成立させる「コミュニティ」をも
提供することができる。 そして図書館自体が、「コミュニティ」を生成させるという 営みにも関われることを意味している。
2.「これからの図書館」のために… 1)経営環境の観察と比較検討 2)住民と一緒に「これからの図書館」を考える機会をつくる 3)住民と共に「これからの◦◦図書館未来計画」を策定する 4)ひとりの図書館員として
2.「これからの図書館」のために… 1)経営環境の観察と比較検討 「財政が厳しいから予算が少ない…」は本当か? 人口、一般会計、財政力指数、経常収支比率などが類似 している自治体の、図書館費、利用状況を比較してみる。 → 上記が同程度で、図書館費の対一般会計比が、他の 自治体より低い場合は、政策優位性が低い。 → これを高めていくにはどうするか…
*類似自治体は、なぜ、「うちの図書館」より予算が 多いのか? → どんな経営をしているか、真似び、学ぶ。
2.「これからの図書館」のために… 2)住民と一緒に「これからの図書館」を考える機会をつくる *「公共」の仕事を官が独占してやり切れるほどに、社会 の状況は単純でなくなった。 *多様な価値観、立場、環境、課題、展望の中にある住民 の人生を「教育と文化の発展に寄与する」(図書館法第1条) という目的のもと、資料・情報の提供を通して支援するとい う図書館の任務を、図書館情報学という専門性のみに依 拠として、わずかな人員でやり切れると考えるのは、あまり に不遜。
→ 住民協働とは、目的でも課題でもなく、公共図書館とい う責務と仕事を全うするために、避けては通れない手段。
2.「これからの図書館」のために… 3)住民と共に「これからの◦◦図書館未来計画」を策定する *自己完結的に「図書館サービス計画」を策定するのも、 ひとつの責任ある仕事の仕方であるが、もし、モチベーシ ョンの向上も含めて、組織の活性化を図りたいのであれ ば、住民との交流ベースでわが町の図書館の未来計画を 創るという選択肢もあり得る。 → ただし、行政機関のひとつとして、何が課題であるか、 また、どのような展望を組織として模索しているか、と
いう程度の姿勢は示さないと、「住民丸投げ」となって しまう。
2.「これからの図書館」のために… 4)ひとりの図書館員として *それぞれの環境での実践と課題、展望を整理して、文章 化してみる。 → 書くことで、自身の感じていることや考えていることを 可視化でき、周辺の環境を相対化して把握する訓練 になる。 *実践や課題の記録は、組織での施策の構築や事業企画 の素材として必ず活きてくる。
*住民との意見交換や計画づくりワークショップなどの企画 構成の素材としても活用できる。 *業界の雑誌に投稿し、実践や問題意識の共有化を図る。
3.「これから図書館」がめざすもの *社会(世界)の変化に対応した情報提供を行いつつ、その 情勢が生み出す諸課題の解決につながるサービスを模索 する。(半歩先と最後尾の両方への目配せ) *これまで当たり前であった日常的な価値(暮らしや仕事)が 科学技術の進歩によって大きな変化を余儀なくされる時代、 その状況が要請する価値観や役割のみを「情報ニーズ」と 捉えるのではなく、ダイバシティ(多様性)を確保すべく、広 い視野で情報提供を志向する。 *「文明」の進展のため、「生産」だけでなく「思考」までを「外
部化」していく社会と切り結ぶためには、人が人として、人ら しくあるための「文化」という営みを豊かにしていきたい。
3.「これから図書館」がめざすもの 「これからの時代」「これからの状況」「これからの世界」を生 きる人々のために、図書館はどのような『これから』を検討し、 実践していくのか、という問い。
3.「これから図書館」がめざすもの Q.「これから」とは、どのような時代、状況になっていくのか? ・子どもたちの状況 ・学校(義務教育現場)の状況 ・高齢者といわれる人々の状況 ・コミュニティの状況 ・生活文化の状況 ・消費生活の状況 ・経済、産業の状況 ・「幸福感」という価値の状況