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「スクラムマスターしているけど、 上手くできている気がしない」からの脱却!チームへ影響を与えら...
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吉野正義
January 08, 2025
Business
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「スクラムマスターしているけど、 上手くできている気がしない」からの脱却!チームへ影響を与えられるスクラムマスターになるために
Regional Srum Gathering Tokyo 2025での登壇資料です
吉野正義
January 08, 2025
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Transcript
「スクラムマスターしているけど、 上手くできている気がしない」からの脱却! チームへ影響を与えられるスクラムマスターになるために 正義@RSGT2025
自己紹介 👤吉野 正義(せいぎ) 🖥アジャイルコーチ 📣スクラムフェス神奈川 🎧Podcast「yoriyoku.fm」
スクラムマスターにとって、苦しい問題
スクラムマスターにとって、苦しい問題 チームに影響を与えることができない
「チームに影響を与える」とは? 物事や人に働きかけて、反応や変化を起こさせること スクラムマスターであれば、所属しているチームに対し、働き方や考え方にポジ ティブな変化を与えて、チームが自律して活動できるように支援します 例えば... • スクラムをチームで体現できるようになる • モブワークを実施し、フロー効率を高める •
様々なふりかえり手法を使えるようになる
今日お話しすること 良い影響を与えられないことはスクラムマスターにとって苦しい問題の一つです 「どのように振る舞えば、チームメンバーへ良い影響を与えることができるのか」 について、私の考えをお伝えします
今日の流れ 前提 第1章 第2章 第3章 人の行動や考え方が簡単に変わらない理由 まとめ 主体性を持つ 理想を描く 優先事項を把握し、優先する
人のパラダイムを変えるためには
今日の流れ 前提 第1章 第2章 第3章 人の行動や考え方が簡単に変わらない理由 まとめ 主体性を持つ 理想を描く 優先事項を把握し、優先する
人のパラダイムを変えるためには
行動や考え方は思考の枠組みによって形成される 人の中にある思考の枠組みが、行動や考え方を生み出している 行動 考え方 思考の枠組み
パラダイム(思考の枠組み) 物事を捉える際の枠組みや前提、価値観、理論、信念の集合体
パラダイムの例 資本主義 サステナブル経済 フェーズゲート開発 アジャイル開発 競争 協調 失敗するのは恥ずかしい 失敗は成長の一部 色々なパラダイム
他のパラダイム
行動や考え方を変えたい場合は、枠組みから変える必要がある 行動や考え方のみを単発的に変えようとしても、パラダイムが変わっていないと 行動や考え方が変わらなかったり、すぐ元に戻ってしまう 行動 考え方 アジャイルな開発が大切 WBSで管理をしよう 分業中心
パラダイムは、他者から容易には変えられない パラダイムを定めるに至った背景やストーリーがあるため、必要と感じたりしな い限り更新がなかなか行われない
では、スクラムマスターは どうすれば良いのか?
今日の流れ 前提 第1章 第2章 第3章 人の行動や考え方が簡単に変わらない理由 まとめ 主体性を持つ 理想を描く 優先事項を把握し、優先する
人のパラダイムを変えるためには
スクラムマスターだからこその主体性
スクラムマスターにとって主体性はとても大切 主体性を発揮することで、人は以下のように見られる • 責任を持てる • 自ら進んで行動できる • 周囲に良い影響を与えられる 結果、信頼を獲得し、他者へ影響できるようになる
主体性の2つの側面 自分自身のコントロール 率先力
主体性の2つの側面 : 自分自身のコントロール 自分の選択と行動に責任を持ち、外部環境や他者に依存することなく、自らの価値 観や意思によって決めること 刺激と反応の間に、自身が考えられる選択肢を考え、反応を選択する 刺激 反応 刺激 選択の自由
反応 コントロール できていない状態 コントロール できている状態
スクラムマスターだからこそ、様々な状況に冷静に対処できる場面がある 例えば... • チームメンバー間での意見の衝突 • ステークホルダーからの強い要求への対処 • 障害など急な割り込みに対しての調整 スクラムマスターは精神的な支柱になる役割を担うことができるため、「自分自 身のコントロール」を発揮することが、チーム全体の安定感や前向きな雰囲気を
維持でき、結果チームからの信頼獲得につながる 主体性の2つの側面 : 自分自身のコントロール
主体性の2つの側面 : 率先力 物事に対し責任を持ち、自ら率先して行動し、状況を改善しようとする姿勢
主体性の2つの側面 : 率先力 スクラムマスターはチームに必要なサポートや変化を察知し、自ら行動を起こ してチームを前進させる場面で率先力を発揮する 例えば... • スプリント内のタスクに対し、障害となる事柄の察知 • レトロスペクティブのマンネリ化をさけるため、別の手法を提案
• 「このままの進め方で良いのか?」と感じたときに、チームミッションや ありたい姿の問いかけ
スクラムマスターが率先して行動するのは良いのか? チームの自律性を高めるため、スクラムマスター自身で行動し解決するのではな くチームにできるようになって欲しい しかし、チームの優先度やパラダイムによっては、チームに行動してもらうよう に影響するのは、難しいケースも出てくる そのため、まずは自分で率先して行動し、背中を見せていく活動を選択すること も状況によっては必要となる
• 関心の輪と影響の輪がある • 自分がコントロールできるのは、影響の輪の中のこと 自分が影響できる範囲には限りがある 関心の輪 影響の輪 自分がコントロールでき、 影響を与えられる領域 興味や関心はあるが、自分が直接
影響や変化を与えられない領域
• 関心の輪の事柄について、直接影響を及ぼすことは難しい • そのため、影響の輪での活動を通じて関心の輪へ影響する 関心の輪への影響は、影響の輪から行う 関心の輪 影響の輪
自分が直接影響できることを把握する “自分から動く” と “他者に動かされる” では、効果性に天と地ほどの差がある 「叩き台を作る人がえらい」と聞くぐらい、物事に対し率先して行動している人 は周囲に影響を及ぼしやすい ※ 何も考えずに行動したり、自身の行動を押し付けるの間違いなので注意
主体性の2つの側面 自分自身のコントロール 率先力 チームに影響するため の土台となる 主体性を形成
主体性を発揮することで、 チームへ良い影響を与えやすくなる
今日の流れ 前提 第1章 第2章 第3章 人の行動や考え方が簡単に変わらない理由 まとめ 主体性を持つ 理想を描く 優先事項を把握し、優先する
人のパラダイムを変えるためには
理想を描くスクラムマスター
理想を描くとは? 理想を考え、それを念頭に置いて行動をできるようにする 単にゴールを思い描くだけではなく、そのゴールを実現するためにどのような道 筋をたどると良さそうか想定する
チームにとって良い学びへ繋げられるか? スクラムマスターにとって、想像すれば結果がわかることは色々ある 想定される結果を複数パターン事前に考えておくことで、チームがつまずいてし まってもスクラムマスターが適切に軌道修正し、チームの経験値を良い形で増や すことができる しかし、スクラムマスターの想定していないつまずき方をしてしまった場合、立 ち直るまでの負荷はチームメンバーとスクラムマスターにとって想定外のコスト になり、ゴールの達成が目指せなくなってしまう可能性がある
チームが悩んでしまいそうな箇所は色々想定できる 例えば、チームがスクラムを始めるケース • プロダクトバックログ作り • スプリントゴールの設定 • スプリントレビューの開催方法 • 見積もりの活用方法
適切なタイミングでフィードバックを行うと効果的 チームにフィードバックを行うタイミングは非常に重要 タイミングによって、フィードバックがポジティブに受け取られてチームの改善 や成長に繋がるか、それとも抵抗感を生むかが変わってしまう
理想を描く = 知的創造 すべてのものは二度作られる原則に基づく 2つの創造 第1の創造 = 知的創造 目的・目標を考える 第2の創造
= 物的創造 目標を達成するための戦略を考える 知的創造が欠如していると、物的創造が いくらよくても失敗する可能性が高くなってしまう リーダーシップの発揮
とはいえ、スクラムマスターのリーダーシップは難しい スクラムガイドを振り返ってみる • 2013 と 2017 : スクラムマスターは、スクラムチームのサーバントリーダーである(訳注:メン バーが成果を上げるために支援や奉仕をするリーダーのこと) •
2020 : スクラムマスターは、スクラムチームと、より⼤きな組織に奉仕する真のリーダーである https://www.agile-studio.jp/post/scrum-guide-update-2020 > Scrum Inc. Japan からスクラムガイドの執筆者のひとりである Jeff Sutherland 氏 に確認をとったと ころ、同じものだよという回答が返ってきたそうです。 > 「リーダー」という言葉を使うことによってボス的なリーダーを連想される懸念もありますが、それよ りもサーバントリーダーが単にサーバントになってしまっているという懸念が上回ったのでしょう。
「サーバント」とは、英語で「使用人」「召使い」「奉仕者」 • 単なるサーバントにならないように注意 サーバントリーダーシップとは • リーダーが積極的に関わり、意見に耳を傾ける • チームの意見を引き出し、可能性を生み出す • そのうえで組織の進むべき方向を指し示し、支援することでチームを導く
サーバントリーダーシップ
チームが成長する過程をスクラムマスターが 想定しておくことでリーダーシップを発揮し チームを適切に成長へ導くことができる
今日の流れ 前提 第1章 第2章 第3章 人の行動や考え方が簡単に変わらない理由 まとめ 主体性を持つ 理想を描く 優先事項を把握し、優先する
人のパラダイムを変えるためには
スクラムマスターのセルフマネジメント
スクラムマスターは忙しい スクラムマスターとして活動していると、どんどん忙しくなる • チームの課題だと思うことが多く見つかる • チームを取り巻く環境に対しても、解決したい課題が見つかる • インシデント対応等、スクラムマスター以外の業務も入ってくる
自身にとっての優先事項を明確にする 限られた時間を効果的に使う必要がある そのためにできることはシンプルで... 「優先順位をつけ、実行する」
優先順位は無造作につけると苦しい状況になる 期日のある仕事、インシデントへの対応などは上位に入ってくる 次にチームへの投資につながる活動を入れたい しかし、実際は「定常的なMTGの準備」や「1on1」などで予定が埋まっ てしまい、気がついたら様々なことに追われている日々に...
そのため、自身にとって優先すべきことを見える化する 時間管理のマトリクス インシデント対応 差し迫った問題 期限のある仕事 予防対応 人間関係の構築 準備や計画 電話対応 MTG
メールへの返答 不要なMTG 第1領域 第2領域 第3領域 第4領域 重 要 重 要 で な い 緊急 緊急でない
そのため、自身にとって優先すべきことを見える化する 時間管理のマトリクス インシデント対応 差し迫った問題 期限のある仕事 予防対応 人間関係の構築 準備や計画 電話対応 MTG
メールへの返答 不要なMTG 第1領域 第2領域 第3領域 第4領域 重 要 重 要 で な い 緊急 緊急でない とにかく早く消化したい
そのため、自身にとって優先すべきことを見える化する 時間管理のマトリクス インシデント対応 差し迫った問題 期限のある仕事 予防対応 人間関係の構築 準備や計画 電話対応 MTG
メールへの返答 不要なMTG 第1領域 第2領域 第3領域 第4領域 重 要 重 要 で な い 緊急 緊急でない とにかく早く消化したい 一番時間を使いたい
そのため、自身にとって優先すべきことを見える化する 時間管理のマトリクス インシデント対応 差し迫った問題 期限のある仕事 予防対応 人間関係の構築 準備や計画 電話対応 MTG
メールへの返答 不要なMTG 第1領域 第2領域 第3領域 第4領域 重 要 重 要 で な い 緊急 緊急でない とにかく早く消化したい 一番時間を使いたい 極力工数を減らしたい
そのため、自身にとって優先すべきことを見える化する 時間管理のマトリクス インシデント対応 差し迫った問題 期限のある仕事 予防対応 人間関係の構築 準備や計画 電話対応 MTG
メールへの返答 不要なMTG 第1領域 第2領域 第3領域 第4領域 重 要 重 要 で な い 緊急 緊急でない とにかく早く消化したい 一番時間を使いたい 極力工数を減らしたい 無くしたい
効果的に活動するためには第2領域に注力したい 時間管理のマトリクス インシデント対応 差し迫った問題 期限のある仕事 予防対応 人間関係の構築 準備や計画 電話対応 MTG
メールへの返答 不要なMTG 第1領域 第2領域 第3領域 第4領域 重 要 重 要 で な い 緊急 緊急でない とにかく早く消化したい 一番時間を使いたい 極力工数を減らしたい 無くしたい
実際は第1領域/第3領域に時間を裂かれてしまう 時間管理のマトリクス インシデント対応 差し迫った問題 期限のある仕事 予防対応 人間関係の構築 準備や計画 電話対応 MTG
メールへの返答 不要なMTG 第1領域 第2領域 第3領域 第4領域 重 要 重 要 で な い 緊急 緊急でない とにかく早く消化したい 一番時間を使いたい 極力工数を減らしたい 無くしたい
なぜ緊急度が高いものが優先されてしまうのか? • 緊急度が高いものは「受動的に反応(react)」してしまうから • 自分から活動して生み出されるわけではなく、外部要因で仕事が発生 してその対応に追われてしまう
第2領域を優先するためには? • 機会をとらえたり、物事を実現させたりするには、「能動的に動く (act)」ことが必要 • 第2領域の活動を進めていくだけではなく、第1領域、第3領域の 活動も減らす • 「ノー」と言える意思を持つことも大切 ◦
スクラムマスターは便利屋として活動してしまうケースもある
そうして第2領域の活動が行えるようになった! Q. スクラムマスターが自分の優先度を管理でき、第2領域の活動に注力 していったらチームのパフォーマンスはよくなるのか?
A. そうとは限らない スクラムマスターの優先事項 ≠ チームの関心 • スクラムマスターをしているとチームの様々な事が気になってしまう • しかし、チームにとっては同じ事柄が優先事項とは限らない
どうすれば良いのか? チームの関心が高いもので、自身にとっての優先度も高いことから注力 • チームの関心が高いものは、チームに影響を与えやすい 注意が 集中 感情的な つながり 前向きな 理解
主体的な 行動 様々な事柄を促進しやすい
しかし、チームにとって「見えていない」課題もある スクラムマスターにとって、課題と考えられることがあったとしても、 チームからは「困ってはいない」と捉えられてしまっていることもある 例 : 見積もりの形骸化 • とりあえず、相対見積もりを行っているがその見積もりは何にも生か されていない
スクラムマスターが率先して活動し、チームへ影響を与える スクラムマスターが自分で実行して、効果を見せていく チームの手間を取らせないので、大きな拒否反応は基本発生しない 効果的だったもの・チームに受け入れられたものは徐々にチームへデリ ゲーションしていくことでチームに影響を与えていく
デリゲーションの注意 権限だけではなく、結果に対しての責任を移譲する
自身の経験 : ファシリテーションをチームに任せていく • スクラムイベントなどのMTGに対するチームの自律性を高めたく、 スクラムマスターが担当していたファシリテーションをチームに任せ ることにした • チームメンバーは「やってみよう!」という反応で挑戦し始める •
初めはアレコレ改善しつつ試していたが、そのうち個々の負荷になり 始めたり、形骸化してきたり... • 徐々に開発全体のサイクルにも悪影響が出てきた • 一旦スクラムマスターが再度担当することになった
正しいデリゲーションができていなかった • いきなり放置する形で全てを移譲するのではなく、サポートしつつ 徐々に移譲していくのは大前提 • デリゲーションは権限を移譲するとともに、 「結果に対する責任を移譲する」 • ファシリテーションを移譲する場合は、意思決定などの結果や成果物 に対しての責任も移譲しないと、単にファシリテーションのアクショ
ンを担当しているだけになってしまい、結果が疎かになってしまう
スクラムマスター自身の優先度と チームにとっての必要性を考えて活動する チームで効果を感じられたものは、 デリゲーションしていく
今日の流れ 前提 第1章 第2章 第3章 人の行動や考え方が簡単に変わらない理由 まとめ 主体性を持つ 理想を描く 優先事項を把握し、優先する
人のパラダイムを変えるためには
ここまでのまとめ
主体性 + リーダーシップ + 適切なデリゲーション でチームへ影響していく • 理想を描き、目指すことを明確にする • 自身のコントロールできる範囲で、優先度の高いものからこなす
• チームで効果を実感できたら、徐々にデリゲーション スクラムマスター自身が直接コントロールすることが できない領域に対し、良い影響を及ぼしていくことができる
チームメンバーのパラダイムをシフトする パラダイムは、行動や考え方の枠組み 単純に行動を変えようとしても、枠組みが変わらないとチームメンバーの行動 や考え方は変わらない しかし、スクラムマスターが主体的に活動し、チームにとって必要なことを自 身で見せていき、徐々にチームへ展開することによってチームメンバーのパラ ダイムを変化させることができるようになる チーム・チームメンバーが大切にするパラダイムに対し、必要があればアップ デートをかけることができるのがスクラムマスターだと考えています
スクラムマスターは難しい! 知識や経験だけではなく、自分を見直すことで できるようになることは多くある! 悩んで身動きが取れなくなってしまったら、 一度落ち着いてまずは自分の活動を見直してみよう!
参考図書 完訳 7つの習慣 人格主義の回復 • スティーブン・R.コヴィー (著), フランクリン・コヴィー・ジャパン (翻訳) 7つの習慣
原則中心リーダーシップ • フランクリン・コヴィー・ジャパン (著), スティーブン・R・コヴィー (著)
今年もやります!