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Linuxのプロセススケジューラのしくみ その2 タイムスライスの計算方法
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Satoru Takeuchi
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September 27, 2020
Technology
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1.4k
Linuxのプロセススケジューラのしくみ その2 タイムスライスの計算方法
以下動画のテキストです
https://youtu.be/s7OEjcGHAXQ
Satoru Takeuchi
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September 27, 2020
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Transcript
Linuxのプロセススケジューラのしくみ その2: タイムスライスの計算方法 Aug 30th, 2020 Satoru Takeuchi Twitter: satoru_takeuchi,
EnSatoru 1
おさらい • その17 Linuxのプロセススケジューラの仕組み その1 時分割によるスケジューリング ◦ 実行可能プロセス数 nが増えるとタイムスライスが短くなったような …?
2 0 1 0 1 2 0 1 2 3
• タイムスライス=レイテンシターゲット/実行可能プロセス数n ◦ レイテンシターゲットとして決めた時間に一回 CPU時間を得られる タイムスライスの計算方法 3 n=2 n=3 n=4
時間 t0 t1 t0 t1 t0 t1 t2 t0 t1 t2 t0 t1 t2 t3 t0 t1 t2 t3 レイテンシターゲット レイテンシターゲット
レイテンシターゲットの値 • sysctlパラメタによって読み書き可能 ◦ kernel/sched_latency_ns [ナノ秒] • パラメタチューニングの基準 ◦ 応答性能重視(主にデスクトップ環境
): 値を小さくする ◦ スループット重視(主にサーバ環境): 値を大きくする • CPU数が変わると変化する ◦ レイテンシターゲット =1CPUのときのレイテンシターゲット ×(1+log2(ncpus) ▪ CPU数が多いとサーバ用途が多いだろうという推測 ▪ CPU数が多いとプロセス起床時に他の CPU上ですぐ動ける可能性が高い 4
タイムスライスの最低保証値 • 例: レイテンシターゲットが10msでnproc=1000 ◦ 各タスクのタイムスライスはたったの 10us? • タイムスライスの最低保証値がある ◦
目的: コンテキストスイッチのコストを増やしすぎないようにするため ◦ Sysctlのkernel.sched_min_granularity_ns 5
nice値の意味 • niceの変化によってタイムスライスの比率が変わる ◦ nice値が小さい(高優先度): 比率が上がる ◦ nice値が大きい(低優先度): 比率が下がる •
レイテンシターゲットは変わらない 6 p0 p1 p0 p1 p0 p1 時間 p0 p1 p0のnice値 > p1のnice値 p0のnice値 == p1のnice値 p0のnice値 < p1のnice値 p0 p1 p0 p1 レイテンシターゲット レイテンシターゲット
実験 • 目的 ◦ タイムスライスにnice値が与える影響を確認 • 実験プログラムnice.cの概要 1. 1つのCPU上で無限ループするプロセス p0とp1を同時に100ミリ秒間動かす
▪ 第一引数としてp1のnice値を与える: -10 or 0(デフォルト値) or 10 2. 2つのプロセスはCPUを1ミリ秒使うごとに次の情報を記録する ▪ プロセスの番号 ▪ プロセス開始時からの経過時間を記録 3. 100ミリ秒経過後に2つのプロセスの記録を出力 7
結果 8 p0 p1 p0 p1 p0 p1
まとめ • タイムスライスは実行可能プロセス数が増えるほど短くなる ◦ レイテンシターゲットに定めた期間に一回 CPU時間を得られる ◦ コンテキストスイッチコストが高くなりすぎないように最低保証値がある • CPU数が増えるとレイテンシターゲットの値が増える
• nice値による優先度の高低によってタイムスライスの比率が上下する 9